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政府委員(山添利作君) 重要
肥料統制法の廃止につきましては、これはもう現在働いておりません
法律でありますので、この
法律を廃止するということは、
肥料の政策に現在何らの影響はないのであります。
肥料の恒久的な考え方としてどういう
事情にな
つておるか、又現在の生産
状況はどうであるかということについて申上げます。
第一の恒久的な点につきましては、これは今後
日本の耕地も開墾計画等によ
つて増加をする、而して從前使
つておりましたところの製品、基準数量は、これは現在
配給しております数量の概ね倍でございますが、それくらいのものを供給するという、長期と申しまするか、計画をいたしております。これは硫安から二百万トン、窒素系の
肥料といたしまして二百万トン、こういう
数字であります。又過燐酸におきましては確か約六十万トンであつたかと思います。そこで戰が終りましてから、これらの工場につきましては固より連合軍の許可を受けなければならないのでありまするので、かような計画を以ちまして、一昨年來連合当局の方といろいろ折衝をいたしてお
つたのであります。硫安における二百万トンの需要ということは承認を得ております。この計画によりまして着々工場の復旧という点に力を注いで参りました。硫安に例を取
つて見ますれば、終戰当時月一万トンが、一万五千トンというような極端な
状況にありましたのが、現在は御
承知のように最近は七万五千トンというくらいまで出し得るということに回復をして参
つたのであります。併しながらまだ工場の復旧乃至補修の中途にございます。これは今まで許可を得ました工場によりましては、硫安並びに石灰窒素におきまして二百万トンを造りますためには、まだ二十五、六万トン足りない。
從つてこの足りない部分についての工場の新設乃至拡張の許可ということを、昨年中随分問題にいたしたのであります。具体的に申しますれば、四日市の工場でありますとか、或いは徳山の硫安工場でありますとか、或いは和歌山における工場でありますとか、数個のものについていろいろ折衝をいたしたのでありまするが、これはまだ承認を得るに至
つておりません。と申しますのは、一方の
肥料を作りますための石炭並びに電力の
状況が、施設が復旧して行きますのに伴
つて、所要なる分を十分に供給することが伴わない、こういう
事情もありまして、
日本側が主張するところの現在の能力ではできないのだということが確実に立証させれない、又一方原材料の
状況ではその
方面を急ぐ必要はないじやないか、こういうようなことからその点におきましてはまあ未解決のままにな
つております。そこで許されたる工場につきまして、これは石灰窒素と硫安とで確か三十四工場であつたと思いまするが、補修をしつつ同時に又生産に力を入れておるわけであります。この補修計画と言いましても、まだ完全にでき上
つたのではございません。更に今後一年以上の日子を要しまして、現在動いておる工場が完全にそのキヤパシテイを発揮するというところまでは参りませんのであります。これの補修につきましては鉄鋼並にセメント等の供給にかか
つておる。併しながらともかく着実に復旧並びに補修が進められておる、こういうわけでございます。それでこの各
肥料につきましての……尚過燐酸の方につきましては、これは御
承知のように工場数は沢山ございます。又補修に努めつつありますのであります。これ亦十分にその能力を発揮するということは制約をされておるという
状況にございます。そこで石灰窒素のこの秋肥についての
需給状況につきましては、お手許に差上げて置きました表にございます
通りに、麦につきまして基準教量四貫、それから
供出を完遂いたしますれば四貫九百匁、約反当五貫になるのでありますが、それを配りまして、
相当数量の繰越しが出る、こういうことにな
つております。これは当り前のことでありまして、
肥料と申しましても、多くのものは水稻に使うのでありまして、どつち道八月から十二月までの間は、
肥料に関する限り不要期でありまして、
相当数量を來期に持越して使うということが当然のことであります。そういう計画を以てや
つておるのであります。ただ差上げました麦の中で、非常に繰越数量が多くな
つておりますことにつきましては、計画数量
通りに生産は必ずしもできていないということが今までの実績でありまして、私共の
配給計画を立てますにつきましては、生産数量の計画に対してはまあ二割近くも内輪に見積るということを常といたしております。そういう
関係、並びに
需給計画におきまして、
輸入の方は未定といいますか、エックスでありますから、この秋の
