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1947-09-19 第1回国会 参議院 司法・農林連合委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
農業資産相續特例法案
(
内閣提出
)
————————————————
司法委員
委員長
伊藤
修君
理事
鈴木
安孝君
理事
松井 道夫君 大野 幸一君 齋 武雄君 平野 成子君
大野木秀次郎
君 奧 主一郎君
水久保甚作君
池田七郎兵衞
君 鬼丸
義齊
君
鈴木
順一君 岡部 常君 小川 友三君 來馬
琢道
君
松村眞一郎
君
宮城タマヨ
君 山下 義信君 阿
竹齋次郎
君 西田 天香君
農林委員
委員長
楠見 義男君
理事
木下
源吾
君
理事
森田
豊壽
君
理事
高橋 啓君 太田 敏兄君 門田 定藏君 田中 利勝君
羽生
三七君 北村 一男君 柴田 政次君 西山 龜七君
平沼彌太郎
君 岩木 哲夫君
木檜三四郎
君 小杉
繁安
君
佐々木鹿藏
君 竹中
七郎
君 石川 準吉君 宇都宮 登君
岡村文四郎
君 河井 彌八君 島村 軍次君 寺尾 博君 徳川
宗敬
君 藤野 繁雄君
松村眞一郎
君 山崎 恒君 板野 勝次君
廣瀬與兵衞
君
————————————————
昭和二十二年九月十九日(金曜日) 午前十時三十九分
開會
—————————————
本日の會議に付した
事件
○
農業資産相續特例法案
—————————————
〔
司法委員長伊藤修
君
委員長席
に著く〕
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) 大變お待たせいたしました。これより
司法委員會及び農林委員會
の
連合委員會
を開催いたします。
議院運營委員會
の決定に基きまして、
付託
をせられました本
委員會
において
委員長
の席を汚さして頂きます。本日は
農業資産相續特例法案
を議題といたしまして、これに對する
政府委員
の
提案理由
並びに各條に對するところの
説明
をお伺いすることにいたします。
井上良次
2
○
政府委員
(
井上良次
君)
只今提案
になりました
農業資産相續特例法案
につきまして、その
提案
の
理由
を御
説明
申し上げたいと存じます。 實は大臣が
提案理由
の
説明
に出席する豫定でございましたが、本日は二十二年度産米の
割當會議
を
地方長官
を集めていたしております
關係上
、甚だ申しわけないのでございますが、私が代りまして御
説明
いたすことにいたしたいと思います。
日本
の
農業
はその
經營規模
が極めて零細であることを特色といたしておるのでありますが、これがために高度の
農業技術
の導入が妨げられ、
農業生産力
の
發展
は非常に停頓いたし、現に今日
農業
の
近代化
の大きな障碍とな
つて
いることは皆さん齊しく認めるところでございます。而もかような零細な
經營
の
崩壞
を支え、辛うじてその
維持發展
を齎らした所以の
一つ
は、その可否はともかくといたしまして、我が國の
家督絹續制度
にあつたことはこれ又異論のないところであると存じます。然るに前
議會
におきましては、
日本國憲法
の
施行
に伴のう
民法
の
應急的措置法案
が上程可決せられ、我が國の相
續制度
は改正されることになりまして、
家督相續
が廢止され、
遺産相続
だけが行われることに
なつ
た次第であります。從いまして若しも
農業
の相續に際し、
遺産
が
均分
により
分割
相續されるに至りますならば、さなきだに過少な
農家
の
農地
その他の
農業資産
は更に
細分化
され、一層零細脆弱な
經營
状態
となるか、又は
農業經營者
が相續の行われる毎に過大な
債務
を負擔して、
小作
農同様の
地位
に
陷いるか
のいずれかの途を迫る虞れがあると言わねばなりません。 かくては現に
實施中
の
農地改革
により折角創設された自作農も再び
小作
農同様の
地位
に轉落し、
日本農業
も亦弱體化し、我々が
農地改革
の結果に期待すべき
農業
の
近代化
と、
農村民主化
の實現に重大な支障を及ぼすに至ることは明らかであります。從いましてかように相續に起因して
農業資産
が
細分化
されることを防止すると共に、進んで
農業
を營むべき
相續人
に對し、相
續上
の保護を與え、
農業經營
の安定とその健全な
發展
を圖るべき必要なる
措置
を講じますことは今日
絶對
に必要であると確信をいたしている次第であります。 而して新
憲法
の
施行
せられております今日、古き
家督相續制度
の觀念から脱却すると共に、新
憲法
の理念に立脚し、新たなる觀點より
農業
の
社會的生
産
力發展
の基盤を確保するために、
農業資産
の相續について
民法
の
特例法
を制定せんとするのか、即ち本
法案提案
の
理由
の
骨子
であります。 以下
法案
の主要なる
内容
について
概略
を御
説明
申上げたいと存じます。 先ず
農地
その他の
農業資産
は、相続によ
つて
これを
分割
することを禁じ、一人が相續することにいたしたのであります。そうして
農業資産相續人
については、
家督相續
の概念から脱皮して、
農業
を
營む見込
のある者が
相續人
になることを
建前
といたし、被
相續人
の
指定
した者又は
共同相續人
の
話合
によ
つて
選定した者が
原則
として
相續人
になることといたしたのであります。 次に
農業資産相續人
は、相
續上農業
の
収益
による負擔力以上の
債務
を負わないように留意いたしまして、他の
共同相續人
と同様の相
續分
を受ける外に、
一定
の特別の相
續分
を受けることにいたすと共に、他の
共同相續人
は
農業資産
が一人の
相續人
に歸屬することによ
つて
不當に
利益
を侵害される場合には、
一定
の
範圍
で
農業資産相続人
に求償するごとにいたしまして
相続人間
の
利益
を公正に調和することにいたした次第であります。而して
農業資産
の相
續上
の問題が、
裁判
に附せられる場合には、
裁判所
は
農地委員會
の
委員
の
意見
を聽くことを必要とすることにいたした次第であります。 以上が
法案
の主要な
内容
でありますが、何卒
愼重御審議
の
上速
かに御協賛あらんことをお願いいたします。
山添利作
3
○
政府委員
(
山添利作
君) 極く
簡單
に各條についての御
説明
をいたします。 第
一條
、これは
法律
の
目的
を掲げただけで別に申上げることはありません。 第
二條
には、何がこの
法律
において
農業資産
であるかということを掲げました。これは
土地
、耕やします
農地竝びに住居
、又その
宅地
、それから
農業經營
を營むのに必要なる主なる農具、
家畜等
の
範圍
を決めておるのであります。 第一號については、
農業
を
營むところの土地
の
所有權
、又
小作地
であれば
賃借権
、そういう權利、それから
農業
を營みます場合に、若し
自家用薪炭林等
をその
農家
が持
つて
おるといたしますれば、これは
當然農業經營
に不可分に必要なものでありますので、
自家用薪炭林
をもこれに含めて、おるのであります。第二番目は、
自家用薪炭林
であるとか、或は
果樹園等
の
關係上
その
土地
の上にある樹木、これを掲げております。第三番目は住まう建物、又農作業に使う
農舎等
を掲げております。第四號はその敷地……
宅地等
であります。第五番目に掲げておるのは、別表にある主なる
動産
でありまして、これは相當の
財産的價値
のある
動産
ということにいたしております。
農業
を營みますのには、これ以外の
動産
が澤山あることは申すまでもありません。第一、種苗であるとか、肥料であるとか、
家畜
にしても、鶏まであるわけですが、そういう細かいものは考えないで、
法律
の
建前
としては主要なる
動産
に
限つて
おります。 これが
農業資産
の範囲でありますが、一言御注意までに申上げておきたいことは、
自分
がみずから
經營
をしておる
農地
が
農業資産
として不可分に相續されるということでありましで、他に
小作
に出しておるという
土地
は
目的
にはなりません。これは
農業經營そのもの
の安定を圖るという
意味
からでありまして、單なる普通の
意味
における
財産
即ち
小作地
として他に貸してあるようなものは
目的
に入
つて
おりません。併しながら第
二條
の二項におきましてたまたま他に
小作
に出しておりましても、これが一時の
事由
で他に出しておるので、當然又特別の
事由
がありますれば、
自分
が
引取つて耕
やすというようなものにつきましては、これを
農業資産
の
範圍
に含めております。尚この
法律
を適用いたしますのにつきましては、一
段歩
以上の
土地
について、耕作の業を營んでおる
農家
ということにいたしております。この一
段歩
と決めましたのは、まあ大體從來から、例えば
農業曾
の會員になる
標準
を一
段歩
ということにいたしておる
關係上
、一
段歩
というような
標準
をとつたのでございます。 第三條に參ります。第三條に
規定
しておりますことは、
農業資産
は一人の者がこれを相續するということであります。この
法律
の
骨子
は、要するに一人が相續するということと、その相續する者は
農業
を
營む者
でなければならんということ、それから全體の相
續財産
の中の半分、五割を限度として、
農業資産
に相當する
價額
は、その
農業資産
を
受繼ぐところの相續人
が
特別相續人
として相續をする。この
三つ
の點に盡きるのであります。第三條は一人が相續をする、こういうことを決めておるのであります。その第二項は、第
八條
第二項又は三項とありまするのは、結局
農業
を
營む見込
の者がないという場合におきましては、即ち
農業經營
が繼續されないという場合におきましては、これは普通の
民法
の
原則
に立戻りまして、
均分相續
になるということであります。これは先に申しました
小作地
がこの
農業資産
の中に含まれないということと同じ
趣旨
であります。 第四條以下は如何にしてこの
農業資産
を相續するところの一人を決めるかということを
規定
しておるのでありまして、第四條は被
相續人
、即ち
晋通
の場合におきましては、
父親
が
自分
の子供の誰に
農業資産
を承繼せしめるかと、
豫め指定
をして置くということを書いてあるわけであります。この
指定
は何時でも
取消
すことができるし、又その
指定竝びに取消し
は
遺言
でもこれをすることができる。これは固より、一人の
意思
の自由、或いは
遺言
の自由という事柄と同じ
意味
であります。恐らくあんまり
日本
の場合こういうことが行われるとも思いませんが、
順序
といたしまして第四條に書いてあります。
策五條はかよう
に
父親
から
指定
を受けた
相續人
があるといたしまして、
そのもの
は何時でも、又相續の放棄をすることができ期間に
限つて
、
農業資産
の
相續人
たる
地位
