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國務大臣(
一松定吉君) 今まで
皆様方の
海外引揚促進に關する
決議案に對する御
評談を清聽いたしてお
つたのでありますが、特に機宜に適したる立派な御
決議であると私は感激しておるのであります。
引揚げ同胞が……多數の方がすでに歸へられて、それらの友人、
親族等に對して安心を與えた一面、未だに
海外にそのままに抑留せられておりまして、歸ることのできないそれら本人の意中は勿論でありますが、國におりまする
遺家族の
人々の……留守居をしておる
妻子眷屬等の
人々のその心中を察しますると、私
どもその話を聞き、その
陳情を承る
たびごとに、みずから胸を裂かるるような思いをいたすのであります。殊に又私自身にも身内の者がいまに、生存はしておるのであるけれ
ども、どこにどうしておるかということもわからないというような
立場にある
親族の者もおりまするが、そういうような直接
關係のある
人々の心の中というものは、察するに餘りあるのであります。こういう時にこういう
決議をいたしまして、そうして
國民の
意思を
はつきり聯合國の
人々に看取して頂いて、我が國の
輿論によ
つて、
輿論に支配さるべきこれら
聯合國の
方々が、一刻も早く
同胞が我が國に
引揚げて歸ることのできるように、それぞれの施策を取
つて頂きますることは、私
どもの熱心に
希望するところであまりす。こういう點に對しまして、
厚生省といたしましてもこれらの
方々の
歸還に關しましては、でき得る限りの御協力を申上げまして、今までいろいろ
皆様方の御
意見、御非難、御
指導等を承りました私としては、今までの
欠陷を補い、
豫算の許す限り、又
豫算がないといたしましても、これが運用のできる限りこれらの同情すべき
人々のためには渾身の
努力を拂いたい、かように考えておるのでございます。取敢えず
感想の一端を述べまして、
皆様の熱心溢れる御
決議に對しまして
敬意を表します。