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説明員(山崎久一君) 日本發
送電の給電の方をや
つております山崎と申します。
只今今年の冬の
電力事情の
見通しについて話をせよとのお話でございましたのですが、先程經濟
安定本部からの御
説明がありました通り、本年の
需給につきましては、
供給力に應じまして、
需要の方を豫め
割當をして行くという形に相な
つておりますので、
需給の一應のバランスは政府の方でお取りになるということに相成
つておるわけであります。ただそれにつきまして、それでは一體この
需給のバランスが果して昨年度とどういうふうに變わるだろうかというような點を掻いつまんで御
説明しますというと、御納得が行くのではないかと思いますが、つまり
需要の方におきましては、自然に放
つて置きましたならば、恐らく昨年度の或いは一割増産
程度になるのではないかと想豫いたされますが、
供給力の方が抑えられておりますので、
供給力の方から行きますと、結局そういう
需要に對してどの
程度の
制限になるかという見當をつけることに相成るかと思います。それで御參考までに私の方で昨年度の最
渇水期におきまして、二月の一番
渇水いたしました當時に、當時
推定されました
需要に對しまして、どの
程度の
制限率に相な
つておるかと申しますと、想定されました
需要は四百四十七
萬キロワツト、全國で四百四十七
萬キロワツトでございましたが、これに對しまして
供給力はどうかと申しますと、
水力發電におきまして、二百七十五萬六千
キロワツト、それから
火力發電におきまして、三十一萬七千
キロワツトで、その想定
需要に對しますところの不足が、百三十九萬七千
キロワツトでありまして、これが不足の割合で申しますと、三一%に相成
つております。そこで今年度の
渇水期には一體
供給力がどうなるであろうかという點について御
説明をいたしますと、大體
水力におきましては、前年よりも増加いたしますものは、現在工事に著手いたしておりますものは、
關係筋の方からの話によりまして一應保留に相成
つておりますが、
只今既設の
水力發電所におきまして、この戰爭中の酷使によりまして非常に能率低下いたしておりますもの、その他故障をや
つておるというようなものを極力
復舊に努力いたしまして、大體本年の
渇水期までにはその分が、約
渇水期の
出力にいたしまして五萬九千
キロワツトを
復舊する
見込みで
只今極力工事を進めております。それからその外に水路の附近に流れておりますところの渓流から臨時に取入れ等によりまして既設
發電所の
出力増加工事を可及的速かに完成いたしますことによりまして、この増加が冬期
出力といたしまして八千
キロワツトございます、これは現在のところ昨年度に比べまして増加するであろうところの
見込みのものは大體
合計六萬七千
キロワツトになりますが、この
程度のものを考慮いたしておるわけであります。ところが最近の颱風の事故によりまして、
關東方面で相當の
被害がございまして、その分の中大部分はこの
渇水期までに
復舊いたす
豫定でございますが、中に若干殘るだろうと思います。その分がどの
程度になるものかは現在のところ
推定が、情報が集ま
つておりませんので、
推定いたし兼ねますのですが、若干はこの分がマイナスになる勘定に相成ります。それから
火力發電所につきましては、現在は戰災によりまして壊れましたところの最も優秀な
發電所三ヶ所、これの
復舊に努力いたしまして、その外尚既設の
火力發電所の補修に努めまして、この分は大體昨年に比べまして約二十八
萬キロワツトを増加いたす勘定でございます。
火力發電所につきましては、
只今のような設備上増加いたしますが、政府の
石炭の割合數量が、本年度におきましては一應百七十五萬トンというふうに定められまして、その後下期につきましては、相當
程度の増量を内示されておりますから、その分を考慮いたしますと、大體昨年度よりも、これは極く
概略の
數字で後程訂正になるかも分りませんが、大體二十
萬キロワツトくらいのものが増加いたしまして、約五十
萬キロワツトくらいが
火力發電としては
發電できるのではないかというふうに考えております。そうしますと、先程申上げました昨年度の不足
電力、
水力につきましてはプラスの面が六万七千キロに對しまして、
火力發電所が約二十
萬キロ、ところがこれに對して
水害による減退などがありまして、
水力の方が打ち消されるといたしますと、昨年度よりも全體の
出力として、大雜把の見當で二十
萬キロくらい増加いたすことに相成るかと存じます。ところが一方
需要におきましては、昨年四百四十七
萬キロワツトのものが、假りに一割増加いたすというような考え方をいたしますというと、四十四五
萬キロワツトの増加分に相成りますので、その増加合を賄うだけ
出力の方は増加いたしませんから、
制限率にいたしますと、むしろ昨年度よりも若干きつくなるのではないかというふうに考えられます。
それからもう
一つ、今度の
割當制の件につきましては、
割當制の原則竝びにその方法については非常に結構であります。ただ問題は、これが運用にあるのでございまして、先程經濟
安定本部の方からもお話ございました通り、
水力は非常に變動いたしますので、これが五ヶ年
平均の
水力によ
つて一應
豫定を立てて置きましても、最
渇水期におきましては、その
數字の上、下、年によ
つては最大二割くらいまで變動が、あるわけでありますから、この變動の場合に如何なる運用をやるかというような問題がまだまだ問題として残るのじやないかと思います。
それからもう
一つは、
石炭の問題ですが、これも
豐水期におきましては、比較的順調に
割當に對する入炭ができておりますが、下期におきましては、それが一般の
需給面の窮屈なるのと併行いたしまして、
石炭の入手が困難になるというような事態が豫想、懸念いたされますので、この點が問題の、相當
需給の均衝を左右するポイントになるのではないかと考えております。一應その
程度で
説明を打切らして頂きます。