○塚本重藏君 只今議題となりました
兒童福祉法案につきまして、厚生
委員会における
審議の経過並びにその結果を御
報告申上げます。
本
法案は
衆議院が先議でありまして、本院には去る八月十二日予備審査付託とな
つたのであります。よ
つて同十九日第一回
委員会を開催いたし、爾來
委員会を開きますこと十七回、毎回極めて熱心な
審議が続行されました。先ず最初に本
法案提出の
理由を一松厚生大臣から聴取しました。その
説明の概要を申上げます。
我が國現下の情勢を見ると、戰時中から戦後にかけて
社会的秩序は甚だしく乱れ、戦災による孤児、引揚孤兒その他浮浪兒等が少からず発生し、一般青少年も悪い環境の中で著しく不良化して参
つておるのであります。これらの兒童に対しまして適切なる施策を講ずることは極めて緊要であると共に、更に一般乳幼兒、妊産婦の保健状態を見ると、敗戰後の極度の物資欠乏等に
影響せられて極めて悪く、乳幼兒の
死亡率のごときも他國に比べて高率であるのは、
國民保健の將來を考えるとき、一時と雖も捨ておき難い状態にあるのであります。これら不幸な状態にあります。兒童の福祉を増進し又保健の向上を図ることは焦眉の急務である。又
日本が將來民主的な文化
國家として力強い歩みをいたしまするためには兒童福融の問題を大きく採上げる必要を痛感したので、本
法案を
提出するに至つたというのがその本旨でありまして、更にこの
法案の大体の
内容説明がありました。これを要約して申上げますと次の
通りであります。
本法は五章、六十九ケ條の
規定から成
つておりまして先ず第一に
法案の冒頭には、兒童を心身共に健かに育成するために
国民挙
つて協力しなければならぬという道義的な
規定を設けて、更に國及び地方公共團体は、兒童の
保護者と共に、兒童育成の責任を負うという兒童福祉の原理を闘明いたして、この原理はすべて兒童に関する法令の施行に当
つて常に尊重されなければならぬということとしてあります。第二には、本法における兒童とは、満十八歳に満たないもので、これを乳兒、幼兒及び少年と分けまして、さらに妊産婦及び
保護者に関する
規定を設けてあります。又本法の活用を期するためには兒童
保護の機関を整備せんとする点を定めてあります。これには中央並びに地方に兒童福祉
委員会という機関を設けて兒童福祉問題全般の強力な推進力たらしむこととし、又有給或は名誉職の多数の兒童
委員を選任して、その活動によって個々の兒童福祉問題を具体的に解決し、又兒童相談所を設けて兒童の育成につき科学的な措置や或いは相談指導を行わんとするものであります。第三は、妊産婦及び乳幼兒に関し、
保護指導、妊娠の
届出、母子手帳等の制度を整備強化してある点であります。第四は、現存する種々の兒童福祉施設に関しまして、各種特殊兒童の収容施設は勿論、一般兒童に対する保育所或いは兒童厚生施設等の
内容の充実を図ると共に、その施設としての最低基準を定めまして設備及び運営の向上を期しようとするものであります。
而して以上のような各施策を実施しまするために、國庫よりは地方公共團体にそれぞれ適切な補助を行い、以て終戦後の融合的混乱に俘
つて著しく増加を見せた孤児、浮浪児等に対しまする緊急の措置を取ると共に、欧米諸國に比して極めて高い乳幼兒
死亡率に示されるような乳兒、幼兒の保健状態を改善する方途を講じ、更に進んで、すべての兒童につき積極的な福祉をもたらすことを企図するというのであります。従いまして、本
法案は単に従來の少年教護法及び兒童虐待防止法を吸収したのみではなく、一般兒童及び一般母性提議の
関係を含んでおるのでありまして、従來の
関係法制から見ますと、遥かに廣く大きな構想を持
つているところの、兒童並びに母性
保護に関する綜合的な
法律案であります。
以上は
本案に関する
政府提出原案の大要であります。次いで
法案の
内容に関する逐條
説明を聴取したのでありますが、時間の
関係も考慮されますので、詳細は速記録について御了承願いたいのであります。
委員会におきましては、本
