○國務
大臣(栗栖赳夫君) この
経済力集中排除法が
金融機関に対してどういうふうに
適用になるか、或いはどういう結果を齎すかということにつきまして御
説明申上げたいと思います。これは実は
金融機関の面における
適用はどういう範囲になるか、或いはどういうように
適用されるかというようなことは、
企業全般に対するものよりも尚まだ判明しない点が多々あるのでございまして、只今
関係筋ともいろいろ交渉をし、そうしてその
適用の方向、形式、範囲その他についても打合せを続けておるような次第であります。それで、ここでいろいろ纏めて
はつきりしたことを申上げるわけに参りませんし、今後分り次第成るべく早急に又重ねて御
説明を申上げ、又お尋ねも受ける、こういうことに相成ろうと思うのであります。その辺を
一つお許しを願いまして、申上げて見たいと思います。
先ず
集中排除法が
金融機関に
適用になるかどうかという問題は、
適用になると申上げなければならんのであります。併しどういうふうに
適用されるかというようなことは、先程も申したようにまだ
はつきり決ま
つておらんのでございます。只今いろいろその角度から交渉をいたしまして、その
関係を
はつきりするように、いたしておるような次第でございます。尚若しこの
排除法が
金融機関に
適用されるとすれば、どういう
金融機関に
適用されるか、こういうことでありますが、併し実はこれもまだ
はつきりした
基準その他が決ま
つておりませんので、どういう種類、どういうような
金融機関に
適用されるということはまだ分り兼ねておるのであります。
それから特殊銀行に
適用されるか、こういう問題でありますが、これは実は特殊銀行制度というものは、
政府といたしましても別途な観点からいろいろ見直しており、これは制度も改めたいと
考えておるのであります。実は大体この
企業整備、
経済力の
集中排除等が完了をいたしまして、日本の
産業がどういうスケールで、どういう方向に、どういう形式であるかというような見込を付けて、それに対して日本の
金融機関もかくかくでなければならんというような見込を立てるわけでございます。併しながらこの特殊銀行制度というものは、現在におきましては日本銀行、復興金融金庫というものは暫く別にいたしますが、その他の
金融機関というものは殆んど全部特別の銀行法というものができておりまして、それによ
つていろいろな制度があり、特権その他が與えられておるのであります。
政府といたしましては、かような特別銀行法によ
つて特殊銀行を作るということは止めたいと
考えておるのであります。いずれ銀行法も改正せんければならんけれども、さような銀行法というものの下に、すべての銀行、
金融機関の
規定を置きまして、その中の特殊的
分野を守りますところの、又
分野で営業活動をいたしますところの特殊銀行は、そういう一般の銀行法の中に
規定を設けて、そうしてその中でやらして行きたいと思うのであります。銀行の
民主化というような点もこの辺りに非常に考慮して実現をいたしたいと
考えておる次第でございます。そうして或いはその特殊的
分野というような
関係から、長期金融をいたす必要がありますものにつきましては、やはり預金による
資金の調達というような点に主力を置かないで、債券発行というような特殊なところに主力を置いて、長期
資金を集める、こういうような形をも取らしたいと思うのであります。そうしてこの経営でございますが、経営も
民主化いたしまして、そうして從來のような会社の主脳部についての選仕の形式その他監督の形式等はすべて止めまして、民主的なる形式の下に、選任とか監督というようなことも行いたいと思うのでございます。
それからこの信託会社その他の一種の特殊な
金融機関につきましても、この際從來の業域より更に本來の信託会社の形式の方に進ましたい。それがために特殊的な金銭信託に主力を置いて、銀行との摩擦を生ずるというようなことも変えたい、かように
考えておる次第でございます。
損害保險につきましては、実は根本の
基準その他は決ま
つておりませんけれども、これは丁度再
編成案を出すように只今要求をいたしております。そういうような要求が出ました上で、いろいろ
審議の結果、
一定の方向を取らしたいと
考えておる次第でございます。
それから
経済力集中排除法は五大閥銀行だけに
適用になるのじやないかというようなことも間々新聞に出ておるのでございます。
政府は未だかような
考えを決定して持
つておりませんのでございます。新聞にはいろいろ仄聞の記事として出たかも知れませんけれども、かように
はつきりした
考えを決めておらんような次第でございます。
それから或いは銀行の
集中排除の結果、分割するというような場合には、地域別にするのか、或いは預金別にするのか、或いは戰時中特殊の銀行が、特定の銀行が合併したものによ
つて、更に元の銀行に復元するような
意味で
集中排除をするかというようなこともしばしばお尋ねを受けるのでありますが、まだこの点については全く、先程も申しましたように、方針が決ま
つておらん次第でございます。そこでこの預金によるとか、地域別によるとか、或いはこの合併によるものを復元分散をして行く、かような、ことなどについてはまだ
はつきりしたことを申上げられない立場にあるのであります。ただ
金融機関でございますから、そういうものの再
編成につきましては、およそ
一定の方針を立て、
一定の方向を定めて、いずれこれはやりたい、
集中排除の分散その他をいたしたいと、かように
考えておることは、ここで申上げられると思うのであります。
尚この
金融機関はまあ預金、金銭信託その他の預貯金を預
つておりますので、この
経済力集中排除の結果、分割されるように
なつた場合に、預貯金の保護はどうか、薄くなるようなことはないか、かような懸念もあるかと思うのであります。
政府といたしましては、
金融機関の特殊性というものを十分考慮いたしまして、そうして預貯金の保護、預貯金の安全性というものを害さないようにということについては十分盡したいと
考えておるのであります。貯蓄の増強ということが、このインフレ
対策の
一つの大きな要素であり、増強をするということは、預貯金の安全性を維持、増進して行くということが極めて大事でございますので、その辺は十分考慮してこの実行をいたしたい。かように
考える次第でございます。
尚
政府は預金保險制度というようなものについても考究をいたしておるのでございます。この制度は実はこの
経済力集中排除法によ
つて、
金融機関が
指定を受け、そうして再
編成をされた結果、その後の預金というものについては、この保險制度も必要に應じては取
つて行きたいと思うのでありますが、
集中排除のために、又その対処の策として、預金保險制度を採ろうというようなことが或いは誤傳されておるかも知れませんが、そういうことは全然ないことであります。それ以外の形式を、
金融機関本來の建前から、預金貯金の安全性ということは別途に十分保護して行きたい。かように
考えておる次第でございます。
簡單でありますが、これを以て
説明といたします。