を放棄することができる。これ又人の自由というような
意味合
におきまして、こういう
規定
を掲げてございます。 第六條は
指定相續人
が、即ち
指定
されました
相續人
が
當該農業資産
について
農業
を
營む見込
がないということが明かであるという場合に
裁判所
は他の
兄弟等
の
共同相續人
の
請求
によ
つて
第四條によ
つて
被
相續人
がいたしました
指定
の
取消
をすることができる。即ち
根本精神
として
農業資産
の相續ということによ
つて農業經營
を安定し、又そのことによ
つて
この特別の
法律
によりまして
農業資産
を相續する人は特別の
利益
を受けることにな
つて
おりまする
關係
でこれらのことは總て
農業
を繼續して行く、
實際
に營んで行くということが
根本
にな
つて
おりまするので、單なる成人の
財産
上の
利益
を與えるということではございませんから、
農業
を
營む見込
がない時は、
指定
の
取消
ということが行われるという
意味
でございます。 第
七條
におきましては、この
指定相續人
がない場合、若しくはこの一
項目
、二
項目
、三
項目
に掲げておりまする
事由
によりましてなく
なつ
たという場合にどうするか。これは恐らく多くの場合、
實際
には第
七條
が普通の場合であると思いまするが、その場合には
兄弟等
の
共同相續人
が
相談ずく
で誰が
農業資産
を相續するかということを決めるわけであります。第
八條
になりまするが、この
兄弟聞
の協議によ
つて
誰が相續するかということが決まらない場合、又は
兄弟
が遠隔の地におるというような
理由
で
相談
をすることができない場合におきましては、
裁判所
は
相續人
の
請求
によりまして誰が
農業資産
を承繼するかということを選定する。二項、二項は
農業
を
營む見込
のある者がない場合、又總ての人が、
共同相續人
が
農業
をやる
意思
がない。こういう場合にはかような選定をしない。これは
原則
に立戻りまして
民法
の普通の
原則
によるわけであります。これは第三條の第二項において先程申しました結局第四條によりまして被
相續人
が
農業資産
を相續する者を
指定
することができる。これが第一段、又
指定
がない場合或いは
指定
された者が
五條
、六
條等
の
理由
によりまして
農業資産
を相續しないという場合には、結局第
七條
によりまして
共同相続人
が
相談ずく
で決める。その
相談
が決まらなければ第
八條
によ
つて裁判所
が決める。こういう
三つ
の
順序
と申しまするか、場合があるわけであります。 第九條は單なる
法律
上の
規定
であります。 それから第十條、この第十條は、
特別農業資産相續人
が
特別相續分
を受けるということを
規定
いたしたのでありまして、第十條の二項から讀んで參りますれば、「
農業資産相續人
が前項の
規定
による相
續分
の外、二分の一の相
續分
(以下
特別相續分
という。)を受ける。」第一項におきましては
農業資産
の承繼をする人がある。この場合には各
共同相續人
の
相續人
が普通の
民法
、又
日本國憲法施行
に伴う
民法
の
應急措置
に關する
法律
、この
法律
によ
つて
定まりますところの
均分相續
、この相
續分
の二分の一を貰う。即ち半分に削減されるわけであります。その半分はどこに行くかということが、この第二項即ち
農業資産
の
特別相續人
は、
特別相續分
として二分の一を受ける。こういうことを
規定
いたしてあるわけであります。この三項以下いろいろ贈與があるとか、こういういろいろの場合において、どういうふうに分けるかということを、普通の
民法
の
原則
に
從つて措置
をするということが書いてあるわけであります。第十
一條
は、
遺産
の
分割
によ
つて
、
農業資産
は、
農業資産相續人一人
に一括歸屬する。 第十
二條
でありますが、これは先程申しましたように
農業資産
の
相續人
が全
財産
の二分の一を超えない
範圍
で
農業資産
に相當する
價額
を
特別相續分
として受ける。こういう
關係
にな
つて
おります。これは
實際
の
農業資産
について餘計貰い過ぎるというような場合がある。それらに關することの
調整
であります。第十
二條
の第一項の場合は、
農業資産
の
價額
が、
農業資産相續人
の、この
法律
によ
つて
定まりました相
續分
よりも餘計であるという場合であります。例えて申しますれば
農業資産
の
價額
が八
萬圓
である。ところが
實際
上その
農業資産相續人
の相
續分
として定められたものが七
萬圓
であるというような場合には、その差額の一
萬圓
をおのおのの相
續分
に應じて分ける。こういうことを
規定
しております。第二項はその反對といいまするか、
法律
によ
つて
定められました相
續分
よりも
農業資産
の
價額
が低いという場合であります。七
萬圓
が
農業資産相續人
の、
法律
によるところの
相続分
である。
農業資産
は五
萬圓
であるというような場合に、二
萬圓
餘計貰い過ぎているという
關係
が起りますので、これを他の
共同相續人
に分配をするということになるわけであります。この全體を見まして、こういうふうに例を以て申上げますれば分り易いと思いまするが、假にここに十
萬圓
の全體の相
續財産
があるといたしまして、その中七
萬圓
が
農業資産
であるといたします。而して
簡單
にいたしまするために
妻等
のことは考えないで、
兄弟
二人で分けるという場合を考えて見ます。そういたしますと、
農業資産
を受ける人を假に兄といたしますと、兄はいくら貰うか。これは第十條によりまして、まず十
萬圓
の中の五
萬圓
は兄が貰う。而して殘りの五
萬圓
は
兄弟
二人で分ける。即ち兄の方は七萬五千圓を受取るということになるわけであります。弟の方は二萬五十圓を貰う。こういう
関係
になります。で、その場合におきましては、この十
二條
の両方、一項も二項も適用はないのでありまして、
農業資産
の
價額七萬圓
は兄が貰うところの七萬五千圓の
價格
を超過しない。又第二項によりまして、兄の
特別相續分
によ
つて
受けましたところの
利益
なるものが五
萬圓
であります。これは
農業資産
の
價額
を超過するわけではありません。
從つて
この十
二條
の如き
措置
をする必要はないということになります。併し又いろいろ例を取れば、こういう十
二條
のような
關係
の起
つて
來る場合が出て來るわけであります。このようにいたしまして十
二條
によ
つて農業資産
の
相續人
が餘計貰つた。即ち
農業資産
の
價額
が殆ど全體の
財産
の大部分を占めておるというような場合或いは
農業資産
の
價額
が全體の
資産
の半分より以下である場合、この二つの場合には、十
二條
による
調整
が起るわけでありまするが、斯様な場合において、他の
共同相續人
に補償をするところの額、その支拂の
方法等
は、お互いの
共同相續人
の間のことでありますから、その
相談
によ
つて
決める。その
相談ずく
で決まらなければ
裁判所
が決めると、こういうことが書いてあるわけであります。第四項は外部に對する
債権等
の
關係
、これが
民法
の普通の
原則
に依るが如くに書いてあります。それから第十三條、
遺産
の
分割
をする場合において、相
續財産
の中に
農業資産
に屬するものかどうか分らないというものが假りにあるといたしますれば、それは
裁判所
で決めて貰う。それから第十四條は
農業資産
の相屬ということは、繰り返して申しますように、その人が長く
農業
を繼續して行くということが
根本
の
精神
であり、条件にな
つて
おりますので、斯様に
農業資産
を一時相続いたしましても、而して
特別相續人
の
利益
を受けておりながら、任意に
農業
の
經營
をやめたという場合におきましては、
特別相続人
による
農業資産
の粗
續人
が受けた
利益
を他の
共同相續人
に拂い戻すと、こういう
規定
でございます。併しながらこれが一時やめた。又例えば健康が快復すれば
農業
を
營むというような
場合には、この十四條の
規定
は、これを適用しない。こういうときであります。それから第十
五條
は、
農業資産
は、これを物として
分割
出しないので一人が相續すると、こういう
意味合
からの
趣旨
の徹底という
意味
から、
農業資産
の
相續人
が贈與を受けた。而してそれが
共同相續人
の遺留分を害した。その
報合
に、返して呉れという場合には、物で返さないで
價額
で返す。こういうことが
規定
してあります。それから第十六條は
農業資産
の
評價
を如何に見るか。これは勿論
時價
の
範圍内
で
農業經營
の
収益
を
基準
として、これを定めなければならん。この十六條の
意味
は
農業經營
の
収益
を
基準
としてこれを定める。現在の價
状態
はいろいろでありますから、一概に申せないのでありまするが、通常の
自由經濟等
の
時代
におきましては物の賣
買價格
よりも
農業収益
から見た
農業資産
の
價額
は低い。
農業収益
は大體今まで低かつたのでございまするために、
農業經營
の安定を期するという
意味
からは、この
農業資産
の
評價
に
當つて
は高い
評價
をしない。
農業經營
の
収益
というものから逆算をした
値額
を
標準
として定める。これは
特別相續分等
を認めましたと同じ
理由
によるところの
農業經營
の安定を期するという
趣旨
でございます。その他十
七條
、十
八條等
については申上げることはありません。 第十九條は
裁判所
の
裁判
、これはいずれ
簡易裁判所
ができますれば、そこで
裁判
をして頂くことになりますが、何と申しましてもこれは
農業經營
を繼續して行こうということでありまして、誰が
農業
を
經營
する見込みがあるかというようなことにつきまして、
市町村農地委員會
の
委員
の
意見
を聽いて、
裁判所
が定める。甲と乙が
農業
を
營むというような
場合に一人を選定する。どちらが
農業經營
に適するかというようなことについては、その村におけるところの
農地委員
の
意見
を聽いて
裁判所
が定めるということであります。 第二十條は申上げることはございません。極く
概略
でございますが、以上を以て
説明
を終ります。
伊藤修
4
○
委員長
(
伊藤修
君) これより
質疑
に入ります。
羽生三七
5
○
羽生
三七君 御
提案
になりました
農業資産相續特例法案
については、今
政府委員
の御
説明
でよく分りましたが、甚だ恐縮でありますが、多少私
質疑
というより
意見
に亙る點があるかと思いますが、お許し願いたいと思います。御
説明
でよく分りましたし、この裏の一
提案理由
にありますように、結局
農業經營
の安定を圖るために出す
法案
でありますから、
趣旨
は誠に賛成であります。殊に先般
施行
された
農地改革
によりまして、
農村
においては
土地
問題については革命的な變化が起
つて
おりますが、その結果として場合によりますると、却て
