○細川嘉六君
商工大臣にお聞きしたい。この第五條に言
つておる事業
計画、これは私共の見解では
生産協議会が作成すべきであると思うのであります。これは余程
考えが突飛なようでありますが、実際
石炭管理案というものに持
つて行かなければならなか
つたのは、この前申上げましたように、現場において働いておる者が本当に総意総力を発揮するというのでなければならんというところからこの問題が起
つて來ておるのである。詳しいことは申しませんが、現在
炭鉱主というものは
政府から百五十億台の金を注ぎ込んで貰
つておいて、尚
石炭も碌に掘れないという大騒ぎである。又昨日の
委員会でも、今日お出でにならないが、川上嘉市君のごとき
炭鉱の労働者は特別の手当を受けておるに拘わらず働かん。もつと労働強化をや
つて長時間働かせなければならんということを述べられました。これは実際本当に労働者の働いておる状態を御覧にな
つておるかどうか、一つ例を申しますと、実際
炭鉱夫というものは命を捧げて危ぶない作業をや
つておるのである。長壁式前進法ということで
石炭を掘
つておるので、危なくて仕方がない。本來ならば長壁式後退法というもつと進歩した
採掘をするのであります。それにも拘わらず今日
日本の
炭鉱というものは戰爭の中から今日にかけて危險な長壁前進式をや
つておる。その他坑木が不足しておるとか、排水がうまく行
つておらんとか、機械が磨滅しておるとか、こういうような状態で
炭鉱夫というものは命を暴らして働いておる。そうして殊に労働組合の発達した……労働組合をここにおる委員諸君は余程お嫌いのようであるが、労働組合の発達しておる所は、実績上
出炭量を殖やして來ておる。そういうようなわけで
炭鉱の労働者というものは一生懸命にな
つて生産に努めておる。それにも拘わらず與えられるものはひどい。一度
炭鉱内に入
つて行
つて働くと目方は約二キロぐらい減るものである。現に参議院、衆議院の鉱工本
委員会の中からもこの夏
炭鉱を視察なさ
つた、その報告は皆厚生施設が惡いということを一致して述べておられる。それでそういうような状態なのは、全く今日の資本家の
炭鉱経営というものは成立
つて行かん。や
つて行けないことを現わしておるのである。そこで
炭鉱の
國管案が問題にな
つて來ておる根本問題は、
炭鉱主は駄目だからもう一つの手は現場に働いておる者を本当に働かせる。こういう手より外ないといらところに來ておるのである。然るにこの
國管案はもう原案ができる時に骨拔き、修正して又骨拔き、実際はこの案というものは、
炭鉱側を、成立たない産業を更に成立たせるために、國民の財政の負担で何とかしてやろうという、誠に資本家擁護の案である。そうして今
炭鉱國管案が問題にな
つて來ておる現状、私的
炭鉱が成立たないから、その一つの手として勤労者の手による外ないのでここに來ておる。これが骨拔きである。問題は本当ならば五條においては、この事業
計画というものは誰が立てる。これは現場におる者に立てさせる。そうして
責任を持
つて立ち上がらせる。これでなければなりません。それから殊に昨日の一般
質問においては惡いのは皆労働者であるということにな
つて來ておる。その引合に細川委員が何とかい
つたということまで言われた。板谷君はこういうことを言
つた。北海道で
石炭が出ないのは労働者が惡いのである。労働者を煽
つておる奴は退職軍人である。それをや
つておるのは共産党である。共産党を彈圧しなければ
石炭は掘れないということを速記録について私は知りました。以ての外のことであります。或る方面では必密
政府ということを発表した。これは何を発表したか、これは
日本においてしつつこい反動主義の者が廣くはびこ
つておる。民主主義の完成を妨げておる。これを
指摘しておる。それをもぢ
つて、共産党が秘密
政府か、秘密工作かなんかや
つておるように取られることを板谷君が言われた。板谷君がここにおらんことは誠に残念であるが、そういうことまで言
つて、労働者側の本当のところを理解しようとしない。今日の勢力家たち、これは我が國の経済の根本である
石炭の問題を論ずる資格がない。私は愼重
審議この重大問題は討議さるべきであると思う。併しながらこの
炭鉱國家管理案が出て來た。この重大なる時期を理解せずして、この問題は本当に合理的に
解決されるでありましようか、民主党にしましても、経営と資本を分離しなければならんというようなことを公に言われた。修正資本主義はそういうことを本にしておるという意味でありましよう。
社会党だ
つて経営と資本を分離しなければならん。そういう意氣込みで実際は
炭鉱國管案を作ろうと一生懸命にな
つてやられた。尤もな次第であります。それでありますから、我々はこの第五條はもうすでにこの問題の
解決は
石炭の危機を突破する途は、この案では誠に不完全にな
つて來ておると言わなければならんのであります。
それから第八條、第九條、これは先程來いろいろと疑問になさ
つておるが、炭業の
状況に関して監査するという、これは規定の上では成るほど立派に監査するようにな
つておりますが、從來こういう規定の上でや
つただけでは、本当の監査はできません。官吏とそれから企業家との結託というものについての醜聞はいろいろと傳
つておる。物事は公でなければならん。殊に大資本を、國民の負担であるお金を注ぎ込んでおる以上、監査は單に報告をや
つた、受取
つたというだけでは駄目である。本当に報告或いは
調査というものは公の目に暴さなければならん。そこに邪魔なことがないようにしなければならん。そういう組織或いは規定を作
つてしなければ、この監査というものは役立たないと我々は
考えます。もうここまで原案はできて來ておりまするが、
商工大臣水谷君はここで一つ勇氣を奮
つて元に還る氣はありませんか。