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説明員(高久甚之助君) 私
お話し申上げたいと存じますことを、お手許に差上げました刷物に認めておきました。就きましてはこれを大體朗讀さして頂きます。所々必要な箇所に、
説明を加えることをお許し願いたいと存じます。初めに
ホテルと
日本旅館との區別、一、宿泊料金統制要綱設定及び統制組合設立の場合の區別、それから註に、「
ホテルトハ室料制ニヨリ料金ヲ定メ原則トシテ左ノ條件ヲ具備スルモノヲ稱ス」一から五までその條件が書いてあります。尚
日本ホテル協會の會員資格というものも御參考にそこに述べました。尚將來の
ホテルと
日本旅館との區別をいたします場合には、これは私の勝手の考でありますけれども、
ホテルの主要目標が外客である。外人の旅客を取扱うことが主である。そういうことを、尚先程申上げました
ホテル料金統制要綱の決りますときの標準とか、
ホテル協會で決めておりますときの標準というものの設備、その他の條件として、
日本旅館との區別をする。こういうようにして行きたいと、こう思うのであります。
一般に
ホテルと、こう申しますと、普通の
日本宿屋も
ホテルという名前がついておりますので、ちよつとその區別がしにくいということがございますが、先年商工省の物價局でここにございますような宿泊料金の統制要綱を決めます場合には、先程申上げましたような條件を土臺にいたしまして、
一般日本旅館のものと區別いたしまして、その後尚統制組合を作ります場合にも同じ標準で區別いたされました。これは
只今この兩方は物價廳が面倒を見ているわけでありますが、そういうふうにして何故區別しなければならんかと申しますのは、次に申上げます區別の理由と書きました。國際
觀光事業發展のため特殊使命を有するからである、こう
考えます。こういう區別をいたしてこれを國家として十分育て上げて行くとか、
保護するとが、十分に
監督するという必要がございまして、
一般日本旅館と區別することが必要であろうと
考えられるのであります。
次に
ホテル事業の
現状でありますが、これは
ホテル宿泊料金統制要綱の適用を受けておりますような
ホテル、こう申しますのは、その中でそれは合計五十三でございます。室の數が三千九百七十八、收容人員が七千三百二十六、こうな
つております。ところがその中進駐軍の接收にな
つておりますものが四十一の
ホテルとそれから室數が三千四百四十六、收容人員が六千二百二十とな
つております。殘りの十二
ホテルだけは自由營業を認めておるのであります。
次に二番に書いてありますが、貿易廳直營
ホテルでありますが、これは今度貿易業者が
日本に參りますに對しまして貿易廳でいろいろな建物を
利用いたしまして作り上げました
ホテルであります。これは貿易廳が直營いたしておりますので區別をいたしまして、それは東京に
二つ、そうしてその室數が百四十九で收容人員が二百九十八であります。名古屋に
一つ、三十九の室、四十一人の收容、それから
京都は
一つで七十一で百四十九、大阪は
一つで五十五の收容人員であります。合計五つで以て三百十四室あ
つて、五百四十三人收容できるというのが
現状であります。これが
ホテルの
現状でございます。將來につきましては四番にございますような主要
ホテル網というものを運輸省の觀光課全
日本觀光聯盟、
日本交通公社及び
日本ホテル協會の
關係者が集りまして、
調査研究をして作りまして、その案の
概要を申上げますと、戰前にありましたのが
ホテルが百十二で收容人員が九千四十二ありましたが、戰後それが數が七十三に減りました。從
つて收容人員が六千七百三十七、これに對しまして新しく加えたり増築をしたりするというものを加えますと百三十五の
ホテル數と一萬六千二百人の收容人員であります。それからそれらを合計いたしまして、將來でき上ります
ホテルを豫想いたしますと、二百八の
ホテル數、それから收容人員が二萬二千九百三十七、こういうわけであります。新増設いたしますものの中緊急に増設をして貰いたいと
考えておりますのが十二であります。收容人員が二千三百ということにな
つております。
尚貿易廳の直營
ホテルとか、それから進駐軍があちらこちらのビルデイングなり或いは
日本旅館を改良いたしまして宿舎に充てております。こういうものは新増設をする場合に
考慮しなければならんところのものであろうと
考えております。以下いろいろな點につきまして私共の希望しておりますことを勝手に述べさせて頂きたいと思うのであります。
五番の資金及び資材につきましては、先ず第一、資金
關係につきましては、低利資金を
