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山下義信君 先程衆議院の田中君と山崎君の御兩君の御挨拶があ
つたのでございますが、これは私
どもも實にその職責を盡す上におきまして落度がございまして申譯なか
つたのでございますが、參議院の修正意見がああいう事情になりましたことを、これは餘り申上げて行きますと、遂に
委員長に御迷惑をかけることになるので、
委員長の御人格を心服する意味におきまして實は申上げにくいのでありますが、併し參議院の權威というものだけは考えておかなければならん。こう考えるのであります。こういうことの意見は止めます。こちら側の方の修正意見として出されましたことも、私は昨晩遲くまで再三これを考えて見たのでございますが、相當重大な點があります。自分の修正意見のごときは、これは後廻しにしまして、この
兒童委員が「必要な注意を與へる」ということを「必要な指導をなす」。ということに變えられた。この點なんというものは、やはり本質的な所があ
つてこの
兒童委員が注意をするというような
一つの
行政權的なことをやるか、指導をするという深切な、民主的な行き方で行くかということの、
兒童委員の
建前というものが注意をなすというような
行政的な匂いをするのと、指導をするという優さしいいわゆる人民に對する協力的な意味と、ただ
一つの字の取り替でありまするけれ
ども、私は本質的なものがあるというようなことからも實は考えるのであります。こういうような點がいろいろと
審議され、殘されまして行きますることを遺憾に感ずるのでございますが、これは又他の
方々の御意見もございましようから、後廻しにいたしまして、この衆議院の修正案には、
厚生省の
當局も御參加に
なつたということである。又衆議院の
委員會で恐らくは御同意なさ
つたのであろうと思います。これは私伺います。
厚生省の方の側にも伺います。
兒童福祉司というものに改められた。そうしてこの修正の結果は、この
兒童委員が活動の中心ではなくして、
兒童福祉司というものが活動の中心になるということも、これも根本的に違うて來ました。これも或いは宜しゆうございましよう。併しいわゆるケース・ワークに當りますところの名稱が
兒童福祉司でなくて、原案の通り
兒童委員にな
つておりましても、
兒童委員の中に有給と無給と
二つある
建前は、原案の方が優れておるとむしろ思う。決してその
趣旨は原案にはないのではない。原案にあるのであります。
兒童福祉司という名稱に變えないでも原案が分けておる有給の者の
兒童委員、無給の者の
兒童委員、
兒童委員という
一つの名前でこの趣意が終始一貫しておる。それを
兒童福祉司と
兒童委員と
二つに分けたために、その修正のためにむしろ改惡にな
つておるのではないか、こういうことを考えるのであります。その點を私伺います。最初の修正の
建前から行きますというと、児童福祉司というものが權限を持
つておる、即ち
兒童委員の權限であつた第十一條は
兒童福祉司の權限に彼が置き替えられた。そうして
兒童委員は單にこれを協力する、こう改められてある。それが原案の第二十六條におきまして前條の
措置をしまする者は
兒童福祉司でも宜いが、又は
兒童委員でも宜いことに衆議院の方では修正しておる。どつちでもできる。
兒童委員も前項の
措置をすることができることにな
つておるのであります。やはり
兒童委員は種々のそういう
仕事ができるようにな
つておる。これを
一つ伺う。児童福祉司というものと児童
委員というものの
仕事をする、これの
建前をどうするのか。
兒童福祉司のするようなことを、やはり同じように
兒童委員は獨立してするのか。元來
兒童福祉司がするべきものを
兒童委員は協力するという、その協力ということは、ずつと流れて行くかどうするか、これを
一つ伺います。それから關連することですが、つまり原案の二十八條で「當該吏員」という、あれを書き替えておいでになる。「
兒童委員又は
兒童の福祉に關する
事務に從事する吏員」、とこう書き替えられてあるのでございますが、児童の福祉に關する
事務に從事する吏員とは、
兒童福祉司を指すのでございますか。或いは又
兒童福祉を含めたその他の
兒童福祉司の
事務に從事する吏員は皆悉ぐ含むのでございますか。都道府縣におきましていわゆる社會課とか、厚生課とか、
兒童係とかいうような
事務を取扱います者は、皆悉くかようなるその
兒童の場所に立ち入つたり、必要な調査をしたり、
質問をしたり、身分證票を携えていたします
仕事は、この
兒童福祉に關する
事務に從事する吏員に、悉くかような權限を廣汎にお與えになるのでございますか。これを
一つ確かめておきたいと思います。
それから私の、これは讀み違えかも知れませんが、讀み違えでございましたらば御指摘を願いたい。この
兒童福祉司というものの、こういう
建前に衆議院がいたしました結果、第三十條に参りまするというと、私には合點ができないのであります。第三十條の衆議院側の修正は「必要があると認めるとき」というのを削
つてしまいまして、厚生
大臣又は都道府縣知事は、その精神薄弱兒育の
施設その他の收容しました
兒童を滿二十歳までそのものを
施設に止めさせることができる、こうや
つておきまして、そうして但書を加えて、「但し、
兒童相談所にその
兒童の資質の再鑑別をさせ、児童相談所が、その必要を認めた場合に限る」。この但書を入れたのでございます。然るにこの
兒童相談所というものは、都道府縣知事の指揮を受けまする
兒童相談所であり、
兒童相談所長でございます。この第三十條の權限は厚生
大臣の權限でございます。例えばこれは恐らく國立のいろいろ
施設を豫想させておるのだろうと思うのでございますが、國立の
施設ならば厚生
大臣が指揮をいたすのでございますから、それは滿二十歳まで延す、こういうときに、その延していいか惡いかということの決定權は都道府縣知事の指揮下にありまするところの
兒童相談所長がそれを決める。それに決めて貰わなければ厚生
大臣はすることができぬという條文でございます。私はこれは本末願倒も甚しいということを思うのでございます。この點はどういうふうになるのでございましようか、解釋の點が承りたいと存じます。
尚第三十三條でございます。この衆議院の修正の方に、「第三十三條第一項の次に次の二項を加える。」ということでございまして、修正がされてございます。そこに四十一條、四十二條、四十三條ということの、即ちこれらの
施設に入所させました
目的に反して入所した
兒童を酷使してはならないということが注意されてございます。それに四十一條は療育
施設、四十二條は教護院、四十三條は最低基準を定めた條文でございますが、養護
施設を定めました條文が入れてないのはどういうわけでございますか。