○塚本重藏君
只今議題となりました
請願並びに
陳情に関しまする
委員会における審議の経過並びに結果について御
報告申上げます。厚生
委員会に付託になりましたこれらの
請願並びに
陳情につきましては、三つの小
委員会、即ち医療制度調査に関する小
委員会、
住宅問題に関する小
委員会、並びに社会事業振興に関する小
委員会に付託し、一般的な問題或いは
委員会において審議中の法案に関連性のありまする
請願並びに
陳情については、本
委員会においてそれぞれ慎重審議をいたしたのであります。
先ず第一に、医療制度調査に関する小
委員会において審議を終えまして、本
委員会において十一月二十五日審議の決定を見ました
請願並びに
陳情について御
報告申し上げます。
請第八十二号、
國民健康保險制度の
更正に関する
請願、並びに
陳情文書表第六十六号、同第九十八号、同第百五十五号、同第三百三号、同第四百四十六号は、ほぼ同一
内容を持
つておるものでありまするので、これらを一括して御
報告申上げます。これらの
請願及び
陳情の要旨は、
國民健康保險組合は被保險者の加入が相当多数に達したにも拘わらず保險医との協調円満を欠き、医薬品の
不足及び薬價の騰貴等の
原因がありまして、
國民健康保險の診療を拒否し、或いは差別的な取扱いを露骨にいたしまするために、被保險者は自由に診療を受けることができない現状にな
つて來た。又インフレ増進により諸経費が膨張して参りましたが、保險料はそれに即應して引上げることのできない等の事情から、診療は不自由であり、保險組合の財政難の結果から事業経営は不振に陥り、その活動機能の喪失が続出しておる現状であります。これに鑑み、
國民健康保險制度の改善強化を図り、
民生安定を期するために、社会保險の統合一元化、公営医療の拡大強化、
國庫補助金の
増額等を
実行されたいというのが
陳情並びに
請願の
趣旨であります。
これらの
趣旨に対しまして
政府の
施策と
意見とを徴しましたところ、社会保險の統合、保險の強制加入、保險料の強制徴収等、制度の
改正の点は、目下立案中でありまする
社会保險制度の
実施と睨み合わせて考慮中である。
社会保險制度の
実施が遅れるようであるならば、
國民健康保險法の單独
改正を行うつもりである。適正な診療料金の算出については、適時單價の引上げを
実施して來たのであるが、目下厚生省では、医務局、公衆保險局及び保險局共同で、医療報酬の調査を
実施中でありますので、近くその標準料金が決定せらるることと思うのである。又医療公営については目下医療制度審議会で研究中であるし、医療機関の拡充強化については、取敢えず官公立の機関の利用、一般開業医の強力の外に、直営の診療所を整備し、組合医の設置等を図
つてこれが改善を図
つて行きたい。
國庫補助金は当初予算といたしまして一億七千八百万円を計上したが、更に追加予算として約二億円を計上した次第である。更に厚生当局はこれを増額すべく
関係方面と折衝中であるとのことでございました。制度の
改正までの当面の
対策としては、この健康保險組合の
趣旨の普及徹底、保險料の増徴による組合財政の強化、医療組織の整備、
國庫補助金の
増額等の点について鋭意努力する方針である。こういう答弁を得たのであります。これに対し
委員会といたしましては、速かに制度の
改正を行い、根本的
対策を樹立する必要があるとの
意見の一致を見た次第であります。かくしてこれらの
請願並びに
陳情はいずれも院議に付し、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
請願第五百三十三号、
國立病院及び
國立療養所改善に関する
請願、この
請願の
趣旨は有菌者を隔離し、國家的保証によ
つて傷痍者の施療をなすべき
國立病院本質使命に鑑み、國立療養所及び
國立病院の有料化を止めること、患者費を増額すること、全國各地区ごとにコロニー制度、特設寮の確率を図ること、医療施設及び医療從業員の実質的充実を図
つて貰いたい。こういう
趣旨でありまして、國立療養所並びに
