○
政府委員(
葛西嘉資君)
只今委員長から今次の
災害についてその後の執
つた措置、或いは困
つているような問題があれば、率直に申すようにという
お話でございましたので、一應申さして頂きたいと思います。
災害のことはすでに
委員各位におかれましても御
承知でございますので、私が申し上げますことと重複する点はお許しを頂きたいと思います。お
手許に配布いたしました
資料にございましたように今次の
水害の昨日までの
情報を集めまするというと、死傷のごときも死者約千名、行方不明八百五十数名、傷者が千七百幾ら、倒壞の家屋に至りましても、
倒壞流失がやはり九千戸ばかりもあるというようなことでございます。その他田畑、或いは道路、橋梁、
提防の
決壞というようなものは、お
手許の
資料にございまするように、莫大なことに互
つておる非常な大きな
災害でございまして、ここにあります表は昨日までのものでございますが、まだここにも附記にも書いてございますように、若干正確な
報告でないところがございますので、若干違うかも知れませんが、今日まで先ず大体ここらのところが
災害の大体の規模じやないか、私共
災害の起きました直後は、殊に遠い
方面、
東北の
方面のごときは殆んど
情報を得ることができませんので、非常に困難をいたしましたのでございます。併し
東北方面からもこういうふうな
情報が入
つておりまして、相当な大きな
災害でございます。
災害につきましては御
承知のようにこの
法案でもそうでございますが、現在のところにおきましても、
中央からのいろいろな指図をするというようなことでは間に合いませんので、第一線の都道府
縣知事が
責任を持
つてやるという態勢に
なつております。縣がいろいろやりまして、縣だけでいろいろな
措置のできないもの、例えば
物資がないとか、或いは又財政におきましての点から
中央の
援助が要るというふうな場合には
中央に
援助を求めて來る、或いは
医療班が
不足しておるというようなことであれば、それの点を隣の
府縣、或いは又
中央に
派遣を願うというような建前に
なつておるわけでございます。今度の
災害の起きましたときには、まだ御
承知のように
法案は
國会において御
審議中でありまするので、これを適用するということは勿論できませんのでありますが、大体この
法案に準じまして、
法律でなければならない、例えば権力を利用いたしますとか何とかいうふうなことはこれは勿論できませんのでございますが、その
外政府の
行政措置としてやり得ます
方面は、この
法案に準じて
措置をして行こうじやないかというふうなことに大体すでに部内で意見を纏めまして、そういうふうにや
つて参つておる次第でございます。
順序を逐うて申し上げてみたいと思いますが、一番
中央として……、縣ではいろいろ
措置をと
つて頂いておりますが、
中央として縣からの要請があり、一番困
つており、而も緊急の問題は、その水を冠りまして水がまだ停滯しております
滯水地滯と申しますか、ここらに
人命の
救助或いは
物資の
輸送というような点から、船が非常になくて困
つたという点でごザいます。これはいろいろ
隣縣からも御
援助を願い、或いは
連合軍の
司令部からも御
援助を願いまして、
埼玉縣におきましては約百七十くらいの船が動いておるのであります。
東京都下におきましては約五百隻くらいの船が動いておるようでございます。この船は御覧に
なつた方もございましようと思いますが、必要といえばもう必要でございます。併し何としてもそう沢山集めることも実際できません。ここらの点もこの前の本
委員会において御
審議頂きました
強権というふうな問題と関聯するのでございますが、船が集ま
つてお
つてもなかなか
相談が纒まらないという点が困
つておる
実情でございます。これは昨日
衆議院の
委員会においても
委員の方から
お話がございましたが、
埼玉縣知事におきましても、船があ
つて見ておるのですが、なかなか
相談が纒まらないためにこつちに急に使うことができなか
つた。手間をかけて出たのもありますし、又出なか
つたのもございます。そういうふうな
実情でございます。それから次に問題になりましたのは
物資の問題でございます。以前は軍の
放出物資が若干ございまして、これは南海の
震災等におきましても相当乾パン、
罐詰或いは被服というふうなものが県に
手持もございましたし、
中央におきまして若干廻せるようなものもあ
つたのでございますが、あれは大体申しますと、今年の四月末を以てあの
物資を全部
放出せよという
連合軍の指令でございまして、大体
放出いたしました。救濟用というふうなものが現在
手持がなか
つたのであります。從いまして縣におきましてこんな多数の、百数十万というような
罹災者を出しました
災害については、
物資の
要求というものが非常に多か
つたのでございます
災害が起きますと同時に……。これは大臣から或いは申し上げてあると思いますが、
厚生省におきましては
罹災者に
最低どれくらいのものをや
つたらいいかというふうなことが、
日常のものでございますが、
繊維類、
毛布その他服なり、或いは靴下、タオルというようなもの、それから
日用品でございますが、流されましたものの鍋、釜或いは湯沸し、庖丁、
石鹸、マッチ、
蝋燭、ちり紙というようなもの、それから杓子というようないろいろな
最低の
日常生活の必要なものが流れて困
