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政府委員(
奧野健一君) 或いはさような
共同名義でいろいろ
訴訟をやつたり、
法律行爲をやるというふうなことがなかなか煩わしいので、そういう
意味で
後見の場合は、どうしてもやはり一人の方がよろしいというので、先程
言つたように
共同後見ということを止めたわけであります。
親権につきましては、どうしてもやはり
父母どちらか一方ということは、
両性の平等という
建前から困るというので、やはり
共同親権を行うということにいたしたのであります。
そこで、
只今お示しのように、その
共同行使の方式は恐らくやはり
共同名義ということで、
父母が
共同代理人というふうなことにな
つてやるということになろうと思いますが、併しこの場合でもやはり一方が一方に更に
代理の委任をするというふうなことで、や
つてもいいのではないかというふうに
考えております。ただ
父母の
話合いで
親権を一方だけに
譲つて、自分は
親権を放棄するという
話合いだけで放棄するというふうなことは、やはりどうも
濫用等の虞れもありますし、適当ではないのではないかというので、
共同行使ということにいたしておるのでありますが、勿論放棄するよう
なつもりのある場合においては
辞任をすることができる途を八百三十七條に
規定しております。これは
家事審判所の
許可を得なければいけないということにな
つております。何といいましても
親権は権利であると同時に義務でありますから、そう無暗に放棄するということは許されないので、やはり
家事審判所の
許可に係らしむるのが適当であるというふうに
考えております。一方が
辞任をすることが許されるならば、
他方が
後見人になるということになるわけでありますが、そうでなくして
夫婦でありながら
離婚をするような場合に、これは八百十九條で一方が
親権者にならなければならないことにな
つておりますが、
夫婦関係を継続しておりながら、
夫婦の間の
話合いだけで
親権者を一方だけにしてしまうということは、いろいろ弊害も
考えられますので、やはり
夫婦で
婚姻中は
共同行使、ただ先程申しましたように、
代理、更に一人に委任して、一人で双方を
代理するということは、或いは解釈上、
共同行使の形式としてそういうことも許されるのではないかというふうに思
つております。これは解釈問題でありますが、
建前としては
共同名義でやるというふうに
規定はな
つておるわけであります。