○
政府委員(
西村英一君) 今
飯田さんの御
質問の
電化計畫はどういうふうに
なつておるかという
お話でありますが、少し時間を拜借いたしまして、
電化計畫の問題はいつも實は計畫はかくかくであるけれども、なかなか
資材資金等が不十分でできないというような
申譯的なことを今まで申してお
つた場合が非常に多いのであります。この際
電化につきまする私達の
氣持を申上げまして、尚
將來の計畫につきましての考えを申述べたいと思います。大體現在の
鐵道の
路線は御
承知のように一萬九千キロ程ありますのに、國有
鐵道の
電化路線が千四百四十キロ程に
なつております。その
比率から申しまして七・五%ぐらいな
電化路線の
比率に
なつておりますが、これは諸
外國の例に比較いたしましても非常に少い
電化路線でありまして、殊に
國土の
情勢から申しまして、特に
日本としては
鐵道の
電化には最も適して
國情であるということは、古くから言われておるのでありまして、即ち
水力は
豐富である、又その反對に
石炭資源が比較的少い、又
石炭のみならず他の燃料が
豐富でないというような點から考えまして、
國土情勢の上から
電化に非常に有利な
國土であるに拘わらず、諸
外國の例に比較いたしましても、國有
鐵道の
電化路線が非常に少いということにつきまして、どうしてこういうふうな
状況に
なつておるのだろうということが
一つの疑問であります。これにつきましては、
省内の事情につきましてもいろいろなことを言われる場合があるのでありますが、私の認識しておる、知
つておる
範圍内で申しますると、やはり
從來國防上の
見地から餘り
電化を好まなか
つたということが大きな問題でありまして、それに他の
原因といたしましては、
石炭資源が少い、と申しましてもとにかく
平和時代におきましては
石炭は相當に良い、
炭質において亦低廉な価格において
適當な量を
從來も確保されてお
つたわけでありまして、ない
といつても零でなか
つたというようなことで、どうしても
電化の方に向かなか
つた。それからもう
一つの理由といたしましては、これは
電化の結局なんといいますか、
一つの缺點といいますか、デイス・アドバンテイジでありますが、
建設費がかかるということでとかく
資金に悩みました我が
國政府といたしましても、どうしても大々的にこの
電化を取り上げるような
情勢にならなか
つた。こういうような問題が絡み
合つて、今日
電化がかくのごとき非常に普及しないような
状態とな
つたのではなか
つたかと思うのであります。併しながら今日の
情勢から見ますというと、この第一の
原因でありますところの
國防上の
見地は一應これは除外されたと見なければなりません。第二の問題の
石炭の問題でありまするが、これは又
適當な量出ないのみならず、
從來に比しまして非常に
石炭の
炭質が惡く
なつておる。これは
鐵道運轉につきましては、あの限られた
寡少面積で
石炭を燃やしてそうして
運轉するあの
技術からいきますれば、徹底的な致命傷でありまして、
熱效率の點からいきましても非常に
低能率なものである。現在の
運轉從事員があの惡い炭を
使つて現在の運行を辛うじて保つことには、相當な
從事員の努力が要
つておるということも、御了解願える
程度に非常に惡い炭でありまして、そういう點から申しまするというと、
從來のこの
鐵道電化の
隘路でありました點は、この
二つの
原因まではこれは除かれた、こう申さなければならんのでありまして、他の
資金の問題につきましては、これは
從來とやはり現在の
状況とは同じでありまして、やはり今日の
資金の
状態は非常に苦しいと思われるのであります。從いまして何と申しましても第一は、この
國防上の
見地からの
電化の推進がてきなか
つたという大きな癌を取り除きますれば、
電化による
利益ということはこれは大いに何人も認めるところであろうと思うのであります。大
體電化によりまして一體どういうような
利益があるのだ、こういうことを概略
お話しいたしますと、大體は何と申しまするか、
技術上の第一の問題といたしまして、物理的な
見地から
電化を見まするというと、結局
蒸氣に代るに
電氣を以てする、
蒸氣の
特質と
電氣の
特質との差異による物理的な
利益、こういう
利益が
一つ考えられると思うのであります。その物理的な
電氣の
特性によりまする
利益から
鐵道運轉に及ぼしますところの影響といたしましては、第一番に雄炭の
