○
木内四郎君
只今議題と
なつておりまする
参議院規則案につきまして、
委員会におきまする
審議の経過並びに結果について御
報告いたします。御
承知のように
参議院が
成立いたしましたけれども、現在におきましては、
参議院の固有の
議事規則というものが存在いたしておりません。
國会法の
規定によりまして、
衆議院の
規則の例によると、こういうことに
なつておるのであります。
先づ第一に
暫定衆議院規則の例によ
つてきたのでありまするが、この
暫定衆議院規則は
議院の
成立までの問題を取扱
つておる
規定でありまして、その他の問題につきましては、今までの行われておりました
衆議院規則の例によるということに
なつておりまするけれども、この
衆議院規則も新憲法、新
國会法の下におきましては、どうもよく動かないのでありまして、どうしてもこの際急速に
参議院規則を制定せなければならんことに
なつておるのであります。旁々
休会前の
各派交渉会におきまして、
議院運営委員会において、
参議院規則案について一つ研究するように、という話もありましたので、我々この
提案者として署名しておりまする我々二十五名の者が、
休会中度々会合いたしまして研究いたしましてそうして
衆議院の方とも連絡をとりまして、一つの成案を得まして、去る二十三日に本院に提出いたしたのであります。その案が即ちこの
原案に
なつておるのでありますが、それが直ちに
議院運営委員会の方に
付託されたのであります。ところが
議院運営委員会におきましては、更に
尊重審議をいたしました結果、一部につきまして
修正を加えた方がいいという
結論に到達いたしまして、
全会一致、お手許に配付してありますような
修正を加えまして、可決確定すべきものと議決いたした次第であります。
原案は二十章二百四十
五條の
條文になりました。これからこの
原案によりまして、且つ主なる
修正の点も合わせまして、大体について御説明いたしたいと思います。
先ず、この
規則案の第一章におきましては、
議院の
成立及び役員の
選挙について詳細に
規定いたしました。又、第二章におきましては、
内閣総理大臣の指名について
規定いたしました。第三章におきましては
開会式、又第四章におきましては
会期の
決定、
会期の延長及び
國会の
休会、これらの
規定を設けたのであります。この第一章乃至第四章の
規定は、大体
暫時衆議院規則をそのまま採用いたしたのでありまして、特に御説明申上げるような点はないのでありまするが、ただこの第二十
二條におきまして、
原案におきましては、
会期の初めに
議長が
衆議院議長と協議した後に、
臨時会及び
特別会の
会期を
決定するということに
なつておりましたけれども、いろいろ研究しました結果
修正いたしまして、必ずしも
会期の初めに
決定することが必要でない。
議長はこの
会期におけるところの
立法計画に関して、予め各
常任委員長の
意見を聽いた上に、適当に
会期を
決定する、その方がいいということになりまして、そういうふうに
修正いたしたのであります。
それから更に第五章におきましては、
議案の
発議及び撤回について
規定いたしました。この
規定におきましては、
議員の
立法意志を尊重する
國会法の精神を承けまして、
議員はただ一人でも
議案を
発議することができるというふうに
規定した点は、特に御注意願いたいと思うのであります。
更に第六章におきましては、
議案の
付託につきましても、既に御
承知のように
國会法によりまして、
議案は原則として先
づ委員会に
付託して、そうして
委員会の
審議を経た後に、これを本
会議にかける。こういうふうに
なつておるのであります。この点は、従來の
衆議院の取扱い、又
貴族院の
取扱い等とも違
つておりますので、既に
國会法に
規定してあることではありまするけれども、特に注意すべき点であると思うのであります。
更に第七章におきましては
委員会について
規定いたしておるのであります。
五節に分ちまして詳細に
規定いたしておるのであります。第一節に於きましては通則を掲げ、第二節におきましては
公聴会について
規定し、第三節におきましては
委員会の
報告、第四節におきましては
常任委員会、第
五節におきましては
特別委員会、こういうふうに
五節に分
つて詳細に
亘つて規定いたしておるのであります。その
規定の中、
原案の第三十
二條は
國会法第四十
一條との
関係をも考慮いたしまして、この際これを削除いたしまして、実際上の
運用に委ねるほうが適当であるという
結論に到達いたしたのでございます。更に第三十六條におきましては、「
議院運営委員会及び
図書館運営委員会は、
議院又は
図書館の
運営に関しては、
会期中、何時でも、
委員会を開くことができる」ということに
なつてお
つたのでありますが、御
承知のように、
委員会におきましては、各
委員会共その取扱う
事件といたしまして、
議院から
付託を受けた
事件、及び
議長の承認した
事件について
審査をすることができるということが三十四條と三十
五條に書いてあるのであります。三十六條におきましては、先程も申しましたようにこの
議院運営委員会及び
図書館運営委員会は、
議院又は
図書館の
運営に関しては、
会期中、何時でも、
委員会を開くことができるということに
なつておりますが、同時に三十四條、三十
