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政府委員(
伊藤五郎君)
戰災復興院建築局長でございます。お手許に
住宅復興状況に関する資料をお配りしてありますので、それを御
説明しながら
住宅の
状況を申上げたいと思います。
先ず第一表をお覧願います。一、
住宅不足戸数調、
住宅の
不足数がどれくらいあるか、毎年新らたな
需要がどのくらいあるか、ということを大体推定して見たものであります。空襲によりまして、
戰爭中に約二百十万戸の
住宅が失われました。その他の防空の必要から
強制疎開をいたしましたものが五十五万戸、
海外引揚者のうち
住宅を必要とする
世帶の
推定数が六十七万戸、その他に約十年間
戰爭中に
住宅供給不足に
なつておりますので、これを百十八万戸と推定したのであります。
終戰の際に四百五十万戸の
住宅不足を推定いたしました。その後に百五十万戸
余りの
建設がありまして、差引現在四百万戸の
不足、こういうふうに推定したわけであります。
毎年の
需要につきましては、
火災、
風水害、その他による
滅失が五万戸、
自然腐朽による
滅失が五万戸、
世帶の
自然増加による
需要増十万戸、極く内輪に見積りまして毎年二十万戸の新らしい
需要がある、こういうふうに考えております。この
災害による
滅失につきましては
最後に表がありますのでこれを先に見て頂きます。
最後の二枚目であります。八と九であります。
終戰後本年の七月末までに
火災、
水災、
震災等による
住宅の
滅失合計二十六万七千戸
余りと
なつております。その間における新らしい
建設が一番左の欄にあります。六十八万五千戸
余りでございます。これと比較して見ますと、
建設した数に対しまして
災害による
滅失の
戸数が三九%という
相当高率の
滅失に
なつております。その次の表は、その内特に
火災だけにつきまして調べたものでありまして、これを
坪数で見て参りますと、二十一年の一月から二十二年の六月末までに
火災で
滅失いたしましたものが二百六十万坪
余りであります。同樣にこの間の
建設坪数と比較して見ますと三一%ということに
なつております。非常に
火災による
滅失の
割合が高率に
なつておりますので、今日としても問題があると思うのでございます。こういうわけで
只今火災、
風水害、その他による
滅失五万戸と推定いたしております。二ケ年間における実情はむしろその
災害による
滅失が実際はもつと多いという結果に
なつております。むしろ年々二十万戸の新らしい
需要というのはもう少し多く見積
つて置かなければならんということにもなるわけであります。
この四百万戸の現在の
不足と毎年二十万戸以上の新らしい
需要を、どういうふうにして解決して行くかということにつきましては、実は主要な
資材、
木材とか鉄鋼、
セメント等の
資材の
生産の、
將來における
上昇カーブと睨み合せて考えて行かなければなりません問題でありまして、
経済安定本部におきまして、
資材の
生産について
長期計画を今考慮中であります。これと並行しまして、
住宅についても
長期計画を考えておるわけでありますが、
只今のところでは、まだそれを何年間で一体現在の
住宅不足数を解消することができるかということについては
見通しがございません。成るべく速かにこの
見通しを立てたいというふうに考えております。仮りに來
年度から、最少一年間に三十五万戸
程度造つて、だんだん尻上りにや
つて参りまして、後
年度においては四十八万戸ぐらいまで
建築を上げて行くということにいたしますと、この現在の四百万戸の
不足を解消するために十五年掛かる、こういう計算に
なつております。
次に第二表を御覽頂きます。
終戰より
昭和二十二年八月迄に於ける
竣工戸数並床面積調、
年度別に挙げておりますが、この会計が
最後の欄にございます。
住家が五十八万八千戸余、それに非
住家が十二万四千戸
余りを加えまして、
建物としましては全体で七十一万二千戸ばかりできております。その
面積は約一千万坪でございます。この
一戸当りの
面積を一番右側に出しておりますが、
住宅だけ見て参りますと、
昭和二十
年度においては八坪七台六勺、一番右の上に書いてございます。次の年が十一坪九合八勺、約十二坪、本
年度になりまして十二坪六合六勺というふうに、
一つの
建物の規模はだんだんに上
つておるわけであります。それから非
住家でございます。全体の
建物に対して、
住宅と非
住家との
割合を見て参りますと、
昭和二十
年度、
終戰後におきましては、全体の
床面積におきまして一三・二%でありましたものが、二十一
年度には三五・八%、二十二
年度、本
年度におきましては三八・九%というふうに、全体の量の上におきまして
住宅の
割合はだんだん減
つておる、
住宅以外のものの
需要がだんだん増しておる、こういう結果が現われております。
その次の表は
建築の
戸数床面積を各
府縣別に統計したものであります。その次の二枚は、
戰災都市別に
竣工建物の
戸数床面積を挙げたものであります。一番右の欄に、
戰災戸数に対するパーセンテージと
なつておりますが、
戰災都市全体を平均いたしまして、
只今までに一九・九%、戰災で減失したものに対して
建設したものの
戸数であります。これは数の上で約二割
復興したという結果に
なつております。但し地方の
中小都市におきましては、
復興の
速度が非常に早うございまして、
東京大阪の
大都市では遅れております。
東京では一二・七%、
大阪では一一・五%というふうに、
大都市では非常に遅れておるのであります。
大都市の
復興が、
木材の
輸送難又
労務者に対する食糧の問題などから申しまして、非常に
復興が困難であるということがこの
数字の上に現われております。