○参事(
河野義克君) それでは便宜私から御説明申上げます。國会法と従來の議院法と大分変つておるのでございますが、決算の審査につきましては、やはり從來の貴族院の時の
決算議定細則及び決算の
審査方針のことを一應御説明申上げました方が、この小委員会のお仕事を進めて戴く上に便利かと思いますので、一應御説明申上げます。御承知の
通り日本國憲法の九十條におきまして、「國の
収入支出の決算はすべて毎年
会計檢査院がこれを檢査し、内閣は、次の年度に、その
檢査報告とともに、これを國会に提出しなければならない」とございます。大
日本帝國憲法の時代にも、やはりこれとほぼ同趣旨の規定がございまして、いずれも
帝國議会若しくは國会に提出すべしとありまして、提出をしたらば國会はどういうふうにそれを処理するか、又國会の議決が決算に対してどういう意義を持つかというようなことは、頗る曖昧に規定されておつたのであります。それで貴族院におきましては、
帝國議会の初期の頃、即ち明治二十七年の五月二十九日に、
決算議定細則というものを伴つたわけでありますが、この
決算議定細則というものを作り、これによ
つて決算の議定を行わんとしたのであります。併しこの細則が実際は
貴族院時代におきましても殆ど行われなかつた個條が多かつたのでありますが、実際は運用にこれと異なる取扱が大分行われておりました。その後決算の
審査方針といたしまして昭和十二年の三月二日第七十囘議会におきまして
決算審査方針というものが決められまして、爾後毎囘それに礎つてやつておつたのでありますが、それについて逐次御説明を申上げます。
決算議定細則審査方針として先日お手許にお配りしておいたと思いますが今それについて逐條的にちよつと申上げますと、これから私が申上げますように、殆ど國会法、或いは
参議院規則等に規定されておる部分であり、又規定されないでもこういう規定を置く必要はないというものがありまして、現在としては不要な個條が多いのでありますが、初めから申上げますと、第一條に、本
院ニ於テ決算ヲ
受取リタルトキハ議長ハ之
ヲ議院ニ報告シ及印刷シテ之ヲ各
議員ニ配付スヘシ」とあります。併しながら今度の
参議院規則二十七條によりますと、「衆議院及び内閣から議案が提出されたとき、衆議院から議案が送付されたとき、及び
予備審査のため衆議院及び内閣から議案が送付されたときは、議長は、これを印刷させ、各議員に配付する。」という規定があります。つまり議案が、提出された時はこれを印刷して各議員に配付する。こういう規定があるのであります。ただ決算が議案であるかどうかということについてはやや疑義があるのでありまして、議案の観念というのは頗る元の議院法の時も曖昧でございましたし、今度の國会法におきましてもやや曖昧でございます。議院法の時は議案というのは両院の協賛を受けるものであつて、又受けるものであるという観念が一部分にありまして、
從つて法律とか予算とか、両院の協賛を受けるものは議案であるが、請願とか、決算とか、一院づつ別個に審査するようなものは議案でないという観念がございました。それから又議案というのは案であるから、やはり不確定の状態にあるものであるから決算とか、
予備金支出とか、そういつたものはすでに確定しておるものであつて、それに承諾を與えるだけのものであるから、これは議案でないというような観念がございまして、いずれにいたしましても決算は議案でないというような観念があつたのでありますが、今度の國会法におきましては、例えば第四十二條に
「各議院の
常任委員会は、左の通りとし、その部門に属する議案、請願、陳情書その他を審査する。」とありますが請願でも陳情書でもない決算がその他に入るという気持でなかつたことは明瞭なので、而も
決算委員会があつてその決算会が主として、決算をやることは参当然考えられることでありますから、この議案の中には決算が入ると、この四十二條の関係では言われると思います。
從つて議院規則第二十七條の「衆議院及び内閣から議案が提出されたとき、衆議院から議案が送付されたとき、及び
