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1947-08-20 第1回国会 参議院 財政及び金融委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
付託事件
○
酒類配給公團法案
(
内閣提出
) ○
生命保險中央會及び損害保險中央會
の
保險業務
に關する
權利業務
の承繼 等に關する
法律案
(
内閣送付
) ○
物價引下運動促進
に關する
陳情
(第 九號) ○
製鹽事業保持對策樹立
に關する
陳情
(第十九號) ○織物の
價格改訂
に關する
陳情
(第二 十八號) ○
少額貯金
及び
各種團體預金封鎖解除
に關する
陳情
(第五十二號) ○
インフレ防止
に關する
陳情
(第七十 一號) ○
金融機關再建整備法
の一部を
改正
す る
法律案
(
内閣送付
) ○
勞働者災害補償保險特別會計法
の一 部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
) ○
大藏省預金部等
の
債權
の
條件變更等
に關する
法律案
(
内閣送付
) ○
電氣税復活
反對に關する
請願
(第四 十三號) ○
會計檢査院法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣送付
) ○
財政法
第四十六條第二項の
規定
によ る
國庫
の
状況報告
に關する件
—————————————
昭和二十二年八月二十日(水曜日) 午前十時二十三分
開會
—————————————
本日の
會議
に付した
事件
○
請願
及び
陳情
の
取扱い
に關する件 ○
會計檢査院法
の一部を
改正
する
法律
案 ○
財政法
第四十六條第二項の
規定
によ る
國庫
の
状況報告
に關する件 ○
勞働者災害補償保險特別會計法
の一 部を
改正
する
法律案
—————————————
黒田英雄
1
○
委員長
(
黒田英雄
君) それではこれより
委員會
を
開會
いたします。本日は
金融再建整備竝びに生命保險
につきまして前會に引續き
質疑
を願うつもりでおりましたが、
衆議院
の方と競合いたすことになりましたので、
政府
の方でお
差支
がありますので暫くそれは後廻しにいたしまして、他のものについて御
審議
を願いたいと思いますが、先ず今日は初めに
請願
と
陳情
についてどう
取扱
つた
らよろしいかということを御協議申上げたいと思います。現在本
委員會
に付託されておりまする
請願
は一件だけで、「
電氣税復活
反對に關する
請願
」というのが出ております。それから
陳情
の方におきましては「
物價引下運動促進
に關する
陳情
」外四件ばかり出ておるような
状態
でありまして、この
請願
と
陳情
とをどういうふうに今後
取扱
つた
らいいかということについて御
意見
を伺いたいと思います。先ず
請願
、
陳情
の
取扱い
につきまして、
委員部長
から
一つお話
を承わりたいと思います。
河野義克
2
○參事(
河野義克
君) それではお
指圖
によりまして、私から
請願
と
陳情書
に關する法規的な御
説明
、
竝びに取扱い
の
實際
について御
説明
申上げます。
請願
が
參議院議長宛
に提出いたされますと、
議長
は、一定の
樣式
を備えているかいないか、それによ
つて
それを
受理
するかしないかを區別するのでありますが、その
樣式
といたしましては
只今
非常に
簡單
にな
つて
おりまして、
請願者
の
氏名
、
住所
を記したもの、それから
法人
の場合を除いては總代
名義
は使えないことにな
つて
おりますから、總代
名義
で來ているものは、それが
法人
であるかどうかを調べること、それから
請願書
の用語が平穏なものであるかどうか、その表現の仕方が平穏であるかどうか、そうい
つた
ことを調べまして、
要件
に合
つて
いるものはすべてこれを
受理
いたすわけであります。それから
請願
は
議員紹介
によることが必要でありますからして、
議員
の
紹介
によ
つて
いるかどうか、そういうことを調べまして、
要件
に合致しておりますものはすべてこれを
受理
いたします。
受理
いたしますと、
請願文書表
というものを
議長
が作られるわけでありますが、
請願文書表
というものは、いわば
請願
の要旨を記載いたしたものでありますが、この
請願文書表
を作ると同時に、これを
議長
が
適當
の
委員會
に付託するわけであります。
請願文書表
というのはすべて皆樣のお
手許
に参
つて
いると思いますが、その
文書表
の中には、
請願
の
趣旨
、
請願者
の
住所氏名
、
紹介議員
の
氏名
及び
受理
の年月日を記載することにな
つて
おりまして、毎週一囘これを
議員
にお配りすることにな
つて
おります。
議長
が
文書表
を作らせ、
適當
の
委員會
に付託する
段階
が濟みますと、爾後
委員會
においてはい
つた
りとも
請願
を
審査
することができる
状況
に置かれるわけでありますが、その
請願審査
の
方法
につきましては、先般
議院運營委員會
でどういうふうにしたらよかろうという御相談がございまして、その際の
申合せ
では、
請願
の
内容
の
具體的
なことについてはやはり
紹介議員
が一番
實情
に明るいわけでありますから、
紹介議員
に出席をして
貰つて
、
紹介議員
が
請願
の
内容
を
説明
し、それから
委員
の
審査
に入ることにしようということを
原則
にいたしました。併しながら
請願
は
原則
として
受理
の
順序
に
從つて
審査
しなければなりませんから、例えば或る
請願
を
審査
する場合に、その
紹介議員
が居られませんためにその
請願
が
審査
できないとしますと、その
請願
のみならず次の
請願
の
審査
にずつと影響して參りますから、そうい
つた
場合には、つまり
紹介議員
が
旅行
とか
病氣
とかその他のことで出て來られない、そういう場合にその