國立病院の患者五万人の全國的統一組織体である三患者同盟が大同團結して即時
解決を要望しておるものであります。
この
請願の
趣旨に対しまして、
政府当局から実情を聽取し、又
政府の
施策について質しましたところ、
國立病院、國立療養所の入院料については、今議会においてもたびたび審議を願つたところでもあるが、
國立病院、國立療養所が一般市民に廣く開放せられたのであるから、
支拂い能力のある者からは適正な料金を頂くのが穏当であると考えるので、原則として有料とした次第であり、今後もこの方針で進んで行くということであります。併し
生活に困窮しておる者に対しましては
生活保護法を適用するの外、
社会保險制度の活用と相俟
つて個人の負担はできるだけこれを軽減いたしたい。又減免の規定も活用いたしまして、いわゆる経済的
理由から医療を受けられないというようなことのないように十分注意し、又この
趣旨が各施設の末端まで徹底するように努力して行きたい。患者費の増額についても必要な経費は増額を予算に要求してあるのである。特設寮及びコロニー制度についてもその必要を認め、本年度すでに
実施に移
つておる所もあり、更に今後拡充していきたい。医療施設並びにその從業員の実質的充実についても、その必要を認めるので、極力努力したいとの旨が述べられまして、
委員会におきましては、これらについて熱心に実情について質疑が行われた後、
國立病院並びに國立療養所の改善を極力要望し、院議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
次に陳第四百六十六号、
國立療養所高山荘の完備並びに運営に関する
陳情であります。この
陳情は、
昭和二十二年四月、
日本医療團より厚生省へ移管せられた飛騨地方唯一の結核診療所高山荘を絶対に整理せずに、飽くまで國立療養所として急速に完備し且つ強力に運営されたいことを、結核禍に悩む飛騨地方民衆のためにこれをお願いすると、高山市長外数名の者から者から
陳情に及んでおるのであります。飛騨地方は厳寒積雪のため半年近い冬籠りの非衛生的家屋内
生活を余儀なくせらるるのであります。これが慢性伝染病である結核に対する無智と、隠蔽主義とに拍車をかけられて、高冷地飛騨地方民衆の間に結核の蔓延を甚だしくしておるのであります。更に山國特有の焼味噌と漬物、茶漬けの飲食、そういう習慣があるようでありますが、そういうことから來る栄養不良と、温暖地以上に忙しい農繁期における休養もない過激な労働が、高原特有の強烈な紫外線下に行われることによ
つて、すでに家族内に蔓延しておりまする結核を急速に進行する悪性のものたらしめておることは、夙に専門家によ
つて指摘されておるところであります。而もかかる恐るべき結核の浸潤に対して、結核予防療養施設が皆無であつたことは、実に山國飛騨の悲劇であ
つたのであるが、幸いにして一方に岐阜縣立高山保健所が完備せられまして、その懸命な努力によ
つて一般民衆に放置隠蔽されていた無数の結核が続々と発見され、適当な療養方針が指示せられました結果、非常に愁眉を開いたのであります。殊に
昭和十六年縣民の犠牲的な努力により、高山荘の第一期工事が終り、
昭和十九年
日本医療團に移管され、更に第二期工事の拡張工事中、戰争末期の資材難によりましてその工事の渋滞を來すとともに、
昭和二十年九月風害によりまして、未完成の病棟の倒壊等の不慮の災害に遭うたのであります。この高山荘の定員は百名収容の予定のところ、現在僅かに一度雨漏り等を修繕いたしまして、二十名足らずの患者を収容しておるのに過ぎないのであります。而も來るべき半歳の積雪期に当面いたしております。これによ
つて大損害を蒙ることがあることを予測せられるのであります。從來多大の犠牲を拂
つて参りました地元民衆も、最早これ以上負担には堪えられないから、この際是非とも國家の力によ
つて急速に修理完成されたいとの
請願であります。
問題の高山荘の実情について
政府当局の
説明を聽取したのでありますが、高山荘は本年四月一日に