法案は
憲法の
精神に照しましても誠に重要な
法案であり、且つ兒童並びに母性
保護の問題は
文化国家建設の
基本的な
要件であり、更には翼下の國情に鑑みましても特に緊要の問題であることが痛感されておりますので、本
法案は特に
愼重を期してこれを
審議する必要から、この際兒童並びに母性
保護に関する現状について特別調査を行う必要ありと決しまして、幸いに院議の決定によりまして、八月二十三日より二十八日まで、山下、小川、宮城、草葉、河崎、木内、三木の各
委員は、京都大阪地方及び廣島縣地方にそれぞれ派遣出張されまして、或いは各種の
関係施設につきこれを視察し、或いは座談会その他の集会を通じて兒童並びに母性の眞剣な声を聽き、具さに
国民の衷情を査察する等、詳細の特別調査を行いました。他の
委員各位は全員東京その他関東地方における冬
関係施設の視察調査を行いました。又特に十月一日より三日間に亘
つて開催された全國
社会事業大会に当りましては、各
委員これに列席する機会を得まして、全國の
社会事業代表者約三千名による大会の特に設けられた兒童福祉に関する特別
委員会において表明せられた要望も亦十分これを査察し得たのであります。かくて以後続行されました
委員会におきましては、或いは兒童心身の微妙な発達過程の上から、或いは又母性並びに民情の機微に徹したところの極めて熱烈且つ眞劔な
審議が続けられたのであります。
次に本
法案について、
委員会における質疑並びにこれに対する
政府の應答に関しまして御
報告いたしますが、これは本
法案の
趣旨並びに
内容からいたしましても、問題は極めて廣汎であり、質疑の点も非常に多面の角度から数多くされまして、本
法案の殆んど各
條項に亘
つております。從
つて後に
修正点を明らかにする際に重複することもありますので、ここにはその中の数点を要約して申上げ、詳細はこれ亦速記録によ
つて御了承願いたいのであります。
質問の第一、本法による兒童を満十八歳以下と定めた
理由如何。答。これは必ずしも科学的な基礎によつたものとは申されないが、諸他の
保護立法、例えば労働基準法、船員法等による基準を参酌して定めた。本法を
兒童福祉法案としたのは、本法においての主たる取扱対象となるべき年齢層を予想し、これを本法の名称に使用したのである。
質問の第二、特別要
保護家庭における乳児はこれを乳児院に入れ、國又は公共の費用によ
つてこれを
保護育成するというが、本法施行の予算計画及び將來の方針如何。これに対する答。乳兒院は現在全國に十二ケ所しかないが、漸次これを拡充して行きたい。本法施行に関する予算は本年度分としまして三千四百六十七万五千円を計上したが、これは本法施行に関する準備的な諸費用の一部分に過ぎないのであります。
質問の第三、兒童並びに妊産婦用必需物資の確保、なかんずく母乳不足の乳幼児に対しては牛乳の現物を確保することが第一である。故に兒童福祉施設の中に乳牛牧場を入れ、乳幼児に対する牛乳を確保する
規定を挿入しては如何。
政府の答弁。兒童並びに妊産婦用の必需物資は
関係各省と十分な連絡を保ち、且つ本法による福祉
委員会の活動と相俟
つてその確保を図り、これが適正に配給されるよう努めるつもりである。牛乳が現在不足しておるのは誠に遺憾であるが、
政府としては、麦と牛乳とのリンク制を採り、或いは牛乳の供出につき奨励物資を交付し、以て牛乳の供出を促進し、更に乳製品の輸入、飼料の確保、種牛の輸入等の措置を採
つて、牛乳の不足に対して最善の努力をいたしておる次第である。この
法案に
規定する各種の施設は、兒童を直接的に
保護する施設でありまして、兒童と直接的関連を欠く乳牛牧場につきこの
法案に
規定することは不適当であ
つて、牛乳の増産については、全産業を一貫した経済政策の一部門として考えるべきであるとのことであります。
質問の第四、本法による福祉施設として、母子の不可分
保護、即ち母と子を分離せずにこれを一緒に
保護することを必要とする場合の福祉施設が欠けておるがどうであるか。答。本法は、子、即ち兒童の福祉を主眼とするもので、いわゆる母子