つておるというので、一應これらのものを大雑把に組みまして、
農林、
商工に対しまして、これくらいのものを縣に目安として指示しておくから、計画を立てて送
つて頂きたいというふうなことを
お願いをいたしたのでございます。これは
農林商工におきましても御協力を頂きまして、一遍にはなかなか
纒まりせんので、逐次第一次、或いは第二次というふうにいたしまして、
東京にありますものは
東京から、或いは新潟、
関西等にありますものはそれらのところから廻して頂いて、藥等も
厚生省が持
つておりますものを掻き集めまして
現地の方へ送
つたというような事例でございます。それから
厚生省でできますことといたしましては、
引揚援護局の保有いたしておりまする若干の
物資、
衣料約四万点、
食器類その他一万七千余点というものを
関東の四縣に配布をいたしました。それから御
承知の
ララの
物資、アメリカから参
つております
ララの
救援物資を
中央委員会におきまして今回の
災害の非常に大きいということをあれしまして
放出をいたしました。
食糧約五十万ポンド、それから
石鹸二万二千五百ポンド、
衣料二十七万九千余点というものを出しております。これが二十二日頃近縣へはもうすでに着きましたし、遠い所は
輸送中のものもございます。
交通がつきますると送るというふうにいたしましております。それから時間が段々経
つて参りまするというと、
毛布のごときものが非常に、殊に
避難所を沢山作るというふうなことにな
つて参いますると、
毛布のようなものも要るというようなことから、第二
復員廳に
お願いをいたしまして、
毛布約十二万点ばかり出して頂くことに
なつております。それからその他若干の
繊維類も
復員廳で
手持のものを出して頂くように昨日
相談が
纒まりまして、縣の
要求によりまして配布する
準備をいたしております。
物資の点は以上の
通りでございますが、尚この
物資の点につきまして、
順序が前後いたしまするが、御
承知のように
政府におきましては十八日の日に
関東東北風水害應急救助
対策委員会というものを作りまして、
西尾官房長官を
委員長にいたしまして、
関係各省の
次官局長を
委員とし、それからその下に
幹事がありまして、
関係各省の課長を
幹事といたしまして、
社会局長であります私が
幹事長というふうなことでや
つております。
手許に配付いたしました
資料の中にも
委員会の
模樣が書いてございますが、十七日、二十日、二十二日と連日
委員会或いは
幹事会を開きまして、その場でいろいろ
各省連絡を取りまして
物資の
輸送や、その他
應急の
対策を
協議し、單に
協議するだけではございませんで、その場で決めて頂くというふうに迅速に
措置をいたしております。例えて申しますれば、丁度
委員会を開いておりました二十日の日だと思いまするが、
岩手縣の
総務部長が参りまして、
太平洋沿岸の一部の
岩手縣の
住民に対する
食糧、
主食が非常に
交通の
関係で備蓄がなか
つたのに
災害で止ま
つたというようなことで、米の
手配、
主食の
手配ができない。それで非常に緊迫をしておるから送
つて呉れというふうな話がございました。それで直ぐ
委員会でその問題を取り上げまして、
農林省の方からどこに物があるかということを、又運輸省からは直ぐ船の
手配をいたしてくれまして、二日くらい後だ
つたと思いますが、横浜から釜石、大船渡、それからもう
一つ鮫港へ二千五百トンの
食糧の
海上輸送をいたしまして、右申しますのは、
委員会における
関係各省と
連絡をとりまして、
輸送をいたしたという
一つの例でございます。細かいことは
資料にありますように、
委員会で或いは塩の問題、或いは
蝋燭がないために、燈油の問題とか、或いは
通信輸送とか、いろいろ
協議をして、その場で解決をいたしております。これは申すまでもないことでございますが、
災害救助法案にありまする。
中央地方におきまする、
中央におきましては
災害救助対策協議会が
法律ではできておりませんけれども、
便宜措置といたしまして、
関係各省のものを集めた
應急の
措置でございます。平時からこういうふうな
準備をしておきたいというのがこの
法案の、
委員会の構想でございます。それから一々縣へ
連絡をと
つて、例えて申しますと、物をどこで用意したか、
縣廳はどういうコースをと
つて行くかということは
交通が混乱しておりまして非常に面倒でありますから、小さいことでございますが、
社会局の中に
関係府縣の
災害対策の
駐在員の事務所を設けて、そういう便利が欲しい
府縣におきましては係りを
派遣さして來れば
各省はそれを利用するということを申しました。これも
資料に頂いておりますが、現在多数の
府縣の方が
現地におきまして、
関係省の
連絡がありますと、直ぐこちらから
現地に
手配をしておるというような
実情でございます。
次にこの
罹災地で一番困
つております問題は飮水の問題でございます。これは主として
埼玉、
東京の
冠水地帶に関する問題であります。群馬或いは茨城というような縣も小さい部分はまだ水を冠
つておるところもございます。そこらに対しまする給水、消毒の点でございますが、皆水を冠りましたのでクロール・カルキを入れますとか、或いは
濾過機というようなもの、或いは
民間から、或いは軍が持
つてお
つたもの、或いは又進駐軍から頂くとかいうふうなことにいたしまして、若干ずつ備えております。これは非常に
