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政府委員(平田敬一郎君)
物價政策に関しまして、非常に実情に即した、有力な御
意見だと存ずる次第でございますが、ただ、今の非常に物の少い時代におきましては、実情だけに委せるというと語弊がありますが、実情だけで動くことになりますと、どうも経済の
運営がうまく行かぬのじやなかろうか。物の
値段が相当高くなるのみならず、それによりまして、結局又賃金が高くなる。財政は赤字を示すといつたような調子におきまして、一方におきましては相当インフレーションが急激に進行する虞れもございますし、他方生産の方も、必ずしも有用な
物資の生産は殖えないで、この際といたしましては、あまり急がないような物が殖えると、こういつたようなことになると、なかなか生産の復興もできない。そういうような時代におきましては、どうも実情に委したような経済の動かし方では十分じやないのじやないか。実情を無視したような経済の動かし方をやるのは、これはもういけないということは御
承知の通りだと思いますが、実情を考慮しつつ、やはり非常に物の少い戰後の非常
状態の下におきましては、配給と
物價の統制をやりまして、生産を上げ、インフレを妨ぐという方向に持
つて行かざるを得ないのじやなかろうか。これはむしろ緊急事態に対する特別な
考え方で、一定の段階になりまして、経済が平常に近い
状態になりますと、勿論そういう
考え方は捨てまして、実情で動く経済に行くべきだと思いますが、今の実情におきましては、どうも若干無理を伴うわけでありまして、無理も程度がございまして、或る程度の無理はこの際といたしましてはいたし方がない。それによりまして経済が一定の望ましい方向に動くということに相成りますれば、そういうことが経済全体としてはこの際望ましいのじやないか。こういうような
考え方から
物價統制が行われておるものと私は了解いたしております。ただその間いま
お話のように非常にどうも、私共は実際や
つてみましても、なかなか今申しましたように動かないで、却
つてお話のように逆の効果を生ずるといつたような面が多いことも事実でございますので、そういう面につきましては、余程運用等につきましても愼重な考慮を
拂いつつ
運営を図
つて行くということにいたすべきものじやないかと存ずる次第でございます。
物價はなかんずく一番経済の尻尾でございまして、その点は全く御
意見の通りだと思いますが、だからといいまして、そこに
公定價格を決めまして、配給に伴いまして或る程度経済を動かして行くということが、これが全然できないとか、或いは見当外れということはどうも少しどうであろうか。やはりこの際におきましては、そういう
方法で、極力望ましい方向に持
つて行くということに努めるより外ないというふうに
考えられる次第でございます。
それから
輸出につきましては私の方も極力
輸出の振興につきましては、そういうふうに重大な支障のあるような
價格の決め方は、これはいたすべきじやないということは、全く同感でございます。ただその際におきまして、今の資材の闇等の
お話もございましたが、やはり今の、先程申しましたような
考え方で行きますと、資材の配当等を
輸出につきまして、極力やはり優先的に確保してやる。それによりまして
輸出品の
價格が闇を反映して非常に不当に高くなるということがなくて済むやうにするという方向に向
つて問題を解決して行くように行かざるを得ない。又そういうふうに行くべきだと思
つております。この点はすぐ実効が上るかという御質問もあると思いますけれども、やはり今の状況の下におきましては、そういう方向で極力問題を解決するというのが望ましい解決の
方法じやなかろうか、これがすぐ効果を発生しまして、非常に好い結果になるということまでは申上げかねますが、そういう方向に少しずつでも
向う、除々に
向うということになりますれば、又
輸出品等の
値段もそう無理なく決め得るということに相成るのではなかろうかと
考えておる次第でございます。
尚もう少し先の段階になりまして、爲替レートのような問題と関聯してどういうふうにするかという問題は、又別途に研究を要する問題であろうと思いますが、今の段階の下におきましては、そこまではまだ立至
つていないということを申上げるより外なかろうと存ずる次第であります。甚だ愚見でございますが……。