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佐藤藤佐君
天皇以外の方で、ここに列挙されておられる方が攝政であらせられる場合には、勿論
内閣総理大臣が代
つて告訴を行うということになりまするけれども、若しここに列挙されておる
方々以外の方が攝政になられました場合には、攝政信身が
告訴権を行使するということになると解せられます。
それからその次に御質問の二百三十條の二において、名誉毀損の事実が本当であるかどうかという事実の眞否を判断して、若しそれが事実であり、而もその
事項が公共の利害に反する事実であり、更にその暴いた的目が專ら公益を図るに出でたものというふうに裁判所で判断されました場合には名誉毀損罪が成立しないという免責
規定が新らたに設けられたのでありますが、これと同じような
趣旨の
規定が、お話のように出版法及び新聞紙法にすべてに
規定されてお
つてのでありまして、これらの
規定の適用といたしまして、これまで新聞紙法や出版法違反の名誉毀損罪が長い間法廷で爭われて、その間被害者に更に多大の迷惑を掛けた事実がしばしばあ
つたのであります。新聞紙法、出版法については、全面的に、新らたなる觀点に立
つてこれを
立案しなければならんと
考えておるのであまりするが、現在は御承知のように中止状態、眠
つておる状態にありまするので何とか出版、新聞に関する取締法を判定しなければならんということは朝野の識者において力説されておる
ところでありまするから、恐らく早晩何らかの取締法ができるだろうと思いまするけれども、現在の
ところは、出版及び新聞紙に関して特別な
規定を
刑法において取上げて
規定する段階に至
つておりませんので、ここにはさような
規定を設けなか
つたのであります。併しながら新聞紙及び出版に拘わらず、すべて名誉毀損の事実の眞否を判断して、眞実なことの証明があつた場合には、これを罰しないことにするという立法例は御承知のように各國の立法の趨勢にな
つておりまするので、
刑法の改正に当りまして、特にこの点を掲げて、新
憲法の言論の自由を尊重する趣意にも副いたいというつもりで
立案いたしたのであります。