○
會計檢査院事務總長(東谷傳次郎君)
會計檢査院側から
決算報告に關しまして御
説明申上げたいと思います。御承知の如く
昭和二十
年度は
終戰前後を挾んで……。といいますか、戰爭中と戰爭の後に亙
つておるのでございまして、各實行廳の方の
決算證明、
會計檢査院への書類提出というものも思うように出て參りません。又
會計檢査院の檢査も書面檢査が思うように行かないのみならば、實地檢査も御承知の如く空襲下におきましては、思うようにできなか
つた面もありますし、
終戰後も亦ごたごたで思うに任せなか
つたのでありまするが、從來のいろいろな檢査資料によりまして、それを實地檢査で補足いたしまして、ここに二十
年度の
決算を確定いたした次第であります。
第二分科会に關係のありまする内務、司法、文部、厚生、運輸、これらの順序に従いまして、只今
政府委員の方から極めて詳細な御
説明がございましたが、その通りでありまして、私は檢査院の關係の面だけをここに通り上げて置きたいと存じますが、
内務省の關係で申上げますると、
内務省の一
般會計の
歳出におきましては、檢査院の未確定は二十
年度はございません。特別
會計におきましてもございません。ただ只今申しましたように、二十
年度の前半は戰爭中でありましたので、
内務省の各出先官憲その他におきまして、
戰災に大分かか
つた所もあるのでありまして、その關係で
會計檢査院の證明ができないというものがあ
つたのであります。一
般會計で申上げますると、七百
萬圓餘り
内務省であ
つたのであります。特別
會計では
内務省關係はないようでありますが、これは證明不能でありまして、結局普通に行けば檢査院の檢査は不能なのであります。できないのであります。けれども檢査院におきましては、十九
年度までのいろいろの
内務省の關係の資料もございますし、二十一
年度の關係の書類もございまするので、前後の檢査進捗によりまして、かたがた
終戰後におきまする實地檢査の補足によりまして、大體この七百十四萬の二千
餘圓も確定いたしたのでございます。尚
戰災關係によりまして、款項目の不明というものもあるのでございまして、
内務省關係の
歳出で申上げますると、百六十八萬四千
餘圓というものが
戰災關係で書類が燒けて、款項目が不明に
なつておるのでございます。その他
内務省關係では取立てて申上げるものはないのでありまするが、ただその
支出におきまして、當を得ていない、不當
支出であるといたしまして、
會計檢査院が
檢査報告で記載いたしておりますものが、先程
内務省の
政府委員の方から御
説明がありました通り、二件ございまして、これらについてはおのおの詳細にここで御
説明がございましたので、私から繰返して御
説明はいたしませんので、御了承を願いたいと存じますが、件名だけを申上げて置きますと、
茨城縣で
支出されました二十二
萬圓、宮城縣で
支出されましたる九萬五千圓、いずれも
年度違いで、
會計法上違反であるということに
なつておるのでございます。これらのことは一般、特別兩
會計を纒めて会計檢査院では
檢査報告に書かれてあるのでございますが、ここに纒めてございまするのは、大藏省關係で三件、
厚生省が一件、
運輸省が一件、通信關係で二件ということに
なつておるのでございまするが、私共の檢査の經驗から申しますると、これ以上に相當にあるのでありまして、ここに掲げてありまするのは、この
檢査報告にもこの點は明確に記載して置いたのでありまするが、これらの類似の事例というものは他にもあるのでございます。こうい
つたような
事態は考え方によれば
會計法に違反しておるだけであ
つて、經濟的に見ればこの方が有利ではないか、殊に只今のような先上りのときにおいては有利ではないかという見方もあるのでありますが、如何にも書類さえつくればよろしい、書類ができたということにして支拂えばよろしい、こういうふうな面が多分に現われておりまするので、やはりこの所は
會計法に準據いたしまして、かようにでき上
つていないもの、次の
年度のものを本
