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1947-08-23 第1回国会 参議院 水産委員会 第6号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○魚の
自由販賣
に關する
陳情
(第百三 十二號) ○
魚價引上げ
に關する
陳情
(第百三十 六號) ○
漁業法竝びに漁業協同組合法
の制定 に關する
陳情
(第百六十七號) ○
漁業用資材
の確保に關する
陳情
(第 百六十八號) ○
資金融通準則
の一部
改正竝びに水産
金庫設置
に關する
陳情
(第百六十九 號) ○
沿岸漁業者用加配米
に關する
陳情
(第百七十一號) ○
機船底曳網漁業取締
に關する
陳情
(第百七十二號) ○
海中沈没物速
時引揚に關する
陳情
(第百七十三號) ○
魚價引上げ竝びに高級魚
の
自由販賣
に關する
陳情
(第百七十四號) ○
漁業用綱索原料マニラ麻
の
輸入懇請
に關する
陳情
(第百七十九號) ○
かつを
、
まぐろ竝びにさめの價格引
上げに關する
陳情
(第百八十一號) ○
漁業權
の
漁業組合共有
に關する
陳情
(第二百四號) ○
大衆向き魚類價格
の
引上げ
その他魚 類の
自由販賣
に關する
陳情
(第二百 五號) ○
漁業用燃油
の
配給
に關する
陳情
(第 二百六號) ○
魚價引上げ
に關する
陳情
(第二百八 號) ○
魚價引上げ
に關する
陳情
(第二百十 二號) ○
實地調査班
の
報告
昭和
二十二年八月二十三日(土曜日) 午前十一時十二分
開會
————————————— 本日の
會議
に付した
事件
○
實地調査班
の
報告
—————————————
木下辰雄
1
○
委員長
(
木下辰雄
君) 只今から
水産委員會
を
開會
します。
漁船建造
の
資材
及び
金融
に關する小
委員會
の
委員長
が互選の結果
加藤常太郎
君が當選いたされました。御
報告
を申上げます。 それから
水産物
の
集出荷竝びに配給制度
の
改善
に關する小
委員會
が先般第一班、第二班に分れて、北と南の方の
實情調査
に行かれました。最近において歸られていろいろ
制度
の
改善
についての御研究をされると思いますが、その前にその
調査
の
實情
について
簡單
に御
報告
願えれば、私共非常に仕合せと思いますが、各
班長
からの大體の御
報告
をお願いいたしたいと思います。第一班の方から
一つ
……。
岩男仁藏
2
○
岩男仁藏
君 今原稿を整理しておりますから……。
木下辰雄
3
○
委員長
(
木下辰雄
君) それでは第二班の
青山班長
。
青山正一
4
○
青山正一
君 そうですか。まあちよつと
簡單
に御
報告
申上げます。 去る四日の本
會議
の席上、
水産物
の
集出荷
及び
配給制度
に關する
調査
のため
議員派遣
の件が決定されましたが、不肖私も
關西
と
九州方面擔當
を命ぜられまして、
田中
、遠山、
三好議員等
七名の驥尾に附しまして、
生産
、集荷、
出荷
、
配給
の全般を通じまして、京都、大阪、神戸、下關、福岡の
各地
につきまして十日間、つぶさに施設なり或いは設備の視察と
關係者
の
忌彈
のない
意見
、
希望等
を一應
調査
いたして参つた次第でございます。で尚進行の形式は
座談會方式
で行いまして、できうる限り
關係者
の
意見開陳
に
便宜
なるごとく進めまして、どの會場におきましても、三時間から四時間以上に亙
つて
この眞の叫びが奈邊にあるかを把握すべく努力いたした積りでおりますが、
北海道方面擔當
のその道の
專門家揃い
とは
比較
にならない素人ばかりのことでございまして、的外れの點も多々あろうと思いますが、その概要を申述べまして
報告
といたします。更に
北海道班
と重複の面をも敢えて省略することなく申上げますが、かかる點こそこの
輿論
の重點が指向されておることと御留意を願いたいと存ずるのであります。大
體項目別
に申上げた方が分り易いと考えますので、以下順を追
つて
報告
いたします。 まず、
統制
の問題から
報告
いたします。
鮮魚
