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松村眞一郎君 私はこういうふうに考えるのです。
一條を讀みますと、ここにある
命令は、本年の末日になくな
つてしまうわけですね。なくな
つてしまいます第
一條に對して第二項を加えて、
前項の
規定は
ポツダム宣言に關する
命令の
效力に影響を及ぼすものでないということにな
つておりますから、
前項の
規定がなくなれば、結局この附加える
規定もなくなることは
當然と思ひます。そうすると第
一條というものは、本年限りでなくな
つてしまいますから、
前項の
規定という
規定も本年限りなくな
つてしまうということになると思いますので、私はこの「第
一條に左の一項を加える。」というのは止めた方がいいと思います。その
意味は、来年の一月一日からはどうなるかという問題が私は殘ると思います。むしろこれは止めた方がいいという
立法技術上の議論が
一つ、第二はもう少し
根本です。
ポツダム宣言の
受諾に伴い發する
命令というものは、これは昔の
緊急勅命で、これは明治の
憲法で特別に制定されたものでありますから、これは後で
議會の承諾を得て、そうして今
法律にな
つておるわけであります。これは
根本論としますと、現在の
憲法そのものの
例外にな
つておるということを考えなけばならんと思います。
憲法で、
法律で書くべきことはどうせ
法律で書かなければ、その
例外は、特別の
規定を
委任立法としなければならん。その
關係を超越して、
ポツダム宣言の
受諾について、こういう
命令が出たのでありますから、こういうものはむしろ
憲法の
例外とも考えらるべきものであるから、これはこの
效力を存續するというような
規定の中にこれを引用しない方がいい。これは超越した
規定であるという
考え方に進んだ方がいいというのが第二點、この
二つから考えますと、これは書かない方がいいじやないか。こういうことで問題が起ることは私は決してないと思いますから、
裁判所が
ポツダム宣言についての
效力を論ずるようなことはまあないと思います。そんなような
關係から、これは削
つた方がいいと思います。加えることを止めた方がいいというのが
一つであります。
それから
文字のことになりますけれども、「
國會の
議決により
法律に改められたものとする。」ということよりも、左に掲げる
法令は
法律の
效力を有すると、……これで私はいいんでないかと思う。それは
法律に改めるというと、こういう
法律が出たことになるわけであります。
墓地及埋葬取締規則という
法律が出たことになる。そういうことになるというと、
法律にこういう
名前の
法律があるということになる。ただその
效力ということになれば別にこれが
法律にな
つたのじやないということで、私はむしろ
法律に改められたものとするということを言わないで、
從來の
法律、二十二年の七十二號に書いてあるごとく、
法律と
同一の
效力を有するものとする。第
一條の
規定と同じことを書いて置いて、左に
掲ぐる法令は
法律と
同一の
效力を有するということを書けば、今度
議決するのでありますから、
國會の
議決によりと言わなくても、この案を
議決するのでありますから、これだけで私はいいんじやないかというふうに考えるのであります。
法律に改めるのでなくて、
法律の
效力を有するのである。この方がよろしい。第
一條がそう書いてあるのですから、第
一條と
一條の二との間に
考え方を違える必要はないのであ
つて、
效力だけの問題でよろしい。
從つてこの第二項に、第
一條の二の第二項に、「
前項に掲げる
法令の
效力は、暫定的のものとし、」とありますけれども、これは暫定的のもので、二十三年五月二日ということで分ると同時に、ここに暫定的なものとするとお
書きにな
つたのは、「必要な
改廢の
措置をとらなければならない。」ということがあるから、そこで暫定的のものとしとお
書きにな
つたものと思いますが、これはもう
期限が短かいのでありますから、それまでの間に必要な
改廢の
措置を執るのは
内閣の方においても、
國會の方においても
當然のことであ
つて、こういうことを言わなければならんということは私はないと思うのです。そういうわけでありますから、極く
簡單に申しますというと、現在のこの
法律の第
一條を見ますというと、
昭和二十二年十二月三十一日まで
法律と
同一の
效力を有するものとすると、こうあるわけでありますから、これまでの間にいろいろ必要な
措置を執
つて來ておると思うのです。それとちつとも違はない。それと同じようにこの
期限の終るまでには必要な
措置を
從來通り執るということに變りはないのでありますから、こういう
規定は私は要らんと思うのです。そうすると極く
簡單でありまして、私の案によりますというと、第
一條の二は左に
掲ぐる法令は
法律と
同一の
效力を有する。その
效力は
昭和二十三年五月三日以後に及ばない。それで私はいいと思うのです。
それから次は一番終りに第
二條に左の二項を加えるというようなことも、これももう必要ないじやないかと思います。それは何故かというと、今までどうしてお
つたかという問題になる。今日までこういうことをなしに濟ませて來たのでありますから、今日まではどういうことにな
つてお
つたのか。今後はこういうことになるというような工合に又考えられる虞れがあるのであります。又
從來の
效力の
期限を延ばすというだけであ
つて、それでよろしいという考でおりますから、あまり餘計な、深切過ぎる
規定をはないで、ただそれだけにした方がいいのじやないか。そこで先程申上げましたごとく、第
一條に左の一項を加えるということはもう止めてしま
つて、第
一條の二という
規定だけでよろしい。今申しただけのことを書いて、そうして濟ませればそれでよかろうと思う。そうしませんと、一番しまいに書いてあります、「
内閣その他
行政機關に對し、
日本國憲法が認めていない場合において
命令を發する權限を付與したものと解釋されてはならない。」というのでありますが、
從來、別に解釋しておりませんですし、將來そういうものを設けましても、今までの問題によ
つてやはり殘ると思いますからこれは前も今後も同じように解釋すべきものと考えますから、途中の
改正にこういう、あまり深切過ぎた
規定はない方が、疑義を起すことがないだろうと考えるのであります。
質問のような
意見のようなことでありますが、私の申しましたのは、そういうふうにして、
簡單にしてその
法律を出した方がいいという
意見でありますが、どういうふうにお考になりますか、
ちよつと伺いたい。