考えて頂きたい。これにつきましては金融順位を丙種から甲種に引上げて頂きたい。それから同時に中央金庫のようなものを拵えまして、そこから長期の低利貸付をできるようにして頂きたい。それからその次は
政府又は
地方自治體等で建設して頂きましてその經營を民間に委任して頂くということであります。それからその次に外資の導入であります。外資はこれを入れて、アメリカの
方面の新規な機械を使うとか、或いは經營の能力をも
利用するということをいたしたいと思いますが、この點につきましては成るべく經營自體は
日本の手に殘るようにいたしたい。
日本人が經營
方面から排除されるということでは困るというふうに私は
考えているのであります。それから次に資材
關係でありますが、これは
ホテルの國策的な重要事業ということをお
考え頂きまして、特殊必要な資材につきましては優先配給をお願いいたしたい。
その次は經營上の助成を六番に申上げます。それは
ホテル用品の優先配給、それから資金の融通、それから勞働基準法の除外令制定、公課公租の減免等をして頂きたい。この勞働基準法の除外と申しますのは、そう大きく
考えて申上げているのでありませんが、
ホテル從業員の勤務時間或いは勤務内容というものは
一般の工場その他におきまするものとは大分に異な
つておりますので、その點の
考慮を基準法適用の場合に十分
考えて頂きたいということなのであります。
それから次の主務官廳の決定と申しますのは、この
ホテル事業につきましては、衞生、保安、風紀或いは料金
關係等の謂はば
監督につきましては、それぞれ衞生は
厚生省、保安風紀は内務省即ち警察、それから料金
關係に物價廳というふうにございますが、この事業を助けて立派に育てて行くといういわゆる助長行政につきましては、まだ
監督官廳、主務官廳がないように思われます。就きましてはこれは
ホテルの事業は、廣い意味における交通事業と
考えていいと思われますので、運輸省において助長行政をや
つて頂くようにしたいということを私共は願
つているのであります。實はこの社團法人の
日本ホテル協會は、その主務官廳を運輸省としておりますのであります。これは御參考に附加えて置きます。それから次は
ホテル事業法というのを制定していただきたい。これは
ホテル事業の重要性に鑑みまして、將來の發達を期するために
監督、助長、
保護という途を開いていただきたいと、こう言うのであります。それから最後に
ホテル從業員の養成問題でありますが、
只今現に甚だ微弱でありますけれども、從業員の養成のために行な
つております事業を擧げましたのは、一から八までであります。その中に
富士屋の支配人をや
つておりました故山口正造氏の記念育英資金というのがございまして、立教大學でその資金を以て
ホテル講座を去年十月から始めております。尚
日本キリスト教青年會におきましては、戰前から國際
ホテル學校を設けておりましたが、戰後直ちにそれを再開いたしまして、この九月に再開後の一囘卒業生が出る譯であります。尚その他
富士屋
ホテルとか、帝國
ホテルとか、ニユー・グランドとか、そういう
方面におきましては、或いは自分のところの從業員或いは
日本旅館の子弟など、それぞれ自分の手許で養成して參りましたのであります。帝國
ホテルが
只今各
方面の
ホテルへ支配人を供給し得るのは、全く以前そういう幹部級の從業員養成に力を盡された結果であると私は
考えております。尚從業員を指導して行くためには、いろいろ教養資料というのが必要でありますので、これを整頓いたしますとか、或いはアメリカの有名なウオールドーフ・アストーリヤの主人をしておりますブーマー氏の著わしました
ホテル・マネージメントを飜譯しまして、それをこういう
方面の參考にしようといたしております。かように微力ながら各
方面の
方々が從業員の教育に力を注いでおられますけれども、まだまだこれでは足りませんので、どうか
一つ國家におかれましても、
一つ直接の教育機關を設けられるとか、或いは
關係の學校に適當の補助金を出されまして、アメリカのコーネル大學のように、或いは又スイスの
ホテル實務學校のようなものをお作り下さいまして、強力な
ホテル從業員養成機關を完成していただきたいと思うのであります。尚その外に將來
ホテル事業に従事する青年で有望な者は海外に派遣することも必要でありましようし、又外國から適當な人を招聘いたしまして
日本ホテル事業の指導を頼むことを大事であろうと思います。尚
一般に教育を普及せしめるために、通信教授のようなものも
考えなければならんと思うのであります。以上甚だ
簡單でございますけれども、
現状と、こういうふうにして頂きたいと存じております點を腹藏なく申上げました。失禮いたしました。