予備審査のため衆議院及び内閣から議案が送付されたときは、議長は、これを印刷させ、各議員に配付する。」という議案の中には、決算も今度の國会法では入ると考えられますし仮にそこに疑義がありましてもこれを準用するということは、類推適用するということは、何ら差支ないのであつて、
從つて決算議定細則の第一條の規定は今後不必要ではないかと考えられます。
それから第三條の「
決算委員ハ数科ニ分割シ各科ニ主査ヲ
置クヘシ」ということでありますが、これは
参議院規則第七十五條に「
予算委員会及び
決算委員会は、審査の便宜のため、委員を数科に分けることができる。各分科会は無名投票で、主査及び副主査各各一人を互選する。但し、互選は推薦の方法に上ることを妨げない。」云々とずつと書いてありますが、この第七十五條の規定があれば、この
決算議定細則第三條に相当することは不要であると思います。それから第三條の「
決算委員ノ
各科ニ於テハ付託セラレタル決算各部ノ
審査ヲナスヘシ」ということは、事の
性質上事明であるのみならず、委員長が決算を各分科に付託する時には「これを以ちまして一
應決算委員会の審査を終つて、各所管に應じて各分科に決算を付託する」ということを宣言なさいますので、第三條のような規定は不要であろうと思います。
それから第四條は「
決算委員ノ
各科ニ於テ審査終リタルトキハ主査ヨリ其ノ結果ヲ
委員長ニ報告スヘシ」とありますが、これも事柄が事明であるのみならず、やはり委員長が各分科に付託いたします場合に、何日まで、或いは
審査報告結了次第、主査からその結果を委員会に報告せられんことを望みますということを言われますので、この規定も不要ではないかと思います。
それから第五條の「前條ノ
審査報告アリタルトキハ決算委員會ヲ
開クヘシ。」これも当然のことでありまして、わざわざ法規に特に規定する必要もないかと思つております。
それから第六條の「各科ノ
主査ハ決算委員會ニ於テ其ノ
科ニ於ケル審査ノ報告ヲ
ナシ併セテ其ノ説明ノ
責ニ任スヘシ。」この言葉は各分科における主査が各委員会における委員長とほぼ同じ権限をお持ちになる関係から、
審査報告をして、その説明をするということはこれも当然のことであろうと存じております。それから第七條「
決算委員會ニ於テハ異議アル収支ノ
款項ニ限リ之ヲ
議題トナシ其ノ
異議ナキ款項ハ総括シテ之
ヲ議決ニ付スヘシ。」この規定は或いは何らかの形で
議定細則として、或いは
審査方針として、或いは申合せとして、何らかの方法でお決め願つて置く方がいいかのようにも思います。この規定は、要するに歳入歳出によりまして予算の款項と全然同じ形式で決算ができておるわけであります。その一々の款項について規定するようなことはなくて、異議のある款項について、これこれの款項について、然るべき決議をなさいまして、その他異議のない款項は総括してこれを議決に付するということでありまして、まあ款項を逐次すべて議決することは大変で、実際に合わないと思いますから、取扱としては大体こういつたような取扱になるかと思うのでありますけれども、こういつた規則としてこういうふうに要るかどうか。研究の余地があろうと思います。
第八條「
決算委員會ニ於テ其ノ決算ヲ
至當ナリト決スルトキハ其ノ旨ヲ
議長ニ報告スヘシ。」第八條だけでは意味をなさないので、第八條と第九條とは関聯があるだろうと思います。第八條は「其ノ決算ヲ
至當ナリト決スルトキ」、第九條は「
決算委員會ニ於テ其ノ決算中違法又ハ不當ノ
収支アリト認ムルトキハ其ノ決議案又
ハ上奏案ヲ呉へ
テ議長ニ報告スヘシ」。要するにその決算が至当である場合は、第八條で議長に報告するというのでありますが、
決算委員会は
常任委員会でありまして、
常任委員会がその付託された原案を審査した場合に、その
審査報告を議長に出すということは、これは國会法上当然のことでありまして、わざわざ第八條のような規定は要らないのであります。
第九條「
決算委員會ニ於テ其ノ決算中違法又ハ不當ノ
収支アリト認ムルトキハ共ノ決議案又
ハ上奏案ヲ
其ヘテ議長ニ報告スヘシ」。天皇の政治上の地位が
