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政府委員(
福田赳夫君) 先般政務次官から本
法案の
提案の
理由の
説明があ
つたのでありますが、私からその裏の方の
事情につきまして、若干御
説明をいたして置きたいと思うのであります。
御
承知の
通り生命保險中央會というものは
昭和二十年四月に設立を見たのでありまして、
戰爭危險の再
保險業務、それから
戰爭死亡傷害保險の業務を主とししや
つてお
つたのであります。それに
普通保險の一部とそれから
外國會社から讓り受けを受けたところの
生命保險業務というような仕事を併せ
行なつてお
つたのであります。それから
損害保險中央會の方はどういうことであるかと申しますと、これ亦同年同月設立を見たものでありまして、これは戰爭保險、それから地震保險、それから
普通保險の再
保險業務、それから戰時標準型船舶に關する海上
保險業務、それから木船の保險
組合の引受ける木船保險の再
保險業務、それから捕鯨船とその積荷の海上保險の超過損害
保險業務というものを
行なつてお
つたのでありまして、勿論この戰爭保險の仕事というものが、その大
部分の仕事を成しているのであります。かようなわけでありまして、この兩中央會というものは戰時におきまして、相當重大なる役割を遂げて來たのであります。終戰となりまして、この兩中央會はその業務を勿論非常に縮小いたしまして、
整理の
段階に入
つて來たのでありまするが、戰爭中に戰時的色彩極めて濃厚なる兩中央會でありました
關係上、昨年の十一月二十日に聯合國最高
司令部から解散の指令に接しておるのであります。
今その指令の要點を申上げますと、兩中央會を解散するとともに、兩中央會を廢止すべしということが第一點であります。
それから第二點は、兩中央會は聯合國最高
司令部の閉鎖機關下の監督の下に
清算を行うべし、即ち
一般の
清算でありませんので、閉鎖機關下の指導監督の下に
清算さるべきものであるという點が指令の第二點とな
つております。
それから第三點といたしましては、聯合國保險
會社の
利益を最大限に保證すべしということが言われておるのでありまするが、この聯合國保險
會社の
利益というのは、これはどういうことでありますかと申しますると、
生命保險會社でありまするサン・ライフ・インシユランス、マニフアクチユア・ライフ・インシユランスの二つの
會社が
保險業務を日本においてや
つてお
つたのであります。それをこの中央會に引受けまして、そうしてこれを管理してお
つたという
關係があるのでありまするが、これが新
勘定、舊管定というふうな區分をいたします結果、この兩
會社の
利益に反するようなことにな
つてはいかんというのが趣旨であります。
さような趣旨の指令を受けまして、
關係方面と
交渉してお
つたのでありますが、閉鎖機關にこの兩中央會がなるということになりますると、これは未拂
保險金の
清算でありますとか、或いは中央會の借入金の
處理でありますとか、色々むづかしい問題がありますので、それが圖滑に行かないということになりまするので、極力日本側といたしましては閉鎖機關と相成りますことを囘避する態度を取
つたのであります。結局どうなりましたかと申しますと、閉鎖機關にはいたしますが、その前に兩中央會の實質的の業務というものを他の
會社に
移轉してしまうということにしたのであります。
そこで然らば、生命保險中央會の業務は誰に委讓したらいいかという問題でありまするが、元々
昭和二十年四月に生命保中央會ができた際には、この協榮生命保險株式
會社のその業務をその儘引受けまして、そかもその職員を機關といたしまして、それからその協榮生命というものを中心にいたしまして、それに戰爭保險の
關係の仕事も附加えまして、そうして中央會というものを結成したのであります。もし今囘この中央會を解散いたしまして、直ちに他に主たる業務を委讓するということをいたしますならば、それは協榮生命に戻すが宜かろうということになりまして、本
法案には協榮生命保險株式
會社にこれを戻すということに規定いたしておるのであります。
それから
損害保險中央會におきましては、東亞火災海上保險株式
會社というものがありまして、
損害保險の再保險をや
つてお
つた會社であります。これを
昭和二十年四月に
損害保險中央會ができるにあたりまして、これを
一つ丁度協榮生命と同じような恰好でありまするが、採り入れまして、そうしてこれに戰爭保險の仕事をやらせるということにいたしまして、新らしく出發したものがこの
損害保險中央會であります。今囘
損害保險中央會が解散されるならばその殘務を東亞火災海上保險
會社に委讓することが
適當であるということで、さような
方法を制定をいたしておる譯であります。
東亞火災海上保險
會社竝びに協榮
生命保險會社の兩
會社に兩中央會の仕事を委讓するのでありまするが、これは
政府の仕事というものが中心にな
つておる兩中央會のことでありまするから、今後におきましても委讓した
部分の仕事につきましては、相當これは別個の見地から見て行くという必要があろうと思うのであります。その法的根據というものをこの
法案に掲げておるのであります。それから尚さような
關係でありますから、税の
關係というものも昔の兩中央會と同じ
關係にして行くということであります。そこで兩中央會の仕事が兩
會社に移りますが、その移
つた部分の中
政府の
勘定に
關係する
部分は經理を截然と分けまして、そうしてこの税の
關係でありまするとか、或いは
政府の監督でありまするとか、さようなことに對處するという態勢を取るのであります。大體さような
仕組に相成
つておるのでありまして、その
關係を
法制化にいたしのが本
法案であります。