保護の建前を採らない。若しその必要がある場合は
生活保護法の活用によ
つてこれを
保護する。
質問の第五、本法によ
つて最も活動を期待すべき兒童
委員は悉く現在の民生
委員のみにその任用を限定してあるが、民生
委員は名誉職であり、且その銓衡も旧態依然たる元の方面
委員をただその数を殖やしたものに過ぎないのである。よ
つてこれを全部改任して、兒童の福祉を專門的に取扱い得る適任者を以てこれに充てる用意があるか。又民生
委員にあらざる者にして兒童福祉指導に関する適任者ある場合、これを任用する考えはないか。答。民生
委員は民生
委員会によ
つて任用されているので、兒童
委員として適任の者と考えておる。兒童福祉に関して学識経験者で適当の者はこれを本法によ
つて「吏員」とする考えである。
質問の第六、
社会福祉事業とその從事者とは不可分のものである。極言すれば適任の人なくしていかなる施設を講じて見ましても、その事業は単なる形骸に過ぎない。特に本法施行に関連して兒童福祉事業従事者の養成指導に関する計画如何。答。従事者の養成に関しましては本法においても若干の計画を考えておる。これは本法施行の不在面に照らして甚だ小規模ではあるが、これは漸次予算面とも勘案してその必要を充たしたい。尚現存の各
関係養成構関は極力協力を求めて緊切な措置を講ずる方針である。
質問の第七、本法の施行上絶対に必要な兒童福祉施設は、
政府の計画によりますると甚だ貧弱であ
つて、その
目的の大部分はこれを民間の
社会事業團体に委託せなければならない。併し民間
社会事業は殆んど戦前への復旧すらも不能の状態にあるのみならず、從事者の処遇問題も絡んで多大の経営難に陥
つており、これが維持すらも不能の状態にあるのである。
政府は果してかかる状態の下において本法の
趣旨の徹底乃至一般
社会問題の臨機の処理が可能と考えられるや否や。この質疑については特に片山
内閣総理大臣が出席せられまして、一松厚生大臣と共にこもごもその應答がありましたが、その要旨は、
社会問題の処理に関しましては、
國家建設の
基本要件として
政府としても十分これを考えておるのであ
つて、
社会政策又は
社会事業の徹底も、そこにおのずから期待されるものがあると考えている。このためにはすでに漸を追うて国策の遂行を期さなけれげならない國情であるから、
政府としては現在先ず第一に経済危機を突破して、國の破局を救うことに努めなくてはならない現状である。そしてごのためには各方面に耐乏の
生活を絶対に必要とする余儀ない状態にあるので、
社会政策の徹底乃至
社会事業の振興という重要問題も亦その間においてできるだけの措置を講じてこの
現実の必要を調整するよう努める。差当
つて具体的な措置として
社会保障制度の確立を図
つて、
國民の
社会生活の
最低限度を保障する途を講ずると共に、他面においてこの制度の効果的な運営を期するため、
社会事業の振興についてできるだけ施策に努めたい。特に兒童福祉は國策の重点の
一つと考えて鋭意これに努力したい考えであるとの答えがありました。質問の第八、いわゆる不良少年は性行不良見及び犯罪の虞れある少年と、そして犯罪少年と三様に考えられるが、要するに概ね同一の対象であるこれら少年の正常な育成教導に当
つては、最初から犯罪を対象とする行刑
主義乃至刑罰を以て臨むことは、兒童対策上百害の基であるから、その行政は厚生、行政内に一元化し、環境の是正と愛の教導とを方針として本法の適正なる運用を期する考えはないか。この質疑に対しまして、特に司法大臣並びに厚生大臣より答弁がありましたが、その要点は次の
通りであります。司法大臣の答え、行刑は教育
主義を取
つており、刑罰
主義は取
つておらない。特に少年に対しましては、規律と訓練とを以てこれを
保護矯正の方針を以て臨んでおる。今後も同様である。犯罪及び虞犯少年の
保護処分は行刑、檢察、裁判等にそれぞれ
関係を持
つておるので、単一な
社会行政部面だけではその行政は適切を期せられない。又
