○
説明員(森田義衞君) 実は只今第三四半期の鉄道の貨物の輸送の
計画を今組んでございますが、当初実は予定しておりました
計画を、遺憾ながら先程來の水害の
ために変更をせざるを得ないとい
つた事情にな
つておりまして、新らしく今変更されました
計画は、只今
関係機関と協議中でありまして、それが決まりませんとはつきりした
数字は申上げかねるのでありますが、一應これまでの
木炭と薪の
関係から数量的に申上げて見ますると、十月これは全國的でございまするが、輸送の要請として私共に中央機関から出して頂きました
木炭の総量は十三万五千百トン、それに対しまして現地で私の方の現場機関が調査いたしましたものは大体同量でありまして、それに対して輸送力の
配当の割当は十万八千四百トン、輸送の割合にいたしまして八一%とい
つた計画にな
つております。これを大体局別に見て見ますると、北海道の
関係で以て一部抑制がある、仙台局の
関係において抑制がある、新潟の局に抑制があるとい
つたような
事情であります。他の局におきましては輸送の要請量につきましては全面的に受けておるというような恰好にな
つております。
それから薪の
関係から見ますると、全國を通じましての輸送の要請は二十二万五千三百トンというふうな要請がございまするが、現地ではこれを一般の
政府買上薪以外に、そだ薪でございまするとか、なた薪とい
つたような現実の出荷もあるようでありまして、こうい
つたものを合せますと三十二万トン
程度実際の要請があるとい
つたような姿に現場機関の調査ではな
つております。但し中央の要請でありますから、
政府買上薪でありますから、二十二万五千トン、それに対して幾らかそだ薪
程度を入れましたこちらの
計画が約二十五万トン
程度であります。でありますから、中央
計画に対しましては上廻
つておるのでありまするが、そだ薪その他を入れます輸送の要請に対しましては七七%とい
つたような
状況にな
つております。これを地方的に見て見ますると、やはり非常に輸送の困難でありまする仙台局の
関係がうまく行
つてない。それから新潟の局もうまく行
つてないとい
つたような
状況で、他の局におきましては、大体におきまして輸送の
関係から見ますと、ほぼ
需要に対しまして受け入れられるような
状況下にあるわけであります。幾分か減
つておるところがあるわけでありますが、こうい
つたことで一應の十月の
計画は組んであるのでありますが、遺憾ながら九月以來の水害、その後の
実績を見て見ますると、
木炭におきましては特に
東京地方におきましては、東北
関係に依存しておるものが大部分でありまする
関係から、到着は零というのもございますし、薪におきましても千数百トンずつ毎日着いておりましたものが、それの何分の一に過ぎない百トンとか百五十トンというような
程度にな
つておりまして、どうしても常磐線の開通、東北線の開通、又上越線の開通というような三つの力が兼ね備わ
つて参りませんと、十分なる輸送力をあらゆる物資に対して
配当するわけには行かない、幸にいたしまして常磐線は昨日を以て開通いたしたのでありますが、まだ一部の区間が單線でございまして、十二分なる輸送力が今のところついていない、それ以外の輸送力といたしましては、上越線にいたしましても、又東北線にいたしましても、貨車にいたしても一日約六百輛
程度の輸送力がございます。これがまだ通じておりませんので、非常な障碍にな
つておるわけであります。東北線の対策といたしましては、現在熊谷から秩父鉄道、東武鉄道を通しまして佐野へ出て、それから東北線の小山を通じまして、どうやら迂囘ルートがあるわけでありまして、これによりまして只今のところ約二百輛
程度の貨車を予想しておりまするが、主たるものは小麦を精麦する
ために製粉工場へ行く玄麦でありますとか、或いはその製品を持
つて來る、或いは
進駐軍の古間木の工事の
関係で急いでおりまする砂利を、この区間を通しまして一個列車持
つて行くというような特定の輸送、それ以外には、これまで溜ま
つておりまする貨車を捌く
ためにこの輸送力を使
つておるので、新らしく外の物資を受託して運ぶというような段階にまで至