配給計画を立てます時に考えていないというようなことからいたしまして、
相当の繰越しを生ずる、それだけ秋肥の
配給につきましては、適期に
配給できるというように相成るわけであります。來年の水稻についての考え方は、反当り五貫目は下らないという考え方をいたしております、基準といたしましては反当り五貫目を
配給する、而して超過
供出等に対しては、一俵に対して二貫目の
肥料をこの秋の
供出に対しては適用する、そういう考えでございます。かように
肥料につきましては成る程復旧
事業につきましては、
相当程度に復旧も見ておりまして、長い計画としては問題を残しつつも、当面の問題といたしましては、ともかく概ね順調であるということが言えると思うのであります。ただこれに要するところのもの、生産を制約するところのものは硫酸でありまして、
只今仰せになりました過
燐酸石灰は石が五、六十万トンも積んであるのに拘わらず、予期のごとくできないということは、このハイライトの生産並びに運送量にかか
つておるのであります。この硫化鉱は御
承知のように東北の岩手、でありまするか、棚原、中國の松尾の両工場を中心といたしまして、その外十幾つの小鉱山がございますが、その生産が百万トンということでありまして、山元にございまする十万トンを合せて、本年の供給百十万トンということを目標にいたしまして、
食糧の加配、或いは労務者に対する住宅建設というような特別施設をこの春以來や
つております。又最近におきましても、この増産
対策について、特別の施設をいたすということについて、閣議の
決定を経て
努力をいたしておるのでありまするが、この硫化鉱が必ずしも計画のごとく参らない、又需要は多いのでありまするが、これを急に殖やすということに非常に困難性がある。
從つてこの硫酸は御
承知のように、今人造絹糸その他の化学工業に使いまするけれども、
肥料で使
つておりますのが大部分であります。この硫化鉱から作りますところの硫酸を過
燐酸石灰とそれから硫安とにいかに按配して分けるかどうか、これはリミツティクグ・フアクターにな
つておるわけであります。その硫化鉱の配分によ
つて、この
肥料についての生産計画もできておるわけであります。この硫安につきまして、四十三万五千トン、或いは過燐酸につきまして三十八万三千トン、これは計画でございますけれども、これはそれぞれ両方の
肥料の重要度割合というものを見まして、このハイライトを配分いたす。これが目途にな
つておるというのであります。同時に今後の問題といたしまして、何と言
つても輸出産業を急に振興しなければならん。そのために要するところの石炭電力、こういう問題がございます。特に冬等になりますれば、渇水期になりますると、電力の問題等が起
つて來るわけであります。
從つてそういう面からも
肥料殊に硫安等についての生産は必ずしも樂観はいたしておらないのでありまして、これを計画
通りに生産を上げて行くということにつきましては、絶えざる
努力を必要とするものと考えております。併しながら反当來年の稻作について五貫が欠けるということはございません。それは多分
確保いたすつもりであります。尚燐鉱石の問題でありますが、今どこにあるかというのは、後に調べて申上げたいと思いますが、各工場における倉庫も一杯であるし、場所によ
つては野積みとしてあるという
状況であります。それではなぜそういうふうに消化ができないかと申しますと、先程申しますような、これは硫化鉱の不足ということが主たる原因である。そこに制約を受けておる。そこで新らしい
肥料といいましても、これは急にそういうものができるわけでもない。或いは液体の形にしたものであるとかいうようなものも、少しは研究もし、や
つておりますけれども、これはまあ論ずるに足りないのであります。それでは石を粉末にして、ともかく燐鉱石のままを非常に微粉にいたしまして
配給したらどうかということも研究されておるわけであります。併し今までの考え方といたしましては、氣候の点からいたしまして
程度が非常に低いわけでありまして、まあ三割以下であろうということにな
つておりますので、これも考えなければならないものだというようなふうに考えておるわけであります。さようなわけでありまして、これは石炭、電力というようなことにつきまして、從來とも非常に重点的に
肥料が取扱われておりますし、今後とも優先的に取扱われるのでございますが、これが一般の輸出産業その他に対する
関係上制約を受けるということの外に、最も大きな問題として、この硫化鉱の増産並びに増送ということに努めなければならない。そこを打開いたさなければなりません。これが硫安並びに加
燐酸石灰両方合せたものについての一つの枠にな
つておる。こういう
事情にな
つておるわけであります。