當該請願
が
審査
できぬばかりでなく、
受理
の
順序
にや
つて
おりますから、その
紹介議員
の
病氣
の本復或いは
旅行
からのお歸りな待
つて
いると、ずつと
審査
が遲延するというような場合が考えられますときには、
便宜專門調査員等
から
説明
をして頂いて、
審査
に入ることにしようということにお決めを願
つた
わけであります。それで
原則
として
紹介議員
から、或いは例外として
專門調査員等
から
説明
を聽かれて、
委員
が御
審査
に入るわけでありますが、その場合には
紹介議員
或いはそれを精査した
專門調査員
に對して、
縦横
に御
質疑
をなさると共に、これに對する
政府
の
見解等
を聽かれるのが、通常の形であります。例えばどこそこからどこそこまでの
鐵道
を敷設してくれという
請願
に對して、一應その
具體的事情等
を
紹介議員等
にお聽きに
なつ
た後には、
政府
としてはこれに對してどう考えるか、例えば
財政
的な
状況
に關しどう考えるか、或いはここに五千
萬圓
を費して
鐵道
を敷設するなら、
政府
としてはこれよりもこつ
ちの線
の方がも
つて
緊急と思うから、こつちをやりたいとか、いろいろ
政府
としての御
意見
を
政府
が言うわけであります。そうい
つた
紹介議員
からの
實情
をよく聽き、
政府
からその
意見
もよく聽いた後で、通例は
紹介議員竝びに政府等
のお方にお引取を
願つて
、
あと委員
間で
縦横
に
研究討論
をされまして、この
請願
を採擇すべきものであるかどうか
決定
せられるわけであります。その際ことを愼重にするために、小
委員等
を設けて、更に精査するということは、
從來
はありませんでしたが、今度の
國會
にな
つて
から、例えば
文教委員會等
において取
つて
おられる方式で、これは一
方法
かと存じます。
委員會
が
決定
をいたすのはどういう
決定
をいたすかと申しますと、普通の
議案
のように、可決、否決というような恰好ではないのでありまして、
議院
の
會議
に付するを要するもの、
議院
の
會議
というのは本
會議
でございますが、
議院
の
會議
に付するを要するとするものと、
議院
の
會議
に付するを要しないとするものと
二つ
に分けます。俗に申しますと採擇すべきものと、採擇しないものと
二つ
に分けるわけであります。
議院
の
會議
に付するを要するとするものにつきましては、更にこれを
内閣
に
送付
を要するとするものと、
内閣
に
送付
を要しないとするものと
二つ
に分けるわけであります。何故こういうふうに區別するかと申しますと、從前は本
會議
で採擇しましたものはすべて
内閣
に
送付
してお
つたの
でありますが、これは要するに
參議院
ではかくかくの
趣旨
の
請願
は、その
願意
の大體は
妥當
だと思
つて
採擇した、よ
つて政府
においてもこれが實現方について努力せられたいという
意味
の
意見書
を附けて
政府
に
送付
するわけでありますから、
政府
の所管に屬することはすべてこれを
内閣
に
送付
するわけであります。例えば先程の設例におきます
鐵道
を敷設するというようなことは、工事の施工に
任ずる者
、豫算の支出に
任ずる者
すべて
政府
でありますから、
政府
に
送付
するわけであります。これに反しまして、例えば二十五歳以下の青年の
禁酒法
を作
つて
貰いたいというような、
法律
を作
つて
くれというようなことは、正に
國會
が立法府としてやるべきことであり、
國會
の
權限
でありますから、これは何も
政府
に
送付
を要しないことであるという觀點から、それが主として
政府
の
行政
であるか、立法であるかということから、或いは
内閣
に
送付
するを要するものとし、或いは
内閣
に
送付
することを要しないと決めるわけであります。從いまして
議院運營委員會
でも、その話は出たのでありますが、今後におきましては、
内閣
に
送付
を要しないもので、しかも本
會議
で採擇したということは、その
請願
の
趣旨
の貫徹或いは
實施
につきまして、
參議院
が或る種の政治的な、或いは道義的な
責任
を負うといこのであると思います。例えば
石炭國家管理法
を作
つて
くれという
請願
が假に
參議院
が採擇しました場合には、まあ
政府
自體が出せば別でありますが、若し出さない場合には、その
請願
の
趣旨
を貫徹する
方法
、つまりそうい
つた法律
を作るということは、正に
參議院
の
權限
内にあることでありますから、そういう
請願
を採擇した以上は、その
請願
の
趣旨
に副
つた法律
を作るという道義的精神的な
責任
を
參議院
が負うべきものである。その
參議院
が
責任
を負うということは、
具體的
にはそれを所管している
當該常任委員會
がその
法律案
の發議について、格別の努力をしなければならないというよううな一程の道義的、
政治的義務
がそこにあるだろうというような
お話合
にな
つて
おります。從いまして
從來
は、特に
衆議院等
において、ややもすればいわゆる
議員
の
紹介
にかかる
請願
でありまするから、その
議員
の
選擧區
の
關係
、いろいろなことを顧慮して、滅多に不採擇にするというようなことはなくて、大抵は
請願
というとどんどん通したのが
實情
であります。併し今後はそうい
つた
一種の
責任
を生じまする
關係
もあ
つて
、
請願
の採擇、不採擇の
審査
に
當つて
は、十分にこれを
嚴密
に
審査
を下しまして、
參議院
の權威が損われることのないようにしたいということが
議院運營委員會等
でも話が出ましたし、このために
衆議院
におきましても、特に
委員長懇談會
におきまして、
請願
の
審査
においては今囘からは
嚴密
にやることというような
申合わせ
ができているように承知しております。それで更に
委員會
がこれは
議院
の
會議
、つまり本
會議
に附するを要するものと、これは本
會議
に附するを要しないとするものに分けて、本
