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政府委員(
林敬三君) 岡本委員の御質問にお答え申上げます。第一点の、特別市の問題と二百六十五條第二項との
関係でありますが、
政府といたしましては、新聞その他においても御
承知の如くに、憲法九十五條によりまして特別市を作るという
法律が若し
國会を通過いたしました場合に、これに対する憲法第九十五條に基く
住民投票というのは、どの
範囲を以てやるのかという点につきましてはいろいろと研究もいたしました。それからいろいろと議論も重ねたのでございます。その結果一番妥当適切なる解釈としては、例えば京都市を特別市にするという場合には、当該京都府全体の問題であるから、当該公共
團体、即ち京都市だけでなく、京都府全体の
住民の
投票を取
つて、その
投票において多数を制した場合においては、その
法律が成立する。かように解釈することが最も適当であるというふうな結論に達した次第でございます。
そこで第二百六十五條はどういうつもりで書いておるのかということでありますが、これはいわゆる
法律で以て
規定するということだけを書いてあるわけでございます。その
法律が動いて行
つた場合に、憲法第九十五條は、この
法律に対してどういう解釈を以て、どういうように動くかということは、憲法の解釈に任せておるという
建前でこれができておるわけでございます。即ち二百六十五條二項だけがありますが、後は憲法第九十五條の解釈において、廣く京都府全体の
投票を取るべしという解釈である場合には廣く全体の
投票を取る、狹く京都市だけで足りるという解釈が適切といたしますればさように狹く解釈して行く、いい換えますれば第二百六十五條第二項ではどちらの場合にも運用ができるというふうに
規定が相成
つておるであります。それで、これだけではいわゆる廣くやるか狹くやるかは解釈が出て参りませんわけでございまして、後は憲法の解釈に從う。そうして
政府といたしましては種々論議もいたし考究もいたしました結果、廣く解釈するのが九十五條としては最も適当である、かような結論に到達したわけでございます。勿論併し立法上の問題にな
つて参りますと、
國会が最高の権威を持
つておられるところでございますので、
國会方面におかれまして、廣く
投票をとるべきものであるという注意書と申しますか、そういう
規定をお設けになるか、或いは狹く解釈すべきものであるとう
規定をお設けになる、その如何に
政府は
從つて行動して行くことになると存じます。
それから公務員法の問題でございますが、これは大体、
政府の
國家公務員法案の
内容と
趣旨と類似した、歩調が合
つたものを作
つて頂かなければならないと漠然と考えております。申すまでもなく
官吏と公吏とが何か非常に身分的な差異があ
つたり、取扱上その他において、すべて違いがある。
官吏が一段えらくて公吏が一段低いものということに、國全体、世間一般が考えることは、誠に
地方自治の発達の上から困ることで、むしろ
官吏より公吏の方が場合によ
つて尊いという、氣魄や見識があり、それだけの
制度の整備を以てや
つて行くのが妥当じやないかと考えられます。又
官吏と公吏との間に、特に專門技術を持
つたような仕事になりますと、いろいろ交流なども今後は團々や
つて行くことが、自治体の発達にもいいし、又
官吏においても
民主化の上からい
つてもいいのではないかと考えられます。このような点からい
つても大体歩調は合
つておるべきものではないか、本格的には國に対して、
國家から雇われて國民のために奉仕するものと、公共
團体から雇われて國民のために奉仕するものと、その間に本質的違いがあるわけのものでもございませんし、大体の歩調は合せたものをお作り願うようにしたい、かように考えております。併しながら又一面において、
官吏と公吏というものについてはその業態において、或いはその
活動範囲において、分野において、いろいろと違
つた点も出て來る。非常に小さな
市町村まで、村まで、こういうもので以て窮屈な
規定を作
つて制限をしたりなんかして縛り上げるという必要も勿論ないであろう。併しながら非常に大きなところでは、或いはそれ以上の整備したものを作らなければならないところも出て参るでございましよう。そこでいろいろにやはり、公吏については公吏独得の色合というものをその間に出して、運用については誤まりなきを期して行くようにいたしたいと存じております。併しこの詳細のところについてはこれから草案を書き上げようというところでございまして、誠に漠然たるところだけをお答申上げるわけでございますが、まだ細かい結論を持
つておらない次第であります。