の問題は、これは何囘も申上げております如く、
統制
の枠内に納めることは無理であるが、現在の
情勢
からいたしまして、今俄かに
統制解除
にはならないことを前提といたしまして、話を進めたのでありますが、全面的な
統制
の繼續、強化には
各地
とも相當異論が續出いたしました。即ち
統制
を繼續するものとすれば、
大衆魚
であるところの「さば」とか「あじ」、「いわし」、「いか」、「さんま」「
まぐろ
」「
かつを
」等多獲性のもののみを十二、三
種類程度
に限定して、その他の
魚種
については流れは
統制
するが、
價格
は
自由價格
にすることが
生産
より
配給
を通じての一般の
輿論
でありまして、かくすることにおいてこの四角な
統制
に丸味と
潤おい
を與えることができる。而も
生産
に對しても好結果を期待しうるとの
結論
でございます。又末を正しくするためには本を正すことが一番大切でありまして、この意味から
生産地
の
取締
を強化することが一番根本的な問題として取上げなければならんと思います。で、この
警察力
で不十分でありといたしますならば、更に別途の
方法
で以て徹底を期することが望まれておるのでございます。 次に
出荷竝びに荷受機關
の
複數制
の可否についてでございます。今囘改正されましたところの
出荷機關或い
は
荷受機關
の
複數性
は、
私的企業
の
獨占禁止
と個人の自由を尊重する建前からなされた處置と考えるのでありますが、
統制
の
理念
はあくまで一本建でなければなりません。
同種
のものはできる限り包含いたしまして、單一化されることが
統制技術
の上からも強く要請されるのであります。今囘の
複數制
はこの
理念
とは凡そ矛盾するのであります。
同種
のものを増加する程
統制
は困難となり、更にこの
機關
に僅かに三分の
手數料
の
範圍内
で
自由競爭
を強うることは混亂を來たす最大の原因ともなりうるのでありまして、
複數制
を認めるとすれば、單數に近い、
最小限度
を
希望
しておる
意見
が既存の
荷受機關
から強く要望されておるのであります。現在の
如く統制
の枠内において、而も
業者
の犧牲においての
競爭
が要求せられることは、
荷受機關
の共倒れを結果する以外のなにものでもないとの
意向
も相當活溌に叫ばれておるのでございます。更に
複數性
の問題に關聯いたしまして、
中央市場設立
の際の
老舗料
の問題が取上げられておるのでございます。この問題をいかに處理するかが未解決として殘されておりますので、
政府
においても
適當
に而も早急に措置することが要求されておるのでございます。 それから
魚價
の問題に移りますが、これは昨二十二日より新
公定價格
が
實施
されまして、
調査當時
と若干
情勢
が變化いたしましたが、
魚價改訂
に對する
關係者
の
意向
がいかなるものであるかを知るために、一
應調査當時
のその
空氣
を御紹介申上げて置きます。 一、
衆議院
の
現行魚價
の一・九四倍案にも、
政府
のいう
基準年度
、つまり
昭和
九、十、十一の
魚價平均
の六十五倍案にも反對である。その反對の
理由
を擧げてみますると、第一に、
東京
を
中心
とした關東、東北、
北海道あたり
の
價格形成
は不滿である。
關西
九州
の
生産
、
消費
の
實態
をも考慮に入れたものでなければ承服できない。大體今まで
價格
の問題でも、それから
統制
の問題でも、全部が全部
東京中心
で、
一つ
として
關西方面
を取上げていない。 それから第二に、
基準年度
たる
昭和
十一年、これは
衆議院
は
昭和
十一年のみを
基準
としたものでありますが、その
昭和
十一年或いは
昭和
九年、十年、十一年は、
生産量
が現在の二倍又は三倍以上であつた頃で、
魚價
は非常に低下していた時代であるから、現在の如く品薄のときの
需給關係
とは
比較
にならない、これを
基準
にすることは決して妥當ではない。 それから第三に、これらの
魚價
の算定の要素中に、八割の
資材
が闇値による
入手
であるということを算入していない。なんとい
つて
も現在は
所要資材
の大部分は驚くべき高價で
入手
しておるのが
事實