會議
に附するを要するものを、更に
内閣
に
送付
するを要するものと、
内閣
に
送付
するを要しないとするものとの
二つ
に分けるのであります。その本
會議
に付するものにつきましては、
委員會
は
意見書案
というものを付けて、これを本
會議
に
特別報告
をするのであります。
意見書案
というのは本
會議
でこれが議決されたときに
意見書
となるのでありまして、
參議院
のいわば
意見
となるのでありまして、その
參議院
の
意見
を
委員會
が起草の任に
任ずる
ということに大體なるわけであります。それで
意見書
というものはどういうものかといいますと、
規則
にはそうありますが、
實質
的には餘り大した意義を持つものではなくて、先程
ちよ
つと申上げましたように、本
請願
の
趣旨
はかくかくのものであ
つて
、
參議院
は
願意
の大體は
妥當
なものと認める、よ
つて
これを
參議院規則
第何條により
政府
に
送付
するから、
政府
においてはこの
請願
の
趣旨
の實行について鋭意努力せられたいというような
意味
のものが
意見書案
なのでありまして、これを
委員會
で起草して本
會議
にかけますと、本
會議
が
請願
を可決するときに、
意見書案
を
嚴密
に言うと對象にしているわけで、
請願
を可決した際に
意見書案
も可決したことになる手續きに
實際
にな
つて
おるのであります。本
會議
が可決する際には、觀念的に
嚴密
に申上げますと、
請願
自體を議決することと、
委員會
が起草した
意見書案
を議決したことの
二つ
に分かれるのでありますが、
實際
は
請願
自體は可決したけれども、
委員會
の
意見書
は氣に入らないからもう一遍やり直して
來い
というようなことは
實際
上ないものですから、便宜上兩者を
一つ
の議決行爲でや
つて
おります。そういうふうでありますから、
政府
に
送付
するを要しないものについては、
委員會
で
意見書案
を附けて、本
會議
でそれを
意見書
にして送るというような必要はないものですから、これは本
會議
に對るす
委員會
の
意見書
としてお送りを願うことにな
つて
おります。その場合はつまり
委員會
としては、この
請願
の
趣旨
はかくかくのものであ
つて
、
財政
及び
金融委員會
においてはこの
願意
の大體は
妥當
なるものと認める、よ
つて
本
會議
でこれを可決して貰いたいというような
意味
のものを附けて本
會議
に送るわけであります。まあ大した
意味
はないのでありますから、今
各種
の
法案
について
委員會
の
審査報告書
に添えまして、
要領書
というものを附けております。
要領書
というのは、そう
議案
の
内容
だとか
目的
だとか、その
議案
の
國家的利害得失
であるとか、その
議案
の執行に要する費用であるとか、そうい
つた
ものを書くのでありますが、
委員會
の
意見書
というものはそういうものに
性質
では似ているものだろうと思います。そういうふうにして
意見書
を附けて
報告
をいたしますと。一
應請願
の
審査
は
委員會
としては終るわけであります。その際に、第一に
議院
の
會議
に付するを要するとするものと、
議院
の合議に付するを要しないとするものと
二つ
に分けますが、その後者の
議院
の
會議
に付するを要しないとするもの、大
體本委員會
で採擇しないと決めたものにつきまして、一週間以内に
議員
が二十人以上がそれを本
會議
の
會議
に付するようにという
要求
を出して參りませんと、その
請願
は
委員會
の
決定通り
不採擇ということに最終的に決まるのです。
委員會
が不採擇と決めましてこれから一週間以内に二十名以上の
議員
が本
會議
の議に付せという
要求
でありますと、これは本
會議
に出さなければならんし、その
要求
がありませんと
委員會
の
決定
が最終的なものになる譯であります。 以上がまあ法規上認められた
關係
でございますが、
實際
上、まあこれが御參考になるかどうか知りませんが、
實際
上としてはその採擇する
請願
と採擇しない
請願
との間に、實はまあ
審議未了
というものがあるわけであります。これはどういうわけでこういうことになるかといいますと、
實際
その
請願
がいろいろ考究を要する
内容
を含んでおるから、いろいろ
審査
をしてお
つた
が、
會期
が盡きて
審査未了
に
なつ
たということもございますし、或いはそうでなくて、この
請願
は
趣旨
において特別反對するべきものもないけれども、この實行に
當つて
は相當な困難を有する。
從つて
直ちにこれを不採擇と決めてしまうのもいかがかと思うけれども、さればとい
つて
採擇するのも工合が
惡い
というようなものを、
實際
上は
審議未了
というような形でまあ糊塗すると言いますか、そういうことが
實際
上行われてゐたわけで、特に
紹介議員
の立場とか、いろいろなことを考えた場合に、
實際
上はこのまま
審議未了
の
取扱
というものが相當行われていた
實情
があることだけは御
報告
申上げて置きます。 以上が
請願
のことでございますが、今度の
國會
になりまして、その
外陳情書
というものが出て來ることになりましたが、
陳情書
の
取扱
はその
内容
が
請願
に準ずるべきものでありましたならば、大體は
請願
と同じように
取扱
わなければならないということにな
つて
おります。
請願
と
陳情
とどう違うかと言いますと、
請願
は
議員
の
紹介
を經なければならないという點が違うくらいのものでありまして、後は餘り違わないのであります。その
外法人
であるならば總代
名義
で
請願
できるけれども、
法人
でないものは例えば
法人
でない何々
協會
というものは、
協會名義
では
請願
できないけれども、
陳情
ならばできるという點も違いますが、主としては
紹介議員
の
紹介
によるかどうかということが、
請願
と
陳情
の差でありまして、餘り變わらんものでありますが、併し
陳情
