○島村軍次君 午前中に
開拓の根本問題について質問が出ましたのに對して、
大臣は、
資金面については、つまり増額については
研究中という
お話があ
つたのですが、現に
開拓者は、このインフレ下ではもう明日の
生活をどうするか、今年の冬をどうして凌くかということが問題だと思うのです。現に私の縣あたりでも、そういうことを實際に痛切に要求をいたしておりますので、この點に對しては本日御
提案の
開拓者の金融
資金融通法の一部を
改正するというような
程度では實際間に合わんのじやないかと思うのです。そこで根本的の問題といたしまして、
融通法のありまするのと別途に、
國家がこの
資金に對して
地方で支出せしめて、例えば銀行であるとか、或いは
農業會であるとか、金融機關をして
融通せしめて、それに對する補償を臨時の措置として採
つて貰うことが私は一番手つ取り早いじやないかと思うのであります。一面においては
開拓資金融通法があり、他面において補償するということに對しては、餘程考究の餘地があるというような見解を採られるかと思いますけれども、これは實際今の
程度では焼石に水であ
つて、本當に
國家目的というものは達成せられないと、こう思うのであります。これに對して先のような
研究中では、私はなかなかどうも農家は、或いは
開拓者は納得せんと思うのでありますが、これに對して
大臣の一つお
考えを承
つて見たいと思います。
それから
開拓の根本問題でありますが、これは先程座談にも出ておりましたようでありますが、百五十萬町歩というものをやるという
政府の計畫は御尤もでありますが、併し
事實というものはそう進まん。その
理由はいろいろあると思うのですが、先ず
差當り今の
資金問題を解決することと、それから第二には、
開拓地における供出問題を法文化して、當分、税金の免除を何年間やるというふうに、税法と同じように、供出に對する免除を何年間行うということを……十分お聽きを願いたいと思うのです。
大臣が密談されてお
つたのでは私の
趣旨がよく徹底せんと思います。供出問題に對して法制化して、當分の間、何年間かは免除するというようなことを、通牒でなくして、はつきり法文化するか、或いは何らの
方法ではつきりした意思表示をされることが、私は必要じやないかと思う。
地方によりますというと、や
つておる所もやらん所もあるというようなことで、まちまちにな
つておるようなことが一層この
開拓に對する熱意を薄らいでおるというようなことが窺われておるのです。これに對する御意見を伺いたい。
それから今一つは
肥料の問題だと思うのでありますが、
肥料の問題につきましては、窒素
肥料は勿論のことでありますが、
開拓地は御案内の
通りに、酸性土壤でありまして、一番必要なものは石灰であると思うのであります。この石灰に對しては、
農林省内で、或いは又
政府自身の間で、増産に對する熱意が私は不足しておるのではないかと思う。一般論になりまするが、今日の
肥料問題の増産を期する上には、自給
肥料と共に石灰問題は全部に通じて大きな問題だと思うのでありますが、
政府自からが増産に對する根本的對策を採られるか或いは石炭増産のごとく、もつと大きく取上げて、そうして或
程度の
國家管理を以て石灰の増産を圖るということが必要だと思うのでありますが、こういう問題に對して積極的にどうお
考えになるかということについて
大臣の御意見を聽きたいと思う。
それから尚
開拓に對しては午前中からいろいろ議論は出ておりまするが、大きな問題はなんとい
つても
營農問題であります。而して
營農問題の
中心をなすものは、採草地と薪炭林及び放牧地の問題であると思うのであります。承るところによりまするというと、大體の標準を決めて
農林省は枠を定めておられます。これは
地方的に
考えますというと、私はこれは大きな誤まりであると思う。例えば私の縣の蒜山原野における例から申しますれば、一段歩當普通は薪炭林とそれから採草地を合せて五畝歩
程度であればよいというふうな見解を持
つておる方もあるし、又そういうふうな
考え方で進んでおられるようでありまするが、併し
地方的に土質の點から言い、或いは
從來の既存の
農業者の慣習といい、或いは又