國家が刑罰権を行使するのは万止むを得ない場合のみに限るのであ
つて、
國家の親心として遺憾ながらこれを行使するのである。從
つて行刑と
保護とは区別ができないものがある。よ
つて今にわかにその全郡を移管することはできないが、併し大部分のものはこれを厚生行政に移すごとに異存はない。厚生大臣の答え。現在司法省の所管にな
つている兒童
保護に関する事柄の大部分は、これを厚生省に移すことについては、両省間においても、十分相談中であるが、幸いに見解が一致したので、近い将來においてこれが実現を見ることと思う。
政府は十分にその実現に努力する。
以上のごとき質疑應答を重ねた結果、
政府提出の原案に対しては、
修正の必要がありとする要望が漸次多くな
つて参
つたのであります。
委員会は両院
審議の円滑を期したい必要から、
本案の先議院たる
衆議院側、即ち
衆議院厚生
委員会と、本院厚生
委員会との合同打合せをいたすこととなりまして、去る十月の十四日、本院においてこれを開催いたしました。その両院合同打合会におきまして、本院予備審査の間に、すでに希望せられつつあつた
修正希望点と、
衆議院側の
修正希望点とについて、極めて打ち解けた打合せをいたし、ほぼ両者の
意見の一致を得ましたので、その後
衆議院におきましては、院議を決定し、
政府原案はこれを大體打合せの要点を参酌して、
修正可決の上、ここに本院に送付と相成
つたのであります。今その両院合同打合せにおける
意見一致によ
つて修正せられましたる点を
説明いたします。
修正の第一点、
政府原案第七條の兒童福祉施設中に母子寮を加え、
修正第三十
八條に、「母子寮は、
配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子及びその者の監護すべき兒童を入所させて、これらの者を
保護することを
目的とする施設とする」を挿入をすることにいたしたのであります。
修正の第二点は、第十一條でありまして、
政府原案では有給の兒童
委員と、名誉職の兒童
委員とを
規定し、両者を
法律上ひとしく兒童
委員の名称を用いていたのを、これをその使命、任務の上から明瞭に区分いたしまして、前者に兒童福祉司の名称を附し、その職務の重要性に鑑みてその任用條件を明記し、兒童及び妊産婦の
保護、保健その他福祉に関する事業につき、経験又は学識ある者の中からこれを任用しなければならないこととしたのであります。
修正の第三点は、兒童
委員と民生
委員とは、
政府原案のごとく一本建を認めるのではありますが、併し現任の民生
委員は即ち悉くこれを兒童
委員とする方針はこれを是正し、現任民生
委員はこれを嚴に再銓衡することとし、民生
委員の銓衡に当
つては兒童
委員として最も適任であることを
要件とするように改めることにし、
修正案附則の第六十四條に民生
委員の任期を短縮しまして、この
法律施行の日から三ヶ月を経過した日に厳選する
規定を設けたのであります。
修正の第四点は、
政府原案の第二十一條に関し妊産婦が助産婦についてその保健指導を受けました場合においても、母子手帳に記載する義務を
規定いたしました。
修正の第五点といたしまして、新
憲法の保障する人権を全たからしむるために、次の四つの点に関して
修正することとしたのであります。即ち原案の第二十七條
修正案の第二十
八條、
保護者が兒童を虐待し又著しくその監護を怠り、よ
つて刑罰法令に触れ、又触れる慮れがある場合において兒童を里親に委託し又は
保護施設に入所させるに当
つて、親権者の
意思に反してこれをするときには、元は都道府縣知事が必要と認めたときにできるのでありましたが、
修正案ではその場合は親権者に引渡すことが不適当であると認めるときは、都道府縣知事は
家事審判所の承認を受けさせることにし、
手続の
愼重を期したのであります。原案の二十
八條修正第二十九條について、調査のため立入るものを、
政府原案では單に「当該吏員」としていたのを、「兒童