節約、第二番目に
輸送力の増強ということになります。それから第三番目に
列車囘數の
増加、大體そういうようなことが、この
電氣の
特性からしまして
運轉を容易にし有利に導くものであります。
石炭の
節約から申しまするというと、
蒸氣運轉の場合は、
蒸氣運轉の
熱效率というものは、綜合の
熱效率、つまり
ボイラーの
能率、或いは
蒸氣の
能率、そういうようなものを綜合しました
熱效率というものが、大體平均いたしまして現在は四%くらいにしかならないのであります。つまり百の
エネルギーを與えましても、それが外に出て
仕事をします
エネルギーは四%くらいにしかならないのであります。
電氣運轉の場合でありますというと、假りに
火力發電によ
つて電力を發生しまして、その
電力を使用して
電氣運轉をいたしましたといたしましても、
發電所の
能率、
送電線或いは
電車線、
電氣機關車等の
能率を綜合しましたところで、約一〇%くらいになるのであります。そうすると、約二倍半くらい
電氣運轉の場合が、同じ
石炭を焚きましても
熱效率として有效なのであります。結局
使用石炭量から申しまするというと、四〇%くらいな
石炭で十分である。同じ
列車を動かすのに四〇%くらいの
石炭で十分である。六〇%くらいの
石炭の
節約になるということが言えるとであります。そのために同じ量の
輸送をやります場合も、
石炭の要り方というものは、
蒸氣運轉の場合と、
電氣運轉で
火力によ
つて電氣を發生しましても、非常な差ができるのでありまして、まして
電力によりまする場合は、殆んど
石炭というものは要らない、多少
火力用の
發電所は
石炭を
使つておりまするから、それを
勘定に入れても、
電氣運轉の場合は、
石炭の九〇%は
節約できる、こういうような
勘定になると思うのであります。殊に最近の
石炭は非常に
炭質が惡くありまして、
トンキロあたりの
石炭の要り方にしましても、
從來は
トンキロあたりについて五十五キログラムの
石炭を要したものが、
炭質が
惡いために現在では恐らく今
年度の平均は百三、約平常時の二倍ぐらいの
石炭を要しておるような
勘定になります。從いまして
鐵道用炭は非常に我が國の
石炭の
生産面の上における
比重といたしましては、非常に大きい
比重を占めておるのでありまして、本
年度二十二
年度の
運轉用炭は、
鐵道省は七百十
萬トンと言
つておりますが、假りに三千
萬トンの
政府目標の
生産量を獲得いたしましても、その
國内生産量の二四%に當るところの炭が
鐵道で消費されてしまう結果となるのであります。而も現在あのくらいの
列車囘數しか保てないような
状況なのでありまして、又
乘務員もこのために、これでも愉快に
仕事ができておるわけでなくして、これで非常に難儀をしつつ、而もこれだけ大きいところの
石炭を消費して、
現状の
輸送しかできないようなことに
なつておるのでありまして、これは一に
電氣と
蒸氣との物理的な
原因からの相違でありまして、又
石炭が惡く低下されました今日において、
電氣と
蒸氣との差が顯著になりました一例であります。そういう點から申しますると、この
電化による期待は相當に大きいということに認識しなければらなんと思うのであります。
輸送力の
増加の問題につきましても、これはもう御
承知の通り、
電氣機關車にいたしますれば
牽引力増加は、これは
水平平垣區間では
牽引力は同じだといたしましても、勾配、下りになりますと、
蒸氣機關車と
電氣機關車の
牽引力はこれ亦
電氣機關車の方が遥かに高いのでありまして、
運轉速度の點から申しましても、
牽引數を一定に保ちますれば、
運轉速度の方は
電氣機關車の方が
蒸氣機關車よりも遥かに殖える。從いましてこの
牽引力を殖やしたり
列車速度を
増加したりすることによりまして、
列車の回數もこれを
増加することができるのでありまして、殊に
蒸氣機關の場合に看過できない
一つの大きい問題としましては、
給水と
給炭の問題であります。これは多く今まで言われていないのでありますが、私達現在
鐵道省で以
つて非常に困
つておる問題は、
ボイラーに對する
給水、
給炭、
就中給炭の
石炭をその罐に用意するという問題は非常に大きい、非常に人手がかかる、非常に非
能率的な問題でありまして、このために
列車の遅延を見たり、或いは
列車運行を非常に難澁に導くということに
なつておるのでありまして、