五條の
運用によりまして、
付託事件及び
承認事件につきましても
審査をすることができるという趣旨を明らかにいたしますために、「前
二條の
規定によるものの外、」という字をここに加えることにいたしたのであります。更に第二節の
公聴会に関する
規定におきましては、
國会法第五十
一條の
規定を承けまして、十二箇条に
亘つて詳細に
規定を設けたのであります。この点につきましては六十三條及び七十
二條に極めて小さい
修正を加えることにいたしましたが、特に御説明申上げるまでもないと思うのであります。
次に第八章においては
会議について
規定いたしましたが、これも七節に分ちまして詳細に
規定いたしました。第一節におきましては、
開議、
散会及び
延会について
規定いたし、第二節におきましては
議事日程について
規定し、第三節におきましては動議について
規定し、第四節は
発言、第
五節におきましては
修正について
規定し、更に第六節におきましては表決について
規定いたしておるのであります。又第七節におきましては
自由討議について
規定いたしておるのであります。この
会議の中特に御説明申上げたいと思いますのは、この
自由討論の筋であります。當初は
簡單に二箇条の
規定を置いておりまして、その実際上の
運営は
議長にお委せする。こういうことに
なつてお
つたのでありますけれども、更にこれを九箇條にいたしまして、詳細に
規定することにいたしたのであります。即ち
修正案の百四十四條乃至百五十
二條までに
亘つて、これを詳細に
規定することにいたしました。この
自由討議におきましては
二つの場合を予想いたしておるのでありまして、全然
自由討議の内容を決めませんで、重要な
國政につきまして自由に
意見を開陳し、又は質問することがだきる、そういう
自由討議を開くこともありまするし、更に又一定の問題を決めまして、それについて
討論をするという
自由討議の形式もある。その
二つの場合につきましてこの
修正案の百四十六條と百四十七條において
規定いたしておるのであります。
更に第九章におきましては質問について
規定し、第十章につきましては請願、第十二章に
衆議院との
関係について
規定いたしております。又更に第十三章におきましては
國民及び
官廳との
関係について
規定しております。この章におきましては
國会法百三條の
規定を承けまして、
議員の
國政調査に関して
規定いたしておるのであります。
原案の百七十四條に対して、更に
常任委員長の
要求によりまして
審査又は
調査のために
議員を派遣することを
議院の議決によ
つて決めて貰う。こういうふうに
修正いたしたのであります。即ち「
委員長の
要求又は」という文字をここに加えることにいたしたのであります。又更に百七十
五條につきましても極めて小さい
修正を加えましたが、この點については特に申上げるまでもないと思います。
更に第十四章におきましては請暇及び
辞職について
規定いたしました。
又第十五章におきましては
資格爭訟、それから第十六章におきましては
紀律及び警察について
規定いたしております。この
紀律に関する
條文におきましては、「
議院の
品位を重んじなければならない。」という
規定を置きまして、他の詳細の
規定はこれを省略いたしまして、
議長に一任することに
規定いたしたのであります。即ち
規定自体も
議院の
品位を重んずるような
規定にいたしたつもりであります。更に第十七章におきましては
傍聽について
規定いたしました。
更に第十八章におきましては
懲罰について
規定いたしました。この
懲罰の項におきまして二百二十九條に多少の
修正を加えまして、
委員会におけるところの
懲罰事犯についてもここに
規定を挿入することにいたしました。別に御説明申上げるまでもないと思うのであります。
更に第十九章におきましては
両院法規委員会の
委員その他の
選挙について
規定いたし、更に第二十章に補則を置きました。
尚申し落しましたが、
國会法の
規定を承けまして、
少数意見の尊重する
規定を随所に設けたことは、特に御注意を願いたいと思うのであります。極めて
簡單ででありまするが、これを以て
委員会の御
報告にいたしたいと思うのでありまする。
ただこの際一言附加えておきたいのは、我々二十五名の者は
尊重審議を重ねましたけれども、極めて短時日の間でありまして、我々といたしましては
尊重審議いたしたつもりでありまするけれども、
今期國会におきましてこれを
運営して行きまする場合におきましては、或いは多少当を得ていないような
條項も出て参ることもないとはいい得ませんし、或いは又更に補足を必要とするようなものも生じて参るかとも思うのですあります。若しそういうような場合がありましたならば、
今期の
國会の経験を照らしまして、次の
機会に
修正案を出すことにいたしたいと思うのであります。尚更に一言申上げたいのは、
議院運営委員会におきましても、まだ
専門調査員もありませんので、実際上の
事務につきましては、
事務局に万事非常にお手数をかけたのであります。更に又先程も申しましたように、
関係方面のひとかたならん御指導を受けておるのであります。この点につきまして、この
機会に深く感謝の意を表しておきたいと思うのであります。
簡單ではありまするけれども、これを以て御
報告といたしたいと思います。(拍手)