年度に拂うということのないようにいたしまして、これは御承知のごとく大藏省に繰越の請求をなさればよろしいわけなのでありまして、
會計法としてはちやんと行き途が作
つてあるのであります。なぜそういうふうになるかということは私もよく存じております。存じて居りますが、やはり一應理窟としてはさように
會計檢査院としては申上げなければならんのでありまして、かようなことで參りますと、
會計法、
會計規則一聯の規定というものは亂れてしまうのであります。
次は
司法省でございまするが、
司法省におきましても、一
般會計の未確定、特別
會計の未確定はございません。ただ先程申しました
戰災による證明不能がございまして、
歳出で七十五萬六千
餘圓が證明不能に
なつておるのであります。款項目不明のものは
司法省におきましては
歳出で六十六萬七千
餘圓ということに
なつておるのであります。その他
司法省につきましては二十
年度に關する限りは、ここに取立てて御
説明申上げる
事項はないのでございます。
次に
文部省の件でございますが、
文部省も一般、特別兩
會計とも未確定はございません。證明不能の點も
文部省では一
般會計では僅かでございまして、二千六百六十七圓ということに
なつておるのであります。
學校特別會計の
歳入において二十八萬五千
餘圓、
歳出において百十九萬六千
餘圓ということに
なつております。次に款項目不明でございまするが、一
般會計においてはございません。特別
會計におきまして、
學校特別會計で
歳入が三千
餘圓、
歳出が四十一萬五千
餘圓ということに相成
つております。尚御承知の如く政府の
決算額は日本銀行が現金を出します。現金の日本銀行證明額というものを
會計檢査院では對照するのでありますが、その對照において合わないものが、只今まで申しました
内務省、
司法省ではなか
つたのでありまするが、
文部省におきましては
學校特別會計の
歳入におきまして、日本銀行の證明額が、
決算額よりも六百三十二萬二千
餘圓日本銀行の證明額が多く
なつております。これの一番大きな點は政府の
支出金受入れで取消されたものを日本銀行においてまだその更正してない、日本銀行の方がこれは誤
つておるわけでありますが、これが六百餘
萬圓ございます。その外
戰災その他によ
つて不符合の
事由、不明な點で日本銀行がふくらんでおるものが二十餘
萬圓ということに相成
つておるのでございます。同じ特別
會計の
歳出におきまして、日本銀行の證明額が二萬一千
餘圓に
なつております。これも大きな部面は
戰災その他によりましての不符合の
事由、不明のものが大部分でございます。
文部省におきましては特に御
説明、御
報告申上げたいと存じまするのは、以上を以て盡きるわけであります。
次は
厚生省所管の點を申上げたいと存じます。
厚生省におきまして一
般會計で、二十
年度の未確定が二百
萬圓餘りあるのであります。これが確か當然未濟ということに
なつてお
つたかと思うのであります。特別
會計では未確定はございません。
戰災による證明不能という
金額は、
厚生省では
歳出で二千三百六十五
萬餘圓ございます。その外に厚生保險特別
會計におきまして、
歳出が九十七萬八千
餘圓證明不能ということに相成
つております。尚勞働者災害扶助責任保險特別
會計におきまして、同じく
歳出が二十五萬七千
餘圓證明不能と相成
つております。やはり
戰災によりましての款項目不明の
金額でございまするが、
厚生省の一
般會計で、
歳出が二百四十七萬三千
餘圓ございます。その外に厚生保險特別
會計におきまして、業務
勘定が十二萬三千
餘圓、勞働者災害扶助責任保險におきまして十三
萬餘圓がございます。尚日本銀行證明額との關係におきまして、
厚生省の厚生保險特別
會計の
歳入におきまして、日本銀行の證明額が
決算額よりも
多額であるものがございまして、その
金額が二十萬四千
餘圓と相成
つておるのでございまして、それは前
年度において出納閉鎖期までに日本銀行に拂込未濟であ
つたもので本
年度中日本銀行に拂込を了したものということに
事由は相成
つておるのでございます。
