○小林英三君 今
政府委員の大体の御説明がありまするから、この
委員会の問題につきましては今後
政府が十分おやりになるものと信じまして、この問題につきましては
質問を打切ります。
次に、私は
生産協議会の問題につきまして
質問したいのでありますが、その前に先ず第一番に私が考えますことは、この前も私はこの
質問をいたしたのでありますが、日本の
石炭は大正十五年には月に四百万トンできてお
つた。戰爭中におきましても、少くとも三百万トンはできてお
つた。そうして戰時中においては十五、六トンの一人の採炭能力があ
つた。それが今日はどうであるか。我々が夜晩くまでこの
國会の
委員会の部屋におきまして、我々が大いに口角沫を飛ばして國管を論じておるということは、これは今年には僅かに三千万トン、來年におきましても僅かに三千三百万トン、再來年も三千六百万トン、こういうように戰時中から考えますると、余りに情ないこの大きな喰違いというものは、何であるかということは、我々は余程檢討しなくちやならん。つまり、この大きな喰違いが、
石炭の國管案を我々が
審議して、我々がこれを満場一致において通過すれば、これによ
つてこの大きな喰違いが解決できるのか、少くとも來年は三千三百万トンが解決できるのか、再來年は三千六百万トンができるのか、或いはこれが不幸にして、
政府が支持しておりますところの原案並びに修正案、これを我々が通過することによ
つて、若しこれが反対の効果があ
つたならば、私どもは國民に対して申訳ない。その
意味におきまして、我々はこうや
つて夜晩くまでして
本当に心髓を掴もうとして
審議を続けておるのであります。
從つて私はこの問題につきましては余程研究をして見なければならん。その原因につきましても、こういうように余りにも甚だしいところの増産の喰違いができている。これは何であるか、これは我々が聞くまでもなく、専門家が
言つております。つまり戰爭中におきまする濫掘であるとか、或いは鮮華人の極めて……水谷
商工大臣がこの前私の
質問に対しまして、憲兵政治によ
つてや
つておるという話もありましたが、とに角鮮華人は身体を惜しまずに働いたでありましよう。それらの人間が非常に沢山引揚げた、こういうような問題も私はあると思う。併しながら私どもは具に考えなければならんと思いますことは、坑内事情が徐々に今日整備せられている、多少でも整備せられている。そうして
炭鉱の労働者も相当補充されまして、とにかく質は多少違うでありましようけれども、四十万人近くの労務者がいるのはこれは事実であります。併しそれらの人達も相当の熟練を得て來ている。これが今日の私は
状況だろうと思う。而も今日我々が論議することは、今年は三千万トン、一時は年に四、五千万トンも出てお
つたのが、三千万トンを掘るために口角沫を飛ばしてこうや
つておる。大きな喰違いがあると思う。これは私共は何がその原因であるかということを考えますというと、いわゆる
炭價の問題はコストの問題については、まだ遺憾の点がありまするけれども、とにかく今日コストの問題についても
炭鉱業者は非常に困
つておる。
赤字を出しておることは、これは事実であります。そこでこの問題をとにかく一時解決したといたしましても、
資材及び資金の問題、これらの問題は私が只今申上げましたように、何も國管案によらないでもできる。ただ問題といたしましては、
生産意欲の問題である。私が今これから
生産協議会の問題についてお尋ねせんとするのはそこであります。
生産意欲の問題は、私は國管案に対して最後に残きれた問題だろうと思う。然らば
経営者の
生産意欲はどうでありますか。
経営者の
生産意欲は
炭價政策によりまして
炭價は改訂せられて、そうして先ず前決め制度によ
つて今日や
つておる。これは前以て
炭價が決ま
つて來たのでありまして、
炭鉱業者といたしましては、
会社は毎日毎日の物價の高騰によりまして、インフレによりまして、
赤字が出て困
つておりますけれども、とにかく七月五日前でありまするか、三日前でありまするか、この
炭價が決まる前までに比べまするならば、私はまだ創意工夫によ
つては相当なことができるのではないかと思う。で問題はただ
炭鉱業者といたしましては、今日私がこの
委員会におきまして先般申上げましたように、いわゆる全國的の
炭鉱業者がこれに反対しておる。ただ最後の残されておる問題は労務者の
生産意欲の問題であります。労務者の
生産意欲の問題が今日私はこの
生産協議会に絡んだ大きな問題であると考えております。労務者の
生産意欲というものは、終戰後
炭鉱の現場の労働
能率は非常に低下しておることは事実であります。又ややもすれば、
経営が非常に弛んだことも事実であります。そうして敗戰に伴いまして、深刻且つ急激な精神的の衝動を我々國民全般が受けると同時に、
炭鉱労働者もこの敗戰によりまするところの急激なる精神的の衝動を受けておることも事実であります。それから又一番
炭鉱の
生産の上らないという問題は、封建的國家からして民主主義國家への轉換に当りまして、つまり民主主義を穿き違えて、いわゆる無責任なる放縦勝手な考え方が一時一般國民全体、或いはこれもやはり
炭鉱國家管理法の中にも入
つていて、そうして自己の主張のみを主張しまして、勤労義務を怠
つて、又現場の職員も労働攻勢に押されがちでありまして、指導
監督に氣兼ねする。そうして実際の労働時間というものも五時間何分というように相成
つておるのであります。これが今日終戰後におきまして、
生産の上に非常なる喰違いがあるということに相成
つておるのであります。私はこの
生産協議会の問題につきまして、水谷
商工大臣に篤と承わりたいと思う。それは果して
生産協議会によりまして
生産意欲が増大できるかどうか、
生産協議会によりまして
生産意欲が増大できるかどうかということであります。労働者が
生産協議会を通して
経営参加ができることによ
つて、又國家管理になることによ
つて、そういうことのみによ
つて、大臣が常におつしやるような、
炭鉱労働者が國家的の自覚、そうして
自分の地位に目覚めて
生産意欲を増大できるか、而も
生産協議会に参加する者は、
炭鉱の何千人の人全部が
生産協議会に参加して、そうして
自分たちがこの経理に参加できるのではなくして、何千人の内、或いは何百人の内、山によ
つて違いましようけれども、とにかく全部の
炭鉱労働者の或る一部分の人のみが
経営参加ができるのであります。多くの人たちは
経営参加はできないのであります。この
生産協議会には参加できないのであります。
自分たちの一部分の代表者のみが参加できる、それのみを以て私は全体の労働者が、
本当に國家的の自覚と地位に目覚めることができるでありましようか。私はその点は極めて疑わしいと思うのであります。先ずこの点につきまして、この
経営協議会の問題につきまして、一部の人間のみが参加しておるのであるが、全体の人間が同じように
経営参加の問題について
生産の意欲が向上できるかどうか、地位に目覚めることができるかということにつきまして、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。