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政府委員(鈴木重郎君) 第一の現在の漁網の生産能力の問題でございますが、これは今
お話もございましたが、その点はいささか事情は相違しておりまして、これは漁網生産能力に非常な不足を來してお
つたのでございます。本年の初め頃から漁網工場の整備を着着と進めて、
資材の優先的
配給或いは漁網織機の増産等に力を注ぎまして最近におきまして漸く必要な設備が整備しつつあるのでございます。尚現在でも日を追いまして建設の途上にあるわけでございます。本年の初め頃に比べますと、現在は約二倍ぐらいの能力にな
つておりますが、尚更にこれをもう少し拡充いたしたい。細かい数字は今持合せてございませんが、その程度に整備いたす予定でございます。固よりこの漁網の中におきましても、比較的重い太目の網は相当余力があるのでございますが、何分にも割当が少い
関係上、比較的軽い細い網を希望される向きがあります。これは生産
方面の能力に制限があ
つたわけでございます。
從つてそういう
方面の織機、蛙股、本目もじりそれぞれの織機を整備いたすことにいたしまして、現在作業を進めております。固よりこれらの漁網生産工場の整備計画につきましては、申すまでもなく
農林当局と十分に御相談いたしまして、いかなる種類の織機を増加すべきか、どういう種類の網を作るべきか、十分な聯絡の上、これらの工場の整備をいたしておるわれでございます。
從つて現在、先程申しました
通り、糸はその能力に対してもう少し増産はできる状態でございますが、この漁網用に振向けらるべき糸、即ちその元である棉につきましては、安定本部を中心といたしまして、司令部から國内用に使用すべき、國内に放出せられるべき輸入棉花の許可を得るわけでございますが、これは御
承知の
通り現在のところ主として輸出に
重点を置いております
関係から、從來は、この第二・四半期迄に、昨年の七月以來に入
つて参りました棉花につきましては國内の紡績し得た数量に対しましては、その二割だけが漸く國内用に放出されておるわけでございます。大体一期に僅かに一万八千梱だけが國内用に放出されておるわけでございまして、あとは輸出用でございます。その一万八千梱の放出の中で、昨年はやや少のうございますが、本年の一月、三月の間から四月六月というようなときに、一期に一万梱ずつ配当を漁網用にされておるわけでございます。相当その点は
重点を置きまして、この漁網用の棉花確保に当
つておるわけでございます。尚更にこれを増加いたしたい。國内用の
國民の衣料の
関係もございますし、或いはタイヤ、コード、或いは電線テープ生産の
資材もございますので、國内の事情からいえば、もつと多くの許可を必要とするのでありますが、いろいろの
関係からこの許可を得ておりません。尚この國内放出の増加につきましては、安定本部或いは
商工省或いは
農林省当局等とも御連絡をいたしまして強く懇請をいたしておるのであります。現状はこういう事情でございます。
從いまして現在の能力を一杯を動かしましても、漸く一期一万梱から一万二、三千梱しか消化できないわけでございまして、実際の需要量から申しますれば、一期二万梱、これは少くとも要るわけでございます。更に現在のところは尚長い間
配給が杜絶しておりまするので、差当りは特に需要が多いのでありまして、少くとも一期二万梱くらい必要である、こういう考えでございます。特に今
農林当局の御要求だけの数字をざつくばらんに申上げますれば、現在では平均して参りますれば二万梱から二万五千梱であります。こういう差当りの需要を充たし得るものとしては、一期四万梱くらいの需要があるわけでございます。それに対しましてはいろいろ原棉の
関係もありまして、今申上げましたような状況でございます。
尚漁期と生産の状況でございますが今申上げましたような状況でありまするので、固より品種別にいかなる網がどういう時期に要るかということにつきましては、これは飽くまでも現在
農林当局の割当にな
つておりまして、先程も申上げた
通り、その割当に
從つて業者の御希望に
從つて注文生産をいたしているわけでありますので、その点は漁期或いは需要者等の
都合によりまして適当に生産をされる。
從つて今後我々の方から漁網工場に原糸を
配給いたしまする場合にも、そういう
農林当局の割当られた切符による注文によ
つて、これを加工生産するということで見込生産、勝手な生産をいたさないようにいたしたいと考えております。
尚先程他の方から御質疑のございましたストツクがあ
つて而も割当があるに拘わらず出荷をしない、この問題は私共としても当然十分監督指導いたしておるのでございますが、今後も今囘施行いたしました新らしい切符制度はそういうことの弊害を全部排除するのを目的といたしておるのであります。
從つて今後におきましては、仮に割当の切符を持ち、而も注文された製品ができておるに拘わらず出荷をしないという場合には、当然法規上の処罸もあるわけでございますし、場合によりましては今後における生産割当の停止と申しますか、そういうふうな手段も場合によ
つては考えておるわけでございまして、今後はこの工場に割当られた数量、生産されておりまする数量というものを極めて明確に公表いたし、それに対して賣惜みができないことになりましたのは、
繊維製品の
配給規則はその点を狙
つて施行いたしたのでありまして、今後も仮に品物があ
つても渡さないということがございましたら、当然法規上の制裁も受けるわけでございますので、この点は一面監督指導と併せまして、これらの法規の嚴格な施行を図りたい、こう考えておる次第でございます。