○
政府委員(
井手成三君) 先ず第三節は
試驗及び任免のことでございます。この要点は、先ず職員の任用は、新規の採用、下の方から上に上
つて行く昇任、他の方から移
つて來る轉任、それから下に下がる降任、この四つの場合を含んでおりますが、いずれも情実その他の角度からでなくして、
試驗成績或いは
勤務成績その他本人の持
つておる実力に應じてや
つて行くということが根本とな
つております。そうして次は任免権の問題でありまするが、これはいろいろ
官職の種類に應じまして、現在の立て方を頭に入れまして、
内閣の閣議によ
つて決めて、任免して行くもの、
総理大臣にや
つて頂くもの、各省
大臣その他各省にお願いするものという工合にな
つております。この補充の
方法につきまして、多少
人事院が統轄的、調整的の権能を持つことにな
つております。次に職員の新規採用は、
原則として公開競爭
試驗によ
つて、その成績順を前提として何人かの中からこれを採
つて行くということにしております。それから昇任、下から上る方も、
原則として下級者の間の競爭
試驗によ
つておりますが、併し
能力の実証に基くところのいわゆる選考という
方法でやることが可なり多くなるだろうと思います。それから新規採用の場合は、一應官界に永久に先ず恒久的職員として入れてよいかどうかという点につきまして、試験の実績だけで、採られたというだけで、案外や
つてみると大したことはない。或いは役所になずまない。役所には向かないというようなことにな
つても困りますので、一應條件付の任命にしておきまして、一定の期間無事に勤め適應性が示されるということになりまして、初めて恒久的な任命になるというような
制度を作
つておりまするが、例外としまして緊急の場合に、本來の
手続によらない
制度をも、この
法案としては用意いたしております。それで、あとは六十
一條におきまして、他の、
身分、進退の権限は先程述べた本來の任命権者がこれを行うというように
規定いたしてございます。それからこの中に入
つております
人事院規則でございますが、三十三條の第二項と、先程三十條の第二項に申上げました如く、
政令で
実施規定を書かないで、
人事院規則で
実施規定を作
つて行く、必要な施行
規定を作
つて行くということを書いております。それから三十五條で、「
法律又は
人事院規則に別段に定のある場合を除いては、」任命権者が、自由自在に採用――外から採ろうと、下から上げようと、轉任で行こうと構わないというようにして、一應任命権者の任用の自由を認めておりまするが、相当な人数がある場合に、いつもその中の三〇%は下から上げろとか、それからあとの七〇%は新規採用にしなさいと、こういうことによ
つて新陳代謝をや
つて、下から上る者の意氣を沮喪させないというような措置をと
つて人事院規則で決めるとか、その役所のそのポストについて、下から上げて、そうして一向
能率が上
つていないという場合に、轉任で外の方から採
つて來い。或は又新規採用でやれということを、特別の場合に
人事院が指定をしようというような考であります。それから三十六條の第一項で、
人事院規則の
定める
職種、
等級、これが先程言いました例の
一つでありまするが、これにはいろいろのヴァラエテイーがございますが、タイピストとか筆耕とか製本屋というようなものにつきましては、競爭
試驗というようなことは、別に要らない。タイピストの
能力があるかどうか、筆耕
能力があるかどうかということによ
つて、選考して採ればよろしい。運轉手、看護婦の免状を持
つているというようなものは、いちいち試験しなくても、顔を見て採
つて行く。果して運轉ができるかどうか、多少実地をやらすということもあ
つて結構ですが、公開
試驗でや
つて行く必要はないと考えておる次第であります。医官というようなものも、実はなかなか……私共も人事に
関係しましたが、容易にないわけであります。例えば非常な宗教的信念が強い或いは非常な考え方を持
つておるというような人で、且医者の免状を持
つておるという人は少いので、これを
一般公募して採点をして行くということになりましても、容易に人が得られません。そういう場合も可なりあろうと思います。それから先程申しました民間から非常な適材を、而もそのポストが非常に重要ポストであ
