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原口忠次郎君 私は
調査なさることは非常に結構だと思いますが、非常にむづかしい問題だと思います。
災害が起きたからその
原因を
調査する、こういうことはいろいろございます。いろいろあると思いますが、譬えて考えまして、それでは日本のみがこういうふうな
災害を受けておるかということを飜
つて考えますと、今年の七月に
ミシシッピー河は
古今未曾有の大
水害を受けておる。外紙の傳えるところによりますと、あの
被害は一億三千万ドルと言われております。アメリカのような國でそのくらいなとに角今日
水害が起きておる。
治水工事というものは、私はあらゆる
災害を除き得るものだとの設計は何処の國でもできていないと思います。若しもそういうことをやるんだと、非常な莫大な費用がかかる。それはできんことはないと思いますが、尨大な費用がかかる。英國は今年の五月に非常なやはり大きな
水害を豪
つております。英國の人達はモナコに
自分は行きた
かつたけれども、やつとモナコに行かんで、ここでモナコの景色を見ることができたということを外紙は傳えておる。英國でもやはり非常に
水害がある。
水害のあることは、これはもう世界各國あるのでありますから、殊に日本のような地形では、私は
水害を絶対に、どんな雨が來ても絶対に防止するということは非常に困難だと思います。それでありますけれども、我我としては
水害をできるだけ小さく止める、少なくするということに努力しなければならん。こういう感じであります。それですから、例えば今
岩崎さんが仰しやつた対岸が切れなければ片方がやられるというのは、何処か弱いところがやられるに決ま
つておる。これは何故かとうすと、
利根川治水の工事は、結局どんな雨が來ても壊れないという保証は私は誰もしていないと思います。結局今までの雨分統計は、大体三十年乃至四十年の統計でや
つております。アメリカの如きああいう國でも二百年くらいの雨量の統計で仕事をしておる。併し雨というものは二百年内に降つた雨が必ず最大の雨かというとそうでない。況んや日本の雨量の統計というものは、まだ四、五十年でありますから、こういう雨でや
つておりますから、その前に降つたような雨が若し來ますと、私もこれは本当に破堤するのは当り前だ……というと
ちよつと語弊がありますけれども、そうでないかという感じすらするのであります。それでありますから、若し
水害の本当の
原因を御
調査なさるという
意味でなさるならば、私は希望しますことは、仕事をや
つておる者の責任ということじやなくて、國の財政がどこまで許し得るかということをやはり考えて頂きたい。そういうふうな
意味で、眞に日本の
水害を救う途は、國費がどの点まで許し得るか、この
災害防除に使う金は尨大でありますが、その以前に土木費用に……例えばこの大きな
水害が出て來ましたのでありますが、こういうものを全然なくするためには、一應どのくらいの費用があつたらばできるかということをお考え願いたいと思います。これはとても
國家が負担し切れないくらいの尨大な費用が要るのじやないか、そうしますと、そこは非常に妙なものになりますから、最少限度の費用で最少限度の
被害に止めるという方法は、どういうふうにしたらいいか、こういうふうに私は進めて頂きたい。ただ
被害をなくす……なくすということだけいつたなら、それは非常に結構なんですけれども、果して尨大な費用を國が負担し得るかどうか、これをまず以てお考え願いたい。こういう点もございますので、その
調査ということは、どういうところに
調査の重点をおかれるかということが私は非常に疑問だと思います。それですから、できるならば、成るたけもう少し期間を與えられて、そうして現地が相当に戰爭状態から……昨日私
行つて現場を見ますと、全くの戰爭状態であります。本当に身命を賭して
災害復旧に当
つております。ああいうふうに当
つておるところへ、責任を問うとか、
調査をするとかいうようなことは今なさらんでもう少し時間をお藉しにな
つて、そうしてもう少し
調査も本当に眞劍に係員の人達ができるようにな
つてから
調査して頂いたらどうか、こういうふうに考えます。