農業
の
細分化
、或いは
零細化
を招來しておるような嫌いが相當あるのであります。そういう點で、恐らくこの
法案
というものの持つ
價値
が高く
評價
されるかと思うのでありまするが、ただこの場合私達が考えなければならないことは、これは
一つ
の例でありますけれども、嘗て十數年前のあの
農業恐慌時代
を考えて見ますというと、
農業
自體では生活のできない
次男
、
三男
というものが澤山できまして、これらの人達が皆
都會
の
勞働者
の職場に殺到いたしまして、
勞働者
の賃金を低下さしたと思います。或いは
地方
におきましては銀行、會社、役場、
學校
その他少くとも働ける如何なる場所へでも使
つて
貰いたいということになりまして、多くの
俸給生溶者
の待遇というものを低下させる直接の原因にな
つて
おります。恐らくこれが
日本
の、まあ理窟になりますけれども、非常な非民主的なる、封建的であつたことを
規定
する重要な要素にな
つて
おると思うのでありますが、假に
農業資産
の
細分化
がこの
法案
によりまして阻止されましても、
實質
上
將來日本
に
長男
以外の
次男
、
三男
が何らかの形で生活できるという形が創造されない限り、
實質
上においては又再び昔のような非常な
農村恐慌時代
が起る
可能性
があると思うのであります。そういう
意味
から考えますというと、私はこの
法案
の
趣旨
を活かして行くために、先般
農林委員會
で審議されておるような
農業協同組合法
とか、或いはその他種々なる
對策
が併せて考慮される。種々なる
對策
という場合にはどういうものがあるかと言いますと、例えば
農村工業
というようなものがあります。そういうものが併せて活かされて行きませんというと、結局恐らく數年後に、來るべき我が國の
農村
の將來を考えますというと、
次男坊
、
三男坊
は行き場がないわけであります。而も恐らく今日あらゆる
行政部面
を見ましても
實際
に人員は
飽和點
に達して、むしろ過剰の
状態
でありますから、これを
都會
において吸収し得るということは現状においては考えられないと思うのであります。そういう
意味
から考えまして、私達は若し
長男
だけが相續をいたしまして、その
財産
が
長男
に歸屬し、
次男
、
三男
が行く所がないといたしますと、
同居人
としてその家族内の成員として止ま
つて
農業
に從事するか。或いは
雇用関係
として他の
農良業生産者
の下に
農業勞働者
として勤めるか。そういう形が現われて來ると思うのであります。そこで私はそういう
意味
におきましては
次男
、
三男
がなかなか困難な
状態
に置かれまして妻帯をするとか、一家を持つというようなことは非常に見透しが困難であります。そこで私は飽くまで先程申上げましたように
農業協同組合法等
が活かされ、その中に
協同
の
生産形態
というものが或る程度採り入れられる。このことは何も私は
私有財産
の否定を
意味
する
精神
を含んではおりません。それはお断りいたして置きます。あくまで
協同
の
精神
に基くそういう
農業生産
の形というものが活かされて行かなければならんと思います。それから一方においては
次男
、
三男等
を収容する
農村工業
というようなものが
政府
において相
當程度力
を入れる。
農村
の
白發的
に盛り
上つて來
るのを待
つて
おるだけでなしに、
政府自身
がそういう問題について相當力を入れてやりませんというと、
長男
はそれでよろしうごごいますが、又同時に我が國の
農業
の
細分化
はこれによ
つて
防止されますけれども、
農村
全體が果して民主主義的な、或いは文化的な生活を營み得るかということになりますと、極めて困難なる將來が豫想されると思うのであります。この
意味
におきまして私は今申し上げたようなことが同時に
政府
の方針として併せて採られることを希望するわけであります。箇々の逐條的な問題につきましては他日に讓りまして、これだけを、これは
質疑
というよりは、多少外れておりまするけれども、希望として申上げて置きます。
井上良次
6
○
政府委員
(
井上良次
君) 只今の、御
意見
を中心にする
政府
に對する御質問については全く同感でありまして戰爭に敗れた
日本
がこの狹隘な國土で、而も限られた耕地の上で
農業經營
を營む場合に、如何に
法律
でそれを食い止めようといたしましても、みずからの生活を營む基礎が確立しておらん限りにおいては、この
法律
的な效果は現われて參りません。一方
農地
の
經營
の合理化を圖り、
農地
の
細分化
を防止しようというためには、どうしても今御指摘のような
農業
協同
組合の健全な發達を促しまして、特に從來のような購買利用という面の力よりも、
農村
技術面の指導、この面を積極的に
政府
は援助いたしまして、そうして
農村工業
を飛躍的に高めて行く。これはいろいろ立地條件によ
つて
異なるのでありまして、例えて申しますというと單作地帯の面における
農村工業
はどういうものが適當するか。或は又單作地帶でも特に東北のような山を中心にする工業、更に又表
日本
のような地域、或いは又は西
日本
のような地域、それぞれの立地條件に適合する
農村工業
を飛躍的に振興させなければ駄目でありまして御存じの通り、重要な工業都市は戰災に遭
つて
、その復舊が未だ遲々として進まない現状におきましては、どうしても
農村工業
に
政府
が大きな力を加えなければならんということで、今農林省におきましても、新年度の豫算を組むに當りましても、如何にして
農村
の振興を圖るかということを中心に、例えば畜産の五ケ年計畫、或いは植林と言いますか、造林の方面に對する具體計畫、或いは開拓方面に對する計畫、或いは漁村を中心にする海産物にも飛躍的な増産という方面に力を入れまして、專業
農業
以外の餘剰勞力を、どう一體最大限に活用して、
農村
の經濟を安定さすかということに全力を注ぐ方針を探ろうといたしまして、折角檢討を加えておる次第であります。全く御説のように、我々も全力をその面に注ぎたいと考えておる次第であります。
松村眞一郎
7
○
松村眞一郎
君 私はこの、條文の細かいことに入るのじやありません。第十
五條
に「減殺を受けるべき限度において贈與又は遺贈の
目的
の
價額
を遺留分權利者に辨濟しなければならない。」という、この問題が、餘程これを實行する上に重大な
關係
があると思う。それは
分割
を防ぐものは一人の人に集中する。その代り金だけでその遺留分權利者に渡すと、こういう思想ですね。そうなりますと金のない場合のことを私は考えなければならんと思います。それはどうしてもそこまで深切に考えなければ、實行において非常に不可能と思います。そこで私は
農業
動産
信用法というものがあ
つて
、これが從來あまり十分適用されていないと思う。どのくらい運用されておるか。それも併せて伺いたい。ところがその
農業
動産
信用法の中の先取特權の
關係
と、抵當權の
關係
と二つあります。抵當権の節圍をこの
動産
の
範圍
と同じようにされることが、非常に適切だと思うのです。片方においてこの
動産
が……、表があります。今度のこの表を見ますというと、ここに別表というものが掲げてありますが、石油機關とかいうものが、
動産
信用法の中の別表と、
施行
令の方の、
農業
動産
信用法
施行
令の掲げるところのものと、ほぼ一致しておる。ところがこれは全然一致していません。私はこういうことは餘程農林省の方でも御注意にな
つて
、この抵當權の
範圍
における
農業
動産
信用法の
施行
令の第
一條
に掲げてあるところのいろいろな品目と、この品目と一致させることが非常に深切なやり方だと思います。そうしないと擔保に取るときに非常に不便である。それは抵當權の場合でありまして、先取特權の方は、別に障りないのであります。その御考慮を煩わしたい。なぜかというと
實際
においてその運用を深切に考えないと、ただ
法律
を出したらいいというものじやないのでありますから、
動産
信用法が從來どのくらい行われておるか。この場合どのくらいそれを活用させるつもりであるかということを承りたい。
山添利作
8
○
政府委員
(
山添利作
君) この前に
農業
動産
信用法ができたのでありますが、後に實績を調べまして、分かれば御報告申上げますが、實は殆ど活用にな
つて
おりません。現在では殆どあれは使われておりませんわけであります。數字的には後に調査をいたしましてお答をいたします。 この
法律
全體の問題として、何らか金融の途をつけておくことが必要ではないかと、これは御指摘になりました十
五條
の
關係
、又十
二條
の
關係
共に、金があればよろしうございますが、ない場合に困る。これは
法案
を立案いたします途中におきましても、いろいろ考えたのでございますが、丁度只今インフレーシヨンの時期にあ
つて
、できるだけ金の出ることを抑制しなければならんということもございまして、將來状況の變りました時に、又どういう程度の必要があるかというようなことを見ました上に、金融については特別な考をいたしたい。こういう積りでおります次第であります。
北村一男
9
○北村一男君 逐條的には後刻お尋ね申すといたしまして、私はこの法文を讀んで、なかなか難解である、私のみが
法律
を咀爵する力がないかと思
つて
、同僚議員に尋ねて見ましたら、やはり難解である、これは一體誰を對象にして
法律
を作つたか。農民のために作つたものであると私は考えます、こういう點に私は官僚の不深切さというものがにじみ出ていると思います。もう少し深切に、分り易く作る能力が官僚にないのか。そういう深切がないのか。私はこの點について先ずお尋ねしたいと思うのであります。
山添利作
10
○
政府委員
(
山添利作
君) 細かい所になりますと、分りにくい所が非常にあります、例えば全體としての
民法
の
規定
から言いましても、私自身も
均分相續
權ということをよく知らない、これは
法律
といたしましては、農民を對象とする場合でありましても、又その他の者を對象とする場合においても、分り易くするように努力することは當然であり、又新しい
憲法
以來、この平かな等が使われる。そうして國語體にな
つて
いることも、只今御指摘になりましたような
目的
を達するためでありますが、まだ遺憾ながらそういう
法律
の書き方がそこまで至
つて
いないのが今の立法技術士の現状でありまして、心持は同じでありますけれども、まだそこまで行
つて
いないのであります。こういうふうに御了解を願いたいと思います。
北村一男
11
○北村一男君 ちよつと關連して、どうも只今の
説明
では、私は御努力が足らんと思うのであります。まだこの條文の中で、今審議に當りましても、關連の法規をここにお出し下さるというような深切さもなく、すべてが一事を以て萬事を推することができるように、甚だ不深切であると考えるのでありますが、今後こういう
法律
を作る場合においては、特に法文とかを、文化の程度が低いと言われる農民を對象とする場合に、特に分り易く書いて、そういう方向に向
つて