石炭の
扱い等につきましても
炭質が惡くなりまして、
使用炭量が増せば増すほどますますこの問題は大きい問題となるのであります。こういうような物理的なことから來るところの
利益があります。
第二の問題は
經濟的の
利點であります。
電化によりまする
經濟的の
利點は、これは現在も國有
鐵道が非常に赤字で悩んでおります。
經常費が非常に膨脹いたしておるのでありまして、これはいろいろな
原因があると思うのでありまするが、なかんずくその一番大きいと見られる點は
石炭費、
動力費の問題であると思われるのであります。
從來の例を取りましても、この
石炭費、
動力費の
營業經常費に對する
比率というものは、
昭和元年からの統計を見ましても約一割、これくらいが
動力費の
費用であ
つたのであります。
昭和七年が一番この
動力費が要らなか
つたときで、營業費に對しましての
比率の少いときでありまして六・三%に
なつておりまするが、概略一割くらいが
經常費に對する
動力費の割合であ
つたのでありまするが、最近
昭和二十二
年度におきましてはこれが二三%くらいになるのでありまして、このために
石炭費にいたしましても二十二
年度の
費用は約八十數億圓の
費用をこれのために投じなければならんとこういうような結果に
なつております。これは
炭質の低下によりまして
炭量を多く使うということと、又
石炭の價格が非常に高く
なつた、この
二つの
原因であります。御
承知のように
鐵道で使いました
炭價が
昭和十一
年度におきましては十圓五十錢、これが今
年度の
炭價、これは新
物價體系によりまして
鐵道が扱いますところの
石炭は千四百圓ということに
なつております。九百五十何圓の
生産費に諸掛りを入れまして千四百圓、つまり
昭和十一年に比らべまして百四十倍の値上りであります。このために、一方量はますます要り、一方
石炭の
單價は高く
なつた、こういうことのために今日の
運轉上に非常に
不利益を招くと共に、
經濟上の大きい
一大癌に
なつておるのでありまして、この點を解決することによりまして相當に
鐵道に財政も好轉されると思うのですが、これには
電化によることが最もいいと思われるのであります。
電化によりまするときには、この
電力費等は
昭和九年には一キロワツト・アワーは一錢七厘くらいでありましたが、現在の新
物價體系によるところの
電力の
單價を以ていたしましても約二十倍の三十四錢三厘くらいにしか當りません。從いましてこの
經濟上の
利點ということにつきまして
電化は非常に大きい
利點を持
つておる。これは假りに
東海道線を全部
電化いたしましても相當な
經常費の
節約になると思われるのであります。ざつと計算いたしたところを申しますと、沼津、
下ノ關間の九百九十二キロを
電化いたしたといたしましても、
電化に投じまするところの
費用が
固定設備と
電氣機關車を入れまして百億くらいな
費用になりまするが、
石炭の
節約は
東海道線全線電化によりまして二百四十
萬トンくらいな
節約になります。この
石炭の
節約と
所要電力とを計算いたしまして、これに對するところのいろいろな
利子償却を
勘定いたしまして、
計算比較をいたしましても、
東海道線電化によ
つて二十數億の
經常費の
節約を期待することができるのではないかと思われる。
第三の
利點といたしましてはなんと申しますか、
社會的な觀点から見ました所の
利點が非常に澤山ありまして、御
承知のように、
石炭はこれは
天然資源の非常に大事なものでありまするからして、成るべく保存して置きたい。且亦いろいろな他の産業に非常に用途があるという所から、
鐵道のような
動力を外のもので代えることのできるものにはこの
水力を
使つてやる方がいい、こういう
社會的な
利點を有するものであります。尚普通言われております所の
電氣運轉にしますれば
煤煙の
除去になる。この
煤煙の
除去によりまと所の利点というようなものも、これは想像以上に私は大きいと見るのであります。その事項を擧げてみまするというと、第一番に
煤煙を
除去することによ
つて運轉事故の防止になる。サーヴイスの向上にもなる。
列車乘務員或いは
線路乘務員、
電氣乘務員等の
從事員の
保健衛生上の改善に大いに役立つ。又
蒸氣運轉のために
隧道内の
施設物が非常に腐蝕いたしますが、これらの點につきましても、例えば
蒸氣運轉ですと
隧道の項壁が非常に腐るとか、いろいろな問題がありまして、現に京都の東山の