、これを無視されるのは不合理きわまる。ただ
附帯決議
という言葉だけでなく、十分なる
資材
の裏付けを
事實
を以て示されるのでなければ、かかる
公價決定
には承服できない。 第四に、
昭和
九年、十年、十一年
當時
、否過去數世紀に亙
つて
、
漁民
は他の
社會
に比べまして、特に
悲慘
な
状態
に置かれていた。
從つて
過去のいずれかの年、例えば
昭和
九、十、十一という
基準年度
に取り、この年の
平均魚價
の物價指数を乗じて魚の
公價
を算定し、これを
漁民
に押付けることは、
漁民
をして再び過去の
悲慘
な
状態
に轉落せしめることである。こういつた問題があつたわけなのです。これがつまり六十五倍案に對するいわゆる反對の
理由
というわけであります。そういう第一から第四まで擧げております。この問題で、それじやその魚の
丸公
を決めるにしましても、この點は先にもちよつと觸れて置きましたが、
丸公
は多獲
性大衆魚
のみといたしまして、
高級魚
は
自由價格
でや
つて
頂きたい。そうして前者に重點的に
資材
の配分を行い、後者に對しては全然
資材
の
配給
の對象としない。こういつた二本
建價格
にすることが望ましい。そうすることにおいて
沿岸零細漁民
は潤おうであろう。三、特に
零細漁民
は假令百%の
公定價格
で
資材入手
が可能なりといたしましても、今問題にされておるような安い
價格
では生活できない。これで生活できるものは、恐らく全
漁民
の二割
程度
であろう。だから
魚價
を相
當上げ
て欲しい。
資材
もはつきり裏付けて欲しい。兩方ともや
つて
貰いたい。こういうふうな
意見
であります。四、
魚價
の改訂に際しましては、決定公表されるまでは、新聞、ラジオの發表等は差控えて欲しい。今度の
衆議院
の
夏堀案
など非常に不謹愼極まるものである。現に京阪神、
關西或い
は
九州方面
では、今囘の
事前發表
で非常に苦杯を嘗めておる。又
生産地
、
出荷地
にも非常に惑いの氣持を抱かすことにな
つて
おる。 それから今まで申上げたことは、これは
價格
の問題であります、その他いろいろな點について申し上げたいと思いますが、
出荷經費
の
生産者
負擔を
消費者
又は
國家
負擔に肩替りすること、かくすることにおいて
鮮度
の
保持
と
計費出荷
が、
政府
の
意圖
のままに實行可能となる。これは一番重大な問題であります。
統制
の上において、一番重大な問題であります。 それから
資材
及び
金融
の面において、
業者
の
苦しみ
は深刻である。これが打解の
方法
が講ぜられない限り、この
苦しみ
は
當然荷受機關
へ集中して來る。
荷受機關
の莫大なる
運轉資金
を必要とする結果ともなる。現に
關西各方面
の
消費地市場
には、相
當荷受機關
はこの點で重荷を背負
つて
おるのであります。 それから
水産廳或
は
水産省
が生れましても、
資材
、
漁船關係等
を完全に掌握しない限り、これは無意味の存在と化するであろう。こういつた
意見
もありました。それから
漁區擴張
の
希望
、
漁業海域等等
の擴張は、連合各國に
關係
があるので
簡單
には行くまいが、少くとも
關西方面
においては朝鮮、
南支那海あたり
までは
出漁亡得
るよう、極力
總司令部等
に運動して、
實現
を期して欲しい。 それから
鮮度
の
保持
については、先程
出荷經費
の點で述べてありますが、
消費者
は
鮮度
の惡い魚は望まない。假令魚の
公定價格
が非常に
引上げ
られましても、現在の
闇價格
より幾分安ければ、
鮮度
の高い魚の
配給
を望んでおる。煉製品にしなければ、
鮮魚
として
配給
できないような低下した魚が、殆ど
關西市場
に八割から九割まで出回
つて
おりますが、いくら数字の上だけ入
つて
も、
消費者
、市民の腹は決して滿たされるものではない。そういつた腐
つた魚
は……、それから
末端配給
は決して豫期したような好結果を見ていない。
登録制
の
實施
によりまして、却て弊害が生じつつある。更に一面
小實業務
が三ヶ月で登緑替になる
制度
は、
業者