御努力願いたい。こういうことを希望しておきます。
松井道夫
12
○松井道夫君 このたび新
憲法
の
施行
によりまして、家督相続というものが廢止せられ、
從つて
財産
の
均分
という、相續
關係
においてはさようなことに相成つたのであります。ところでこの制度は
日本
におきましては始めてでございますので、今後これがどういう工合な影響を社會生活に及ぼすかという點につきまして、識者はそれぞれ憂慮いたしておるのでありますが、それに關連しまして、この
法案
が立案せられたものと存ずるのであります。これを審議するに當りまして、私共はこの
均分
制度は我が國においては初めてではありまするけれども、諸外國においていろいろ今まで行なわれておるのではないかと存ずるのであります。その諸外國におきまする
農地
關係
とその他の制度等の
關係
はどういうことにな
つて
おるか。これを參考にいたしたいのであります。又これはすでに五月三日から
施行
されておりますので、現在に至るまですでに數ヶ月を經過し、その間にこの
法律
で
規定
せられておるようなことが、
實際
問題として惹起しておると存ずるのでありまするが、
實際
これがどういう工合に取扱われ、解決せられておるのか、その點についても、當局にその情報が入らない筈はないと思いますが、この
法案
の立案について參考になると思いますので、その點の御
説明
を願いたいと思うのであります。先ず只今のことから御
説明
を願います。
山添利作
13
○
政府委員
(
山添利作
君) 先ず後の方から御答えいたしまするが、この
法案
は元來、この前の
議會
に提出をいたしまして、新
憲法
の
施行
と同時に實施をいたしたいという考でございましたが、色々
關係
方面との折衝等でち遲れたのであります。その間數ヶ月經ちまして、事實新
憲法
實施以來、
農家
にも當然相當數の相續が行なわれておるわけでありますが、併し具體的にそれがどういうように處置をされたかということにつきましては、別段調査も實はいたしておらないのであります。
從つて
分らないのであります。併し參考資料として差上げました、
農村
のこの事柄に関する輿論調査というものがお配りしてあると存じますが、それによりますと、
農村
方面では、固より
均分相續
ということは全然新しいことでありまするから、新しい、慣れないものに對する反撥ということもありましようが、兎も角
農業資産
が
均分
的に相續されるということにつきましては一〇〇%に近い反對を惹起して、不
分割
に相續することをよしとすることが壓倒的でございます。そういう
農村
方面の
意見
又從來の傳統という點から考えまして、これは大體こういうような
法律
の
趣旨
に副
つて
來ておるのではないかということを想像いたしております。それから外國における例でございますが、勿論外國におきましては、只今お述べになりましたように、
均分相續
と
農地
との
關係
をどうするかということにつきましては、
農業
上の要求とか、それから
均分相續
の自由思想との間に、長い問いろいろな調和を見出すための社會的な問題であつたわけであります。ドイツ等におきましても、一人に相續させる、これを
遺言
でやるというような制度、或いはだんだん
發展
しましてナチスの如きは、これは思想が違いますけれども、御承知の世襲農場というところまで
發展
しておりまして、スイス等におきましては、
細分化
の最低單位を決める。これも州別によ
つて
違いまするが、まあ
日本
で言えば八段、一町というような最低の面積を決めて、
分割
によ
つて
それ以下の面積になるということを防ぐというような
法律
もあつた。又その他のことにつきまして特に家産制度に関する效果というようなことは、參考資料も差上げておるのでございますが、海外におきましても非常に苦しんだ問題であるわけであります。概ねそういう苦しみ方をした結果としては、大體いわゆる參考と考えますものは、或最低面積を決めてそれ以下の
分割
を禁止するという思想、それから一子相續、ドイツ等に行なわれる
遺言
によるという制度、この二つの點が注たる參考になるのではないか、こういうように考えております。
松井道夫
14
○松井道夫君 只今御
説明
になりました外國の制度、これに對しての資料はまだ頂戴していないのでありますが、できるならば急速に頂戴できるようにお願いしたいと思います。
山添利作
15
○
政府委員
(
山添利作
君) 差上げてある筈なんですが……。
松井道夫
16
○松井道夫君 私は頂戴しておりません。それから輿論をお調に
なつ
たということですが、これもちよつと見當らんのでありますが、資料がありましたら纏めて、できるだけ急速に頂戴したいと思います。それから今の御
説明
に關連して伺いたいのは、これを家産制度ということにいたしたらどうかということをお考えに
なつ
たかどうか、それが一點であります。 それからこの
法律
では
特別相續分
ということを認めました
關係
で、非常に難解複雑にな
つて
おるように存ずるのでありまするが、考え様によりましては、さような相
續分
に特則を設けるということでなしに、大體
遺産
の
分割
によ
つて農業資産
というものを
分割
することができないということにいたしまして、この
農業
をどうやづて行くかということは、
相續人
の協議によ
つて
これを決めて行くというようにすれば、それでいいように存ぜられるのであります。その點についての御
意見
を伺いたいのであります。 それから第三に、これは經過
規定
といたしまして何らの
規定
がございませんが、既に先程申しましたように、五月から
均分相續
ということが實施せられておりますので、この
法律
が實施されまする間におきまする相續、これをどう取扱うかということにつきまして、經過的の
規定
が必要ではないかと存ぜられるのでありますが、それを必要なしと認められた
理由
を
一つ
……。
山添利作
17
○
政府委員
(
山添利作
君) 家産制度をとりますれば、
農業
と安定、又繼續ということは更に一層徹底するわけでございまするが、それだけに又不便も半面にあるわけでありまして、例えば金融の點等においては、忽ち困るという點もございます。のみならず我が國
農業
の形態でも、今後相當やはり研究の結果によ
つて
變
つて
行くというような點もございまするので、まあ主といたしまして家産制度をとれば、結局
農業資産
を擔保にして金を借りるのに非常に不便を來すというような點もありまするので、そういう固定的な又金融上面白くない影響を及ぼす家産制度は、これを研究の結果とらないということにいたしたのであります。 それから
特別相續分
という制度を設けることによ
つて
、
法案
が非常に複雑にな
つて
おるのでありますが、そういうことなしに、どうせ
兄弟
の間柄でおるから
相談ずく
で任しておいたらいいじやないか。これも
一つ
の
日本
的な考え方ではあろうと思います。併しながら苟くもこういう
法律
を決めます以上は、事柄が問題になりますのは、結局爭のある場合が問題になるので、その場合に如何なる
基準
を以てどう
措置
かするかということは、やはり
法律
を以て決めておく必要があるわけでありまして、その
意味
におきまして遺留分を害さない
範圍
において
特別相續分
を認める。こういうことにいたしたのであります。 尚又繼過
規定
の點でございまするが、これは遡及してこの
法律
を適用するわけには行きませんが、すでに行われたる相續は、これはその
法律
、即ち
均分相續
制による。事實この處理につきましては、先程申上げましたように
農村
の事情と輿論でありまするから、爾く不都合なる事柄は起
つて
はいないようなことで、それぞれ解決がされておるだろう。こういうふうに考えております。
松井道夫
18
○松井道夫君 先程申上げました第二點でありますが、
法律
によ
つて
少しも規正をしないということでなしに、
農業資産
は、
遺産
の
分割
によ
つて
これを
分割
することはできないのである。それから
指定相續人
というものを作
つて
も少しも差支ないのであります。ただ折角
均分
の相續に
なつ
たのを、
特別相續分
といつたものを作
つて
、その例外とするというところに非常に複雑なる點がありますので、その
特別相續分
というものを認めずに、
原則
によ
つて
、
均分相續
にしおけば非常に
簡單
ではないか。ただ
農業
を
經營
して行く
農業資産
による
収益
その他の
關係
は
共同相續人
の協議によ
つて
決めればよろしいではないか、又被
相續人
が
指定相續人
を定めますることにつきましては、
遺言
等におきましてそれぞれ相當の處置をする場合も考えられますので、特にこういう
均分相續
の例外をなしまするところの
特別相續分
というものを作
つて
法律
關係
を錯雑ならしめる。
民法
の
原則
と違うものを作
つて
法律
關係
を錯雑化するということは頗るわかりにくい事柄ではないか。かような
意味
であります。その點について伺います。
山添利作
19
○
政府委員
(
山添利作
君)
特別相續分
の制度を作ります事柄は、
農業資産
の不
分割
、即ち一人が相續するということと竝んでこの
法案
の重要な點をなしておるところでありまして、若し
民法
の
原則
通りに
均分相續
にすると、勿論物としての
資産
を一人が承け繼ぐとしましても、相
續分
を、
價額
を
均分
に分けるということにいたしますれば、
農業資産
を承け繼いだ人が、その
農業
を繼營して行く間において、他の
共同相續人
の多額の負債を負い、これを或期間に償還をして行かなければならん、そういうことでありますれば、これは
農業
を承繼したところの
相續人
に非常に重い負擔を課すことになりまして、一面からいえば、現在
農地
制度の改革によ
つて
、
小作
農を自作農にいたしておりまするが、そうすれば丁度
兄弟
の間で新しく又
小作
關係
……、繼濟的な
意味
においては同じような
關係
を作ることになりまして、
小作
關係
を再生産をするというような形にもなるわけでありまして、
農業經營
を安固に、又
發展
する
農業經營
として繼績せしめますためには、どうしても過大なる負擔を負わさないような制度を考える必要があるわけでありましてそのためにはどうしても特別粗
續分
という制度を認めて、そうしてこの
農業
を承繼して行く人が、
均分相續
によるところの大なる負擔を負わないようにしておく必要があるわけであります。固より親が
遺言
によ
つて
處置すればいいじやないか、これも理論としては一應言えるわけでありますけれども、現實問題として
日本
にあまりそういう
遺言
の習慣があるわけでもありません。これはむしろ
遺言
に代わるべき制度として、こういう特別の相續に關する
法律
が必要じやないか。かように考えておる次第であります。
伊藤修
20
○
委員長
(
伊藤修
君) 午前の
質疑
はこの程度にいたしまして、次は午後にいたしたいと思います。午後は一時から
開會
いたしたいと存じます。これを以て休憩いたします。 午前十一時四十八分休憩 —————・————— 午後一時三十七分