日本医療團より國立に移管せられたものであるが、未だに建設途上にあり、未完成の部分が多いので、これが整備について高山荘からも要求があり、本年度は予算の都合もあ
つて、現在のところ運営上特に急を要する應急修理整備の経費をすでに配布したのであるが、同地方の結核の蔓延の実情より見て、これが完成整備は必要と考えるので、明年度の予算
措置を待
つて、極力整備いたしたい旨の答弁がありました。
委員会はこれ亦院議に付して内閣に送付すべきものと決定した次第であります。
陳第五百十八号、
星塚敬愛園入園患者生活擁護に関する
陳情であります。本
陳情は星塚敬愛園入園患者の
生活擁護のために、左記の五項目を要望いたしております。一、患者食費を増加して貰いたい。現在当院の患者食費は一日一人五円十四銭で、正規ルート
配給の主食代が四円六十三銭要る。これを差引くと僅かに副食費は五十一銭しかないという現状であり、事実上この副食費では調味料の一割にも足らぬ
状態で、患者の死活を決定するところの栄養保持は全然望めないのである。二、
生活保護法による扶助金を増額して貰いたい。此処に入院しておりまする患者は、病氣の性質上社会
生活の理想も夢もない
生活をしておるのである。これらの人々は又私有物も殆んど売り盡してしまいまして、患者の経済
生活は恐るべき破滅の
状態にあるのであ
つて、これが根本的
解決が急速に行われない限り、入園患者の将來は実に憂慮すべき
状態にあることを訴えております。三、作業賃の増額をして貰いたい。入園患者は病氣の程度と性能に應じまして、十種類の作業に從事しておるのであるが、一日の作業時間は六時間制で、最高一日八十銭、最低四十五銭であります。この作業精度は入園患者の慰安の目的を以て始められ、自主的協力をして行われて來たが、この際根本的な
解決として、予算に患者作業費を計上し、それによ
つて園内作業が認められ、その労に相当するところの作業費が給與される
方策が講じられたい。四、医療資材を充実して貰いたい。現在本病治療用の注射液及び繃帯ガーゼ等が極度に
不足しておる。又歯科治療の資材は専任の歯科医師がいない療養所には
配給されないという現状であるが、これらすべての資材を適当に
配給して貰いたい。五、ライ病患者を挺身的に看護しておる職員に対して、その待遇を改善されると共に、更に医官、看護婦を充実して國立療養所としての機能を発揮するようにして貰いたい。
この
請願の各項目につきまして、
政府当局としては、食費については一日一人当り約十五円程度に引上げる。医療費についても約十円程度に値上げをするよう追加予算に提出しておるのである。又患者に対する
生活保護法の
生活扶助費の引上げについては、地元
民生委員、市、縣当局で適当と認められる額と決定するならば、國としてはそれに相当する國庫負担を致すよう社会局の方とも話合いを済ましておるのである。作業費の値上げについても妥当と思われるのでこれが実現を図りたい。治療用注射薬の大風子油についても、その輸入を
関係筋に申請中である。療養所職員の待遇改善については、公務員給與法の制定と共に特別勤務手当の支給等によ
つて、これが改善を図りたい旨の答弁がありました。
委員会は願意の大体は妥当なものと認めまして、院議に付して内閣に送付すべきものと決定いたした次第であります。
次に、社会事業振興に関する小
委員会において付託審議せられ、厚生
委員会において十一月二十七日審議の結果採択となりました
請願並びに
陳情について御
報告申し上げます。
請願第百九十九号、
傷痍者更正援護に関する
請願、
請願第二百八十五号、
傷痍者保護に関する
請願、この
二つの
請願は大体同様の
趣旨でありますから、ここに一括して
報告申し上げます。
戰争の犠牲となつた傷痍者は、
國民生活の窮迫と共にますます深刻化し、傷痍者は厄介者にされ、何らの保護も受けず、却
つて入院料も有料になり、その最低
生活は今や重大な
危機に暴されておる今日、
生活保護法のみでは救われず、我々が独立して明るい希望を持つにも持てず、精神的にも悪化しておる今日、傷痍者福祉法のごときものを制定し、これら傷痍者の
