○
政府委員(村上好君) 第二章
業務に関する通則であります。これは
郵便貯金に関する共通的な事項を第二章において定めてございます。
第
七條は
郵便貯金の種類はいかなるものであるかということを示しております。種類は第一に通常
郵便貯金、これは一番我々が
利用とております貯金で、預入及び拂戻しについて特別の條件を附けないもの、これが第一であります。第二は据置
郵便貯金、これは一定の据置期間を定めて、それ以外には預入及び拂戻しについては特別の條件を附けないもの、実はこの第
七條は別に
現行法と変つたところはございません。積立
郵便貯金は一定の据置期間を定めて、一定の
金額をその期間内毎月一回集金に應じて預入するもの、第四は定額
郵便貯金、一定の据置期間を定めて、分割拂戻しをしない條件で一定の
金額を一時に預入するもの、第五番目は特別据置
郵便貯金、一定の据置期間を定め、この
法律の定めるところにより発行する
郵便貯金
切手を以て預入するもの、それで
現行法ではこの二、三、四、五、これに特別な名称を附けておりませんでしたが、新法ではこの二以下は特別
郵便貯金という名称を附けて、以下この
法律ではこの名称に
從つて呼んでおります。
それから第
八條は團体
取扱、これも大体
現行法と同一でございます。この團体
取扱は、
通信官署は
省令の定める簡易な手続によ
つて郵便貯金の團体
取扱をする。この
取扱い方はいずれ又
省令を以て詳しく
規定する必要があると存じます。それから
郵便貯金の團体
取扱については、官公署、学校、会社、工場その他の事業場に属するものが團体を組織して、その團体の代表者の名義で、又は取纏め人を通じて、各別の名義で、通常
郵便貯金又は据置
郵便貯金をすることができるものとする。新法が
現行法と変りますのは、この「学校、会社、工場その他事業場」とありますが、「工場その他の事業場」を
現行法では「其ノ他ノ團体」という名称で言
つております。その点が違うだけでございます。それからこれは
省令の問題になりますが、
省令で決めますときには、これは團体
取扱は届出主義ということにするつもりであります。
現行法は認可主義の形を採
つております。それは團体貯金は書類を提出してその承認を受くべしとありますが、これは別に認可主義を採らなくともよろしい存じます。
第九條、これも
現行法と殆んど変りはございません。「(証券購入、保管及び賣却)
通信官署は、通常
郵便貯金又は据置
郵便貯金の預金者の請求に困り、左の
取扱いをする。一、貯金の一部で國債証券、その他の証券を購入保管し、又はこれを賣却すること。」これは
現行法にもございます。二は、「預金者の所有する國債証券その他の証券を保管し、又これを賣却すること。」これは
現行の
省令でこれを定めております。從いまして
現行法と第九條は変りございません。
第十條、貯金総額の制限であります。「貯金総額は、一の預金者につき三万円を超えてはならない。但し左に掲げる法人又は團体についてはこの限りでない。」ここに、一、二、三、四、五とずつと「左に掲げる法人又は團体については」と示してありますが、この第十條は
現行法と少し異
つております。異
つておる点は、
現行法ではもつと廣い範囲に例外を設けておりましたが、今回はこの範囲を多少狹めたのであります。それは、
現行法では、
現行法の第四條に「左ニ掲ケル預入金ニ付テハ前條第一項第二号ノ制限ヲ
適用セス、一、
公共團体、社寺、学校又ハ営利ヲ目的トセサル法人若ハ團体ノ預入金」、この営利を目的とせざる法人又は團体の預入金、この営利を目的させざるという、これが非常に漠然として範囲が廣い、これを挙げて逓信大臣の認定に委すことは、これは民主的でないという立場をとつたのであります。総じて申上げますれば、
民法で定めておりまする公益法人が
現行法の営利を目的とせざる法人に該当するのでありまするが、今回は公益法人は全部この三万円に対する例外として扱わないことにいたしたのであります。それは公益法人の中にもいろいろあ
つて、必ずしも