開會
伊藤修
21
○
委員長
(
伊藤修
君) これより
委員會
を
開會
いたします。午前に引き續きまして
質疑
を繼續いたします。
北村一男
22
○北村一男君 第
二條
の「一時耕作の業務を營むことをやめ、」というのでありまするが、これはちよつと問題の焦點が外れるかも知れませんが、止めますと
小作
に出すというような場合があると思いますが、現實の問題として
小作
に出した
土地
は、そのときもう今度耕作をやるときは返して呉れるということを條件にしましても、今日
農村
の實情としてなかなか返して呉れませんから、一時に耕作の業務を營むことを止めるということは、若しも
小作
にそれを出す。又出さなければ今後、
農業生産
調整
法などが出ますと、作付けの命令などが出ますと、どうしても耕作をしなければならん。一遍出せばなかなか現實として返
つて
來ないということになると、これは一時でなくて相當期間耕作をやらんということになりますが、そういう場合のお扱いはどうなるのでありましよう。
山添利作
23
○
政府委員
(
山添利作
君) 現在の状況で、一旦
小作
に出しますと、なかなか返
つて
來ないというお話であります。これは一時
小作
に出すと、而して直ぐある事情があれば返して貰うということを明確にして置けば、これは當然返すわけであります。これで返さないといたしましても、
農地委員會
で必ず返すものと判定をいたすものと思います。ただ現在の状況といたしましては、一時の積りでありましたのが、戰爭が長引いたというような事情で結局長くな
つて
しまつた。長く
小作
闘係が續いておればこれを自然
施行
するという
關係
にな
つて
おるのでありまして、將來の問題といたしましては、一時ちよつと
小作
に出したがそれは返
つて
來ないのだというような状況では、どんなことに不都合を生じ、全體としても
農業生産
を上げるということに不都合を來すわけで、そういうことには私はならんと思うのであります。ここに「一時」と申しますのは、無論一年と限つたわけではありません。これが恒久的でないという
意味
でありまして、病氣が三年續けば三年業務を營んでいないということがありましても、治り次第又みずから作るということでありますればよろしいと、まあこういう考え方をいたしておるわけであります。尤もこれは相續の起るときの問題で、病氣は適切なことでないと思いますけれども、そういう考え方もいたしておるのであります。
北村一男
24
○北村一男君 十
二條
の「第十條第一項乃至第三項の
規定
により定まる相
續分
に相當する
財産
の
價額
を超過する疑があるときは、」というのは、これは利害
關係
者が疑を持つたときという
意味
になりましようか、その點をお伺いしたい。
山添利作
25
○
政府委員
(
山添利作
君) 「疑があるとき」というのは、これはまあ精密に考えました結果こういう字が使われたのでありまして、本来から言えば
價額
を超過するときという
意味
であります。超過するときと言いましても、詳しく算定してというわけにも行きませんので、そこにある漠然とした要素を入れるという
意味
におきまして、こういう字を使つたのであります。これは無論
關係
者の間での
評價
の問題であります。
北村一男
26
○北村一男君 この
法律
は餘程はつきり決めて頂かんというと、將來
兄弟
喧嘩の因になるのじやないかと思います。つまり血で血を洗うというような結果を招來する慮れが十分あるのでないかと思われますから、はつきり決められるところは疑とか認めるとかいう文字を絶
つて
、外に何か明確に
規定
することはできないのでしようか。
山添利作
27
○
政府委員
(
山添利作
君) これは率直に申しますと、法制局で十分練られてこういうことに
なつ
たのであります。
北村一男
28
○北村一男君 法制局で練
つて
も、あなたはどうお考になりますか。
山添利作
29
○
政府委員
(
山添利作
君) 常識論としましては、今のように普通の觀念で行けば、
財産
の
價額
を超過するときというわけでありまするが、
實際
の問題として、この家庭内の
事件
、事柄を處理するのについて、精密なる計算をしてかかりて、こういうことでないという、そこに裕りを持たせるという
意味
において、この構成が適切である。かように考えておるのであります。
北村一男
30
○北村一男君 私はそれで申上げたいのですが、こういうぼんやりして幅を持たして置くということは、その親心が却て喧嘩の因になりやしないか。疑を以て直ぐ、どうも超過しておる。仲の良い
兄弟
だとよろしうございますけれども、感情問題などが差挟まる處が十分に私はあると思います。それでこれを明確化することが必要じやないかと思うのですが、今局長のおつしやつたような言葉が一番いいのじやないかと思いますが、どうでございましようか。
山添利作
31
○
政府委員
(
山添利作
君) これは本來、これも餘計なことを申すようでありますが、立案の途中におきましては、成るべくならば、この
農業資産
を相續する人の負擔を重くしたくないというのが、私ども原案を作つた者の
意見
でありまして、従
つて
こういう
評價
の場合におきましても、
資産
の
評價
をする場合に
農業經營
の
収益
を引くというようなことを書いております。同時にこの
農業資産
を承け繼ぎます人は、
農業
を承繼する人、言い換えて見ますると、長く親の下にあ
つて
共に
農業
勞働に從事しておる。こういう人であります。
從つて
その事情を考慮をして
特別相續分
以外においても
資産
の
評價
というような場合に、そういう要素も相當考えたらどうか。こういう考え方を持
つて
おつたのであります。最後にできました條文におききしては、そうう
趣旨
は現れておりませんのでありまするが、そごに若干の餘裕を持つ。こういう點を殘しておりまして、結局精密に計算してどうこうというよりも、大體そういうような事情をも勘案して物事を處理したい。こういうような
趣旨
も、非常に間接的ではありまするがある。こういうわけでありまして、超過する疑があるときは、これは成る程普通の文字の使い方とは異な
つて
おるのでありまするけれども、そごにそういう含蓄があるということを御了承願いたいのであります。 〔門田定藏君、發言の許可を求める〕
伊藤修
32
○
委員長
(
伊藤修
君) 質問の通告がありますから、通告が濟んでからお願いいたします。
齋武雄
33
○齋武雄君 先程或
委員
から、この
法律
は非常に難解である。分りにくいというお話があつたのでありまするが、私も同感であります。その一例を舉げますというと、十條に、
民法
第千四條及び昭和二十二年
法律
第七十四號第
八條
の
規定
による、こういうことを書いておるのでありますが、これは現行
民法
を指して言うのであると考えるのでありますが、改正
民法
は今審議中でありましてそうして相續は全部變更になるのでありますが、こういうようにもう古くなります現在の
民法
或いは
法律
第七十四號を引用しておるということについても非常に難解であるのであります。先程
政府委員
の方が、これは昨年立案したものをそのまま出したのであるというお話のようでありましたが、これが私の聽き違いでなかつたならば、一體昨年出したものをそのまま出すということは、不深切ではないかと私は考えるのであります。その後において情勢は變化しておる。それから相續というものは全面的に改正されておる。こういう事態におきまして、昨年立案したものをそのまま出したということは、これは言い過ぎかも知れませんが、國會を侮蔑しておるのではないかと、こういうふうにも思われるのでありますが、不深切であるということは言えると私は考えるのであります。それでありますから、私の考えといたしましては、五月から新しい
憲法
が
施行
されまして、その間從來の通りや
つて
來たのでありますから、直ぐ新しい
民法
ができるのであります。その
民法
と対照して關聯を持たせて、この
法律
を更に檢討して作るのが本當ではないかと考えるのでありまして、五月から今日まで現在の通りや
つて
作たのでありますから、あと一ヶ月ぐらいの問題であります。若しこの
法案
をこのまま通すとすれば、更に十二月に
なつ
たならば、又改正される積りであるのかどうか。改正しなければならんと私は考えておるのでありますが、その點をお伺いしたいのであります。 それから二番目は、
法案
の第
五條
或いは十九條において
裁判所
が決定するということにな
つて
おります。十九條において、先程の
説明
では、家事審判所が取上げる、こういうことになるでしようということをおつしやいましたが、どこから家事審判所というものが來るのであるか。この
法律
自體から見ると、家事審判所ということはないのでありまして、まだ家事審判所というものはできておりません。當然にはならんのであります。むしろこれは家事審判所で取上げるのでありましようけれども、この
法律
では明確でないのであります。先程家事審判所でやることになるでしようとおつしやつたことは、この
法案
のどこから來るのであるか。この點もお伺いしたいのであります。 第三番目には、第三條の、「二人以上の者にこれを歸屬させることはできない。」、これは二人以上ということは、無論一人を指すのでありまして、一人という
意味
でありますが、この字句が分にないのであります。二人以上というのは、二人を指すのであるが、一人を言うのでありますか。我々
司法委員
といたしましては、用語例によ
つて
分ります。一人ということは分りますが、一般にこれは、二人を言うのであるか、二人までよいのであるが、一人のみに限るのであるかということは分らんのでありまして、こういう點においても、この
法案
の作り方が不深切ではないかというふうに私は考えるのであります。 最後に、先程
政府委員
の逐條の
説明
に當りましては、私は不深切であると考えておるのであります。何だか要領を得なかつたのでありますが、
司法委員
會においては、
政府委員
が
説明
される場合においては、もつと詳細に
説明
されるのでありますが、それは先程
政府委員
の方が、相屬法についてははつきり分らないということをおつしやつたようでありますが、そういう點からして
説明
がそういうふうになるのじはないかとも考えるのでありますが、若し相屬法がはつきりお分りにならんと假定いたしますれば、司法の
政府委員
の方に
説明
を願つたらどうであるかという考えも持
つて
おるのであります。これは新しい相續法と非常に關聯のある
法律
でありまして、相續法をはつきり知
つて
初めてこの
法律
が審議されると私は考えておるのであります。相續法は一般の
原則
であります。併しながら
農地
の
細分化
を防止する
意味
において、これは相續法に對する特例であります。そういう
意味
におきまして、なるべく相續法に従うようにした方がよいと思うのであります。止むを得ない場合においては、この
目的
