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委員外
議員(矢野酉雄君) お尋ねをする前に、私は特に
参議院の
鉱工業委員会の各位に対して、その今までの御奮闘を謝すと共に、是非
國民がこの
委員会の決定に対して権威と
尊敬を拂うようなふうに、
委員長初めお取計いを願
つて置く者であります。
政府の御
努力に対しても、心から敬意を表する者であります。私はこの
法案の
内容について詳細なる
質問を申上げるということは差控えます。それぞれの権威ある
委員諸君がおられますので、一切これは割愛したいと思います。綜合的の
立場、殊に敗戰
日本を民主的に建設して行くという最高の理念を実現して行きまする上に、この問題の解決は実に重大なる関聯を持つのでありますから、その
立場から、私は
政府当局にむしろ
お願いと
質問を兼ねるわけでございます。率直に申しますというと、残念ながら第一回の
國会は、
國民の前に非常なる権威を失墜したのであります。その
一つの大きい原因は、御承知のごとく、いわゆる鉄道運賃その他一切の物價の決定、変動が、一片の政令によ
つてこれが処置されるということである、と共に、その権威を失墜しました
一つの大きな原因としては、結局この
法案を
審議されました
衆議院に、
幾多の波瀾万丈が起りまして、そのために関係筋からも忠告を受けるというようなことがあ
つたやに仄聞しておる次第であります。私はこの祖國を愛し、又我々が指名いたしました
総理によ
つて政治をいたしておりまするこの
片山内閣を
尊敬するが故に、敢て私はこれから後の
質問を展開したいと思うのでございます。
さて私は、この
片山内閣におきまして、二人の大臣が、余り私たち
國民の一人としても
尊敬のできないような処置が行われました。併し次の農相問題については、この現首班
内閣は、非常に愼重に隠忍自重をしておられる。これは結局はこの共立政権において、摩擦を生じないで是非この難局を突破して行きたいという大乗的
使命観を持
つておられるからであると思う。そういう
意味におきまして、私はこの
法案も、
國民全体が一致協力して、可決するならば可決するし、
否決するならば
否決するというように実は運びたい。念願としては、この
参議院の
委員会も、本
会議においても、全会一致を以てこれを
通過させるならば
通過させるというように、
政府は、眞心を傾け、力をいたして、そこに
努力をして頂かなければならんと思うのであります。最前楠見
委員より、生産協議会の問題について、その法規的の性格についての御
質問があ
つたのに対して、商工大臣は、これは決議機関でもない。或いは諮問機関でもない、その中間の性格を持
つておると、更に最前私も緑風会の総会に
行つて見ると、藤井
委員から又この生産協議会の性格についての所見がちようど述べられてお
つたのでありますが、この
一つの問題をどう解釈するかにおきましても、結局企業主体者と労務者と
政府が三位一体とな
つて、法文の單なる文理解釈でない、
一つの肚の解釈で、ここに調和的な解釈をして行きたいというような御所見が、私は商工大臣の本音だと思うのであります。そういうような
立場から
考えて見ましても、私はこの
法案をどういうように運んで行くかということを、この
参議院の
委員会においても、本
会議においても、一應も二應も檢討しなければならんと思います。昨日
石炭廳に
参つて見ますというと、「大臣が、もう少し、
石炭の問題ばかりでなくて、電氣の方に力を入れてくれるならば、もつと電氣は、こんなにまで、この非常の事態にまで陷らなくてもよか
つたに」というお役人の
言葉を私小耳に挾んだのでございます。このように、お互い
一つの問題にその力を
集中して置きますというと、得てして國政全体の嚴正なる批判を忘れがちであります。山に
行つて結局山を見ずというようなことになるのであります。むしろこの問題取扱いのためには、商工大臣自体が山のトツプに立
つて、そうして一應も、二應も今まで歩いて來た全貌についての嚴肅なる
一つの自己檢討を必要とし、又
國会全体としての
一つのそうした
意味の機能を発揮するのは、私は
参議院の権威であると思うのであります。若しそれこの問題が
通過いたしたとしましたならば、ここに細川さんがおられますが、恐らく細川さん御一統は御反対になるかとも思われますし、その他自由党の
諸君も反対せられるであろうと思います。若しこれが可決されたときにおいては、結局その
石炭を
増産するに事実上重大なる関聯を持
つておる企
業者諸君というものが、果してこの
法案通過によ
つて、商工大臣が企図せられるように、全面的に
熱意を持
つてその
増産に協力するだけの肚構えが、更にその肚構えを起すための感情がそこに整えられるかということを
考えますときに、私は
國家のために非常に深憂する者であります。若しそれこれが否定せられた場合においては、少くとも労務者
諸君は、これに対して憤激を感ずる人が又大部分であると思うのであります。実情から申上げまするならば、私はこの
法案を
通過させるにおいても、又否定した場合においても、いずれにおいても私は憂慮すべき事態が発生するということは、これは決して私のごとく絶対に或る色を持たない、この問題について一人のまだ反対の人ともお会いしないし、賛成者ともお会いしていない、嚴正なる消費者の
立場から、業務者側の
立場にも立たず、單なる労務者側にも立たず、役人の
立場にも立たずに、消費者という嚴正なる
立場からこれを考察いたしますときに、私は
政府自体には、これを
通過せられても、これを否定しても結局非常なる、いわゆる生産協議会の
一つの決定を與える場合にも、大調和の中にこれを運ばなければならないという
一つの問題を
考えて見ましても、かくのごとき
目的をそのままに貫徹するということは非常に不可能であると思います。ここで私は
提出者である
ところの
政府自体の嚴肅なるジレンマにあるということを否定することができないのであります。どうしても講和
会議の前に
國民が打ち挙
つてあらゆる民主態勢を強化して行くのが、この講和
会議を有利に展開せしめる
ところの唯一の
條件であるのにも拘わらず、この問題の運び方が、右にしても左にしても、可決するにしても
否決するにしても、現実の事実においては私は相剋摩擦が生ずるということは、恐らく否定する人はないと思うのであります。
参議院は
國民輿論の忠実なる代表者であると共に、更には又
國民輿論の嚴肅なる批判者という
一つの権威を持たなければならない、こういう重大なる問題を、
法案を
通過さすか否定するかのこの岐路に立
つて、私はこの
尊敬する我が
参議院の
委員会が一應も二應もここに冷靜なる
立場を以て、一層この案の檢討を願い、又
政府当局は、果してこの案を
通過せしめたときに、私がかく杞憂する
ところの杞憂が、單なる机の上の憂いに終るならば、こんな嬉しいことはございませんが、果してこの責任者である商工大臣は、大丈夫第一條に謳
つておる
ところの
増産の実を挙げることができるのだ、断乎として御心配は要りません。故にこの
委員会諸君、否
参議院諸君の満腔の御支持を願いたいというような、断々乎としての
信念を以て私たちに率直なる御発表ができるかどうか、私は七千万というこの消費者の代表者として、商工大臣の良心的なる御
答弁を
お願いする次第でございます。