つて、公開
試驗で、形式的な
基準と、実質的な
基準が情に合わないという場合が出て來るのであります。それで先程吉川さんの御
質問がありましたので、序に
ちよつとここで答えさして頂きたいと思いますが、自由任用というのと選考任用というのとは、私共は区別して考えておるのであります。自由任用というのは、從前の祕書、
國務大臣、
内閣……今の官房長官のようなものでありまして、これは任命権者がこれを採りたいと思えば、他の方の意見を聽かないで、直ぐに採れる。従
つて学歴も過去の経歴も、何であろうと一向構いません。要するに任命権者が採りたい人を自由に採れるのであります。選考して行くというのは、自由に採れるのでありませんで、一定の
能力があり、一定の実力があるということを過去の経歴なり御本人の実際の活動によ
つて示しておる場合に、それを何らかの判定機関にかけて、任用いたして参るのであります。公開
試驗によらないけれども、一定の
資格が何らかの機関によ
つて判定されて然る後に任命するというので、これは自由任命と異にしているわけでありますが、
一般職にありながら、三十六條の但書にありますのは、例えば今の婦人兒童局長、婦人労働問題に非常に見識があり、或いは著述があり、或いは実際に活動していらしたとか、相当に一級官として堂々勤められるという、いろいろな角度から実証がある場合であります。そういう人を採ります場合には競爭
試驗はしないというようなことを、
人事院が承認をする
規則を根拠としてやろうと考えております。
それから三十六條の二項でありますが、
基準を決めるのは二種類ありまして、形式的な
基準と、実質的な
基準があると思います。書面選考であるとか、或いは御本人を呼出して必ず面接して選考する。或いは両方を併用するという選考のやり方の
基準の内容であります。これが
一般職以外の公職の点が、例えば電氣局長を採る場合に、民間の電氣方面を勤めた経歴を一対一として見るか、或いは民間でも大きい小さい会社で実績を違えて見るか、或いはどういう俸給をと
つて、どういうポストにいたかということを具体的に当
つて、その
基準を一應示しておくというようなことになろうと思うのであります。
選考機関の問題が出ましたから、
ちよつと序に申上げで置きたいと思いますが、これは実は決定的にはまだ決
つておりません。現在では大体自由任用それから選考任用、
資格任用という大雜把にな
つております。
資格任用というのもいろいろございます。
官吏の三級官を八年やると二級官に当然なれる。これも一種の
資格任用であります。それから高等
試驗を通
つておれば二級の
行政官になれる。これも
資格任用であります。自由任用というのは秘書官、
大臣、
法制局長官、書記官長、これは全然
資格なく自由自在にいつ何時でも任用して入れる。その中間に当るのが選考任用でありまして、今一級
官吏の選考
委員会がございまして、この問
事務官でありました山川さんのやうな場合で、こういう人を選考するのが第一部で、第二部が技術官、教官を選定しております。その委員は
事務系統の第一級官につきましては大体
事務系統の人が当
つております。それから選考の中で技術官、教官のような方の一級官の選考委員の方は、大学教授、内務省土局長のような技術出身の一級官がこれに当り、それから法制局は私のような者が当
つておる次第であります。二級官は全部高等
試驗委員に任してあります。これは外交官系統と
一般行政官系統とに分れておる次第でありまして、
原則として
役人である高等
試驗委員が当ることにな
つておりまするが、高等
試驗委員は顧問その他を以て問題の場合には、それに聽くことができることにな
つております。現在は大雜把に教官、技術官、
事務官の
程度、それから一級、二級の
程度で二級官につきましては各省、各廳で例えば府縣廳は昔は役所で、府縣知事の下に……、現在では大藏省、内務省というような役所に、三級官につきましては選考委員を作
つております。これは技術官、
事務官、教官と言わず一緒にや
つております。そういう
程度の荒つぽいものでありますが、今後これによ
つて予定されておるものは、まだ決定いたしておりませんけれども、