のために相續法の例外を作るということは結構でありますが、併しでき得る限り相續法と矛盾しないような方法に考えて行かなければならんと私は考えておる者でありまするが、そういうような場合においては、新しい
民法
の相續法というものを詳細に知らなければいかんのであります。私の聽き違いであるかどうか分りませんが、新しい相續法については詳しくは分らんという
政府委員
のお言葉のようであつたと私は記憶しておるのでありますが、それであつたら、新しい相續法の分る人を以て
説明
された方がいよろしいのではないか。こういう考を持
つて
おるのであります。これらの點についての御見解をお願いしたいのであります。
山添利作
34
○
政府委員
(
山添利作
君) この
法律
を出しますにつきまして、前
議會
に立案したものをそのまま出したのは非常に不深切ではないかというお話でございまするが、これは私が申しましたのや、前
議會
に立案をいたしましたけれども、固より新しく出しますにつきましては、更に再應の檢討を加えて提出をいたしたのであります。 而してこの中に、
民法
についても現行
民法
、即ち新しい
民法
でないものを引いておる。これは立法技術上止むを得んのでありまして、成る程間もなぐ新しい
民法
ができますけれども、一方この
法律
といたしましては、できるだけ早く
施行
をする必要がある。間隙を少くするという必要に基いて、この
議會
に出しますといたしますれば、新しい
民法
はまだ
施行
にな
つて
いないわけでありまするので、結局この
法律
といたしましては、舊
民法
を引くという以外に立法上の技術として方法がないわけであります。尤もこの
施行
を延しまして、新しい
民法
が
施行
になりましてから、この
法律
も亦
施行
すると、こういう
建前
をしますれば別でありまするけれども、それは又この
法律
を成るべく早く
施行
したいという
意味
から、そういうふうにはいたさなかつたのでありまするし、又いたさない方がよいと考えておるのであります。そういう
意味
におきまして、これは舊
民法
を引いておりまするが、お話になりましたように、次の
議會
には又新しい條文を引出直しをしなければならない。
從つて
改正案を提出しなければならんのでありまして、
裁判所
と書いてあります點も同じでありまして、これは家事審判所の
法律
が
施行
になりますれば、この
法律
も又
從つて
直す考えでおるわけであります。 それから第三條の「二人以上の者」ということでありまするが、これも
法律
用語といたしましてこういう文字を使うので、これはまあ只今お述べになりました通りであります。
意味
といたしましては、固よりこれは二人ならば差支えないという
意味
ではなくて、一人に限る。こういう
意味
であります。 尚又、
民法
の相續、或いは特に新しい
民法
の相續編等につきまして、私は詳細には存じません。同時にこの
法律
そのもの
は、司法省竝びに農林省で
協同
して研究をし立案をしたものでありまして、この
委員會
にも、司法省の人も出て頂き、そうしてこの審議のためには、司法省からもいろいろ又御
説明
なり御答辨を願うことにな
つて
おるのであります。
大野幸一
35
○大野幸一君 私は本法の
目的
であるところの第
一條
の疑義についてお尋ねいたします。第
一條
に、「
遺産
の
分割
に因る
農業資産
の
細分化
を防止し、
農業經營
の安定を圖るための相續に關する特例は、この
法律
の定めるところによる。」と、こうありまして、
農業經營
の安定を圖るという
意味
ですが、これは何人のために圖るのか、相續開始前の將來の
相續人
の
地位
もここに考慮しておるのか。或いは又相績開始後の
相續人
の
地位
を考慮しておるのかという點であります。或いは又双方を考慮しておるのか。こういう點にあるのでありまして、又安定の
意味
でありますが、經濟上の
意味
のみならず、將來の
相續人
にして、
農業
に從事する者の、一種の
精神
上の安定も
意味
しておるのかどうかということであります。それに關連して第
二條
に、「この
法律
において、
農業資産
とは、左の各號に掲げる權利で一
段歩
以上の面積の
土地
に就いて耕作の業務を
營む者
が有し。」とあるこの
意味
であります。「耕作の業務を
營む者
が有し、」この
意味
はみずから
農業
を營んでおる者が所有しという
意味
かどうかという點であります。この双方の解釋如何によ
つて
、この本法の後數條において、幾分不備な點がありはしないかと考えます。この點をお質しする次第であります。
山添利作
36
○
政府委員
(
山添利作
君) ここにあります
農業經營
の安定という文字は、本来二通りあると思います。二通りありますことが、實は一通りに歸著するのでありまして、國全體の眼から見まして、
農業經營
の安定を圖
つて
行くということが、これは
農業生産力
の
維持發展
という上から必要であることは申までもありません。國全體の眼から見たところの
農業經營
の安定を圖るためには、當然箇々の
農業經營
の安定がなければならん。その安定は全般から見ました場合と箇々の場合を見ました場合、
農業經營
が連續的に安定しておることが必要でありまして、
農業資産
の
細分化
を防止する。而してそれは相續によ
つて
機械的に
細分化
されるということを防止しておるのでありまするから、箇々に安定を圖
つて
おる
状態
は、相績を繞
つて
の親から子への連續した安定であります。そういうふうに客觀的な
意味
における安定というふうに考えることが、適當であろうと考えておるのであります。それから「耕作の業務を
營む者
が有し」というのでございまするから、これは固より所有をするという
意味
でありまするが、賃借權等について所有をするという言葉も變でありますが、結局その者が所有をし、又所有という觀念が適切でないものには、持
つて
おると、こういうような
意味
であります。
松井道夫
37
○松井道夫君 先程相續の
均分
ということについて、それに關連して質問したわけでございますが更にそれに引續きまして質したいと存ずるのであります。御承知の通り
均分相續
ということは、午前にも言いましたが、新
憲法
の第二十四條第二項に
財産
權、相續、家族に關するその他の事項に關しては、
法律
は個人の尊厳と兩性の本質的平等に立脚して、制定されなければならないという
規定
がありまして、この
規定
の
關係上
均分相續
ということに相成つたのであります。ところでこの
法律
におきましてその
均分相續
の
原則
に例外を認めまして、特別相積分というものをここに作り出したのでございますが、これはそれ相當の強い
理由
がなければ、
憲法
違反という問題を惹起いたすことであると私存ずるのであります。かような特則をこの
法案
によりまして認めました
理由
は、
均分相續
ということと
農業經營
ということが兩立いたさない。かような見解に立たれたことと存じますが、併しながらこれが
憲法
違反であるかないかという重要な問題でございますから、更に工夫を凝らしましたならば、その相續の
均分
、
農業
の
經營
の確立ということと、これが兩立する方法が發見できないとも限らないと思うのであります。この第三條に
農業資産
は、
財産
の
分割
によ
つて
二人以上の者にこれを歸屬させることができないとありますが、假にこれが三町歩ならば三町歩を自作しておりまして、子供二人が非常に耕作に熱心であるという場合に、これを一町五段づつ
分割
いたしましておのおのにその特色を發揮させてこれを
經營
させ、その地の
農業資産
も適當に分配いたすということで決して悪い結果はないと存ずるのであります。その際にこれを
長男
ならば
長男
にこれを歸屬させまして、残る
次男
は一個の
農業勞働者
にいたしまして、その
次男
に假に多くの子供があるといたしますれば、その多くの子供にほんの僅かの分け分しかないような
状態
にすることは、明かにこれは個人の尊嚴、家族
關係
におきまする個人の尊嚴相
續財産
關係
においてもそういう
憲法
に抵蜀いたすことがないとも限らんと存ずるのであります。先程
委員
の方が言われましたが、この
法律
で幾多
次男
以下の人々が、又昔の長子相續と同じような
状態
にな
つて
いる、いろいろの困難の問題を惹起させることがあるということを指摘されましたが、その指摘されること自體が、
憲法
違反の疑があるのではないかという
意味
に相成るのであります。これが假に一町ならば一町という僅かな
資産
でございましても、
資産
の
分割
はそういう場合にはできないということにいたしまして、これを共有にいたしまして熱心なる
兄弟
の協力によりまするところの
農家
經營
ということも考えられるのであります。 要するにごの
遺産
の
分割
を適當に
法律
によ
つて
規正をいたし、家事
裁判所
というようなところに、當事者の協議ができませんでしたならば、適當に練達な人々の
意見
を入れまして、家事
裁判所
あたりで解決をいたすというようなことにいたしましたならば、その
特別相續分
というような特殊な制度を挿入しないでも、適當に解決できるのではないか。殊に造言というようなことは
日本
ではあまり行われていない。かようなことを申されるのであります。今まで
家督相續
ということであまり
遺言
というものが必要がなかつだから行われなかつたのでありますけれども、
均分相續
というような
原則
にな
つて
參りますると、いろいろな場合が起きますので、これは造言ということはどうしても考えなければいかんことでありまして、これからは
遺言
というものが自然と行われるようになる。穗積重遠博士の御説によりますと、これは
遺言
というものは毎年一月一日に常に書いて置くべきものである。毎年書き替えるべきものだというようなことを仰せられておるのでありまして、
遺言
が從来行われなかつたから、どういう
法律
制度になりましても、個人の
意思
というものを尊重いたし、それによ
つて
すべてを自主的に解決いたして行こうという
法律
制度になりましても、
遺言
というのもが適切に行われないだろうという前提で、いろいろものをお考えになるということはあまり適切ではないかと私は存ずるのであります。 いずれにいたしましても、本法が特に今の
特別相續分
という點が
憲法
の第二十四條に違反するのではないかという疑があるのでございまして、その點についての御見解を煩はしたいと思います。
山添利作
38
○
政府委員
(
山添利作
君)
憲法
の個人の尊嚴、又兩性の本質的平等という見地から流れ出ますところの
均分相續
制、これに對して
農業經營
上の安定を期する
意味
からする特例、この調和を圖りまして起案いたしましたのがこの相續に關する特例でありまして、
憲法
に反するや否やということにつきましては、これは
憲法
に反するものでないという見解を持
つて
おります。と申しますのは、これは先ず第一にかようなことが必要であるということは繰り返して申上げる必要もないと思いまするが、繰り返して申しますれば、
日本
の
農業
の戸數はもう六十年にも亙
つて
凡そ五百萬戸から六百萬戸、
