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穗積眞六郎君 この
生業資金の問題は、非常に度重ねてお願いするので、もう随分うるさくお思いになる点もあるかと思いますが、ただ我々といたしまして、何十
項目の
実行を願いたい事項を並べまして、各省にお願いしておるのでございます。これは諸種の
事情から殆んど御
実行を願えるものが少いのでございます。今日もこの七百何十万の失業して参りました
引揚者に対しまして、
失業手当の点に
引揚者が触れ得られるのかという点を伺いましても、これも枠外にあるのだというような
お話でございます。すべての点について、正当なこちらの
主張があり、中には
政府に対して建議まであるに拘わらず、すべてがどうしてもや
つてやれないという御
事情にあるのであります。そうしますと、
最後の望みというものが、
生業資金にますますぐつと強く集
つて来るということは、これは十分御
承知願えることだと思うのであります。それで願
つておるのでございますが、そこで去年第一次として十億、今年六億六千六百六十七万円、これだけは今の
お話で、であるだけ早く出してやろう、こういう御好意を得たのでございますが、その後に来るものの問題について、とてもこれ程の大きな犠性を背負
つておりますのに、二ケ年間に亙
つて十六億六千万円という
生業資金では、とても我々生きて行けない、こういう氣が一日々々と強くな
つて参
つておるのであります。そこで先程も問題になりましたように、一月から三月まで空くという問題、並びに来
年度の問題といたしまして、
生業資金をどうも何とがして
増額して頂かなければ、
引揚者として堪え得られないのみならず、これは
引揚者の思想の非常な惡化の
根本になるということを、非常に憂えておるのでございます。そこで十六億六千万円が出ました後の問題、これにつきまして、この間から
厚生大臣にもいろいろ繰返して伺
つておるのでございますが、
厚生大臣の御答弁に、その後のことは
大藏省と強く
折衝して行くのだ。こういう御返事があ
つたのでございます。その
意味が、
只今承わ
つておりますると、これは今度十八億でございますかの
民生安定費が
増額になる。何かその中から
厚生省でどうにかする案があるようだ、というような御
言葉のように承わ
つたのでございます。併し一方ではこの十八億の中には、今の
最後の一億六千六百万円というもののみが、
生業資金としては
予算せられておるようにも聞いておるのでございます。そこでこの問題は、いろいろ
両省の間に御
主張もございますが、実際問題として、これが而ももう
迫つた年末に現われましたときに、
大藏省は、いや
厚生省がそのうちでやりくりするのだと
言つて、それから
民生安定費の
根本の使用問題からして、今度は
生活援護費の方の
関係やなんかで、
生業資金には廻し得ないというようなことになりましたときには、おのおの御
主張はございますけれども、それによ
つて非常な迷惑をいたし、非常な混乱を來すのは
引揚者なのでございます。それでございますから、我々誠におうるさいとは存じながら、始終お願いしておるのでございます。この辺を明瞭に
両省の御協議を遂げられまして、若しそれでどうしても間に合わないということならば、もう一遍
追加予算を出されても、或る程度は本
年度内に必ず出すという御方針を決めて頂きたいのでございます。随分無理な御注文かも知れませんが、これは
引揚者の生活問題並びに精神上の問題からして、非常な重大な問題でございます。これが
一つ間違いますとどんな結果になるか、私ども請け合えない氣がするのでございます。そのときに
至つて、
引揚者が甚はだ我がままだとか、これほどしてや
つておるのになんというお
言葉がありましても、もう遅いのであります。この点を十分御
考慮にな
つて、そうして十分な御努力を頂きたいということを、切にお願い申上げておきたいと思います。