というのは非常に廣く解釋されるわけでありまして、例えば
建設院
を建設省にせられたいという電報を
議長宛
に打
つて
來ますと、それがもう
陳情
になるわけであります。葉書に
ちよ
つと書いて來ると、それが
陳情
になるわけでありまして、
從つて陳情
というものは相
當廣範圍
なものにな
つて
おります。それでその
審査
は大體
請願
に準じておやりを願うわけでありまして、現に
請願文書表
の外に
陳情文書表
というものもお
手許
に配付いたしておるわけであります。
從つて實際
の場合におきましての
審査
といたしましては、
請願
と
陳情
はそれ程違わないのでございますが、
陳情
の方は
議員
の
紹介
を經ておりませんから、その
審査
は第一
段階
において
紹介議員
から
説明
を聽くという
關係
が無論なくなりますから、その際は
專門調査員
その他から
説明
を聽いてお始めになるのが然るべきことであろうかと存じます。いろいろ雜駁な御
説明
で落ちもあるかと思いますが、一
應請願
と
陳情
について御
説明
いたした次第であります。
黒田英雄
3
○
委員長
(
黒田英雄
君)
只今
の
説明
について何か
お尋ね
がございますか……別に
お尋ね
がございませんければ、先程申上げましたように、
請願
は本
委員會
に付託されておりますものは一件だけであります。これは
陳情
はさつきも申上げましたように五件あるのでありますが、いかがいたしましよう。
會期
はもう大分迫
つて
おるわけでありますが、實は
專門調査員
が決ま
つて
おらんようなわけであります。併し特に
一つ
だけに小
委員
を設けるということもどうかと思うんですが……。皆さんの御
意見
はいかがでございましようか。もう
ちよ
つと
時機
を見まして
審議
に入るようにいたしましようか。
木内四郎
4
○
木内四郎
君
只今委員長
のおつしや
つた
よにもう少し
時機
を見て、
適當
な
時機
にお願いいたしたいと思います。
黒田英雄
5
○
委員長
(
黒田英雄
君) それではこれはもう
ちよ
つと
時機
を見まして、又御相談申して
適當
にいたしますから、さように御了承を願います。 それでは
法制局
の
政府委員
が見えておりますが、
會計檢査院法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、御
説明
を求めたいと思います。
宮内乾
6
○
政府委員
(
宮内乾
君)
會計檢査院法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして大體提案の
理由
と申しますか、提案の
趣旨
と申しますか、概略を御
説明
申上げたいと思います。先頃新
憲法
の
施行
前でございまするが、舊制度によりまする
帝國議會
の
協贊
を經まして、新しい
會計檢査院法
というものができまして、新
憲法
の
實施
と歩調を同一にいたしまして、新らしい制度の下における
會計檢査院
について
規定
を設けたわけでありますが、その中におきまして
檢査官
の
俸給
を
法律
上
定額
を定めまして、「
檢査官
は、
年額
五
萬圓
の
俸給
を受ける。」こういう
規定
を置いた次第であります。この
規定
を置きます場合に、かような
定額
を
法律
に定めていかがであろうかというような點も非常に問題に
なつ
たわけなんでありますが、
政府
から或る
意味
での
獨立
した
權限
を持
つて
いなければならん
會計檢査官
の
俸給
であるからして、はつきりと法定した方がよいという議論に
諸般
の
事情
で傾きまして、
政府
におきましては
只今
申上げましたように、「
檢査官
は、
年額
五
萬圓
の
俸給
を受ける。」こういう
規定
を提出いたしまして、これが
法律
とな
つて通
つた
わけなんであります。ところが御承知のごとくに最近の物價等の
諸般
の
實情
を見ますると、この
年額
五
萬圓
では、これではどうも低くてどうにもならん、こういうことにな
つて參
りました。勿論
立案當時
は
年額
五
萬圓
は結構なことであろうという豫測であ
つた
わけでありますが、全く
事情
が一變して參
つた
わけであります。ところで勿論これを増額しなければならない、こういう必要に迫られて來たのであります。
政府
といたしましては、いろいろな點を考えまして、前の
法律
をお願いいたしまして時には、
年額
五
萬圓
という、こういう
定額
を
法律
に定めるやり方を採
つたの
でありまするが、どうもこれでは餘りにもどうも
形式
に過ぎておりまして、それから又五
萬圓
という裸の
俸給額
は、實は外といかがな權衡を取
つたの
であるかということが直ぐ疑問になりまするので、今囘はこの態度を改めまして、むしろ大
體國務大臣竝みの俸給額
ということで行くのが
實質
上
適當
であろう。從いまして御覧のように本案といたしましては、「
檢査官
の受ける
俸給
の額は、
國務大臣
の受ける
俸給
の額に準ずる額とする。」こういうふうに定めたいと思
つて
おるのであります。現在のところ、
差當
り
國務大臣
の受ける
俸給額
というものは、特に各
大臣
につきまして辞令を發しまして、
官吏俸給令
の別表の第何號俸かが給せられる、こういうような
形式
にな
つて
おりまして、實は
定額制
を現在のところでは採
つて
おりません。併しこの
改正法律案
の狙
つて
おりまするところは、
將來別途國務大臣
の
俸給
についても、
只今政府
におきましては
増額方
について、折角考慮中でありまして、近い將來において、恐らくは
定額制
にな
つて
行くということに相成ることと考えられまするので、その場合を豫想いたしますと、
會計檢査官
は廣い
意味
での
行政部
の中には入る。併しながら先程申上げましたように、
職務權限
の
内閣
からの
獨立
というような點を勘案いたしますると、大
體行政部
における先ず
最高俸
と認められる
國務大臣
竝みに
取扱
を受ければよかろう、こういうことに相成りまするので、以上大