日本國憲法によりまして從來と変更を見ました今日、上奏案の問題は生じて來ないと思いますが、決議案につきましてはそういう事態が起ることは予想されるのであります。それで決議案でありますから、本会議で決議をするその案を委員会で起草して
委員長報告に添えて出す。こういうわけであります。それで違法又は不当の收支ありと認むる時は、委員会が本会議で決議すべき決議案を出して大いに事理を究明する、趣旨を明かにすることは非常に結構であります。ただ問題は違法又は不当の収支ありと認むる時は一々決議案を出さなければならないようになつておりますが、事態がやや重い時には決議案を出し得るというような恰好の方が、実情に副うではないかと存じております。從來の例を申上げますと、初期の項、例えば谷干城なんという方がおられました頃は、非常に、今から言えば微細なことについて上奏案を出すということでやられたことがあります。それから決議案も出されたことがありますが、違法又は不当のもの全部に対して決議案を出したわけでないので、
議定細則に一つの疑があつたのでありますが、事実としては全部に対して決議案を出したわけでないのであります。
第十條は「
決算委員長ノ
報告アリタルトキハ議長ハ之
ヲ印刷シテ各議員に
配付シ其ノ省議ヲ
開クヘシ」とあります。これも
参議院規則第七十二條の末項に、「議長は、報告書を印刷させ、各議員に配付する。」とありますので、
議定細則第十條の関係も不要であると思うのであります。
次に第十一條に[決算ノ
省議ニ於テハ決算委員長ノ報告ヲ
議題トナスヘシ。」ということがありますが、これは第十一條がどういう趣旨が、ちよつと解釋に惑うのであります。これは決算は議案でないと考えておつたために、議題とする時に、それを議題にするということからこういう規定を置いてあるのか或いは委員会の審議を必ず経ろという意味において置いておるのか。從來もまあ何のためにこういうことを置いたのだろうと言つておつたのであります。こういう第十一條のような問題も今後は
決算自体を議題として一向かまわないではないかと言つております。以上が
決算議定細則でございます。次にそこを少しめくつて戴きますと、「決算及び
國有財産の
審査方針に関する例」というのがございます。ここに「決算及び
國有財産」とありますが今度の國会におきましては、
國有財産は財政及び
金融委員会の所管になつておりますから、
國有財産には審査の関係は生じないと思います。
それで決算の
審査方針について申上げますと、ここに書いてありますように、第七十回議会、昭和十二年三月二日の
決算委員会で、決算の
審査方針を左のごとく決めたわけであります。ここにありますように、
決算審査方針というのは
決算委員会限りで決めたのでありまして
決算議定細則というのは無論本会議で議決したわけであります。
從つて決算議定細則というのは、恒久的な性質を持つております。併し
決算審査方針というのは、この七十回の議会の委員会の
審査方針だけであるわけでありますが、これが毎年の「前年の
決算審査方針で御異議ございませんかということで、異議なしということになつて、ずつと
帝國議会時代は來ておつたわけであります。この
審査方針というのは、御覧になるとわかりますように、実は
決議方針みたいなものでございまして、
第一 政府ノ措置不常
ナリト認ムルモノ(
決議案ヲ付ス)
第二 政府ノ
措置穏常ヲ
缺クヲ以テ特ニ将来ノ注意ヲ
促スヘキモト認ムルモノ
第三 政府ノ
措置適切ナラサルモノト認ムルモノ
第四
政府ニ對シ將來ノ注意ヲ
促スヘキモノト認ムルモノ
第五
異議ナシト認ムルモノ
こういうふうになつております。これは相当然るべく研究をなさつてお決めになつたわけでありますが、第一におかしいことは、第五は別として、第一から第四までは、もし第一、第二、第三、第四というのをとつてしまいましてどれが一等重いと思うかといつた場合に、人によ
