○岩間正男君 只今の
請願の趣意というものは非常に切實な問題に繁が
つていると思います。これは
日本の今までの
教育の反省の中から當然生まれなければならない重要な問題じやないかと
考えているわけであります。つまり今までの様子を見ますというと、中等
學校、女
學校に進む者は全學童の約二〇%に過ぎなか
つた。あとの八〇%というものは高等小
學校、青年
學校若しくは六年だけで止めてしまうというような途を選んだのでありますが、そういうような大きなパーセンテージを占めるところのいわゆる大衆の子弟が、經濟的理由によ
つて教育の機會均等を與えられなか
つたというところに、やはり今までの
日本の
教育の在り方というものの姿を見ると思うのであります。そうして又このことは同時にそれらの子供達が放置されて、而もそれらの子供達がいつでも大量生産的に粗惡な
教育に追いやられている。名目はいかにも青年
學校の
教育という形にな
つてお
つても、實質的のことは
教育に携わ
つた者が本當によく知
つているのでありまして、誠に申譯的な
教育であ
つたというふうに思います。そのために實は優秀な人材がなん人か埋もれてお
つたのだが、それらの人材を實は經済的
事情のために發掘することができなくてそのままに埋もれてしま
つた。彼ら英才も常に埋もれてお
つたし、實に惜しい。謂わば國家的な大損失でなか
つたかと思うのであります。更に又こういう時代が參りまして、この時代との睨み合せによ
つて考えてみますと、なんとい
つてもすべてのものを失
つた日本の現實においては、もう勤勞によ
つて國を建てる、非常に單純な理論でありますけれども、それ以外には途はないということは餘りにも明らかな實態であります。そうしますというと、勤勞大衆の
教育というものを本當に採り上げて、これをどのように組織し、又これを優秀にして行くかというところに、もう今後の勞働の能率の問題が大きくかか
つて來る、從
つて國の生産の問題が大きな土臺を持
つて來るというふうに
考えられるのでありまして、こういう點から六・三制の的題は一應緒についた。併しこれは非常に不完全な形で、誠に實體が伴わない次第でありまするけれども、それと同時に、その上に當然起
つて來るところの勤勞大衆の問題を今からやはり採り上げて綜合的に……。これはいつも私は
文部當局に要請しておるのでありますけれども、綜合的な施策というものをここではつきり打立てなくちやならん。先程から大學の
昇格問題も澤山問題として採り上げられたのでありますけれども、これらのものも實は六・三、それから上の
高等學校の三年、その上の四年の大學、全部を含めたところの綜合施策というものは、どうしてもここで強力に努力して作らなくちやならん。
文部省でも忙がしくてまだ
具體案ができないというような
お話でありますけれども、これをあらゆる
方面で、
文教委員會も努力せんければならんと思うのでありますが、そういうものを是非ここで確立して、年度計畫を立てて、はつきり國民にも肯けるところの
教育改革案を提示しなければ、もう殆んどこの問題が突發して、それに對していつでも泥繩式のやり方をや
つてお
つたんでは到底間に合わない。殊に苛烈な國内の經濟
事情でありますから、この中で眞に百年の大計であるこの
教育を建てるという仕事はもう非常に針の目を通るような困難を伴
つておるのでありますから、それにつけてもここで本當に努力しなくてはならんと思う。そういう時にともすると忘れられ勝ちでありますところの、この勤勞大衆の問題をこそ、これを中心問題として、
教育の機會均等の
立場から、又過去の
教育の反省から是非これは採り上げて頂きたい、これについて
文部省はどういうような見透しを持
つておられるか、果して來年度からこの
高等學校を、普通の一般の
高等學校の問題でもありまするが、これと睨み合わして定時制の
高等學校をどういうふうに
考えておられるかということをお伺いしたいと思うのであります。河崎ナツ君 私の申し上げたいと思いますことは、言葉は違いますけれども、岩間さんと同じ考の下に、この問題は宗教精神を
教育に採り入れるという問題も重大でありますけれども、もつと非常な重大な問題として私共文教の者は採り上げたいと思うのでございます。從
つて私は第一小
委員會の方の宗教の方のことに出ておりましたが、こちらの問題に全力を盡したいと思うくらいの問題だと思
つております。ただ伺いたいのは、無論今日のことですからして、今までですと青年
學校のいろいろな義務
教育的なものは女子にも負わされておりましたが、無論女子も含まれての
實業教育、
實業教育に限りませんが、そういう問題も是非落さないように、この意味にも私は參加いたしたいと思
つておるのであります。つきましては今六・三の實施、六・三・三まで將來は義務制として行くんでございますか。そのときの六・三・三と、勤勞大衆の
教育の義務制との將來の
連絡の工合、そんなようなことも含めて
考えて行かなければならんと思いますので、岩間さんの御質問のように
文部省のお考を伺わして頂いたら大變仕合せだと思います。