更正自立以て独立希望の持てるようにして貰いたい。又これに対しまして
政府当局からは、旧軍人と一般困窮者とを区別することなく、すべて困窮せる傷痍者をその傷痍の
状態に應じて保護
更正せしめようとする方針である。中央、地方の
更正関係廳が
関係部局と連絡しながら、実情に即應しつつこれらの問題を
解決して行きたい。予算面でも目下四肢切断者及び結核治癒者のために、大蔵省と五千万円の計上と折衝中である。
生活保護のため別に法令を立てずに、
生活保護法を活用し、これらの傷痍者の要望に幾分でも報いられるように今後努力して行くつもりである。又療養所を退院した者は、自宅で
簡單な治療のできるような治療資材を
配給すべく目下計画を進めておる。中途失明者は現在全國で一万八千二百五十名であるが、この中に元傷痍軍人の失明者が二千人含まれておる。これらの保護
対策費といたしまして、二十三年度には三百二十万円、二十四年度には七百万円、二十五年度には千二百万円を計上して、盲人に対する職業補導を施す計画である。尚盲人教育にも相当額の予算が
來年度から計上せられる筈である。又
生活保護法により
生産扶助を行う國費二千四百万円も計上して。おる身体的欠陥者の授産場を兼ねた保護施設を東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、香川、北海道に四千七百五十万円を以て設ける予定であり、一部はすでに工事施工中であるとの答弁がありました。尚各
委員との間に熱心なる質疑應答がありました。その結果といたしまして、
政府当局の
傷痍者保護計画というものが明らかにせられたのでありますが、その
内容は時間の
関係上
説明を省略することを御了解願いたいのであります。
委員会は全会一致を以て院議に付し、内角に送付すべきものと決定した次第であります。
次に
請願第二百十号、
拂下げミシンに関する
請願でありますが、この
趣旨は、終戰当時、陸軍被服廠新潟出張所が保有していたミシンが、当時の
政府の方針によりまして学校或いは授産所、縫製業組合等に拂下げられたが、これらミシンの中にはフイリッピンよりの掠奪品が混入しておるとの廉で、
関係方面から内務省を通じて没収する旨の通知を受けたが、新潟縣では、このミシンを引上げられることは、ミシンによる救済
更正事業に対して大きな脅威を受けるから、
連合軍に嘆願書を出すと共に、
國会においても政治的交渉によ
つてこれを
解決せられたいとの要望であります。これに対しまして内務省の答弁といたしましては、これらの
請願は、他からもあり、又重大な問題で、
関係方面とも折衝しておるが、掠奪品の入
つておることも事実で、なかなか
解決に困難である。併しながら
政府は鋭意これに善処すべく交渉を続けておるとの答がありました。
委員会においては、願意の大体を妥当なものと認めまして、
政府にこれが善処を要望して、院議に付して、内閣に送付すべきものと決定いたしたのであります。
請願第三百六十三号、
生活保護法の普及と同法の一部
改正に関する
請願並びに
陳情第三百五十五号、
生活保護法による
生活保護費を
全額國庫負担とすることに関する
陳情、この二件も大体同一
趣旨のものでありますから、一括して御
報告申します。
昨年十一月一日、
生活保護法が
実施されたが、引揚者、戰災者、一般失業者等の実情は、相当困窮しておるが、同法の
実施の徹底は、地方によ
つて区区であ
つて、而も濫救があり、漏救の弊も招來しておる。市町村の財政難その他の諸
原因と相俟
つて、適正な運用を欠いておる憾みがあり、折角の社会政策も却
つて民心に悪影響を及ぼしておる点が小くない実情に鑑みて、本法の徹底化を期せられたいとして、三つの項目を挙げております。一、
生活保護法を普及徹底せしむるため引揚者、戰災者、一般困窮者の実情を把握することを積極的ならしめるため、引揚者、戰災者より半数以上の
民生委員を任命せられたい。二、現下のインフレに伴う物價騰貴に現在八十五円の支給では最低
生活も維持することができない。よ
