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政府委員(河野一之君)
只今政務次官の御説明がありました點を多少敷衍して申上げます。
第一點は、勞働省設置の關係でございますが、第二點は
勞働者災害補償保險特別會計法の附則の問題でありますが、この點につきましては從來勞働者の災害補償制度がどういうふうにな
つてお
つたかということを一應申上げた方がお分りがよいかと存ずるのであります。勞働者の災害補償制度につきましては從來屋外勞働者、即ち土木建築というような屋外勞働者につきましては、勞働者災害扶助法という
法律がございました。それで業務上の傷病災害につきましては、業主がその負擔において補償をいたしております。これに對しまして勞働者の災害扶助責任保險法という
法律がありまして、業主の責任を
政府が保險してやる。こういう建前にな
つておりました。これが從來ありました勞働者災害扶助責任保險
特別會計法、この
特別會計でその責任保險法をや
つてお
つたわけでございます。それから屋内勞働者につきましては健康保險法という
法律がございまして、この
法律によりまして、業務上のものも業務外のものも、即ち公傷面も私傷面も併せてこの健康保險法によ
つて保險いたしております。これは現在あります厚生保險法によ
つて處理されてお
つたわけであります。ところがこの勞働基準という
法律が新しくできまして、これが屋外勞働者も屋内勞働者も併せて業主の負擔において、その業務上の傷病を補償する、災害を補償するということに相成
つております。その基礎というものは勞働基準法でありまして、勞働基準法において業務上のものは、すべて業主の負擔においてこれを補償する。そういたしまして、これに基ずきまして、その業主の補償責任を更に保險制度によ
つて負擔を公平にする。こういう關係に相成
つております。從いまして勞働基準法が基礎であり、勞働者災害補償保險法というものが、それに保險制度としてできている從來のような勞働者災害扶助責任保險と異なりまして、業主の補償を保險制度において國が直接や
つてやる。業主の責任を保險するというのでなしに、
國家が業主に代
つてや
つてやる。その代り保險料として業主から取る。こういう關係に相成
つております。それはその補償を圖滑にし、敏速にするため、いろいろな理由がございますが、そういう恰好に相成
つております。そういたしまして、この
法律に、勞働基準法が七月一日から施行される豫定にな
つております。ところが事務上その他非常な、いろいろな關係上、例えば勞働者の從來保險制度に入
つておらなか
つた者を登録するかというような、いろいろな事務上の問題がありまして、七月一日から施行することができなくなりまして、大體現在の豫定では九月一日から施行いたしたい。從いましてこれと裏腹の關係にある勞働者災害補償保險法というものも、九月一日から施行する。そういたしますと、一方勞働者災害扶助責任保險法の方は七月三十一日で廢止になるという關係で、
法律が制定せられておりまするので、その間にギヤツプができる。そうすると困るものでありまするから、便宜
勞働者災害補償保險特別會計法におきまして、從來の勞働者災害扶助責任保險の方も合せてやる。便宜的に過渡的の間、新らしい
特別會計で、從來の、本當ならば廢止せられているであろうと思われる事業を二ケ月の間やる。こういう
改正が附則の
改正であります。非常に技術的な
法律でありまして、お分りにくいと思いますが、出しました趣旨は以上のような次第でございます。從いましてこれに伴いまして勞働者災害補償保險法の方の追加豫算が今囘の議會にいずれ提出に相成ることと相成
つております。大體以上の程度でございます。