委員又は兒童の福祉に関する事務に従事する吏員」に限定し、その濫用を防ぐことに
修正したのであります。原案三十條
修正第三十一條、施設における
保護を満二十歳に達するまで延長する場合は、
政府原案では「都道府縣知事が必要があると認めるとき」とあるのを、兒童相談所の再鑑別に付してその必要を認めた場合に限ることにしたのであります。原案二十三條
修正第三十四條に、施設において
保護兒童を酷使してはならない旨を新らしく追加明記いたしたのであります。更に
修正の第六点といたしまして、
政府原案においては
法律の施行期日は政令でこれを定めることにし、又或る事項については命令を以て定めることにしたのでありますが、この
國会の立法権を尊重する建前からも本法において
規定することにいたしまして、
修正案の附則第六十三條で、この
法律は
昭和二十三年一月一日からとし、又
法案の一部分は四月の一日から施行することにいたしました。
以上の諸点についで
修正の結果、
関係條文の加除整理を行いましたために、原案は六十九ヶ條から成
つておりましたが、
修正案では七十二ヶ條と
なつた次第であります。
かくて去る十月二十五日に
本案は
衆議院において
修正可決の上、同
日本院に送付を受けました。よ
つて改めまして、
衆議院送付案を原案といたしまして、数回の
委員会を開き、質疑應答を重ねまして之を終り、
討論に入りましたところ、多数の
委員から極めて熱烈な
賛成意見の開陳がありましたが、その
意見の中に本法実施に伴う
政府の施策に対する重要な
希望意見が多数述べられました。その中の重要なるものといたしまして一、二申上げます。
一、本法による中央及び地方兒童福祉
委員会の
委員を任命するに当
つては、
関係官公吏の数はこれを
委員総数の四分の一以内に止め、その
委員長の互選においても努めて民間人を以てこれに充てる等、
委員会の民主化を図ること。第二は、兒童
委員の銓衡は嚴選
主義を以てすると共に、特に不良少年の
保護指導に長年の経験ある嘱託少年
保護司等の適任者の任用を図ること。第三、
関係施設なかんずく民間團体施設の維持経営に関しては、十分その計画を立て、その分布並びに施設の
内容を考究して徹底を図ること。第四、保育所施設の重要性に鑑みてこれが充実を図ると共に、幼稚園及び保姆の行政
関係事項を厚生行政に一元化すること。第五、司法省少年
保護に関する行政事務及びその事業の大部分を厚生行政に移管して、要
保護少年、要教護少年の取扱を一元化すること。以上の
希望意見に対しまして、厚生大臣から所見の開陳がありました。而して、右の希望はいずれもこれを了承し、近くその実現を期して努力する旨の力強い表明があ
つたのであります。
次いで
小川友三委員から左の
修正案が
提出されました。第七條、乳児院の下に「乳牛牧場」を加え、第十九條第五項として「都道府縣知事は、乳兒の主食たる牛乳その他乳兒に必要な物資を入手することができない妊産婦又は乳兒若しくは幼児の
保護者があるときは、命令の定めるところにより、その物資を確保する措置をとらなければならない。」を加え、第三十
八條として「乳牛牧場は幼児の主食たる牛乳の生産を増加し、その不足を補うことを
目的とする施設とする。」を追加し、以下各一條ずつ繰下げる案であります。
以上を以ちまして
討論を終り、採決に入りました。先ず
小川友三君
提出の
修正案につき賛否を諮りましたところ、
小川友三君の外に
賛成者がなく、否決されました。次いで、前に
説明いたしました本院及び
衆議院の厚生
委員合同打合会の
意見に基ずいて
衆議院で
修正せられたものを原案といたしまして賛否を諮りましたどころ、
小川友三君一人
反対せられ、その他の
委員全員の
賛成を以て
内閣提出に係りまする
兒童福祉法案は、
衆議院修正送付の
通り、これを可決すべきものと決定いたした次第であります。
以上は
本案が本院予備審査付託以來ここに満三ヶ月余に亘る厚生
委員会審議の経過概要並びにその結果の
報告であります。これを以て
報告を終ります。(
拍手)