體申上げ
ましたような
理由
でこの案を作りまして、御
審議
をお願いするわけであります。この
附則
に「この
法律
の
施行
の
期日
は、政令でこれを定める。」と書いてございますのは、現在の
國務大臣
の
俸給額
は、實は大變低くございまして、それから今お話申上げましたような
定額制
を採
つて
おりませんが、この
法律
が
國會
によ
つて
議決されまして
法律
になりましても、直ぐにこれをそのまま動かすということは、
ちよ
つと
妥當
でございません。從いましてあちらがどうせ近々の中に
定額制
というようなことにな
つて參
りまするので、それと同じにこちらの
施行期日
を定めまして、
國務大臣竝みの待遇
を
會計檢査官
に確保する。こういう
趣旨
でこういう
附則
を附けた次第であります。 以上誠に
簡單
でございますが、大體の
趣旨
を申上げました次第であります。
山田佐一
7
○
山田佐一
君
只今
の御
説明
によりまして、
會計檢査院
の持つ
性質
がいかに重大なるやということも了承いたしました。而して戰時中の我が國の
財政状態
を見ましても、大應豫算の決議を得たものが、實行に當りましては多大の豫備金を持ち、或いは款内、款外の流用もございまして、
當初豫算
の
目的
と
實際
とは大分離れたような
事實
があると思うのであります。これらを監督いたしまする
會計檢査院
は實に重大なる
責任
があり、平和の今日、又
民主主義
の今日といたしまして、
豫算總體
を監督して行くものは、實にこの
會計檢査院
だと思うのであります。その
意味
を以ちまして
會計檢査院法
の
一條
において、「
會計檢査院
は、
内閣
に對し
獨立
の
地位
を有する。」これは尤もなことだと思います。併し第四條に「
檢査官
は、
兩議院
の
同意
を經て、
内閣
がこれを
任命
する。」この
獨立
の
地位
の人に對して
任命權
をやはり
内閣
が持つというのはいかがと思うのでありまするが、この
檢査官
或いは
檢査院長
は
最高裁判所
の長官のごとく、
選任委員會
を設けて、
委員會
の推薦によるというように
改正
をする御意思があるかどうか、以上の點を承りたいと思います。
宮内乾
8
○
政府委員
(
宮内乾
君)
只今
の御質問御尤もと存じます。一應
只今
までの私の了承しておるところで
政府
の意のあるところを御
説明
申上げます。 御指摘のごとく
会計檢査院
の
權限
は、
内閣
に對して
獨立
の
權限
を有しなければなりませんので、それで
會計檢査院法
の第
一條
は、仰せの
通り内閣
に對して
獨立
の
地位
を有するということにな
つて
おるのでありまするが、ところで
會計檢査院
の
檢査官
もやはり
官吏
でございますので、新
憲法
の下におきましては、
官吏
に關する事務は、基本的なものは全部
内閣
が統轄いたとすいうことに一應
憲法
で相成
つて
おります。從いまして
檢査官
の
任命
は、これは
内閣
がいたす、
形式
的には
内閣
がいたすということにならなければならんということは動かない
原則
であります。問題は
兩議院
の
同意
を經て
選ふか
、それとも外の何か
特別機關
を以て選ぶような仕組にいたすかということに相成ると思うのでありますが、これは甚だ恐縮な言い分でございますが、法のいろいろ立て方でいろいろな
方法
があるというくらいに御了承願いたいと思うのであります。もともと
會計檢査院
の
地位
というものは極めてデリケートでございまして、やはり
内閣
に對して
獨立
ではございますが、
行政部
内のことも相當に明るく、經理のことも明るくなければならない。それから又大きな
意味
で
政府
の
財政
、會計、經理というものは
國會
が監督しておるのでございますので、やはり
國會
も一口のせて、そうして常住不斷の
檢査官
というものをやはり決めたい、こういうのが法を流れておる精神であります。從いまして
内閣
が
任命
するというのは、
只今
の
形式
の點で、これは最後の一線でどうしてもこうしなければなりません。それから「
兩議院
の
同意
を經て」というのは、選び方はいろいろあるであろうが、大きな
意味
でやはり
政府
の
財政
、會計は全部
國會
が監督しておる、こういう建前から
國會
に一應のせてと申すか、
國會
の發動によ
つて
と申すか、まあ
國會
の意思を多分に尊重して、そうして
國會
の
同意
を經たところで
内閣
が
任命
いたす。これが程のいいところではあるまいか、こういうふうな精神で立法せられておる次第なんでございます。
黒田英雄
9
○
委員長
(
黒田英雄
君) 本案について他に御質問がございませんければ、本日はこの程度にいたして置きたいと思います。
木内四郎
10
○
木内四郎
君 他にこの案について別に御
質疑
その他がなければ、
議院
運營
委員長
として一言
委員長
に申上げたいことがあります。
黒田英雄
11
○
委員長
(
黒田英雄
君) この
法案
についてではないのですね。
木内四郎
12
○
木内四郎
君
法案
ではありません。
黒田英雄
13
○
委員長
(
黒田英雄
君) ではどうぞ……
木内四郎
14
○
木内四郎
君 昨日の運營
委員會
で話が出ました結果について、
財政
金融
委員長
に申上げたいと思うのでありますが、先般
内閣
から
財政法
第四十六條第二項の
規定
によりまして、昭和二十二年度第一四半期の
國庫
の
状況
について
報告
が提出されておるのであります。この
報告
は
議案
でありませんので、どの
委員會
に付託するという問題はないと思うのでありまするけれども、この
報告
は
國庫
の現況に關するところの重要なる
報告
でありまするので、これは
財政
金融委員會
におきまして一應御檢討を願いまして、その御檢討の結果によりましては、本
會議
の方に
委員長
の方から御
意見
をお述べ頂くことが
適當
であるというふうに、
議院運營委員會
で
決定
いたしましたから、そのことを一應申上げて置きたいと思います。例へば
