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小泉秀吉君 今の
委員長の御發言に對する厚生大臣の御
意見を拜聽して、私は委員の一人として誠に滿足をし、又厚く感謝を申上げます。本件がただ管轄が違うというようなことでなしに、現在の二十萬の
海員は、等しく
海員組合或いはその他の
團體を通して、今
委員長の御發言に
なつたようなことが、日本の海運を囘復し、又それを再建するということに最も必要な
事項の
一つだと確信をしておりまして、
船員中央勞働委員會における發言においても、又
組合自體の總會においても、再三そういう決議をしてゐることであるのが、いろいろな
關係で實現しないことにな
つて、そのために
船員は非常にくさ
つておるということは事實でありまするから、今のような厚生大臣の御發言を伺いまして、誠に私は海運再建のために慶賀に堪えないと存ずるのであります。尚この本案の具體的の
審議に當りまして、厚生大臣に特にお伺いしたいことを
一つ申上げたいのであります。それは、私はこの
改正法律案について、幾多御
質問を申上げ、又皆さんと共に十二分に
審議をしたいと存ずるのでありまするが、何分にも會期が迫
つて、今日なんとかしなければこれが流れてしまうというような瀬戸際に立ちましたので、この保險法の一部を
改正する
法律案が成立しませんことになると、大局から見て、
船員の
失業保險の實施というものは非常に遲れることになりまするから、それでそこに非常な惱みを持
つておるのですけれ
ども、具體的に言うて、
別表の第五表を見ますると、五表の最後に、等級十七、百七十圓以上という所に、比率が四十、三十五というようなことで打切
つてあるのでありますが、これは平均報酬月額が百七十圓以上は全部百分の四十しか
失業保險金は支拂わないということになるのでありますが、
船員は海上勤務の特殊性もあるし、報酬實額を、
船員保險及び
船員法では、
最高が二百六十七圓にな
つておるのであります。それを百七十圓で打切るということは、甚だ不
適當ではないかと思うのです。これは
陸上の
失業保險の方面から言いますると、百七十圓に多分な
つておると
承知しておりますので、それに合わしたのではないかと思うのでございますが、
船員勤務の状態、生活状態が
陸上とは著しく違
つておるというようなことを全然無視してこの百七十圓で打切
つたところに、私が先刻申上げたようないろいろな意味において、やはり
船員に理解のない
厚生省の
立案が具體的に表現されておるのではないか、こういうことを私は一應ここで
意見でありますが申上げたのであります。特に保險料の拂込の基準とな
つておる報酬實額は、
陸上の
勞働者よりも
船員は高く拂込にな
つておるのであります。その多額の拂込にな
つておるから保險金の支給額は多くなるというのが、私
どもは當然と思うが、この點がその當然にな
つておらない。
失業保險というのは申すまでもなく、失業しても急に從前の生活基準は激變を與えないというので設けられるのが趣旨だらうと思いますけれ
ども、ところが
失業保險金の給付基準が、
從來の
收入に近いものにはならずに、そうして著しくこの第五表の案でいうと、高給者の
收入が減
つて行くというようなことにな
つておりまするので、このままどうも今鵜呑みにするということは非常に困難な状態にあるのでありますけれ
ども、先刻申上げたような事情もありまするので、この百七十圓以上というものを何か外の基準の出し方というようなことで、近き將來といいますか、最も近き將來に改定をせられるような御
意向があるかどうか、若しおありだということであれば、このまま止むを得ず私は鵜呑みにしてもいいと思うのですが、その邊に對する厚生大臣の御
意向を伺
つて置きたいと思います。