のサービスを求める點では効果的でありますが、三ヶ月では短期に失するのではないか。自己の天職が三ヶ月先どうなるか分らないということでは、落著いて努力することよりも不安が先に立
つて
、眞の能力を發揮せず却て萎縮させる結果にならないか。この
期間更新
について、
政府
において愼重に檢討を加える必要があるのじやなかろうか。小賣
マージン
の
引上げ
を望んでおる。現在の小賣
マージン
は一割四分から四割でありまするが、
下級品
の多い
關西
では
平均
一・七割である。現在
高物價時代
の
生活費
の昂騰、
納税關係等
より到底
店舗經営
は成り立たない。
配給
の増大を望めない今日、最
底利潤
を三割
程度
に
引上げ
て頂きたい。
水産加工物
の
價格
の
是正
、
原料鮮魚
の
價格改訂
に
伴つて加工品
の
價格
の
是正
を早急に
實施
する必要がある。これをなさない限り製造も或いは
生産地
に停滞しておる現物も、値上げを豫期しまして、
出荷
が停頓するようなことになる。
政府
が如何に
水産製品
を聲を大きくして
統制
しましても、このような
状態
では駄目である。以上
簡單
に御
報告
を申上げましたことが、詰り産地或いは
消費地
の
意見
の大體でございまして、いずれ
北海道關係
の
報告事項
と綜合いたしまして、
結論
を得るための小
委員會
が開催されることと考えるので、更に詳細且つ
具體的
な
事項
は小
委員會
の説明に譲るといたしまして、今日はこの
程度
で御了承を得たいと思います。
木下辰雄
5
○
委員長
(
木下辰雄
君) それでは
中間的報告
はこの
程度
に止めまして、いずれ又小
委員會
において御
報告
を願いたいと思います。
水産委員會
としましては本日はこの
程度
で閉じまして、これから
懇談會
に移りまして、色々の問題について忌憚なく御
意見
を御發表願いたいと思いますが……。
千田正
6
○
千田正
君
懇談會
に移る前に謝意を表したいと思います。この度の
水産物
の
集出荷
並びに
配給
問題について
調査
を命ぜられました我々
調査團
十四名、その内
國會
の事情で止むを得ず缺席された方もありますが、
酷熱
のうち、限られた時間の内で活動して頂いて、現地の各
機關及び業者
と十分なる打合せをして、我々の責任を果たすことのでき得たことにつきましては、各
調査
に向われました
委員諸氏
に對して厚く御
禮申上げ
ます。もう
一つ
は、今度の
調査
に關しまして、
中央水産會
があらゆる機構を動員して、我々の
調査
に非常な
便宜
をお與え下さつたことについて、
中央水産會
に對して厚く御
禮申上げ
る次第であります。殊に本部からは第一班には
常務理事
の
煕澤
氏、第二班の方には
島谷食糧課長
が同伴して下さいまして、諸般の準備その他に多大な御
便宜
をお與え下さいましたことについて、厚く御
禮申上げ
ます。更に
政府當局
とされましては、今度の問題を非常に重要視されまして、特に
水産局
からは
秋月技官
、
安部技官
の二人の方が、一班二班にそれぞれ御同伴下さいまして、いろいろ諸
官廰
その他の
業者
との
連絡斡旋
の勞を取
つて
頂きましたことにつきましても、これ亦深甚なる御禮を申上げる次第であります。この度の
調査
はわずか十日間でございましたけれども、
政府
も
國民
も又
業者
も我々
議員
も一體とな
つて
、この
酷熱
の中にこれからの新らしい
民主政治
の基盤をなすところの、
國民
の聲を反映さして頂きましたことについては、それぞれの擔當された
方々
に對しまして、
委員長
としてこの
委員會
の席を借りまして、特に御
禮申上げ
る次第であります。
木下辰雄
7
○
委員長
(
木下辰雄
君)
委員長
としても、今度の
調査旅行
に炎天を冒して遠路御出張された
方々
に對して厚く御禮を申上げます。それではこれを以て
委員會
を閉會いたします。 午前十一時三十七
分散會
出席者
は左の通り。
委員長
木下
辰雄
君
委員
大畠農夫雄
君 門田 定藏君 丹羽 五郎君
加藤常太郎
君 寺尾 豊君 小畑 哲夫君
田中
信儀
君
青山
正一
君
岩男
仁藏
君 江熊 哲翁君
三好
始君
千田
正君
政府委員
農林事務官
藤田 巖君