國庫
の
状況
が極めて平常な
状態
にありまするならば、大した問題でもありませんけれども、若しその中に非常に重大なことがありまして、
國庫
の
状況
上特に注意すべき問題が起
つた
というような場合におきましては、それは
委員長
から本
會議
に御
報告
せられて、
議員
一般の注意を喚起し、
政府
にも注意を促すというようなことが必要ではないかというような
趣旨
から
議院運營委員會
で
決定
した次第であります。その點を
ちよ
つと申上げて置きます。
黒田英雄
15
○
委員長
(
黒田英雄
君)
只今
運營
委員長
から御
報告
がありましたが、これについては御質問をなさりたいというので御通告もあるので、今
政府
の方に交渉しておりますから、後刻
關係
の
政府委員
も資料を持
つて參
りますことにな
つて
おりますから、それが參りましたらば
一つ
御質問を願いまして、やはり御研究を願
つた
らどうかと思
つて
おります。
波多野鼎
16
○波多野鼎君
只今
議院運營委員會
の方からお話がありましたが、私もこの
國庫
の現況という刷り物を頂いた時に、これは
財政
金融委員會
で愼重に考えべき問題じやないかと思
つて
お
つた
ところへ、
議院運營委員會
の方にかか
つて
しま
つたの
で、どういうわけだろうかと甚だ不思議に思
つて
おりました。
ちよ
つと私も
議院運營委員會
の方に行
つて
質問しようかと思
つて
おりましたが、いろいろな
委員會
の
差支
でその機會を得なか
つたの
であります。ところが今木内君の御
説明
で、
議院運營委員會
の方でこちらの方で一應
審議
した方がいいという所に纒
つた
ことを聞いて大變有難いことに思
つて
おります。どうか正式にこの
國庫
の現況に關する問題を、
財政
金融委員會
で取上げて頂きたいと思うのであります、相當重大な問題が澤山含まれておるように思うのであります。是非その點をお願いいたします。
黒田英雄
17
○
委員長
(
黒田英雄
君)
只今
波多野君の御發言のごとく、この
委員會
で以て研究をすることにいたしたいと思いますが、後刻
關係
の
政府委員
も參りますから、そうしたら又御質問等をお願いしたいと思います。 それでは次に
勞働者災害補償保險特別會計法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、これは豫備
審査
のために付託されておるのでありますが、これについて御
質疑
を願いたいと思いますが、この前
政府
の
説明
は一應ありましたので、御
質疑
がございますならば、
關係
の
政府委員
も參
つて
おりますからお願いしたいと思います。この前
説明
は相當ありましたが若し御希望がありますれば
簡單
に述べて貰いますが、いかがですか……それでは私から
お尋ね
いたしますが、この
附則
で二條、五條、十
一條
及び第十五條三項の
改正
規定
は、勞働省設置法
施行
の日から、これを
施行
する、とあるのですが、この勞働省の設置が先になればこれは遡ることになるのですか、あとになれば後れて行
つて
いいわけですか、どういうことになりますか。
河野一之
18
○
政府委員
(河野一之君) 勞働省の設置
法案
の方におきましては、この
法律
が、勞働省設置
法案
の
附則
の十三條にありますが、この
法律
の
施行期日
は、その成立の日から三十日を超えない期間内において、政令で定める。こういうふうにな
つて
おります。大體豫算的には九月の一日から
施行
する豫定で豫算を組んでございます。まだこの
法律
が正式の
法律
になりませんので、その點は未定でありますが、その成立後なるべく速かに勞働省を設置する。その時と、この
勞働者災害補償保險特別會計法
の
施行
とを合せて行きたい、こう考えております。ただこの厚生
大臣
を勞働
大臣
と改める
規定
でございますが、その外に勞働者災害扶助
責任
保險法を過渡的に、勞働基準法ができますまで、この特別會計でやるという
規定
につきましては、これは勞働基準法の
施行期日
關係
もございまして、はつきり
決定
はいたしておるのではないのでありますが、當初この
法律
を立案いたしました當時におきましては、大體九月から勞働基準法が
施行
せられるであろうという考えでありまして、この前御
説明
申上げました時にも、そういうふうに御
説明
申上げたかと思うのでありますが、現在の情勢では或いは多少、延びるのではないかというような情勢にな
つて
おります。これに關聯いたしまして、近く追加豫算を提出いたしますが、現在のところ大體七月八月兩月というつもりで豫算を積算いたしておりますが、その後の
状況
によりまして、多少は、半月乃至一月位延びるのじやないかというふうに考えております。
山田佐一
19
○
山田佐一
君 これは勞働省ができなければなくなるものですね。
河野一之
20
○
政府委員
(河野一之君) 勞働省ができませんと、この特別會計法の、厚生
大臣
を勞働
大臣
と讀み變えるという
規定
があるのですが、これは當然
施行
に相成らないわけであります。その他の勞働者災害扶助
責任
保險特別會計というのは、すでに七月で終りにな
つて
おりますので、その
關係
だけは更に向うに續いて行くという、勞働基準法の
施行
の時まで、その間は續いて行く、こういうふうに考えられるわけであります。
山田佐一
21
○
山田佐一
君 この勞働者災害扶助
責任
保險法というのは廢止されたのですか、まだ廢止されないのですか。
河野一之
22
○
政府委員
(河野一之君) これは勞働者災害扶助法というのはまだ廢止にな
つて
おりません。これは勞働基準法に相繋がある、包攝される
關係
にな
つて
おるのでありますが、特別會計の方は、この前の
帝國議會
に出しまして、その扶助法は殘
つて
おり、
從つて
勞働者災害扶助
責任
保險法も殘
つて
おるわけでありますが、特別會計だけ七月末日でなく
なつ
た。それを
政府