隧道のごときも、内に入りますと
煤煙が溜りまして膝を沒する
程度に
なつておりますが、そういうようなことまで改善することができる。又
隧道の
排煙施設等を
鐵道でも金を掛けてや
つておりますが、そういうものも要らなくなくなる。
沿線火災も防げる、こういうような
利點があると思うのであります。又
炭質が非常に
惡いために、
蒸氣の不昇騰による
列車の遅れが少くなるというようなこと、乃至
電力の面から見ましても、これを
電化いたしまする場合には、深夜の
電力を非常に利用することができる。御
承知のように
電力の需要は季節的にも違いますけれども、一時的にも違うのでありまして、一日の一番使う時間には非常に困るのですが、他の時間、皆が休んでおる時間には
電力は比較的餘
つておるのでありまするが、これを
電氣運轉にいたしますると、皆の人が眠
つておる時でも
列車は走
つておりますから、有效に
電力を使うことができるというような、こういう面もあろうと思うのであります。大きいその他の問題つきましては、
ちよつと申上げることはできませんが、確かに我が國の
現状にとりましては、
失業救濟の
一環にもなるのではないか、こう思われるのであります。現に第一次
歐洲戰爭後に
電化を採上げました國々におきましても、
水力を利用するという面から採上げた國と、
失業救濟の
一環として採上げた國とがあるのでありまして、これは現在の
失業救濟についてどれだけのウエイトを持つか分りませんが、
社會的に見まして、こういうことも現在の
電化を施行することによりまして、
一つの
社會的利益を齎らすものではなかろうかと思うのであります。以上極くあらましでありまするが、私達の知
つておる
範圍内における
電化の
利點、即ち
物理的現象から來た
利點、
經濟的から來た
利點、
社會的に考えた場合の
利點、こういうようなものを
簡單に申し上げた次第であります。併しその半面におきまして、
電化には又いろいろな
不利益と申しますか、
電化をいたしまする場合には
資金を要します。
資材を要します。こういうことのために、この
電化がどれだけ今後進められるかというような問題になると思うのであります御參考のために、
電化に對する
建設費の現在の
状況を申しますると、
電化に對する
建設費は、
單線を
電化する場合の
建設費は、新
物價體系によりますると、約三百三十
萬圓から四百五十
萬圓程度掛かります。
複線の場合は五百
萬圓から六百六十
萬圓の
程度掛ります。又
資材の點におきましては、
單線の場合は
鋼材が三十トン、
銅材が十トン、
複線の場合には、
鋼材が四十トン、
銅材が二十トン、こういうふうな
建設費と
資材とを要するのであります。從いまして
不利點があるわけでありまして、これを如何に調和しつつやるかということが私達の最も考えなければならん點だと思
つておるわけであります。
次に本
年度の
電化は一體どう
なつておるかという問題につきまして、
簡單に
お話いたしたいと思いますが、
昭和二十二
年度の
電化工事につきましては、最初の
交付豫算によりますると、
上越線の
高崎・
水上間、
石打・
長岡間、こういう
上越線については、
二つの
電化ができております。
高崎・
水上間の五九・一キロの
電化は約一年一ヶ月の日月の
工事期間を經まして、本年の四月一日に開業いたしました。この開業の結果、まだ
運轉開始の期間が短いために、いろいろなことが調査中でありまするが、計算上からこの
高崎・
水上間の
電化による
利點を申しますれば、
石炭の
節約におきまして、三萬一千八百トンの
石炭の
節約をなし得ると思います。これは
年間であります。而も現在の
輸送量で、
列車囘數の
輸送量につきましても、三萬一千八百トンの
石炭の
節約を期待する事ができます。
牽引力の
増加にいたしましては、旅客の
牽引力におきまして約五〇%の
増加、貨物の
牽引數におきまして一五%ぐらいな
増加、
經常費の
節約に至りまして、二千三百
萬圓ぐらい
年間を通じまして
經常費の
節約になると思うのであります。
石打・
長岡間は六十五キロの
區間でありまして、これも本年の十月一日
電氣運轉を開始いたしました。これに對しましても、最
前述ベましたような
利點を持
つておりまして、從いまして
上越線は先ず
電化といたしましては、この既定計畫の百二十四キロを完成いたしたのでありまして、
手直し工事を現在はや