つて判断が区々であろうと思われるほど、どれが一体重いのやらわからないので、第一、第二、第三、第四という順序があるので初めてわかるというような恰好で、頗る非論理的にできているような氣がいたします。それからそういつた重大性の順序によつているのではなくて、何か個々の場合に照して、いろいろな場合があるからこういうふうに規定したというのでその中の特にどれが重いのじやないということが或いは言えるかも知れませんが、やはりそうではなくて、第一、第二、第三、第四、第五の順に、重い方から軽い方に來ているつもりで、これは作られたのでありまして、どうもその点がおかしいということと、それから從來のことを申上げますと、決算の
議定細則の、「違法又ハ不當ノ
収支アリト認ムルトキハ其ノ決議案ヲ
其ヘテ議長ニ報告スヘシ」。違法又は不当の収支あるときは必ず決議案を具えなければならなかつたのでありますが、この
審査方針の第一の場合にだけ決議案を附しておつたので、これを法規的に解釋すれば、第二以降の場合には、
決算議定細則にいわゆる不法でもなければ不当でもない。こう考えざるを得ないので、
決算議定細則にいわゆる違法又は不当ではないけれども、とにかく政府の措置が穏当を欠き、或いは適切でないというようなことから、こういう決議をしたと解釋せざるを得ないので、從來としても非常におかしいものであるというので、歴代の
決算委員長はこれの改正を企図されており、我々としていろいろとやつ見たのでありますが、結局満足することに至らないで今日になつておるのであります。その他に
貴族院委員會の先例録といたしまして、
決算委員會における審査の順序それから
決算委員の分科會における審査の順序に関する例がありますが、これは或る程度まで、今度においても参考になることであろうと思いますので一應朗読をいたします。
「
政府ヨリ決算書類、
會計檢査院ノ
檢査報告書及國有財産ニ關スル書類ノ
提出アリタルトキハ委員會ヲ
開キ主任ノ
國務大臣若
ハ政府委員ヨリ全體ニ亙
ル説明アリタル後、委員ハ大體ノ質疑ヲ爲シ、次デ審査ノ方法ヲ
決定シ審査期限ヲ定
メ分科及國有財産審査ノ爲ノ小
委員ニ付託ス。而シテ各
分科及小委員ノ
審査報告書ノ
提出アリタルトキハ再
ビ委員會ヲ
開キ主査及小委員會委員長ノ報告書ヲ
議題ニ供シ各主
査及小委員會委員長ヨリ審査ノ
経過及結果ヲ
報告セシメ、次デ其ノ
審査ニ移リ表決ヲ
爲スヲ例トス。」
というふうに、
決算書類が出ただけでは、從來は審査しませんで、
會計檢査院の
檢査報告「これは法律上当然附いて來るのでありますが、その外政府の弁明書が出るのを待つて、
決算委員會を開いておつたのであります。それで初め
大藏大臣若しくは
大藏省関係の
政府委員から全体に亙る説明がありまして、委員會において委員は大体の質疑をなしまして、次いで審査の方法を決定する。というのは委員會はいつ頃までに報告を完了するとか、
審査方針先程読みましたあれ通りにやるとか、そういうことを決めておつたわけでありますが、
審査方法を決定し、
審査期限を定め、それから分科に付託しておりました。小委員というのは
國有財産審査のための関係でありますから、今は関係がありません。それで各分科から
審査報告書の提出があるとき
喜び委員會を開いて主査の報告書を議題に供して、各主査から審査の経過及び結果を報告させ、その審査によ
つて表決をなしたのを例といたしておりまして、それでは分科會ではどうしておつたかと言いますと、
決算委員分科會における審査の順序の例にありますように、「第二十四
囘議會決算委員各
分科會明治四十一年二月十五日
ニ於テ左ノ
如ク審査ノ順序ヲ
決定セリ。
第一、第一
囘各分科會ニ於テハ政府委員ノ出席ヲ求メス各
委員ハ會計檢査院ノ
檢査報告書並政府ノ
辯明書ニ就キ豫メ政府委員ニ封シ質問スヘキ箇所ヲ
調査スルコト
第二、第二
囘各分科會ニ於テ政府委員ノ出席ヲ求メ各自
調査シタル要
點ニ付キ政府委員ニ質問スルコト
第二、第三
囘各分科會ニ於テハ政府委員ノ出席ヲ
求メスシテ第二
囘分科會ニ於ケル質問答辯其ノ他委員ノ
開陳シタル意見ノ徴シ各
分科委員ノ假決議ヲ
爲スコト
第四、前項ノ
假決議ハ各
主査會ニ於テ更ニ之
ヲ審議スルコト
第五、最終ノ各
分科會ニ於テハ政府委員ノ説明ヲ聽キ本決議ヲ
爲スコト最近
ハ分科會ニ於テ國務大臣若
ハ政府委員ノ説明ヲ
求メタル後
委員ヨリ質疑ヲ爲シ、次デ仮決議ヲ矯ス。
更ニ主査打合會ヲ
