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政府委員(
島津久大君)
賠償実施公團に関する
陳情がございますそうでございます。私共が取扱
つております
賠償実施の実情を一應御
説明申上げます。
賠償の
実施に関しましては、
從來から、
関係各省と
協議をいたしまして、一應の
態勢が今日できておるのであります。ところが、この
態勢は御
承知の
通り賠償の
全般の計画がなかなか確定いたしませんのと、それに関聯いたしまして、ごく一部の
前渡しというものが最近に開始されますことにな
つております。
賠償の
全般を進行するにはどういう
態勢がよいかというところまで実は
研究が進んでおらないのでございます。大体二、三週間中に開始されることにな
つております、一部の取り方、これに対処する
態勢ということに御
承知を願いたいと思います。これにつきましては
賠償施設の
所管が
各省に分れておりまして、
軍工厰関係のものは
大藏省、
民間工場は
商工省、又
造船関係は運輸省、そういうようなふうに
賠償施設の
所管が分れておるのであります。この
撤去作業ということになりますというと、やはりその
所管の
官廳が一番事情も知
つておりますし、人員もございますしいたしますので、その
所管の役所が
作業の
責任を持つということに決めてございます。今回の
取立てが
大藏省所管でございますので、
大藏省の
所管で今回の
前渡しを処理するということにしてございます。そこで大体
政府の方で
作業の
責任を持ちます恰好にな
つております、実際
作業に当ります者がどういう者が適当であるかということは、この初期の
取立てにつきましても種々
研究いたしました。その間
陳情のような
公團が必要じやないかというような点も
十分研究いたしました。
今回の
取立てにつきましては、
政府と実際の
業者との間に
公團のようなものを考えないことにしております。その理由といたしましては、先程
來申上げますように、
規模が大きくないことが第一でございます。又もう一つは、この
取立てに関しまして、今年の七月の末に
司令部から詳細な具体的な
指令に接しております。
作業のやり方、例えば荷造りの仕方というようなことにつきましても、極めて詳細、具体的な
指示が参
つておるのであります。そういうような点から考えますというと、実際
仕事に当ります者と
政府との間に大きな
機構を設ける必要がないというような点もございます。そういうことで大体
大藏省で
請負業者を選定いたしまして、
適格者を選定いたしまして、それに
競爭入札をさせる、そういう建前で考えております。勿論
入札に当りましては、
適格者を先ず選ばなくちやなりませんので、これにつきましては
関係各省十分
協議をいたしまして、例えば
賠償協議会というものが
中央並びに
地方ブロック、
府縣單位と三つの
賠償協議会ができております。
関係の
各省並びに
民間委員というものが入
つております。これで
適格者の枠を決める。その枠の
範囲で
主管省の
大藏省関係で
競爭入札をさせる。この
入札につきましても
作業の大体の
予定の價格というようなことも決めまして、
司令部の
指示されました具体的な方法に準拠して
仕事をするということにいたしまして、その間不当な利益を取らせるというようなことが絶対にないように十分の配慮をしてあるのでございます。大体現在はそういうようなことで、
政府と
業者との間に
公團のようなものを考えないということで第一回の
取立てに対処するわけでございます。
ところが第一回の
取立ては
予定施設のごく一部でありまして、大体
極東委員会で決めました
予定施設の分量、これは重量にいたしまして概算約三百万トン、この中の三割
撤去ということが決ま
つておりますが、この三割と申しますと大体百万トン、その三割の中のごく
軍工厰の一部ということでございまして、これがトン数にしまして約十万トンということにな
つております。
規模から申しましても相当小さいものでございます。今後
軍工厰の一部の
撤去に続きまして、
民間の
工場、鉄鋼でございますとか、
工作機械、火力発電いろいろな
民需関係の
工場が対象にな
つております。これが
軍工厰に引続いて動くことになるかも知れない。そういうことになりまして、非常に大きなものが一度に動きますということになりますと、或いは
政府と
業者との中間に一種の
機関を設け、これが
政府の代行的な役割をするというような必要が出て來るかも分らない。いずれにいたしましても、今度の第一回の
撤去は、あらゆる
意味でテストにもなろうかと考えております。ただ今回の
撤去につきましては、先程申上げましたような
態勢が先ず最善と考えまして、決定しておるようなわけであります。
今後
公團というようなものも尚
研究の
余地が十分あると存じます。ただこの
公團と申しましても、
賠償関係の
公團では他の
公團と多少
違つた面もあるように思われるので、
生産関係とは全然
関係がないのでありまして、すべてこれは
政府の
支出によらなければならない。又
公團というものが大きな
機構になりまして、その下に
業者を使わないで、
公團自身が全部隅から隅までやるということになりますとよろしうございますが、そうでなくて
公團もある、その上に
政府もある。又
公團の下に
業者を使うということになりますと、余程
公團が有効に活用されませんことには、徒らに
政府の
支出を多くするということになる虞れもございますのでなかなか
賠償関係の
公團編成ということは簡單な問題ではないように考えるのであります。勿論
性質としては
十分研究の
余地があるというふうに考えておるのであります。
概略御
参考までに御
説明申上げました。