○專門調査員(梶田年君)
只今議題になりました
請願書が本年の七月七日付をも
つて岐阜縣の多治見市長及び土岐郡の町村長会長から本院に
提出せられまして七月十日受理せられております。紹介者は
只今委員長の言われた
通り委員長の
伊藤修氏であります。この
請願書の
趣旨は岐阜縣の多治見市及び土岐郡惠那郡の住民は從來御嵩区
裁判所の管轄であつたが、この区
裁判所が地方
裁判所支部になります
関係上今回多治見市とそれから惠那郡中津町とに簡易
裁判所が設置せられたのであるが、更に多治見市に岐阜地方
裁判所の支部設置を要望するというのであります。その
理由といたしましては、御嵩区
裁判所は汽車や電車のない時代に中仙道の交通の要路として宿場であつた
関係から、この可兒郡の御嵩町に設置せられたのであるが、土岐、惠那、可兒、加茂の東濃四郡を管轄しておつたのでありまして、岐阜
裁判所支部も併置せられておつたのであります。然るにこの御嵩区
裁判所所在地の御嵩町は、今日は農村と化して僅かに單線の電車一本の乗り入れがあるだけとなりまして、
関係住民は非常な不便を感じておりまして、この区
裁判所の位置を多治見市に移轉するように、昭和六年の三月に土岐、惠那両郡全町村、それから可兒、加茂両郡の中九ケ町村長から、司法大臣及び貴衆両院に
請願書を出したこともある。爾來継続して
運動をして來た。最近は今年の五月二十八日附で多治見市長から
最高裁判所長官代理に
岐阜地方裁判所多治見支部設置の
陳情を
提出しておるような次第であるというのであります。そこでこの多治見市、土岐郡、惠那郡、可兒郡、加茂郡東濃四郡であります。これの人口とそれから
訴訟事件数を表にしておりまするが、それによりますと、昭和二十一年末の現在で多治見市の人口が三万五千八百八十八で
事件数が民事が十九、刑事が三百五十と
なつております。
土岐郡の方は人口が八万八千六百七十一人で民事が三十一、刑事が三百八十三、惠那郡が人口が十四万三千二百八十一人で民事が十六、刑事が四百五十、可兒郡の人口は四万八千六百十七人で民事が四十二、刑事が百四十四、加茂郡の方は人口が十万三千七百五十三人で民事が三十九、刑事が三百六十二と
なつておりまして、これを見ますると、多治見市は人口の割合に
事件数が、殊に刑事
事件数が多いことに
なつております。
次に司法
関係の官廳から申しますと、多治見市には多治見簡易
裁判所、多治見区檢察廳、岐阜司法事務局多治見出張所、これは登記所でございます、などがある。それから多治見には東濃四郡の中で一番大きな警察署がありまして、その定員も相当充実しておるというのであります。多治見市に
只今申しますように地方
裁判所の支部設置を必要とする
理由は、
只今述べましたところと、それから図面が添付せられておりますが、この図面によりまして最早や顯著であるが、更にこれを敷衍してみますと、多治見市及び多治見市の周囲を囲んでおる土岐郡というのは陶磁器の生産においては全國の第一であ
つて、近く貿易の再開によ
つて当然発展を約束せられており、交通の点から申しましても、中央線、太多線、岡田バス、東濃バスなどが四通八達してお
つて、惠那、土岐両郡は勿論可兒、加茂の両郡に行くについても、それぞれその中心をなしておるのでありまして、この多治見市に簡易
裁判所だけではいかにも住民に対して不便でありまして、迷惑が非常なものであるこういうのであります。そこでこの
請願の
趣旨といたしましては、この
請願は御嵩の地方
裁判所の支部を多治見市に移轉するということを希望するのではないのであ
つて、多治見市と土岐郡及び惠那郡を管轄する地方
裁判所の支部を多治見市へ新らしく増設するということを希望するというのでありまして、以上の
理由で御詮議の上速やかに
実現をお願いをする。尚廳舎、備品什器等一切
関係地において整備せられておるから申添えて置く。こういうことでありまして多治見市を中心とした東濃四郡の地図が添附せられております。以上がこの
請願の要領でございます。