○水久保甚作君 この前、即ち十日の
委員会でありますが、その
委員会のとき衆議院において修正されて参
つておりますところの
裁判官の一級又は二級というものを全部一級にしたというふうに修正されて参
つておるようであります。それで本
委員会におきましてもやはり鬼丸委員を主といたしまして、どうしても一級官にしたいという
意見に殆んど一致をしたようであります。そのとき司法省側と大藏省の主計局長との間に
意見が違
つておりました。大藏省の
政府委員といたしましては、今日の場合到底そういう修正は認めがたいという
意見であつたようであります。それで
委員会側はどうかと見ておりますと、やはり修正しなければならん。その理由はすでに鬼丸委員が申された通りで、速記録に明らかでありますから、この点につきましては私特に申上げません。その要点をちよつと申上げて見ますと、終戰後今日の日本の治安が非常に紊れておる。この紊れておることをどうして整然たらしむるかということにつきましては、皆齊しく國民の憂うるところであります。心配をしておるところであります。それでこの際はやはりその取締りするところの
法律の
執行に当
つて、その人を得なければ到底この目的を達することはできないというような
意見であつたようであります。それで今
裁判官の方は地位が低いというので、非常に欠員が多い。その欠員を補充するには今日の場合、直ちにその人を得ないということでありまして、それを得ないということは待遇が低いからであるということに帰結いたしたわけであります。そういたしますと、先ず私はかくのごとく
裁判官の地位が低いならば、なぜ予算閣議のときにおいて、司法大臣はその問題を取上げて大藏省との折衝をされなかつたかということを
考えてお
つたのであります。それで司法省の方では、そういう
考えは持
つておつたけれども、到底その目的を達することができない。いわゆる一級官に進むことはできないという
考えを持
つて、控えておつたということであります。大藏省の方におかれましては、これは他の官廳との権衡もあり、無論予算の
関係もあるのであるが、到底これに應じられない。こういうふうに
意見が対立いたしたのであります。そこで私は見るに見兼ねまして、これは事務的
関係の
政府委員で解決のできる問題でないという
考えを持ちましたから、これはよろしく大藏大臣、司法大臣の出席を求めて、そうして愼重審議すべきものであるということを申出たわけでありました。それで今日大藏大臣がお見えになりましたから、ここで少しこれは重複もいたしましようけれども、私の
考えを申上げて見たいと思うのであります。
それは今までの大藏省の答弁の方を反駁して目ますと、今までは各省との権衡上、その
関係がどうしても司法省だけ一級官にするということにすると、他の官廳についてやはり権衡が取れないということが主なる原因にな
つておるようであります。そこで私は、今日のこの治安を救うには
裁判官の力によ
つてこれが解決されるのでありますから、これに対しましてはやはり今までの旧慣は脱却いたしまして、そうして新日本建設という
意味から、いろいろ障害もありましようけれども、又予算の上にもいろいろの問題があろうと思
つてをりますが、併しながら今日の場合、この治安
関係は、鬼丸委員の速記録によ
つて明らかでありますから申上げませんが、誠に重大な立場にあるのであります。靜岡刑務所の脱獄
事件のごとき、その話を聞きましても、又全國に亘
つてさような
事件が起
つておるようであります。今日この法の運用を過ちましたならば、とても國民が安心して生活することはできないという現状にあるのであります。かくのごときこの治安の
関係を
考えますときに、予算の問題のごときは、これが一億円の特別予算を要求しようとも、これに対しては大藏大臣たる
資格において、國家を救うものなりという立場において解決されてよろしい問題だろうという私は信念を持
つておるのであります。又、司法大臣におかれましても、かくのごとき重大問題をお
考えにな
つておられたならば、これに対して堂々と閣議においてその主張をなし、その目的を達成せられなければならなかつたと思うのでありますが、不幸にいたしましてそういう道程を取
つておりません。ただ衆議院の修正によ
つてそのことが問題に
なつたようでありますが、これは事務的の
関係から止むを得なかつたろうと私は思うのであります。それで又衆議院が殆んど一致を以てこれを修正いたしました以上は、又参議院においても当然これは修正すべきことは勿論であると私は信ずるのであります。どうかこの点について大藏大臣の率直なる、簡明なる所見が承わりたいのであります。