人事院が
定めますることになりまするので、今私が申してその通りになるかどうか分りませんが、昭和二十二年九月一日、
行政調査部、職郡及び職團一覽表というものがございまして、グループとして一、経済及
政治学、二、
法律学、三、人事、四、報道編輯、五、会計檢査及び財務、六、調弁、七、監督調査、八、飜訳、通訳、九、統計学、十、工学、十一、理学、十二、農学、生物学、十三医師、歯科医師及び保健ということにな
つておりまするが、そういう
職務の性質の似ておるもののグループによ
つて、選考委員が恐らく決
つてくるだろうと思います。
又責任制に應じて非常に
事務の中の一番末梢的な
仕事の
部分、やや中間的りもの、或いは或
程度の部局の責任者たる者というような、横に切られることによりまして、選考の
方法も変
つてくるわけであります。それが全部、まちまちにな
つてはいけませんから、
人事院が心棒になり、両方の調整をとることになろうと思います。これは決
つておりませんので、職郡及職團一覽表の縦割がここに出ておりますから、それに対して
等級的な割り方が幾つかできる。そのコンビでまたそう沢山選考委員を作
つても仕方がありませんから、專門的に向き得る、且他のグループの間に調和を失わないという、恐らく選考機関ができると思いますし、私共予算その他を、それによ
つて要求して、そういうものを作りたいと考えておる次第であります。
三十六條の三項は、復職と外國の
制度なんかで
言つておることだろうと思いまするが、嘗て在職した経歴ある者は、單なる新規採用と違
つて、一度役所において公職として何等かの実績を示した人でありますから、これを実際の採用に当
つて認めていいじやないかと考えておる次第であります。併しそれにしても非常に古い、昔や
つたから採
つてくれという人がありまするが、非常に時代が変
つておるのに、そこに置くわけには参りませんから、どれくらいの昔の
程度のならばよろしい。又過去の
勤務成績等を勘案しまして、一定の標準を決めておる。それから同等の、これ以下にしか採用を認めないというような、いろいろなことをこれは決めることになろうと思います。一番大きな点は退職後再就職を認めるのに、
職種によ
つて変
つてくると思いますが、あまり古くな
つた人は排除することが出てくるだろうと思います。
三十
七條三項でありまするが、これまた選考機関のことでありまして、先程の問題と同じと御了承を願いたいと思います。
三十八條、禁治産者、準禁治産者、禁錮以上の刑、懲戒免職その他についてでございますが、禁治産者は全然心身
能力を欠いておる。これは問題になりませんが、假に禁錮以上の刑に処せられたことがあ
つても、非常に下級な職ならば、人を殺してしま
つたというようなことでは非常に困りますが、外の
理由でやめた。併し運轉手で免許はちやんと取
つてあるような場合、運轉手として一向困らない場合には、人材といふほどでもありませんが人事の合理化の見地から使
つていいじやないか。それから重要でないような統計、飜訳
事務、英語の飜訳
事務が非常にできる。それが何かの彈みで懲戒免職を食
つた。それは
役人として不適当ではなく、不道徳でないというほどではないけれども、外で懲戒を食
つたような場合は、重要なことには就けないでも、重要でない飜訳はや
つて貰
つていいじやないかということを考えております。
三号に「
人事院規則の
定める懲戒免職の処分に準ずる」場合、会計檢査院が体が悪くて失官するというような場合でなく、非行があ
つた場合に失官するという決定を受けた場合は、これを同じように「二年を経過しない」間は、再び
公務員にはしないと
規定しております。その外に裁判官彈劾法というものが、今審議を受けておりますが、その中でもこれに準ずるものが起れば、これによ
つて定めたいと思います。今後如何なる
制度ができるか分りませんから、こういう
規定を置いて、如何なるものも受容れができるようにして行きたいと思
つております。
それから四十二條、
人事院規則がありますが、
試驗の時期、
程度、科目のようなものがこれによ
つて決められると思います。
四十四條では年齢による制限、例えば警察官は滿二十才以上とかいうようなことを書くようなことになろうかと思います。それから具体的條件として先日