農地
の面積も同様でありまして、平均面積耕作は一町歩に満たない。これは古い
農業
國といたしまして、行き著くべきところに行き著いておる。即ち
日本
の状況におきましては、經濟上ともかく最小限度のところまで、何と申しまするか、
農業經營
が分れておると、こういう状況でありまして、これが
均分相續
ということのために、若し機械的に
分割
をさせるということでありますれば、ますます
農業
の生産力を下げますと同時に、又個人の生活をも窮乏に導く原因となるわけでありまして、國家的な見地から申しましても、これは當然そういう事態を防止すべきものであると考えるのであります。併しながらこの
日本
の
農業經營
状況から見まして、これ以上の
分割
を防止しなければならんということが分つたとしても、然らばこの
法律
によりましてすべての
分割
を禁止するかというと、それはそうではないのでありおして、この
法律
で取扱
つて
おりますのは、相續ということによ
つて
當然に機械的に
分割
されることを防いでおるのでありまして、生前における贈與、今までの言葉で言えば分家であります。そういうことを禁止するものでもございません。又一應
遺産
の相續が濟んだあとで、
兄弟
が又贈與の形において
農地
を分ける。こういうことも禁止いたしておるのではございません。それらのことは固より社會的な事情の變動によりまして、
農地
の
所有權
の變動があり、又個人の家庭について見れば、その
經營
面積の増減というものがあるわけでありまして、これは
農地委員會
の制度による適當なる規正を加えるほかは、ともかくそういう社會的な
理由
に基いて變動があるということは認めておるのであります。ただそれ以外の相續によ
つて
當然機械的に
細分化
されるということを、これは防いでおるのであります。尚又
特別相續分
を認めますにつきましても、ひとり物として
細分化
されるのみならず、
特別相續分
の制度を認めないといたしますれば、結局
農業經營
に大きなる負擔を負わせる。絶えず
小作
農の
状態
から出發して又營々二十数年かか
つて
、假に申せば……、そうして自作農の形になる。又そこで相續が行われれば、又
小作
農と同じような状況に還る。かようなことは
農業經營
の上に不安定でもあり、又
農業經營
の
發展
も期せられないのでありますので、さような過當な負擔を負わせない。こういう
趣旨
から
特別相續分
を認めておるわけであります。然らばその程度は如何というのでございますが、これにつきましては申すまでもなく
民法
におきましても遺留分を侵さないという
範圍
におきましての遺贈というような特別の處分乃至は相
續分
の變更ということも認めておるわけでありますので、その
民法
が認めておるところの遺留分を侵さない
範圍
、即ち二分の一の
範圍
において
特別相續分
を認める、こういうことにいたしてあるわけであります。尚又この
法律
は一應
遺言
等がない場合のその補充と申しますか。全般の規範としての方でありまして、
遺言
の自由等は固よりこれを尊重し、
遺言
等がありますれば、それに從う。こういうことにな
つて
おるのでありまして、その
遺言
の自由をもこの
法律
によ
つて
強制をするというふうにはいたしておらないのであります。固よりこの
均分相續
ということが、あまりに例外なしに
絶對
的な要件かということであれば、只今のように、一方から見ればそういう
遺言
の自由ということで變更もあるというような工合で、これはそういう
民法
の
精神
に即しつつこの
農業經營
の安定を圖る。そのために
農業資産
の
細分化
を防止するという
措置
のためにとられたものでありまして、決して
憲法
の
精神
に反していない。又差支ない場合においては、何ら遣言の自由等の
原則
はこれを制限いたしておらないのであります。
松井道夫
39
○松井道夫君 只今御答辨がありまして、尤もの節も了解できるのであります。併し私は
憲法
に違反する疑のあるような事案であるからして、念には念を入れて考えなければならんのではないか。こういう
法律
制度を作るにおきまして、これに代わるべき制度があれば、そういう
憲法
違反といつたような疑を起こさないような制度をとつたらいいのではないか。そういう制度を發見するために全力を盡さなければならんのではないかという
意味
で質問しておるのであります。それで成る程
農地
が細分される。それを防ぎまして、或る程度の
農地
を
分割
させないで、一人の者に
經營
させるどいうことは、その
經營
しておりまするその個人から言えば、成る程結構でございましよう。併しながらそのこと自體が國家の全生産、全
農業生産
を増加させるという結論には勿論直ちにはならないのでありまして、これを以て二人で共有させまして、その二人で同じ資格において
經營
させる。多角
經營
でありまするとか、作業の
協同
化でありまするとか、そう言つた在來の純個人主義的の
經營
方法が行詰りになりまして、只今申上げたような多角化、
協同
化と言つた方向が、これが今後の
日本
の
農業生産
の唯一の活きる道であるということは、これは識者の夙に指摘しておるところであります。これをこの特別法によりまして、一個人を保存いたしまして、他の者をすべて無
資産
者といたしまして、
都會
なら
都會
に追う。都曾の失業問題の禍中に投ずるということが、
農業生産
の
日本
の全體の額から言いまして、決してこれが増産になるというわけでないのみならず、又個人の尊嚴を傷つけまして、非常に困つた人達、非常に窮境に陷る人達を澤山作るというような結果になるのではないか。これをむしろ
農村
に共同相續の形で置く、
分割
を或程度の規正を加えて
分割
しないで置く、場合によ
つて
はこれを
分割
できるようにして一町五段づつ
經營
できるようにする。そういう
状態
におきまして、その間に作業の
協同
化、或いは多角
經營
といつたような方向に進む機縁を作るということも
一つ
の立派な方法ではないかと、私はさように考えるのであります。私は勿論その方法がよろしいのであ
つて
、この
法律
ではいけないという結論に達したわけではありません。
憲法
違反であるという結論に達したのでは決してないのであります。ただそういう立場から、
憲法
はこれは我我が非常な血を流しまして獲得いたしたものであります。この大戰爭を經過いたしまして、我々に與えられました普遍の原理、人類普遍の原理に基いて、そこに我々の向うべき指標として與へられたものであるから、この
憲法
の
精神
を苟くも破るような虞のあることをしてはならないという考から、私はこの
法案
を檢討いたしまする
意味
で、熱心に檢討いたします
意味
においてそのことを考えておるのであります。只今
遺言
の自由を侵すものではないということを言われたのでありまするが、私はこんな
意味
で質問したわけではございません。午前中の續きでございまして
遺言
に任しておつたのでは、なかなか今までのおやじさん達はあまり
遺言
をやらんようだから、うまくいかんだろうという
政府委員
の御答辯がありましたから、
遺言
というものは、これからはそう輕く考えてはならない、新しい制度にな
つて
からは、
遺言
の大事なことはよく分
つて
、適切な
遺言
をやる人は多くなるだろう、だから被
相續人
の考というものに、相當信頼をしてもよいのじやないかということを申上げる
意味
で申上げたのであります。これはまあ枝葉のことでございまするから、いずれにいたしましても、さような
關係
でございまして、
政府委員
の御答辯を伺いましても、これがこの
日本
の
農業生産
を増加して、
農村
問題を解決する上において、非常に有力なものであるという結論にも私としては至りませんし、この點には尚疑を存しまして、後日に質問をすることを留保いたして置きます。
山添利作
40
○
政府委員
(
山添利作
君) ちよつと一言、お答という
意味
でもございませんが申上げて置きたいことがございます。この
農業資産
相續
特例法
と言いますのは、これは專ら消極的な、いわば或種の影響を防除しようという消極的な策に過ぎないのであります。本質的な問題としては、
法律
というよりも國全體の經済の囘復
發展
、勿論それは
農業
部面においても努めなければならず、又殊に開拓
農村工業
というような事柄、併し最も多くの事柄は、結局貿易を對象としての工業を起す國民の就業問題、こういうことに外ならないのでありまして、そういうことができません限りは、この
農村
における人口壓力、その事柄が、如何なる
法律
がありましても、又いろいろな支障を起す。こういうことには變りはないのであります。その事柄はもとより應急的なことというよりも、恒久的な
對策
といたしまして、あらゆる方面に努力をいたすことは當然でございますが、そういう見地とは一應離れての今の
均分相續
ということの起すところの直接の影響について、こういう制度を立てた。こういう
意味合
でございす。と同時に、又
農業經營
の形態として、
兄弟等
が共同して相續をする。そうして共同
經營
を行な
つて
行く。こういう形が考えられるのじやないか。こういう御
意見
に對しまして、成る程
協同
乃至多角化ということは、
日本
の
農業
が進むべき道でございますけれども、これは現在持
つて
おりますところの
日本
の
農業
の
土地
の面積、一戸當り、現在では
日本
の内地におきますれば九段を切
つて
いるというような状況におけるその
土地
を基礎にして、この家族が生活をして行く、こういうことは考えることが困難でありまして、
協同
と申しましても、これは獨立の
農家
が集ま
つて
部分的に
協同
をする。もとより開墾地等におきまして、大きな完全な
協同
が行われるということはあり得ることであり、試驗的にや
つて
見たらいいと考えておりまするが、
原則
論としてのこの一般の
農村
における
農業
としては、今の耕地面積の上に、如何に
協同
、多魚化しましても、それは困難なことである、こういう認識の上に立
つて
いるわけであります。
伊藤修
41
○
委員長
(
伊藤修
君) 松村君。
松村眞一郎
42
○
松村眞一郎
君 いろいろ御
説明
によ
つて
御
趣旨
は分りました。併し
憲法
の
均分
の
精神
に反しておるということは明瞭であります。只今遺留分のことを言われたのであります、遺留分は、
農業資産
の
相續人
の方の場合の議論である。私共が
均分
に反するというのは
共同相續人
の相
續分
が二分の一になることがいけない。こういう議論なんです。あなたの方の遺留分の議論は、それは正しい。しかしそれは繼承者のことを、あなたは言
つて
おられる。そうでない。他の
兄弟
達が、
民法
で決めてあるところの相
續分
というものをこの第十條の第一項の
規定
ではそれを半分にしてしまうということは、それはいけない。これは
憲法
違反である。私は明瞭に申します。
憲法
違反であるのです。このままでは。それから第
一條
を
政府
は自ら書きながら、
自分
ではこの條文を理解していない。これはどういうことを書いてあるかと申しますと、