つておる
程度であります。次に
奥羽線の四十三キロの
區間の福島・米澤間の
區間について
電化の
工事をや
つております。これは非常に難
工事でありまして、現在線路の
状況といたしましては僅か四十三キロしかないのでありますけれども、
隧道の改築がありますので、非常に難
工事を續けております。豫定の
開業期間といたしましては、二十三年の十月を豫定いたしてはおりまするが、
セメントの入手がなかなか困難でありまして、而も嚴寒に及びますると、
セメント施工の
工事ができない爲に、この工期につきましては明年の十月にできるかどうか非常に
工事の
施工者としては目下苦心をいたしておる
程度であります。次に
高崎から上野の
電化、或いは米原・大阪間の
電化というものは、二十二
年度の
交付豫算中に相當な
金額を計上いたしまして
工事に著手いたすことに
なつてお
つたのでありまするが、二十二
年度の實行
豫算の時に、
鐵道省資本勘定の削減の問題が起りまして、これは
省内の問題よりも關係筋のいろいろな指示もありましたために、そういう問題が起りました。その折にややこの
規模を縮小しなければならない
状況になりまして、初の
豫算よりも兩線共相當少い
金額にいたしまして、本
年度準備行爲をやるという
程度に
金額を落しておるわけであります。從いまして、一應計畫として著手する段取にはいたしておりまするが、
工事の進捗の
状況はまだ
準備時代を脱しないわけであります。大體二十二
年度の
工事の計畫はそういうふうな順序で進んております。
次にこれは
電化の
將來計畫はどうか、こういうことが一應の問題になると思うのでありまするが、これは最前もいろいろ
石炭事情を申しましたように、
日本の
状態としてはどういうふうにこの
石炭事情が
なつて行くかという問題が大きい問題であろうと思うのです。先ず私の方で事務的に
將來電化をしても間に合うかどうであろうかというような
線區を選んで考えて見ますというと、國有
鐵道千九百六十三キロ、その中で約七千キロの
程度は、幹線或いは
特殊線を拾いまして、七千キロの範圍は
電化をしても間に合うのじやないか。その際の
線區において算盤が取れるのじやないか、こう思われるのであります。假りに先ずそういうことにいたしますると、この七千キロを
將來に向
つてどういうふうに
電化を進めて行くかということが問題になるのでありまして、十ヶ年でやるか十五ヶ年でやるか、こういうようなことが問題になると思うのでありまするが、現在の
状況からいたしますると、國内の
情勢からいたしますると、どうしても
大計畫的に、例えばソヴイエトが今日相當な
電化計畫をいたしておるような、國としての大
規模の
電化というものを計畫的に進めるということにつきましては、私が申すまでもなく、現在としては少し
適當な時期ではないのでないか、こういうふうに思われるのであります。現在の
電化といたしましては、先ずもう少し
規模が小さいと申しますか、そう遠き
將來のことではなしに、數年の
區間の見透しをつけて、その線に沿
つてやり得るような
規模にしか出られないのでないか、こういうふうに私には感ぜられるのであります。それで假りに五ヶ
年間にまあ十キロの
電化をする、こういうような
程度の
規模においてやる場合におきましては、
電化路線の選定をどうするかということが一番大きい問題にな
つて來るのでありまして、これにつきましては
省内にいろいろの、
電化委員會等もありまして、
技術的にいろいろ檢討はいたしておりまするが、先ずやはり
石炭の
節約が一番大事であるから、
輸送量の大きい所からや
つて行くということが、これは
省内の一致の意見でありまして、その
輸送量の大きい
線區と申しますれば、
東海道本線というものが外のものよりも數等、桁が
違つて輸送量が大きいのであります。而して後に他の
線區に及ぼすべきだ、こういうことがやはり
電化の
路線選定に對する大體の
根本方針であります。從いまして今ここでどの
線區をどうするというような
お話は
ちよつといたし兼ねまするが、一應事務的な
調査等はいたしております。
非常に話が長くなりますので、
飯田さんの御
質問に對しましてお答えに
なつたかどうか分りませんが、今まで餘り私
たちの
氣持を
説明していなか
つたので、その際時間を拜借しまして、多少私
たちの
氣持を
お話しまして、尚御
質問がありますればお答えすることにいたしたいと思います。