郵便貯金の特点を與える必要がない。この特点と申しますと、三万円以上を預けてもその利子に対しては所得税を課せられないという非常に大きな特点がございます。これらの点で結局制限をする。制限をすると同時に、然らばこれを成るぼく列挙して、列挙主義を採るという建前をとりまして、列挙主義を採
つて非常に項目が殖えたのであります。
それで第十條の例外については、一は地方
公共團体、これは当然
公共團体でありますから該当して差支えないと思います。二は水利組合、水利組合連合、北海道土功組合、耕地整理組合及び耕地整理組合連合会、これは、これらの法人組合は所得税を免除されておる組合法人であり、特別法人税を免除されておるのでありまして、これも公共的性質を持
つておるものと見られるのであります。三は國立、公立又は私立の学校及び宗教法人、これが
現行法の社寺、学校と同一
内容でございます。第四番目は労働組合、これが最近の社会情勢に順應いたしまして労働組合をここに挙げたわけでございます。第五は孤兒院及びこれに準ずる慈善團体並びに健康保險組合及びこれに準ずる相互扶助團体で営利を目的としないもの、公益法人の中に含まれるこういつたような孤兒院とか或いは慈善團体健康保險組合、及びこれに準ずる相互扶助團体と申しますと、共済組合等も入るのであります。こういう團体で営利を目的としないものというようなものは三万円以上無制限に預けてよいという
規定にいたしております。それで「前項第五号に掲げる法人又は團体は」、これも逓信大臣の專断で、これを勝手に拡張して指定するこを禁ずるために「
省令でこれを定める」ということにいたしたのであります。
第十
一條は貯金の減額、これも
現行法と変りはございません。貯金の総額が前の十條の
規定三万円の制限を超えたときは、
通信官署はそのことを預金者に通知いたします。それでこの通知があつたときには、預金者は貯金総額を制限額以内、つまり三万円以内に減額しなければならないのであります。その第一項の
規定によ
つて通知を発した日から一ケ月以内に預金者が前項の
規定によ
つて減額しないときは、
通信官署は三万円以内に減額するのに必要な
限度において、その貯金の一部で國債証券を購入保管するという建前であります。三万円以上に
なつた場合には國はこの
規定に基いて、一方的に三万円で打切るために多少の端数は付きます。貯金の一部で三万円以内にするために國債証券を本人の名義で購入し、
逓信省がこれを保管するということに相成
つております。前項の
規定によ
つて購入保管して國債証券については、
逓信官署は預金者の請求によ
つてその賣却を
取扱う。それで
逓信省で保管いたしましたこの証券を貯金者が賣却して呉れ、現金化して呉れというときはそれを直ちに現金化して、その金は現金を以てその預入者にお返しするという
規定でございます。
第十二條にこれは利子及び割増金の
規定であります。これは
現行法では
法律第
八條で「
郵便貯金ノ利子ニ関スル規程ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」、ということにいたしまして、
郵便貯金の利子は一一
法律に挙げない建前を取
つております。併し新憲法ができまして、大臣の一方的な專断を防ぐために、成るべく國民に民主的に議会に掛けるという建前から、
郵便貯金の利子というものを決定して、これを動かすときには議会の承認を得るという建前を取つたのであります。ここに掲げてあります利率は
現行利率と同一でございます。但しここには書いてございませんが、外地の例えば朝鮮、台湾、樺太等で預けた貯金通帳を以て日本で預入しますときは、利子は高いのでありますけれどもこれは
現行法では高いのでありますが、今回の改正
法律では、それは内地と同樣に一本にする、一律にするという建前を取りました。と申しますのは外地の行政権で、外地に都合のいいような利率を定めたのでありますが、最早その必要がなく
なつたのであります。一本にいたしました。
それでは定額
郵便貯金の割増金附の制度につきましては、次回に御
説明申上げることにいたしまして、本日の私の
説明はこれで終ります。