の會計で引續いて行わなければなりませんので、便宜この勞働者災害補償保險特別會計というのがございまして、これはもうすでに成立いたしておりますので、この會計でやり、その
附則
の但書には「七月一日から、これを適用する」。とありまして、逆
つて
適用する、こういう
關係
にな
つて
おります。勞働
大臣
の方の讀み變えの
規定
は、勞働省設置の時からこれを
施行
する。もう
一つ
の過渡的な勞働者災害扶助
責任
保險法の會計の運營は、この會計で以て七月から遡
つて
やる。もう特別會計はなくな
つて
おりますので、新らしい特別會計で同じような仕事をやる、それを合法化する、こういう
意味
の
規定
であります。もう一囘
ちよ
つと申上げますが、勞働者に對する災害扶助の
規定
が、どういうふうにな
つて
お
つた
かということを申上げたらお分りじやないかと思いますが、屋内勞働者と屋外勞働者とございまして、
從來
の法制におきましては、屋外勞働者、土木建築或いは
鐵道
その他日傭の勞働者、これに對しては勞働者災害扶助法という
法律
がございまして、一定の傷病に罹
つた
者について、業主がその負擔においてそれの救濟をいたしたのであります。どういう
病氣
なり怪我であるならば一定の勞働賃金の何日分というような金を出してお
つた
わけであります。屋内勞働者につきましては、これは一定の勤務の制限がございますが、大體工場法及び健康保險法でこれを處理いたしております。そうして保險料を取りまして、工場法の適用範圍と、健康保險法の適用範圍とは、正確に一致はしませんが、大體屋内勞働者については工場法及び健康保險法でこれを處理いたしました。そうして屋外勞働者の方につきましては、その業主の
責任
を
政府
が保險いたしております。この保險を勞働者災害扶助
責任
保險特別會計で處理いたしたのであります。それが
從來
の制度でありますが、それが前囘の
帝國議會
におきまして勞働基準法というものができまして、屋内勞働者と屋外勞働者を問わず、全部業主の負擔において業務上の傷病を補償してやるという
規定
に相成
つた
わけであります。
從來
の法制が
二つ
に分れておりましたのを一本にいたしました。そういたしまして、その範圍も相當大きく
なつ
たわけであります。從いまして勞働者災害扶助法という
法律
は必要でなくなるわけであります。
責任
保險法も必要でなくなります。勞働者災害補償法でありますが、その場合においては業主が出すべきでありますが、それを又保險制度によ
つて政府
が保險する。その
責任
を
政府
が直接業主から保險料をと
つて
、業主がやるのでなしに、
政府
が直接勞働者に對して補償してやる。こういう
關係
になります。そういたしますと、勞働者災害扶助
責任
保險というものは、勞働者災害補償保險の方に移り變
つて
いいわけであります。それで當初の考えでは勞働者災害扶助法も七月末日で止める、勞働者災害補償法は八月一日から
施行
する、從いまして特別會計の方も七月末で以てこれを止める。新らしい勞働者災害補償保險法ができて、これに乘り變
つて
行く。こういう考えを持
つて
お
つた
わけであります。 それから健康保險の方の特別會計は、その特別會計はずつと續きますから、これは問題はなか
つた
わけであります。當初の考えでそういうふうにしてお
つたの
であります。そういうことで特別會計の方はさういう
方法
を取
つて
おりまして、七月末を以て特別會計は全部消滅いたしたわけであります。ところが勞働基準法の
施行
がいろいろな
關係
で、事務的な
關係
で遲れまして、八月一日から
施行
ができない……失禮いたしました、先程七月末と申しましたのは六月末であります。八月一日と申しましたのは七月一日の誤りであります。七月一日から
施行
することができなくなりまして、そこで勞働者災害扶助法の方も止めますと、そこでギヤツプができまして、屋外勞働者に對して非常に酷でありまして、
從つて
勞働者災害扶助法は勞働基準法が完全に
施行
になりますまで延ばす、こういうことに決まりまして、然らば勞働者の災害扶助を保險している方の特別會計はどういたしますかというと、すでに六月末で終
つて
いる。よ
つて
新らしい勞働者災害補償特別會計で同じ仕事を
實質
上や
つて
行く、こういう
意味
であります。勞働基準法が
施行
せられ、勞働者災害補償保險法が
施行
されるまでの間は、この會計で以て、勞働者災害扶助
責任
保險をや
つて
行く。即ち特別會計は廢止されたが、過去に遡
つて
新らしい特別會計で處理することを合法的にしよう、こういう
意味
でございます。
山田佐一
23
○
山田佐一
君 今までの工場勞働者、自由勞働者、これが皆一緒にな
つて
、これが勞働基準法によるわけでありますか。
河野一之
24
○
政府委員
(河野一之君) 勞働基準法によりまして一定の傷病のための手當を出さなければなりませんが、これを業主が直接出すという形でなしに、保險料を業主から取りまして、國が直接勞働者にや
つて
やる、こういうことが勞働者災害補償保險法であります。基準法が基礎にありまして、業主がやらなければならんことにな
つて
いるのを、それを保險料を取
つて
國家が保險して、國家が直接やる。敏速、的確ということもありますし、この程度がいいということでや
つたの
であります。
山田佐一
25
○
山田佐一
君 餘りいいと思いませんが、全部掛金は業主負擔で、勞働者は出しませんか。
河野一之
26
○
政府委員
(河野一之君) 補償保險法は業主の完全員擔でありまして、勞働者は出しません。私傷病の場合は兩方で出すことになりますが、勞働基準法は全部業主の負擔ということにな
つて
おります。
山田佐一
27
○
山田佐一
君 餘程
國庫
から補助金が出ますか。
河野一之
28
○
政府委員
(河野一之君) 國から補助金が出る建前にな
つて
おりません。
山田佐一
29
○
山田佐一
君 業主の負擔だけでや
つて
行くわけでありますか。
河野一之
30
○
政府委員
(河野一之君) そうでございます。
深川タマヱ
31
