○
國務大臣(
一松定吉君) 中平
委員の御
質問の、民生
委員に対する答えということにつきましては、私は全くあなたと同じ
意見を持
つておるのでありますが、ただこの法文に書き現わした点について、いかにも軽視しておるかのごときお疑いを持たれておることは、これは実は御
承知の
通り、法文は成るたけ
意味を簡明にして、余り冗長でなくて、而も人に分るというように立案をいたすときにやるのでありますることは、これは
一つ御了承を願
つて置きたいのでありますが、いずれこの三十四條の
ところでそのことを申上げますが、十一條のこの
兒童委員というものを、事務吏員と技術吏員を先に書いて、そうしてこれがいかにも
兒童委員の本職であ
つて、民生
委員を刺身のつまのごとき書き方はよくないじやないかという御
意見、成る程十一條に事務吏員と技術員吏を書いて、それより後の條文に民生
委員を書いたということは、前と後とによ
つて、一方は優先し、一方は遅れて書かれたということのために、尊重する、卑下されたというようなお感じを持たれたというようなお感じを持たれたようでありますが、決してこれはそういう
意味ではないのでありまして、実はこれは
関係方面の御
意見もありまするが、
兒童委員というようなものでも、主として名誉職でなくて、自分の給與を受けて朝から晩までその職務に專念することのできる者がその
仕事をしようと、但しそれだけでは、今中平
委員の申されましたように、むしろ適任者は事務吏員とか、若しくは技術吏員とかいう者よりも、名誉職にある地方の名望家とか、或いはそういう慈善
事業に携わ
つて一身を犠牲に供しておられるとかいう人の方が適任者である。だからしてそれらの人は朝から晩まで事務所に務めて、そういうことをやるということはできないにしても、
仕事の実質から言えば、事務吏員や技術吏員よりもなかなか適任者であるこれらの人にも無論お手傳いは十分にして貰わなければならん。そうかとい
つて民生
委員は名誉職でありまして、御
承知の
通り、俸給は與えておりません。でありますから、俸給を貰
つておる人が朝から晩まで事務に從事する、こういう
意味で
兒童委員を先に書いたのでありまして、決して民生
委員を次の條文に書いたから刺身のつまということにしたのではございません。このことは民生
委員令を御覧になりますると分りますように、民生
委員に対しましての
厚生省の
考えは非常に重く見ておるのでありまして、民生
委員令の第一條にも
規定しておりまするように、「
社会の
福祉を増進するために、仁愛の精神を以て、
保護誘掖のことに從う」人でありまするから、いわゆる仁愛の精神を以て
社会の
保護誘掖に從事する人でありますからして、余程人格高潔にして私利私慾を図らない、一身を犠牲にして
社会の
福祉を増進するということをモットーとしてやる人でありますから、これは非常に立派な人格者である。この人ならばという人でなければ、これはお願いしないことにな
つております。勿論ここに註を入れますが、民生
委員で非難されておる人があることは、これは
承知しております。これらの人については勿論何らかの機会に替
つて頂かなければなりませんが、民生
委員そのものの性格、
社会奉仕の精神というものは、今私が申上げた
通りであります。そういうような方にやはりこの
兒童委員として働いて頂かなければならんではないか。そこでいわゆる月給をや
つておる
ところの事務吏員や技術吏員は、朝から晩まで勤めてお
つて貰うが、併しながら本当に実質のある、而も仁愛の精神を以てこの
兒童の
福祉のために働いてくれるという人については、やはり民生
委員にお願いしなければならんというので、これを十二條に書いたわけでありまして決して、前に書き後に書いたから、刺身のつまであり、一方は鯛の刺身だということではないのでありますから、この点は
一つ御了承を願いたいのであります。
それからこの三十四條の第一項、「國及び都道府縣は、命令の
定める
ところにより、
兒童福祉施設を設置しなければならない。」、こう書いてあ
つて、いかにも國及び都道府縣を第一項に書いてある。だからしてこれは大いに尊重しておるようであるが、二項に持
つて行つて「市町村その他の者は、」というと、いかにも馬鹿にしておるじやないか、もう一條設けたらよいじやないかということも、丁度先刻の十一條、十二條に関して申上げたと同じようなことでありますが、ただここでもう一度修支を読み直して頂きますると、今あなたのおつしやるように、「
兒童福祉施設を設置せんとする者は、」……「市町村及び」と、こう言いますが、「
兒童福祉施設を設置せんとする者は、
行政官廳の許可を得云々」と、こう書くということになりますと、「
兒童福祉施設を設置せんとする者は」の、この「者は」という中には、市町村以外のものは皆含むということになる。そうすると、国及び都道府縣がやはり市町村の下に含まれて児童
福祉施設を設置せんとする者の中に入るわけでありますから、その
考え方はいけません、もう少し細かに書こうとするならば、「前項の
兒童福祉施設を設置せんとする者以外の者及び市町村は、」と、こう書くことになるのでありますが、それではいかにも文章が重複して読みにくくなりまするから、極く簡明を期しますために「市町村その他の者は、」と書いた、そういう
意味でありまして、決してこれは侮辱したとか、慈善
事業のために精進する篤志家を「その他の者は」と僅か六字を以て現わしたということは、よくないということの
意味ではないのであります。ただここで御注意賜わりたいことは、いわゆる
行政廳の許可を得なければならんものは……第一項の國及び都道府縣のものは
行政廳の許可は要りません。ただ命令の
定める
ところによればいいが、市町村及び市町村以外の、前項の國及び都道府縣以外のもの並びに市町村はその
行政廳の許可を得て、この
兒童福祉施設を設置する、こういうことになるのでありますから、やはりこの法文の書き方は成るたけ簡略に書くという
意味において「その他の者は」という六字に纏めたのでありますから、その辺は
一つ是非御了解を願いたいのであります。