つて扶助支給額を大幅に増額されたい。又生業資金も生業再起のために最小限度これを五千円程度にまで引上げて貰いたい。三、現在の市町村の財政
状況より見て、市町村の一割負担では満足な保護もできないから、これを
全額國庫負担にして貰いたい、というのであります。これに対しまして
政府は、
生活保護法の施行に関しましては、市町村長、
民生委員その他
関係機関はもとより、一般
國民に対しても、あらゆる
方法を以て十分これが
趣旨の徹底を期するように努力しておるのである。又
民生委員の選任は、眞に
民生委員として適当な者を、推薦
委員会、銓衡
委員会の議を経て任命するものであ
つて、引揚者、戰災者等の中よりも
民生委員として適任者は現在任命されておるが、引揚者であり、戰災者であるということの故を以て
民生委員に任命することは適当でないと思う。
生活扶助費現行基準額は、法施行以來、屡次に
亘つて扶助費基準額は引上げて参
つたのでありますが、尚今後も経済事情に即應して適当な
措置を採りたいと存ずるのであるとの答弁がありました。又本法による保護は國家事務であり、都道府縣及び市町村もその住民の福祉を図ることは重要な職務でありますので、その費用の一部を負担することが当然であり、又地方費の負担は都道府縣、市町村それぞれ一割でありまするので、現行
通り実施することが適当である旨が答弁せられました。
委員会においては願意の大体を妥当なものと認めまして、院議に付して内閣に送付するものと決定した次第であります。
次に
住宅問題に関する小
委員会に付託審議し、而して十一月二十七日の本
委員会において採択になりました
請願並びに
陳情について御
報告申上げます。
請第百六十九号、
住宅営團経営の
住宅を
國営とすることに関する
請願、この
請願の
趣旨は、営團の解散に伴う経営
住宅の賣却は、
住宅者にと
つて重大な問題で、個人に賣却するよりも、
政府又は公共團体が買上げて経営せしめ、勤労庶民階級
生活費を基準とするところの適正家賃を設定する等の事項を実現されたいというのが
請願の
趣旨であります。
政府の答弁によりますると、
住宅営團の経営家屋数は現在六万戸以上あるが、その処分は一般勤労庶民が居住しておる
関係上、閉鎖機関処理
委員会にのみ委せることは不可能であるという見解を持
つている。併しながら、だからというて今日の國家財政の
関係上、これを全部國家が買上げるということは又でき難い実情に置かれておる。
從つてそれがために居住者に立退き等が起こらないようにも研究して行かねばならぬ。そこで第一に、現に居住者に優先的にこれを賣却することにいたしておるのでありまして、その賣却する条件につきましても、價格を現住者が應ぜられる程度にしたいと考えておるのであります。尚買取者のために利率九分五厘の五カ年特別融資の途も講じておるとの
説明がありました。その後質疑に入りまして、居住者に賣却されないものは、第三者に賣却されるということそれ自体が非常に不安を助成しておるのである。この際國家が経営することができないかとの質問に対しまして、現在居住者が一應なりとも自己のものとしてならば安定すると考える故に、一應賣却することにしたのである。閉鎖機関整理
委員会の条件に應ずることのできぬ場合の最終決定はまだ確立していない。当局としては第三者に賣却することはできるだけこれを避けて行きたい。そうしてこれを公共團体その他に引取らせて、そうしてその上で処分したい意向である。尚價格の問題は、閉鎖機関の財産が赤字にならない程度で決める方針であるということでありましたが、その後賣却價格が決定したことは新聞紙上で諸君が御
承知のところであります。現在ある家屋は、建築時は安いものであつたが、帳面上は建築当時に比べて相当高いものにな
つているのであるが、但しこれも時價に比べますならば非常に安いものであるとの答弁がありました。
委員会におきましては、本
請願の
趣旨は妥当なものといたしまして、院議に付して内閣に送付するものと決定いたしたのであります。
次に
請願第四百三十八号遊林公共建築物の
