○
衆議院議員(
武藤運十郎君)
ちよつとお答え申し上げます。
只今の御
意見は誠に御尤もな御
意見でありまして、
戰災の
法律について將來起るべき火災、震災、風水害その他の災害に、恒久的な問題を取り扱おうということはどうかというふうな御
意見であります。誠に御尤もでありまして、私もそういうことは
考えたのでありますけれども、御
承知の
通り昨年から一年間の
統計を取
つて見ましても、非常に火災や震災、或いは風水害が
相当廣範囲に亙
つて起
つておる所があります。而もその復旧状況を見ますというと、被害を受けた人の主観的な
立場を
考えて見ましても、又その資金、資材等の客観的な方面等を見て見ましても、殆んど日本全國同じような経済
状態に置かれておるのでありまして、
借地借家関係に関する問題というのも
戰災地、
強制疎開地も又その後燒けたり、或いは風水害に遭
つたというような場所の
借地借家関係も全く同じような状況の下に置かれておるのであります。
從つてこの
関係から申しますと、さような恒久的な問題につきましては、別途に
一つの特別法を作れば、これに越したことはないと思うのでありますけれども、
只今申し上げましたように、殆ど同じ
状態の下に置かれており、この
法律をそのまま準用するような形で使いましても、少しも不便を感じない。のみならず大変都合が好いことになりますので、便宜ここへ、「又は火災、震災、風水害その他の災害」というものを入れまして、問題の
処理を図る方が一番ずつと早いだろうというふうに
考えて出したのであります。成るほど
罹災都市借地借家臨時処理法は、名前の
通り臨時の立法でありますけれども、
相当長い期間今後行われるだろうと私は
考えます。必ずしも
臨時という名前だけによ
つては
法律の性格を律するわけには参りませんので、例えば震災後にできました、御
承知の
借地借家臨時処理法というようなものも、震災後の
借地借家関係を
臨時に
処理するということを主たる
目的として作られたものでありましたけれども、その後二十数年間というもの、
臨時という名前の附かない、恒常的な性格を持つ
法律が既に何回か廃止されたような期間の二十数年間を、
臨時処理法が
借地借家関係を律して來ているというような実例もあるわけでありまして、必ずしも私共は
臨時の名前が附いているから、恒久的のものは扱わないというような
趣旨ではなくして、
法律に盛られた内容によりまして、恒久的のものを盛りましても
差支を生じないような場合にはさように取り計らいましても、実利主義から申しまして、決して不便はないのではないかというふうに
考えた次第でございます。ただこの
法律案が來る九月十五日を以て一ケ年の期間が切れるというようなわけで、早くこれを
議会を通過させなければならないというような
考えを持
つたものでありまするからして
條文の整理におきまして甚だ不完全なところがございます。例えば第一條の中に一般
戰災によらざる災害を加えますというと、何ケ所か一條、二條、十條、十一條、十二條、二十七條等に多少
言葉を変えなければならないところがございます。何故かと申しますと、御説の
通りこの
法律は
戰災のみを
目的といたしておりますので、この
條文の中にこの
法律施行の日からとか、或いは
昭和二十一年七月一日からとかというふうな
言葉が使われております。そういうものはやはり戰爭によらない災害については災害発生の日からとか、或いは災害発生の際とかいうふうに各條について断りを付けるか、或いは第一條に纒めまして、断りをしなければならないのでありますが、それは要するに立法技術の瑣末の点でございまして、大体においてこの
法律を戰爭によらないその後の罹災地に
適用いたしましても、少しも無理がないのみならず、誠に
借地借家人にとりましては都合のよいことに帰着するのでございます。廣い範囲に亙
つての資料というふうなお説もございましたが、私の手許にも十数通
弁護士会とか或いは
借地借家人組合とか
借地借家人同盟とか或いは党とかいう所から全國からこれの実施を、かような燒けた所にも
適用するようにして貰いたいということを申し送
つて参
つておる者がございます。私共はさような
実情の下に手取早く新らしい
法律を作るというのも大変ですから、この際これを利用して戰爭によらない災害地につきましても、
借地借家関係をできるだけ早く
処理をしたいというような
考え方から、この
改正案の中に加えた次第でございます。