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政府委員(
奧野健一君)
只今手許に統計の資料を持
つておりませんので、この次までには差上げることができると思いますが、
仰せのように
夫婦財産契約をして、その登記をした実例は極めて少いのでありまして、我が國において殆どこういう
制度が行われませんから、むしろこういう
夫婦の
財産契約の
制度は廃めたらどうかという議論も相当あるのであります。併しながら今後婦人の地位が
法律的に非常に向上して参るという場合には、
夫婦が
婚姻に入る前に、予めそういつたような
財産についての契約をいたすこともあろうというふうに
考えまして、これは
從來通り一應残したのであります。そこで若しこれが段々利用されるというふうになります場合には、この点について更に尚檢討を加えなければならないという
考えを持
つております。どういうふうにこれを改めて行くかということは、他の外國の
立法例等に詳しい
規定がありますので、そういう点も参酌して参りたいと思いますが、
只今仰せに
なつたように、要するにこの
考え方は
婚姻生活に入
つてからでは、これは
夫婦の愛情というような、或いは実際上のいろいろな感情から、公正を保つことができない。そこで婦夫間の契約はいつでも取消しをすることができるというふうに、
夫婦間においてはそういう
法律的にやかましいことを言わないということにな
つておりますので、どうしても
夫婦になる前に、そういう契約をはつきりして、動かせないように、特別なことのない限り変更ができないというふうに、七百五十
八條によ
つて変更のできないようにして置かなければならないという
考えは、まあ適当であろうと思うのでありますが、それを必ず登記をすることにするか、或いはまあ第三者の
関係を見ると、やはり討議を必要とするように
考えます。併し
夫婦間の間であれば、公正証書くらいでよいのではないかということも
考えられます。殊に又
只今お話のありましたように、家事審判所というものができまして、
夫婦財産契約の変更というようなことについても、家事審判所がこの中に入
つて参りまして、これは七百五十
八條にありますように、一旦決まつた
夫婦財産関係を変更する場合には、家事審判所に請求して変更するということにな
つておりますので、家事審判所の機能が段々活動いたしますことも
考えまして、
夫婦財産契約に関する
制度は改めて研究をいたしたいというふうに
考えております。