厚生省におきまして
會計檢査院が不當であるとして、
檢査報告に掲げましたものが一件あるのでございまして、一般、特別兩
會計、
歳出のところに纒めてありまするが、先程
内務省の
茨城縣、宮城縣のところで申上げましたのと同じ問題でございまするが、
厚生省の
鹿兒島引揚援護局、
博多引揚援護局の關係の
合計千二百
萬圓ばかりの點でありまするが、これらのものも、やはり
年度内にできないものをできたとして證明され、而もそれに對して金を
金額拂
つておらるるというのでありまして、先程申上げました如く、
會計檢査院としては遺憾に存じておるところでございます。
最後に
運輸省でございまするが、
運輸省におきましては一
般會計の未確定は、二十
年度はございません。特別
會計の未確定は、先程
政府委員の方から御
説明がございました如くに二千
萬圓あるのでございます。
戰災によりまする證明不能は、
運輸省では一
般會計におきまして七百四十一萬八千圓ということに相成
つております。尚
運輸省の特別
會計におきましては相當大きな
金額に上
つておるのでございまして、帝國鐵道の
資本勘定において、
歳入が三萬一千餘
萬圓、
歳出が七千五百四十八萬一千
餘圓、
用品勘定において
歳入が十四萬四千
餘圓、
歳出が九千九百十五萬一千
餘圓、
收益勘定におきまして、
歳入が一億九千五百六十九万一千
餘圓、
歳出におきましては三億六千四百七萬五千
餘圓と相成
つておるのでございます。款項目不明の點は、
運輸省の一
般會計におきましては百五十五萬一千
餘圓でございます。尚日本銀行との證明對照におきましては、格段申上げる點がないようでございます。
次に既往
年度の關係でございまするが、既往
年度の關係におきまして、
運輸省及び鐵道の關係で、未確定
金額があ
つたのでございまするが、それぞれ一部を殘しては確定の域に達したものであります。
最後の
運輸省關係の不當
事項と申上げまするか、
檢査報告に掲げました
事項についての極めて概略を申上げて見たいと存じます。これにつきましては、先程
政府委員から
會計檢査院の意見の骨子、政府の辯解というものを詳しく御披露に相成
つておりまするので、繰返すことを差控えたいと存じまするが、ただ一言だけお許しを願いたいと存じます。
運輸省の帝國鐵道の
收益勘定、
歳入の點で、東京急行その他の會社との交互計算の點でありまするが、末
年度におきまして、二十
年度の
歳入に採入れなければならんもので書いてないものが二千二百
萬圓ある、御承知のごとく鐵道
會計はなかなか苦しい
會計なのでありまするが、いろいろな事情はございましようが、
歳入の面は取れてない、支拂面は支拂
つておられるというようなことは、經濟面としても餘り面白いことではないというので、一應徴收上
措置緩慢であるというふうに、
會計檢査院は認めておるのであります。先程も御
説明がございましたように、なかなか各會社は金繰りが苦しいのでございまして、二十一年の三月頃がかような状態でございまするが、その後現在もなかなかこういう面は、政府も苦しいのでありまするが、會社もなかなか苦しい、こういう
事態については相當な態度で臨まなければならんのではないかと思われるのであります。
次は土地の問題でございます。同じく帝國鐵道でございまするが、
資本勘定で、東京都の南多摩郡忠生村の一部に十七萬平方米の土地を買われたのでありますが、防空に必要だというので話を始められたのでありますが、ぎりぎり結著して支拂うという契約を結ばれたのは
終戰後でございましたので、簡單に申上げますれば、話合を止めて契約を中止されたらいいじやないかというふうに一應は考えておるのであります。その後の利用方法としては、先程もお話になりましたように、陸運關係職員の給食材料の確保のためというので、これらの土地を委託生産として相當部分を農家に生産せしめ、他の部分は直營をや
つて、主食を得ておらるる、そうしてそれらのものは職員の給食用の一助にしておらるるというのでありまして、起案の見方からすれば大變結構なことをしておらるるのでありますが、鐵道を全體的に見まするというと、かような食糧確保のために使