即時解放等に関する
請願、陳第五百四十七号
住宅建設に関する
陳情でありますが、この
審査は一括して御
報告申上げます。
請願並びに
陳情の
趣旨は、引揚者、戰災者の困窮者は固より、新たに戰災都市又は開拓地に挺身する者に対し
住宅を供給することは、
復興に欠くべからざる最小限度の條件にも拘わらず、インフレ下における一般庶民の困窮化、建築資材の
不足と騰貴、貸家経営のできない実情から、又更に建築統制束縛等のために、個人によ
つて住宅の建設は極めて困難な
状態にあるが故に、
政府は速かに全額國庫補助により、都道府縣をして、單に引揚者、戰災者ばかりでなく、一般庶民を対象とする一般庶民
住宅を建設せしめ、その維持管理に当らしめ、以て現下の深刻化した
住宅難に対処されたい。更に
政府は賠償、企業整備等で不要となつた建物その他遊休公共建築物を調査して、至急に
住宅用としてこれを開放されたい。
國会における
住宅委員会及び学識経験者、民間代表を含めた民主的な
住宅委員会を設けたい。又庶民
住宅の建築購入には國庫の補助をされたい。宅地法を作
つて、土地使用権の公収を図り、又借家人の住居権の保護のために、貸家の國家管理を行うなど、抜本的な立法処理を講じて貰いたいという
請願であります。右の
請願及び
陳情に対しまして、遊休公共施設は場所、構造その他から見て学校や
工場の方に適するものが多く、
住宅用に向くものは甚だしく少いのである。当局としては遊休建物から六万戸を
住宅化したいつもりであ
つて、今年度は取敢えず一万二千戸
住宅化するつもりである。余裕
住宅の件は、場合によ
つては強制命令を出す権限を知事に與えておるが、現在は台所その他の設備も一部改修して、
〔
議長退席、副
議長着席〕
その用に供する場合は、経費の二分の一を國庫補助としておる。何分我が國の
住宅は二世帯を容れる施設にな
つていないために、なかなか困難であるが、極力努力して行きたいつもりである。闇建築、大料理店は違反建築で
住宅にするを可とするものは行政処分として行
つているが、大料理店は現在閉鎖にな
つているが、強制的に
住宅化することは不可能であり、知合い等にこれを供與するように指令している。越冬應急
措置としては、北海道、東北、ソ連引揚者に対しては集團設備を設けておる。
住宅の家賃は只今最近の二万戸に対しては二分の一を補助している併しマル公の引き上げによ
つて二分の一を補助しても二三百円となり、これは一般勤労者には負担となるために、補助額の引上げを考えておるが、本年度は不可能であり、
來年度は考慮してみたいとの答弁でありました。居住権の
確保のための行政
措置につきましては、借家法により保護しているが、むしろ借家人から今日は不満があるような程度にな
つている。
政府、
國会を中心とする
住宅問題の根本的研究のための、民間人を加えた調査会については適当であると考えている等の答弁がありました後、
委員会においては
政府に極力これらの
住宅問題についての善処を要望いたしまして、これら
請願は院議に付して内閣に送付することに決定いたした次第であります。
最後に十一月二十七日厚生本
委員会において審議いたしました陳第三百七十号炭鉱労務者福利厚生施設拡充に関する
陳情について
報告いたします。
陳情の
趣旨は、炭鉱労務者は地下労働で、山間僻地に所在し、特異な事情の下にあ
つて、地上労働に比し心身の疲労、災害率も高く、一言にしていえば一般の嫌悪する
労働者なる現状だから、労働基準法による一般厚生福利施設並ではこれら炭鉱労務者の特異の改善を期することはできない。それ故に成るべくこれら炭鉱労務者にいろいろな福利厚生施設についてその改善を図
つて貰いたいというのが
趣旨でありました。
これに対しまして、若干の質疑應答がありまして、
政府といたしましても、
石炭増産のためにも緊要なことであるから、鋭意これが実現に努力したいとの答弁がありました後、
委員会におきましては院議に付して内閣に送付するものと決定いたした次第であります。
以上
報告を終わります。(
拍手)