自分
で書きながら
自分
で分
つて
いない。何故かというとこの
法律
の
精神
は
農業經營
の安定にある。決してその
財産
の、
財産
そのもの
の問題じやない。これは
財産
というものを形というものと、
實質
というものに區別して考えないから、そういう間違いを起すのです。この
農業經營
に非常に必要なことは、纏まつた
財産
が形の上で
分割
されちや困るということです。それを保持しさえすればいいのであ
つて
、
内容
の權利が共有であることはちつとも差支ない。ところがその
實質
の
分割
までもここで惧れておる。
實質
の
分割
は一向差支ない。
土地
の一
段歩
というのは
經營
單位であるならば、それを
農業資産
の繼承人が
自分
で以て
經營
すればそれでよろしい。その中の權利は、權利分はそれは共有であ
つて
一向差支ない。この
法律
の
趣旨
は
農業經營
のために支障を起さないということが
精神
であ
つて
、その中の權利の
内容
が共有的にな
つて
おるということはちつとも差支ない。ところがその權利の共有というものを許せば、同時に
農業經營
の形の方も
分割
されるのであるという誤解の下に今
説明
されておる。これは原案者が
自分
で誤解しておる。そういうことじやない。
農業資産
相續
特例法
、これは勿論
政府
が
提案
しておりますけれども、我々がこれは立法するのでありますから、我々はそういう
意味
において立法するのじやない。
日本
の
農業經營
の安定を圍るためにどうすればよいかということを言えば、それは個々に分けてしま
つて
は困る。この別表にありますごとくに、いろいろな道具があります。この道具のようなものをいちいち兄貴が石油エンジンを持つ、弟が馬を持つ。これは困る。だから兄貴が石油エンジンも……兄貴が若し
農業
を
經營
すればですね。石油エンジンも馬も、何もかも持
つて
いなさい。こういうことなんです。權利の
内容
は誰だ
つて
一向差支ない。弟が馬の所有主であ
つて
も一向差支ない。併しながらそうなりますと、所有と
經營
とはここに問題が……形の上では一緒にならんといけませんから、そこで形の上の權利は、やはりその
相續人
たる兄になければいかん。
經營
者に……。併しながら馬の代金は代金として拂えばいい。それが第十
五條
に書いてある。
法律
はよく書いてあるが、その
精神
が……
經營
というものと、物の
實質
というものとを、
自分
で混同してしま
つて
、これを
自分
で書きながら、錯誤の下に進んでおりますから、第十條のごとき、
共同相續人
の相
續分
は二分の一にするというようなことが書いてある。これは大變な間違いです。私の言うことが御了解になればこれが
憲法
違反であるということがすつかり分ります。私は疑いません。これは
憲法
違反なんです。そこをお考にな
つて
いないと思いますから、その形態の統一化というものと、
實質
の統一化というものとを混同しておるのじやないかということをはつきり認められるがいいと思う。よくお分りだろうと思います
農業
の一
經營
者が
自分
でやりさえすればいいのであ
つて
、だからそこに第十
五條
にある、代金を拂えばいい。そういうことがちやんと書いてあることを
自分
でも分らんで
説明
しておる。分らんで
説明
してもよろしい。我々が立法するのですから。我々はそういう
意味
において解釋をするということをここに申上げておきます。
山添利作
43
○
政府委員
(
山添利作
君) 松村
委員
がそういうお説を持
つて
おいでになることにつきましては、この前の
議會
におきまして御説を承つたことがありまして、よく知
つて
おります。併しながら私の考は違
つて
おりまして、問題を誤解しておるのではございません。成る程そういう物を物自體として分けなければ、
内容
はどうでもいいじやないかというお話でありますが、話でありますれば、結局そういうことでございますれば、これは長い間には結局その所有と物の形の一致する運動、運動というと大袈裟でありますが、そういうことにしたいということになるのは當然でありますし、又そうしなければなりますまい。その場合に如何に地の
共同相續人
に金を拂うかということを問題にしておるのでありまして、若しこの特別相積分というような保護制度を認めませんければ、
農業
を承繼する人の負擔が重過ぎる。その事柄はその人にと
つて
惡いのみならず、
農業經營
の
發展
の上に有害である。こういう考であります。
松村眞一郎
44
○
松村眞一郎
君 それが誤りの因だとこういうのです。(笑聲)それは
自分
で力がないのに、
農業經營
をやつた
つて
、その人はどうせ脱落してしまう。そういうことを考えておるのではないのであ
つて
、
經營
する者はその
經營
の中から、それが經済單位ですから、それから生み出して分けなさいというのです。どうしても配分になるのは仕方がない。人口が殖えればおのずから皆配分になります。そういう議論をなさるならば、人口が殖えるに
從つて
皆が乞食になるという議論と同じです。そこを段々能率を上げて、
農業
における工業化ということもできて參りましよう。
經營
者が努力すれば、後で利害を分配すればいい。だから
經營
と
實質
の分配ということを混同しておるから、そういうことになる。併し私の言うことはよく分
つて
いるというのでありますから、そうすれば
意見
の相違ですから、議論する必要はない。併しああいう御答辯では、あまり分
つて
いないようです。(笑聲)
齋武雄
45
○齋武雄君 先程
政府委員
の、
説明
には、
民法
と家事審判法ができますならば、これは改正をするのである。こういう御話でありましたが、現在においては
裁判所
というものは、どこを指すのであるか。改正された場合においては、家事審判所が管轄權のあることは疑いないでしようが、改正されるまでの間、現在においてどの
裁判所
が管轄權を有するのであるか。
簡易裁判所
であるか。昨方
裁判所
であるか。高等
裁判所
であるか分らないのであります。その點をはつきりさせて頂きたい。いま一點はこれは急速に作らなければならぬというので出したのであると、こういうお話でありますが、大體
憲法
施行
後、今日まで何ヶ月になりましようか。それまでそのままでおつたのでありますから、後は
民法
ができ、家事審判法ができるには、一ヶ月か幾らかであるのであります。今までそのままにして置いたのであるから、十二月一日の通常
議會
に
提案
し、それまで
民法
と睨み合せ、或いは
憲法
違反の疑あり、強く言えば
憲法
違反であるという議論もあるのでありますから、私の考としては、相續法と家事審判法との關連をよく考えて、更に檢討して、通常國會に出すのが適當でないかと考えるのでありますが、その點についての御
意見
をお伺いいたします。
山添利作
46
○
政府委員
(
山添利作
君)
裁判所
のどの
裁判所
が所轄するかということにつきましては、第十
七條
に書いてありまして、相續開始地の
地方
裁判所
ということを書いてあります。尚今日まで、
憲法
が五月三日に
施行
になりましてから長い間放
つて
置いて、そうして間もなく新しく
民法
ができるのになぜそれを待たないかということでございますが、これはできるだけ急ぐことがいいことは勿論で、必要があることは申すまでもないのでありまして、本來から言えば、新
憲法
の
施行
又新
憲法
と共に
施行
せられましたところの
應急措置
法、あれと同時に
施行
をすべきものであります。そのために
政府
といたしましては、最善の努力をいたしたのでありますが、これは別の
關係
方面との事情によ
つて
遅れたのでありまして、一日も早くこの
法案
を
施行
したいというのが考でございます。而して新しい
民法
等ができますれば、この
内容
には何ら……それに變りましても、條文の引直しをする。番號の引直しをするという程度でいいと思いますから、その點は次の
議會
には又改正をする。こういう手續をとりたいと思
つて
おるのでありまして、やはり本来この
法案
は、私共の考によれば
民法
の
應急措置
法の實施と同時に
施行
すべき性質のものでありますので、極力急いで制定をするように取運びをお願いしたい。かように、考えておるのであります。
伊藤修
47
○
委員長
(
伊藤修
君)
質疑
はこの程度で一時終結して置きまして、本案につきまするところの取扱につきましてお諮りいたしたいと思います。只今
質疑
應答の結果によりまして、本案が
日本
の
農業
企業に對するところの結果について重大な影響を持つという
意味
からいたしまして、又
法案
の
建前
その他につきましていろいろな疑義もある次第でありますから、これを小
委員會
に移しまして、小
委員會
におきまして十分詳細に御檢討願うという方法にいたしたいと思いますが、如何でございましようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
48
○
委員長
(
伊藤修
君) では御異議がないものと認めます。就きましては小
委員會
は句法
委員會
から五名と
農林委員會
から五名を以て組織して頂きまして、その十名の小
委員
におきまして小
委員長
の互選をお願いいたしまして、これが運行を圖
つて
參つたら如何なものかと存じまするが、御異議はないでしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
49
○
委員長
(
伊藤修
君) では御異議ないものと認めます。就きましてはその小
委員
の選任方法でありますが、
委員長
にお任せを願えますでしようか。如何でしようか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
50
○
委員長
(
伊藤修
君)
委員長
において指名いたします。松井道夫君、大野幸一君、奧主一郎君、
松村眞一郎
君、門田定藏君、北村一男君、竹中
七郎
君、石川準吉君、藤野繁雄君、阿
竹齋次郎
君、以上十名以ちまして、連合小
委員會
を設けることにいたします。尚小
委員會
は成るべく農林の本
委員會
及び司法の本
委員會
の議事に差支のないように
一つ
御開きを願いまして、御進行を願いたいと存じます。では本日はこれを以て散會いたします。 午後二時四十分散會 出席者は左の通り。
司法委員
委員長
伊藤
修君
理事
鈴木
安孝君 松井 道夫君
委員
大野 幸一君 齋 武雄君
大野木秀次郎
君 奧 主一郎君
水久保甚作君
鬼丸
義齊
君 岡部 常君
松村眞一郎
君
宮城タマヨ
君 山下 義信君 阿
竹齋次郎
君 西田 天香君
農林委員
委員長
楠見 義男君
理事
森田
豊壽
君
委員
門田 定藏君
羽生
三七君 北村 一男君 西山 龜七君
平沼彌太郎
君 岩木 哲夫君
木檜三四郎
君 竹中
七郎
君 石川 準吉君 河井 彌八君 島村 軍次君 徳川
宗敬
君 藤野 繁雄君 山崎 恒君
廣瀬與兵衞
君
政府委員
農林政務次官 井上 良次君 農林事務官 (農政局長) 山添 利作君