政府側から御
説明しましたが、実際に從事する者に対して盲目、色盲であ
つては困るというようなことを書くだろうと思います。
四十
七條の三項に参りまして公告、これは官報とか、主要新聞とか、ラジオとか、郵便局というような
一般の接触の多いところに掲示するとか、
試驗をいつする、
試驗の時期の前いつ頃に公告するとか、何回公告するということを
定めることにならうと思います。
四十八條はこれは
試驗はどういうものであるか、これはやはり中枢的なものとそうでないもの、非常に地方的なものということに分れて來るだろうと思います。これもまだ決定的にはな
つておりませんが、大体そういうような三つくらいのグループに分れるだろうと思います。
それから、五十條でありまするが、名簿の作成は
人事院が行うのでありまするが、何通作るとか、それから
試驗科目及びその得点を記載する或いは
職種によ
つて総点数を書くとか、こういうようなことを書くと思います。
それから五十四條で任用候補者名簿がいつまでもあ
つて新しく
試驗を受けた人がうまく行かんとい
つたようなことがあると思いますので、
試驗が受か
つても一定の年限に採用されない者は駄目だというような考でありますが、一年を経
つた以外に、例えば
人事院が
定める事由というのは、候補者が欠格事由が生じた、或いは欠格事由であるということが
はつきり分
つたときとか、名簿の作成が故意、又は過失があ
つて誤記があ
つたとか、或いは一定の或役所にも推挙されたけれども、どうしても採
つて貰えない。一番から五番まで
試驗をするのですけれども、いつでもその人が落される。そうするといつまでもその人が頑張
つて下の方の人が採用されるチャンスがないというので、この名簿から落してしまうというようなことを考えておるのであります。
五十五條の三項、これは機関の長は現行の三級官
程度の職員には現在職員の任命権を委讓してありますが、任命権をその方に委讓するということをやりたいと思います。
五十八條、これは詰らないことですが、氏名、本籍、現住所、履歴の大要
試驗成績、本人の希望というようなものをここに書くことになると思います。それから五十九條の一項でありまするが、これはいわゆる條件付採用、條件付で本格的の
公務員とするかどうか暫くの間見ようというようなわけですが、これは非常な下級の職なんかはそういう必要はない。先程の運轉手とか、或いは守衞であるというようなところは、そういう條件付とかなんとかいう必要は一向ないように思うのであります。それから又最上層部、例えば局長、局長が六ケ月したら辞めるかも知れんというようなことでは
行政処分の
行政責任がとれない。部内の統轄等もできないというような
要求の強いものにつきましては、これから外れることになると思います。五十九條の二項、條件付採用者に対しては、條件付期間の最長限の
規定が六ケ月を下らないとありますから、どれくらいの間條件付にして置くか。條件が満たされない場合には、どういう工合にして
人事院との間に連繋して通知し合うかということを書くと思います。
六十條、これは臨時的任用が許される場合でありますが、新たに
職種ができた、即ち新たな
職種ができて直ぐ埋めなきやならんときに、勿論それにふさわしいような試験が行われている筈はないのでありますから、任用候補者名簿はないわけであります。それから任用候補者が不足して速かに
試驗を行う余地がないという場合、それから一定のタイム・リミットを切
つて調査、統計、飜訳をやらなければならん場合というようなことをここで書くことになると思います。
人事院の承認方針といたしましては、どういうようなわけでこういう臨時任用をしたいか。その
理由と
職種、
等級、それから人員の数というようなものを
人事院の方へ承認を受けに行くだろうと思います。それから任用される者の選択標準、臨時任用と
言つても大体どういうふうなプールから採るかとい
つたような、丁度昔の町村長のような臨時代理者みたいなもので、全然経驗のない人が臨時代理をや
つても困るというので、臨時採用の期間とかいうようなものを出して、承諾を受けることになろうと思います。
大体少し飛ばして走りましたが、それくらいのことだと思います。