○大野幸一君 前囘
委員会において、五十
五條の連続犯について御
説明があ
つたのであります。それは捜査上の便宜のためではなくて、憲法三十九條によ
つて、今度同一
犯罪については重ねて刑事上の責任を問われない、こういう
意味を全うするために、若しそういうことになると困るからということで專ら
政府の
意見は、いや捜査のためじやないということを強調されたのであります。併し
政府委員の方の率直な御
説明で、私は
ちよつとごまかされてお
つた感があるのでありますが、同一の
犯罪について重ねて刑事上の責任を問われないということは、新憲法三十九條によ
つてできたんじやなくて、もう從來から、即ち
犯罪の同一性ということになれば判決の確定力一事不再理の原則が適用されて來たのであります。ただこれを憲法上に……今まで
刑法上の原則として適用されて來たのを、憲法に明らかにしただけのことであ
つて新らしくできた原則ではないのであります。そういうわけですから、今まで連続犯として認めて來たことに、何年間、何十年間これをや
つて來て何等……幾らか不便もあ
つたでしようけれども、もう連続罪というものは当然のようにな
つて來たのであります。ただ特別な場合、窃盗罪と強盗罪或いは猥褻図書頒布罪のごとき、一部分を罰した後、多量の
犯罪が出て來たということだけを例に挙げられる逆の效果を
考えると、前囘にも申しましたように、犯人の受ける心理的影響というものは連続犯の一部について仮りに処罰されても、その後に残
つておるということがある。これが発覚されれば、又やられるのだと、こういうことにな
つて、いわゆる自暴自棄に陷る、自分はまだ処罰されることが残
つておるのだと、こういう
意味において、いつまでも罪から逃れることがなくて、自暴自棄に陷る場合があるということと、
政府が口で何とおつしや
つても、あの五十
五條を削除したゆえんのものは、これは搜査官の口から出るところ、或いは一般の常識とな
つておるところの、これは搜査が十日間では、或いは十三日間ではできない、それを救済する
意味でできたのは、間違いないのである。そういう点は他に一つ何か方法を講じてこの五十
五條は、動機が動機で、口で言うことと……弁解することと肚の底と違
つては
政府みずからが不正直を唱えることになるから、これは一つ特別な場合で不便があるならば、これはその点を改良して、連続犯は從來
通り一つ存置して貰いたいと、こういう
考えでありますが、それとも搜査上困るということがあれば、これはこの
委員会で正直に一つ
政府の搜査の実情を述べて貰いたいと
考えるのであります。