肥料の點から
考えまして、一段歩に對して二段歩を要するというのが普通の例なのであります。ところが
農林省内におきましては、こういう問題に對しては
關係の他の局との間の連絡が十分に取れていない。この一例は、これは採草地でありますが、薪炭林においても同様であります。薪炭林は、一段歩に對して一段歩を要するというのが普通の例であります。然るに採草地と薪炭林を合せて五畝歩でよいというような見解を基に一般が奬勵をし、その枠内でや
つておるというような幣が多分にあると思うのであります。これはもつと進んで私は他の局との連絡を十分にして國策をはつきりと定める。そうして而もその國策は單なる枠に嵌めるということでなくして、
地方的に餘程この問題を納得のいくような
方法を取られることが必要だと思うのであります。
今一つは放牧の問題であります。私の縣の蒜山原野におきましては、牛を一戸平均一頭半ぐらい持
つております。千戸ありますれば、千五百頭の牛を持
つておるわけであります。そういうところへ持
つて行
つて、畜産の
技術なり知識がなくして一律に
開墾の枠へ嵌めて、そうして放牧地を限定するというような幣が今日非常に多いのであります。これらに對する根本的な對策は、
農林省内自身でもつと横の連絡を取
つてやられんというと思わん摩擦を起す。こういうことにな
つておる事例があるのでありますが、こういう問題に對する御意見を聽きたいと思うのであります。
尚先般參議院の有志のものが長野及び山梨の
開拓地を見ましたときに、その地元の御意見を承
つて見まするというと、今申し上げたような問題は實に痛切に感じ、そうしてこれが今日の
開拓の計畫の進まん大きな阻みにな
つておる、そういうことを裏書きするものが非常に多いと思うのであります。
尚もう一つの重要な問題は、地元の間との納得の
程度が十分い
つておらんということであります、私の縣の蒜山原野におきましては、終戰後お立てになりました
開拓の五ヶ年計畫を無理やりに押し通そうというような
政府のお
考えといいますか、
地方にもそういう
考えを以て割
付けをして、これを強行しようというような幣がありましたので、未だに了解がい
つておりません。先般農地部長にもお目にかか
つて見ますというと、農地部長はとにかく不承不承ながら納得しておるというように
考えられておりますが、地元の村長及び有志は、全然これは押しつけであ
つて、それには應じられんということを我々に訴えております。そのために
農林省、衆參兩院に對して
請願書が出ております。
請願書の
内容が二つありますが、その一つは、陸軍用地を取り上げた、その取り上げる時の約束に反する。即ち
地方の採草地なり、或いは稻作地なり、畑地なりを取り上げた、若しこれが陸軍用地が不要に歸した場合には地元に返すという契約をしておる。然るにその契約を無視して、
大藏省の財務局とそうして縣の方とが斡旋をして、
農林省へ移管をする。その移管をする場合に、その
條件を無視して地元には返さん、こういうような傾向が多分にあるようであります。蒜山原野は五千町歩の
開墾見込に對していろいろ折衝の結果、千百町歩を
農林省としては御計畫にな
つておるようでありますが、この千百町歩に縮小したものにおいても尚且地元は
承知相成らんということを言
つております。これは契約不履行の問題と、それからもう一つは薪炭、採草、放牧等の
關係から、これだけの既在の
營農を脅やかす問題に對しては絶對に承服することはできないと、こういうことを言
つておるのであります。これは一つの例でありますが、いずれの
地方におきましても、今日の經濟不安の場合、インフレの昂進下におきまして、みずからの
營農を確保するというような熱意が非常に高いところへ持
つて行
つて、押しつけにやられるということが今尚行われておるということは、甚だ遺憾とするところでありますが、もつと
農林省は
地方の
實情に對してこれらの問題をスムースに解決されるところの必要を私は痛感する。これらに對する御意見を併せて承
つて見たいと思います。尚
大臣の答辯は抽象的な御答辯が多いようでありますから、若し答辯によ
つては再質問をいたしますから、お願いいたします。