○
岡元義人君 たまたまこういう
事件が
最後の日に起きたわけでありますが、私は途中からこの
特別委員會に入りまして、その間
皆様よりも、特別な
立場でこの
特別委員會を眺めて來た一人なんであります。
當初穗積委員の
政府當局に對して、本會における
質問が掲載されたときに、
引揚者たちは全く随喜の涙をこぼさんばかりに喜んだのであります。我々は何とかして救われるぞというような気持をば、痛切に
引揚者たちは抱いたのであります。これは、この
議員の
方々は御存じなかつたと思いますけれども、恐らく私みたいな遠い
鹿兒島の果てにおる者が、現に
自分で見て、そうして眺めて來ておりますので、その感激の状況は全く、實に私
たち自體でもそうでありましたが、
引揚者の
代表が
國會へ出てくれて、而も猛烈にや
つて頂いておるということに對して、大きな期待を抱いたのであります。そうして私もその後の
經過というものを待
つたのでありますが、併しながら末端までは何ら形に現れるものが來なくて、しびれを切らしてこの議事堂まで足を進めて参
つたのであります。入
つて見まして
皆さんがあらゆる方面に血の滲むような努力を重ねて頂いておるという現實を眺めますときに、私がここに來るまでの
氣持は、尚一層深く
感謝の念に驅られたのであります。この點は外の
委員の
立場と違いまして、私の
立場からは一入深いものがあ
つたのであります。私といたしましては、この
特別委員會に入りました以上、
皆様の今までのお働きの分まで働かなければいけないという
氣持で、或いは出しやばり過ぎたり、或いは
皆様の感情を害したりしたこともあつたかと思うのでありますが、併しながらこの點はこの席上で
皆様にお許しを頂くことにいたしまして、取敢えずこの
委員會の第一
國會の過去を振り返
つて見ますと、今先、問題にな
つておりますような、この
特別委員會が何ら得るところがなかつたというようなことは、私は誠に残念な
言葉と聽かなければならんと思うのであります。
そもそも
引揚者の關係は、そう簡單に
解決のつく問題ではなくして、いつも
委員長が言われますように、紐をほどいて行くようにして
一つづつ
解決して行かなければならん問題が山積しておるのであります。それが、勿論我々の
委員會がまだ力が足りなくて、そうして本當の
解決をつけ得なかつたという點は、我々はないとこれは申さないのであります。我々がもう少し氣を附けて、もう一歩ふん
張つたならば、あれもこういう工合に行くんじやないかと思われるような點もあるのじやないかと思うのであります。併しながら
總體的に見まして先程
淺岡委員が申されましたように、未
復員家族の
手當の問題にいたしましても、或いは
生業資金の問題にいたしましても、あらゆる面において、一昨日でございましたか、今後の
住民税の問題にいたしましても、これらの適用を除外するということを
はつきり執
つておるということは、これは大きな收穫でなければならんと思うのであります。又現在
海外から
内地へ到著しておりますところの有價證券の整理だけでも、この
一つの仕事だけでも私は大仕事じやないかと思うのです。衆
議院におきまして隱退藏物資の
特別委員會が設けられておりますが、物と人の生命と、我々が常識で考えて見ましても、隱退藏物資の
特別委員會が設けられるくらいでありましたならば、誰が考えて見ましても、この
海外同胞の引揚及び更生
對策に對するところの
特別委員會は當然設けられなければならないものだということを私は
はつきり言えると思うのであります。一番良い好個の例は、先日の免税の法律に關してでありますが、ああいうふうな法的根據があるものは、免税でもなんでも適用を受けられるのでありますが、引揚という問題、
日本歴史始ま
つて以來の問題でありまして、なんら根據がないのであります。すべてが新らしい
一つの根據を作
つて行くより外方法がない。その根據を作るところは何處かと申しますと、この
特別委員會であります。法律がないのでありますから、この
特別委員會というものは、將來永久的なものでは決してないのでありますが、少くとも
日本人口の何割かを占める厖大なこれらの
人達の處置に関して、當然設けらるべき
委員會であるということを私は申上げたいのであります。尚又
議員の
方々は、我我が
國會議員といたしまして、この
特別委員會に席を置く方は、これは
一つの犠牲的精神においてのみなされると私は言いたいのであります。と言うのは、それぞれ
國會議員としての職責を全うするためには常任
委員としての專門的な勉強も必要であろうと思うのであります。併しながら、いつなくなるか分らないところの
特別委員會に席を置いてやられる方は、これは少くとも犠牲的精神において、最も純粹な
氣持において、そうして眞面目な本當にあわれな、そういう方の味方にな
つて行くというような健氣な
氣持がなければ、この
委員會には席を置かれないはずだと思うのであります。その點に鑑みましても、私達は今日、私も傍聽した一人でありますが、全く遺憾に堪えないのであります。すき好んで
特別委員會を構成しようとしておる人は、恐らく私は一人もないと思います。あらゆる犠牲の上に立
つてや
つておられると思うのであります。これをばそういうふうに解釋されておる
議員が
國會議員の中に一人でもおられるというようなことは、誠に残念に堪えないと私は思うのであります。すべからくこういう問題に對しましては、我々
特別委員會は、
委員會が反省すると同時に、又こういうような失態に對して、あくまでも究明して行くという處置をばとられるように
委員長にお願いいたしたいのであります。
〔
理事北條秀一君退席、
委員長着席〕