つておりません。それから上越線の開通の
見込でございますが、只今のところでは、遺憾ながら十一月中旬
程度になるのではないかというように
想定をされておりますので、これの迂囘輸送力といたしましては、信越線を使
つておりますが、信越線は御
承知のような山線区でありまして、輸送力をいかに附けましても、一個列車で僅かに十五輛しか附かない。只今のところ、三個列車を以ちまして四十五輛
程度の増強をや
つておりますが、元々百輛そこそこの輸送力のところへは燒石に水であります。更に今後出荷を予想されて現に出て参
つております北陸の早場米、或いは新潟の早場米というものは、上越線がないと信越線を通らなければならないというわけで、新潟の分だけでも七十五輛ございますが、これも通すわけに行かないというので、特に信越線には五個列車
程度増強して、この米だけ運ぼう、但し北陸
関係の富山縣或いは石川縣の米は、到底信越線が廻せないということで、只今のところでは、東海道をぐるつと北陸を廻しまして
東京へ持
つて來るというような迂囘輸送をや
つております。こういうような特に食糧
事情の窮迫しておりまする
関係から、絶対に輸送しなければならん米とい
つたものがあるような
状況でございまして、只今のところ、長野管内或いは新潟その他から出て参りまする
木炭或いは薪まで手が付いておらないというような
状況であり、又常磐線が開通いたしましたが、只今のところではフルの輸送力を……やはり常磐線も一日六百輛
程度の輸送力を持
つておりますが、これもフルに動いておりません。只今のところでは、
石炭が相当溜
つておりますので、これを急速に捌かなければならんというような
事情があるわけでありますが、とにかくその見通しが付き次第、特に
薪炭列車を起して特に捌きたいというような
計画を持
つております。從前は特に
薪炭関係で
東京なり或いは
横濱地帶が依存しております地帶は、特に岩手縣、福島縣でありまして、昨年度の、これは全部の数量でありませんで、一部の調でございますが、傾向的にはそういうことが言えるかと思いますが、福島縣だけでも
木炭なり或いは薪の約五割を京濱地帶に
供給をしておるというような
状況にな
つております。それから福島縣
関係がそれに続いておるとい
つたことで、どうしても東北線に
東京の
薪炭は依存せざるを得ないというような
状況下にあるわけであります。從いまして從前通りの
薪炭列車とい
つたようなものを岩手縣から出しておりまして、八月から九月へと続いてお
つたのであります。ところが八月の下旬頃から向うの出荷力が弱
つて参りまして、
薪炭だけでも十分積るないとい
つたような
状況に一時
なつたこともございます。その
ためにこの他の亞炭なども一部やるとい
つた状況に
なつたわけでありまするが、最近もこうい
つた水害の後でございまするから、蓄積も相当できたのではないか、他面成るべく早く東北本線のものが來るように、常磐線にでもその他の列車に割当を考慮して、
木炭或いは薪を捌いて参りたい。それと同時に福島縣
関係におきましても、會津その他に最近山積しておるわけでありますが、これに対しましても、特別に貨車を集中いたしまして、これは臨時列車というふうになりますが、又そこまで量がございませんければ、或いは貨車を二十輛、特別にこの
ための配車するとい
つたような方策を講じて、特にこうい
つた地帶の
薪炭その他を捌いて参りたい。それから
東京附近、例えば茨城縣、或いは群馬縣地帶にも、水郡線その他に滯荷はあるわけでありまするが、これらは臨時列車を以てやる
程度には量は余りないのではないかと思います。これは適宜溜
つたところで貨車を特別に注入して持
つて來る
程度で、十分賄える数量じやないかと想像しております。こうい
つたところで、一應今後の冬に備えまする
薪炭事情が非常の状態になるだろうということは、私共過般來の水害後の
薪炭その他の到着
状況から行きましても、特に
東京の備蓄が当然水害の
ために吐き出されてしま
つたということで、惨澹たる姿が予想されるわけでありまして、十分各方面と
連絡をいたしまして、今後手を打