つておられまする
經費が、二十
年度におきまして各
勘定を
合計いたしまして千八百二十五
萬餘圓に達しておるのであります。これらのものは豫算には積算がないのでございまして、豫算の積算がないのにかような……、假りに自體はいいにしても
支出をされるというのはどうであろうかというふうに考えておるのであります。それならば豫算があればよろしいかというと、無論國會において豫算をお認めになれば、いろいろな事情がありましても、豫算を實行されるというのでありますから、檢査院の意見の外にあるのではないかとも思われるのであります。
次は
中央氣象臺の問題でございます。
中央氣象臺で低温低
壓實驗室新
營工事その他階段教室新
營工事という
工事をや
つておられるのでありますが、
合計三十二萬五千
餘圓でございまするが、これも實地に檢査いたしてみますると、できたとおつしやるのでありますが、できておらないのでありまして、先程
内務省の關係のところで申上げましたように、形式上は遺憾の存じ、實質も亦遺憾に存じておるのでございます。
最後に同じく
中央氣象臺でございまするが、これは既往
年度といたしまして、
昭和十九
年度の問題でございまするが、
中央氣象臺の經線儀製作所官舍その他の
工事を請負に出しておられたのでありますが、これも十九
年度の問題でありますが、二十一年の十月に
會計實地檢査をして見ますると、やはりできていない。こんな關係で契約を解除しましても、その後をやはり續けて行かなければならんというので、今度は他の豫算で以てつぎ足して
工事をや
つて行くというようなことに相成
つて、結局十二萬一千圓ばかりでできる
豫定だ
つたのがとどのつまりは二十六
萬圓もかか
つたというようなことに相成るのでございまして、
年度違いの
支出といたしまして、やはり遺憾に思
つておる次第でございます。以上を以ちまして内務、司法、文部、厚生、運輸に關係しまする
檢査報告の
説明を終りたいと存じます。
ちよつと今御注意がありまして、甚だ
申譯ありませんが、
運輸省關係のもので、一つ御
説明を落してお
つたのであります。
これも
運輸省の
政府委員の方から詳しく御
説明がございましたのでありまするが、帝國鐵道の
用品勘定におきまして、東京鐵道局で蒲團地として絹の練生地、それから暗幕用として木綿の黒朱子を買
つておるのでありまするが、
合計いたしますると二百五十八
萬圓に上るのでありまするが、これらのものは、先程
説明がございましたように、戰爭中蒲團地とか或いは暗幕生地として必要であるとして、いろいろ苦慮せられて集められたもので、必要であ
つたろうし、苦慮せられたことはよく了承はされるのでありまするが、わざわざ幾口かに分けられまして、即決即金でなくちやならんというので、主務課長の決定でおやりに
なつたというような點とか、或いはこれが八月とか九月に支拂に
なつておるのでありまして、相當程度は解約すれば解約もできたのではないかと思われますし、蒲團地その他としましても、ちよつと不向きではないかという感じもあるのでありますし、これは公定價格を以て買わなくてはいけないというようなことを、若し責むるとすれば、記述はここにありまするが、非常に公定價格と買取價格との差があるのでありまして、無論
會計檢査院と雖も、公定價格で以て買わなくてはならんとは思いまするけれども、事實上買えなか
つたろうということは、よく存じておるのであります。先程も申しましたように、
終戰後における支拂に
なつておりますもので、既に第一の目的を失
なつておるということであれば、やはり契約を解除されるのが
適當であろう、全部できないでも一部でもというふうに考えられるのであります。尚先程、現在においてはいろいろと處理をしたというお話でありましたが、それらは官有
物品の處理でございまするので、又二十一
年度においてよく事情を承わりまして、檢査の確定をいたしたいと存じておるような次第でございます。以上を以ちまして、五省關係の
會計檢査報告の
説明を終りたいと存じます。