爲シタル後再
ビ分科會ヲ開キテ本決議ヲ爲ス。
假決議及本決議ノ
期院並主査打合會ノ
期日ハ委員會ニ於テ之ヲ定
ムルヲ例トス。」となつておりますが、この明治四十一年に決めましたのと、若干違いまして最近においては一分科會においてやはり
國務大臣若しくは
政府委員の説明を聽いた後委員から質疑をなして、次いで仮決議をなしておりました。この仮決議をなす必要は、各分科におきましてほぼ同一の
違法事件或いは同一の不当なる事件につきましては、例えば
特別会計と
一般会計におきまして、その手数料の取り方が適法に行かなかつたような場合に、そのことが政府の措置が適切でなかつたとか、或いは穏当を欠いたとかいうような議決をする場合に同一の事件について分科によ
つて議決が違うことは、
決算委員会としての統一が保てないために、一應仮決議をしておいて、更に
主査同志がお寄りになつて、仮決議の間の均衡をおとりになつて、凸凹を直されて、各分科会の歩調を合された所で本決議をなすということで、そういうことのために仮決議ということを從來なしておつたのであります。
以上が決算の
審査方針の大体でありますが今度の國会の
決算審査につきましては非常にこれと違う点が数ヶ所あると思うのでありますが、その第一は國会法によりまして、委員会が
会計檢査院の院長及び檢査官の出席、説明を要求することができるというわけで、
議院法時代には、議会というものはとにかく政府とのみ交渉するもので、他とは一切交渉してはいかんという恰好であつたのでありますが、今度は
会計檢査院の
出席説明を求めることができるということ、又
会計檢査院法におきまして、
会計檢査院の方から委員会に対して、
出席説明したいときは、そう申出て委員会に
出席説明をなさることができる等、両方から規定してございます。
会計檢査院との交渉を生じて來、
会計檢査院から直接説明を聴く途が開かれたということが一点。それからまあ只今申上げましたこともその一つでありましようが、從來は
書面審査であつて、決算というものは
書面審査という観点でありますが、今後は
会計檢査院も呼び得るのみならず、場合によつては証人として
当該出納官吏とか一般國民とか、そういう人を遠慮なく委員会に呼ぶことができ、そこで事件の眞相を糾明することができますのみならず委員会が調査のために必要があるときには、委員会として外部に出張なさつて、そこで調査なさることもできる。こういうふうに
書面審査という立前から、非常に外部との折衝ができるようになつたということが大きな相違点であろうと思います。それからその他の点においての
会計檢査院との関係を申上げますれば、
会計檢査院から報告が出るのでありますが、その中に批難案件というものが出て來るのでありますが、從來の議会の
決算委員会の審査は、その
会計檢査院の報告に束縛されることはないのでありまして、自主的な立場から判断できるわけでありますから、
会計檢査院が批難をしておりましても、
決算委員会はそれは別に違法でも不当でもないと審査し得ると同時に
会計檢査院が批難していない個所についても、それが違法乃至不当であるという場合は、
決算委員会はそのことを指摘し得ることになるわけでありますが、このことは從來でもできた筈でありますが、
書面審査であつた関係その他から、実際問題としてはできにくかつたのでありますが、今後は証人の喚問とか
実地調査という途が開かれましたので、そういうことについても或いはそういう事態が生ずるかも知れないと存じます。以上いろいろ雜駁に申上げましたが、決算の審査ということは、大体そういうことであることに関聯しまして、國会法、
参議院規則の規定の外に、
審査方針とか
決議方針とか、何らかの規定か或いは申合せ、或いは委員会の決議、そういうものをしておいて戴くことが審議の御便利ではないかと一應存じておりますが、内容をどういうものにしろ、形式をどういうものにするかということについては、よく御檢討を願いたいと思います。政府並びに
会計檢査院の御経験の深い方々もおいでになつておりますし
十分小委員会としてその問題を御檢討を願いたいと存じておるわけであります。