つて参りたいと考えておるのでありまするが、ともかくそうい
つた輸送の配車につきましても、遺憾ながら仙台局につきましての輸送を申上げて見ますると、古間木の
関係におきまして、大飛行場の建設が先般來ずつと行われてお
つたのでありますが、特に八月以來輸送力が仙台局では落ちている。私共の規定からいたしますと、只今仙台局に相当余分の貨車をこの
ために入れているのでありまするが、一應二千輛
程度毎日使わなければならない。併し仙台局ではそうは行きませんので、一日千八百輛に配車を落したのであります。更に特に軍の貨車が滯留いたしておりますので、僅かに千二百、三百輛しかできない。そうすると軍の
使用車を優先的に取
つて置かなければならんので、飛行場建設の方に絶対に重点を置いて物資を取るといたしますと、重要物資間の競合を來しまして、亞炭さえも十分には送れない。
從つて薪炭も或る
程度査定を蒙むる。そのことが先程申しましたように、極力十月やろうと思
つても、仙台なり新潟におきまして、物資間の競合によ
つてフルに輸送力が
配当できないとい
つたような
状況であります。そうなると、どうしても絶対だといえば、
薪炭その他木材を更に切ります。現在木材におきましては、仙台局においはい五〇%も送
つておりません。約三〇%
程度しか送
つておりません。その内容は坑木であるとか、或いはパルプ原木であるとか、その他重要用途の木材だけで、一般用材は殆んど送れないといたつような
状況で、そう簡單に木材を切るわけに行かないという見解から、その間の物資の調整をいたしました結果、
薪炭でも遺憾ながら抑えられているような
状況にな
つているわけであります。でありますから一般的には輸送力を更にもう少し付けなければどうにもならないのだとい
つたような
関係が、仙台局なり或いは新潟局方面におきまして言われるわけでありますが、遺憾ながら、鉄道の輸送力を十月に非常な最大
限度に
見込みまして決めました
計画も、一千万トンを六十万トン超える
程度の決画をや
つたわけではありますが、輸送の
計画は千五百
程度全國にございます。全体をならしますと七割
程度しか送れないというような
状況にな
つておるのでありまして、一般物資に至
つては、特にこうい
つた木炭であるとか、或いは重要品目と名のつかない物は僅かに九%しか送れないという状態で、時期によ
つて重要物資に重点的に配分はいたしておりますが、それが更に水害によりまして、仙台なり新潟なり上越線、東北線に脅かされておるとい
つたような
関係からいたしまして、そう急に輸送力は使い得ないような
状況下にあるということをお含み置きを願いたい。ともかくあらゆる物資間はときによりまして重要の観点が違
つて参ると思うのでありまして、
薪炭が特に冬期に面して重要なら、他の物資を強度に規正をやらなければならんことがありますれば、私共はそれに
從つて輸送力を付けて行くようにしたい、一應当局の
計画はそうい
つたものでありまして、特に水害
関係によ
つて甚だしい影響があるのだ、その
ために只今の
状況では
東京地帶の要請に対して六〇%
程度しか入
つて來ないのではないかとい
つたようなことにな
つております。その他の
地区におきましても、ある
程度の輸送量の要請に対して應じ得る量は可なり減
つて行くのではないかということを考えるのでありますが、以上綜合的な観点から策定して参りますれば、いかなる他の物資にも優るような手配をや
つて参りたい。それからもう
一つ申上げることは、札幌鉄道局管内に相当
東京都向けの
木炭があるわけでありまするが、これは直送では輸送できないのでありますが、最近は相当余裕があると考えておるのであります。それに対してはやはり
東京都向けの木材などに十二分の輸送が行
つていないのでありますが、それに釧路港向けその他に重点を注ぎまして、今急には岩手の
木炭なり薪が入りません時期でありますから、特に重点を注いでこれに馬力をかけて
東京都向けのものを確保するように手配をいたしております。
以上申上げたような
事情で、甚だ十二分の輸送力が
配当されていないのでありまするが、只今のような
事情があるということを御
了解願いたいと思います。