○山下義信君 私はこの
家事審判法案の審議に出席が十分できませんで、甚だ遺憾に
考えているのでございますが、すでに同僚諸君で十分御審議をお盡し下さ
つたことと思うのでございます。或は私の伺いたいと思います點が重複いたしておりましたらば、どうかお許しを願いたいと存じます。大體におきまして、私はこの
法案につきましては、非常に結構に
考えているのでございますが、ただ一點この
法案の運用の上におきまして、どういうふうにお考に相成るでありましようかと思います點を
政府に伺
つておきたいと思います。
それはこの参與員のことでございますが、
審判に参與員が立會いまして、その
意見が
審判官に聽かれて
審判を行うということでございますが、この参與員の
審判にあずかりまする、即ち
審判官が參與員の
意見を聽きまするという點でございますが、どの
程度まで參與員の
意見というものを聽きますものでございましようか。どういうふうになりまするのか、この第三條の上ではその邊が明瞭でございませんので、參與員の
意見は相當重くお用いになりまするか。いわばどう申してよろしいのでございますか、殆ど參與員の
意見を
審判官はお用いになるというように、これが運用されて行くのでございましようか。その點を伺いたいと思うのでございます。言うまでもなくこれは普通の裁判とはすつかり性格を異にいたしまして、いわゆる家族生活の家庭の問題、その紛議、俗に申します仲裁は時にと
つての氏神というようなことで、これを運んで行こう。こういう主眼でありますると
承知いたしております。そこでこういう制度が實にこれは結構でありますると同時に、その
審判のいたし方というものは微妙な點がございまして、いわゆるその土地の人情、風俗、或いはこの
審判を依頼いたしまする
關係者の、いろいろ
關係と言いまするか、その點の事情に相當通じまして公平な立場で、然も圓滿なる
審判が、乃至調停が行われて行かなければなりませんので、これはいわゆる
審判官は裁判官、つまり常に仰せられてあります玄人の司法官が、
審判官がお當りになる。私はこの
説明を遂に拜聽する機會を逸しましたので、速記録で
政府の御當局の御提案の
説明を拜聽いたしますと、
審判官は玄人で、この參與員或いは調停委員というものは、いわゆる素人を立會わせるのであ
つて、素人素人というお言葉が用いられてある。成る程この
事件にはこの
條文が當てはまる、この問題の判決には、この
條文を當てがうという
法律の
適用には玄人がよろしゆうございましようが、人情の機微、家庭の問題のいろいろなことを聽いて、そこに圓滿な解決を與えて行くということに關しまするというと、或いは存外素人の方が非常にいい場合がある。つまりそこを見込んで、參與員調停委員という
家事審判法のお用い方、この制度のお立て方があると思います。そうするとこれがぐじやぐじやの寄り集
つての相談では果てがない。そこで裁判所という形で
家事審判所、
審判官、裁判官のような、この嚴格な場所で、そうして
一つ聽いて頂いて、ちよつとお裁きを調停をして貰う。よう聽いて貰う。分別して貰うということで、大變それが結構でございますけれども、併し本當にそんな調停ができるのは、この參與員とか調停委員というものの
意見が非常に肯綮に當る場合が多く、又多くなくてはならん。こう
考えるのでございます。そこでこの參與員というものの
審判に
關係いたしまするのは、どの
程度までそれが重くお用いになりますように運營されて行きますか。どうなるのでございましようか。この邊をこの
條文の上でははつきりと伺い兼ねますのでお示しを願いたいと思うのでございます。
今
一つは最後の罰則のところでございますが、第二十
八條に參りまするというと、調停委員或いは參與員が、
職務上いろいろと經過を漏らしました場合には
罰金が科せられることにな
つております。千圓でございます。これは非常に過少ではないかと
考えるのでございます。最近出て參ります總ての
法案の
罰金の料金というものと比較いたしまして
考えますのに、簡單なる經濟事犯でも五百圓以下の
罰金、或いは一
萬圓以下の
罰金と相當金高というものが、最近はそうい
つたのが多いようでございますが、千圓……第二十七條はよろしうございます。これは出て來なか
つた時に五百圓、これは普通は罰も要らんくらいでござしましようけれども、二十
八條の千圓ということは、重大なる
審判内容或いは調停内容を漏らしました時の
罰金というものとしては過少ではないか。これは參與員や調停委員が内容を漏らすというようなことをしましたらば、家事
審判というものは全然實は、どう申してよろしうございますか、殆どこれはゼロにな
つて參りますので、これは
絶對にそれが漏らしてならんというところまで、相當嚴しく戒めておかなければならんのじやないかと
考えますのでございます。この二點を
一つ御
説明にあずかりたいと存じます。