○深川タマヱ君 勞働基準法は八月一日に行われない。延期されておりますのは、今度の勞働省設置
法案
の遲れている
關係
がありますか、それより外の御
事情
がありますか。
河野一之
32
○
政府委員
(河野一之君) 私から申上げるのは
適當
でないかも知れませんが、勞働省の問題とは直接
關係
ないように聞いております。いろいろ勞働基準法の
施行
及びその監督につきましては、地方の勞働基準局というのが各府縣にできておりますが、その開設が非常に遲れましたのと、勞働者の標準報酬その他
各種
の調査が遲れまして、そういうふうな
關係
で遲れているように聞いております。必ずしも
關係
はないと存じております。 今の勞働基準法の
關係
でございますが、
從來
こういう勞働監督の
行政
は府縣廳でや
つて
おります。府縣廳の工場課なりでや
つて
お
つた
わけでありますが、それが府縣廳から離れまして、新らしい勞働基準局というものができまして、その下に勞働監督署というような、いろいろな役所ができることになりましたので、非常に事務が複雜になりまして、そんな
關係
が相當あ
つた
ように聞いております。
山田佐一
33
○
山田佐一
君 それから國民健康保險法の特別會計ですが、この剰餘金は現在凡そどのくらいありますか。
河野一之
34
○
政府委員
(河野一之君) 普通の健康保險の方だと思います。國民健康保險の方は特別會計でなく補助金でや
つて
おります。大體現在の積立金が二億程度だ
つた
と存じます。毎年二、三千
萬圓
程度剰餘金が出ております。
山田佐一
35
○
山田佐一
君 結局いくらか業者の掛金を引下げるという意思はありませんか、積立金ができて行くのだから……。
河野一之
36
○
政府委員
(河野一之君) これは根本的にはおつしやる通りだと思うのです。現在の運營の
状況
を申しますと、傷病の率が或る程度下
つて
行
つた
ということが
一つ
の原因だと思います。それからもう
一つ
は給與が相當上
つて
來た、從いまして
從來
の保險料率では餘るというような多少の計算が出るわけでありますが、これは給與制度がこのように非常にまだ安定していない
状態
において、御承知の通りしよつちゆう動きますので、保險料率をそれによ
つて
始終變動させるということもなかなかやりにくい
状態
であります。それで現在の運營としては決していいことでないかも存じませんが、いわゆる標準報酬の方を加減いたしまして適用いたしております。現在普通の健康保險の標準報酬は大體三百五、六十圓程度でありますから、そちらの方で
實際
は加減をいたしている。本當を申しますれば、千八百圓、そういうところにでも保險料率を合わせるのが
實際
は至當であると思うのでありますが、こういうような變動の激しい時でありますし、それから傷病率もまだこういう時期におきましては確定し得る
段階
に遠いものでありますから、いろいろな
状況
を見まして、できるだけ早い機會に合理的なものにしたいと考えている次第であります。
山田佐一
37
○
山田佐一
君 私思い付きで、ただ研究もしておりませんで承るのですが、結局保險法は國家がいかにも恩惠的にや
つて
おるように
趣旨
は見えるのですが、年度の決算に行くと、いつも剰餘金が出る。業者が保險金を掛ける上において、
官吏
の費用も何かも我々が拂
つて
おる。
政府
は儲けておる。一遍は
國庫
から補助金を出すけれども、その補助金以上に剰餘金が殘る。我々がああいう
官吏
も何もかも食べさして行くのだという愚痴を業者から聞くのであります。
政府
は儲けんでもいいから料率をもつと低くして、國家が負擔をするようにして、尚剰餘金を殘す必要はないじやないかというふうに思うのであります。
河野一之
38
○
政府委員
(河野一之君) それは御尤もな御議論だと存じます。現在の運營といたしましては相當な剰餘金が殘
つて
おることは
事實
でありますが、これは或る程度保險の
性質
上そういうたような
關係
の施設に相當戻しております。それから現在の
状態
がいつまでも續くかどうか多少疑問の點がありますので、例へば昭和五、六月頃の非常な不況の時代におきましては、積立金まで多少崩したり、大して剰餘金も出なくて困
つた
というような時期も實はありまして、結局國の補助金というものを増額いたしまして、何とか糊塗したことがございまするが、まあ現在の
状態
におきましては、そういう
状況
でありますが、御承知の通り物價も騰貴しておりまするし、大きなガラでもあるというようなことになりますと、忽ち問題が起ると思います。それから經濟緊急對策にもございますところの企業の合理化というようなことが進行いたしますと、相當に健康保險の被保險者というものは減少する。又現に減
つて
來ておりますが、保險料收入も減
つて
來るのではないかというようにも思いますので、今のところ何とも言えないじやないか、又
状況
を見まして別途考究しなければならんかと考えております。
黒田英雄
39
○
委員長
(
黒田英雄
君) それでは
只今
御
質疑
がありましたけれども、尚御
質疑
があるだろうと思いますから、本日はこの程度で止めまして、この次の
委員會
には金融機關と生命保險を先ず御
質疑
を繼續したいと思います。それから尚時間の餘裕があれば、
國庫
状況
の
報告
につきまして御質問を願うことにいたします。
政府
の方からも出席をして貰うように手配いたしますから、さようにいたして、本日はこれにて散會いたします。 午前十一時二十六分散會 出席者は左の通り。
委員長
黒田 英雄君 理事 波多野 鼎君
委員
木村禧八郎君 森下 政一君 玉屋 喜章君 松嶋 喜作君 山田 佐一君 木内 四郎君 田口政五郎君 深川タマヱ君 星 一君 赤澤 與仁君 石川 準吉君 小林米三郎君 小宮山常吉君 西郷吉之助君 高橋龍太郎君 山内 卓郎君 中西 功君 川上 嘉君
政府委員
大藏事務官 (主計局長庁) 河野 一之君 大藏事務官 (主計局
法律
規 課長) 石原 周夫君
内閣
事務官 (
法制局
第一課 長) 宮内 乾君 事務局側 參 事 (
委員部長
) 河野 義克君