○木檜三四郎君 今同僚から、大變緊要だから直ぐ即決するようにという御意見でありますが、私はこの案に對しては非常に疑いを持
つておるので、從來こういうものに對しては、そうさまでの規定はなかつた。
農家のや
つておりますのは、從來信用ある種屋さんは、
農家は私的ですから、よい種を作ればそこへ買に行く、よい苗を作ればそこへ買いに行くという、保守的です。そうですから、いわゆるその人の信用を重んじてや
つて來ておる慣習上、政府はこういうようなものにまで干渉して、こんな
法律案を出すということに私は疑いを持
つておる。新憲法
實施の今日においては、こういうものにまで政府が干渉するということはどうかと私は思う。從來信用を以て立つお互い、民間
業者は尚更であります。政府は今まで監督はないかというと、園藝試驗場であるとか、縣においては
農事試驗場というようなものがありまして、相當に範を示しておる。今日は
農業上についても相當の改良もしよう、増産もしようというので、
農家自體が自覺しておる。そうでありますから、その縣においてはその縣の試驗場へ行
つて見學までも
農家の青年はや
つておる時代であります。政府はわざわざこういう
法案を拵えて、手數をかけて、二千四百
萬圓の金をかけてやるというようなことは、今日の時代においては時代錯誤だと思います。まだ同僚には諮りませんが、私個人としては、かかる案を出すことについてはどうかと、こう私は思
つております。私はちつともこんな問題は緊急でも何でもない、今までさえもや
つておらん、政府には政府として、いわゆる模範農場とか、模範試驗場を置いて範を示しておる。斯道の熱心家はそこへ見學にも行
つております。そうだから、この點は餘程
考えなければならないと思う。何でもかんでも法でばかり色々指導するというような形は、今日民主主義國家にと
つては餘程
考えなければならんと、こう
考えております。意見だけ
ちよつと申上げて置きます。