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政府委員(前尾繁三郎君) 非
戰災者特別税は御指摘のように積極的な
租税力を持たんということが欠点であることは我々十分知
つておるのであります。併しながら現在むしろ戰災者を何んらかの
方法によ
つて救済するという、積極的にそう行くのが本筋であるかも分りませんが、現状におきましては特に戰災者の救済ということも行い得ないのであります。で最近におきまして、ますます物價の昇騰から考えまして、焼けたものと焼けないものとの違いは非常に目立
つて來ておるのであります。割合にこの税に
反対者が多いというのは、戰災者には非常にこれはアツピイルしておる税でありますが、非戰災者の数が非常に多いわけでありますので、可なり非難は蒙
つておる次第であります。併し昨年の戰時補償特別税というようなものを考えましても戰災者が焼けて保險金を貰
つた。その保險金が五万円で打切られてしま
つて、これ亦非常に積極的な
租税力を抑えたものではないのでありまして、戰時補償特別税をや
つたその裏には、やはりこういう非
戰災者特別税というようなものをやらなければ、実際問題として、國民感情から考えましてもしつくりしないという声が強いのであります。社会党の政策の中にも、やはりこういうふうな非災戰者に対して犠牲を負わせるということも考えられておるような次第でありまして、現在においては当然なすべき税だというふうに考えておる次第であります。併し御指摘のようにこれは余り高い税金でありますと、積極的な担税力を持
つておりませんので、我々としては、賃貸
價格の三倍、又非戰家屋税につきましても三倍、三倍という税率でや
つておる次第であります。これは財産税との二重
課税というようなことも考えますと、何れにしましても財産税の最高税率は九〇%でありますので、後に一〇%しか取る余裕がないわけであります。從いまして賃貸
價格の三倍程度でありますと、その財産價額の一割には該当しないくらいのものでありますので、別に特に過重だというふうに考えないのであります。又賃貸
價格そのままを取
つておりますのは、まあ農村と都市とで申しますと、賃貸
價格は農村に可なり有利にできておる次第でありますので、農村におきましてはこの税額は三倍、三倍で參りますと、結局自家用の家屋でありますと六倍になりますが、賃貸
價格自身ず非常に低いのでありまして百円という賃貸
價格の家なら、恐らく農村では立派な家だと思うのであります。從いましてその六倍にいたしましても六百円、まあ恐らく千円以上かかるという人は、地方では非常に少いのじやないかというふうに考えておるのであります。從いまして特にこの税が苛酷な税だというふうには考えておりません。又総額にしましては六十五億、本年度内の收入が十五億というふうな見込をいたしておるのでありますが、現在六十五億の税源というものは、特に他に見出すということには非常に困難と申しますより、全く他に
財源がないというふうに考えられるわけであります。尚新築した家屋の方に
課税した方がいいじやないかという御説であります。併し新築した家屋が、最近において結局自分の儲けによ
つて建てたという場合でありますと、当然所得税の
課税を受けるわけであります。常に申しておりますように、所得税の調査という場合には、財産税の申告の財産に或いは入
つていないものでありますと、結局その後の所得によ
つて生じたものだという考え方で、調査いたしておりますので、それが新築の家屋を自分の儲けによ
つて造
つておるというような場合には、
増加所得税或いは本年の所得税等によ
つて、捕捉されて、相当高い税率の所得税が掛
つて參ります。その点は十分
課税の対象、まあ直接の対象ではありませんが、間接の対象にな
つておるのであります。それで又私は十分だというふうに考えておる次第であります。