不足でございますが、段々水が引いて参りますと井戸を消毒いたしますので、飮水段々良い
状態に
なつております。
次に
東京、
埼玉における
冠水地帶の
物資などの補給の問題でございます。御視察を頂きました方は御存じだと思いますが、非常に深い水に
なつておりまして、農村のことでございまするので、何町、或いは何十町も離れて一軒ぽつりとある農家のごときものが、水の中に孤島のように残
つております。これは数が非常に多うございます。これに毎日
食糧、これは勿論炊事などできません。炊出しの
食糧、或いは水その他の
日用物資を運ぶというようなことをや
つてお
つたのであります。これは数が多いので、或いは残されることもありましようし、或いは又非常に非
衞生でもあります。
防疫の点からいいましても非常に非
衞生である。或いは
人命救助という点から申しましても非常に困るということで、昨日新聞で御
承知のように、これらの危い者だけを
避難所に收容するという
措置を講じまして
東京、
埼玉におきましては
避難所を用意いたしまして、ここへ容れることにいたしたい。
東京は大体二十万人を容れる
避難所を用意いたしております。現在では十数万が
避難所に入
つております。水が引きますれば帰
つて参ります。ここらでさつき申しました
毛布であるとか、或いはその外の
衣料を用意するということを取敢ずや
つておるような
実情でございます。
東京都に対しましても
毛布なりを現在
東京都の
手持のものを含めまして、九万枚弱のものをすでに配給をいたしております。
それからこの
法案と関連がありますので、申し上げさして頂きたいと思いますが、
日本赤十字社その外の
民間團体の
活動でございますが、
災害に対しましては、勿論
日本赤十字社或いは
同胞援護会、或いは
キリスト教團等、
社会事業團体或いは
宗教團体等の救護班或いは
医師会というようなものから非常に御
援助を願
つておることを申し上げたいと思います。
日本赤十字社はこの
法案によりますと、こういう
民間の
團体の
連絡統制に当るということに
なつております。從來は
政府が中心になりまして、
義捐金募集というようなことをいたしてお
つたのでございますが、今回の
災害から
日本赤十字社が
関係の人のお集まりを願いまして、
義捐金の
募集というようなことを呼び掛けて実行をいたしております。
防疫の点もございますが、私の所管でありませんので余り詳しくは申し上げられませんが、現在までのところでは、聞きますところによりますると、まだそう大した害を及ぼすという情勢は起
つておらんようでございます。
衞生上
関係当局におきましても或いは薬を送りますとか、或いは
診療班を送りますとかいうようなことで、大体
医療班、
防疫対策班というようなものを配置をいたしまして、万全を期しておるように伺
つております。
次に問題になりますのは
府縣がどんどん
災害の
救助をいたしております。殊に大きい
災害がありました所は
縣廳に
手持の金がないということが、今困
つておる問題の
一つでございます。
災害救助法案の第三十六條によりまして、或
一定額以上、縣々でこれは別でございますが、に達しましたものについては、
法案に決ま
つておりまする
補助金を出すということに
なつておりまするが、この点も大体
法律は決まりませんけれども、
政府の
行政措置としてこの
法律の線に沿うて決めようということに話を決めておりまして、今大体
應急救助の
國庫補助基本額というものを決めております。昨夜は
大藏省も私の方も徹夜して折衝をいたしまして、大体の数字が出ましたので、恐らく本日中には各
府縣に対しまする
補助の
基本額、言葉を換えて申しますれば、
救助を要する程度或いは
種類を一應こちらで決めまして、概算的に
地方にこれくらいの
金額が行くであろうことをお示しする積りでございます。これは至急にお示しいたします。そういたしますると縣におきましては、この
法律に準じまして
計算をいたします。
自分の縣はどれくらい
補助金が貰えるか、縣自体でどれくらいの金を調達すればいいかということが分るわけであります。そうなりますると縣ではこれを日本銀行を通じまして、
大藏省の
措置で貸出して頂くことに
なつております。そうなりまするとその
金額を借りることができまして、そうして
活動をして参ります。
國庫補助が行きますれば
國庫補助によ
つてその金を返す。縣で持つものは縣で返すという
措置ができることに
なつております。大体以上の
通りでございます。
昨日
衆議院でも或
委員の方から
お話になりましたが、
委員長から特に困
つているような問題を申せというようなことがございましたが、
西村埼玉縣知事はトラックを調達するのに、非常に苦労したようでございます。若し
強権があれば大変よか
つたというふうなことを、朝日新聞の
座談会にも見たようでございましたが、私もお伴して参りまして、その話を聞いたのでございますが、申しておられたことでございます。話ずくで行くべきことは勿論のことでありまして、やたらにこの権限を濫用すべきではありませんが、話をいたしましても話がつかない、こういうときにはやはり緊急止むを得ん差迫
つたときにおきましては、こういうふうな
法規の根拠が要るんぢやないかと手前味噌のようでありますが、そんなふうに感じておる次第であります。一應申し上げまして、尚足りません点は御質問によ
つてお答えを申し上げさして頂きたいと思います。