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政府委員(
岡田信次君) それでは私から今囘の
水害による
鐵道の
被害状況を
お話しいたします。お
手許に
ざつとした資料を差上げて置いたのでございまするが、天候の
模樣等につきましては、すでに
新聞その他で御
承知でございますから省略させて頂きます。
次の
被害の
關係でございますが、大體その前に一應お斷りいたして置きますが、この
調査はまだ日が
淺いものでございますから正確を期し得ない、非常にラフなものであるという點を
一つお含み置き願いたいと思います。
それで
只今までに、實はこれは昨日の夕方の六時でございますが、それまでに集りましたものによりますと、全體の
被害件數が六百三十一件、そのうち
東京鐵道局管内が五百六件、
仙臺が百二十一件、その他
名古屋、大阪、
新潟鐵道局管内において多少輕微な
被害を受けたという
状況であります。
それでこの六百三十一件のうち
相當大きな
被害と目されるものが次の表に掲げてございます。そうしてそのために
只今のところ
線路が
不通に相成
つておるのでありまするが、これの今後の
復舊の
見通し、
線路の
輸送の
開始の
見通し等が書いてあるわけであります。
次に非常にラフな
略圖でございますが、これを
ちよつと御覽願います。大體赤線で示してございます線が止
つておる線でございます。
それでこの
見込といたしましては、先ず
東北線でございますが、
大宮の先の例の
利根川の決潰のために
栗橋附近、これが浸水いたしておりまして、
目下のところまだ
線路の上に五百ミリ度程の水がございまして、非常に
減水状況が緩い
關係上、
目下のところ水が引かないとどういうふうに下の方が
なつておるかという見當が付きませんので、いつ開通するかということは
ちよつと申上げられない
状況に
なつております。それから
常磐線でございまするが、
水戸までは昨日中に
復舊なりまして、
列車が參
つております。
水戸の先の勝田、佐和間というのが
相當大きな
被害を受けまして、
目下急いでや
つておりまするが、大體二十三日までかかる、二十三日中にこれが直るという
關係で、
常磐線は二十三日まで
列車が動がない。それから
上越線でございますが、
高崎までは昨日中に開通いたしまして、本日複線共開通いたしましたから、
高崎までは
支障がない。
高崎から先の水上までの間でございますが、澁川、岩本、沼田間に非常に大きな
災害を受けまして、これは
利根川と山の間を
線路が縫
つておるのでございまするが、川のために
線路をすつかり取られまして、約百五十メートルばかり取られまして、
目下のところ
見込が付かない。大體一ケ月ぐらいかか
つてどうやら應急的の
措置が取れるのではないか。
只今調査員を派遣しておりますので、詳しいことは分りません。その他
小山と
高崎を繋ぐ
兩毛線、或いは
足尾線、
水戸、郡山を繋ぐ水郡線、
日光線というようなものは未だ十分なる
調査ができませんので、
從つて目下のところ
開通見込その他も未定ということに
なつております。
それから尚
東鐵管内といたしまして、八王子と
高崎を結ぶ八高線、これも一ケ所
相當大きな
被害を蒙りまして、
只今のところいつ
復舊がなるか見當が付かない次第であります。その
外青海線の奧の方にも多少
被害がございまして、これも
本線の方に
主力を注いでおる
關係上ちよつと
只今のところ
見通しが付かないのであります。
それから
中央線の
甲府に參ります手前の大月、初狩の
笹子附近、この邊が非常にひどくやられまして、これらの
復舊も大體十月五日頃までかかる
見込でございます。尚
甲府と富士を結びます
身延線につきましても一ケ所橋梁をやられまして、これも大體
只今のところ五六日頃までかかるだろうというような
状況でございます。
以上が
東京附近でございますが、
仙臺管内に入りまして、
東北本線の小牛田、一關、この
附近が北上川の氾濫によりまして一面に浸水をいたしまして、
目下減水を待
つておる
状態でございます。大體
目下の豫想では二十一日か二日頃には開通し得るのではないかという
状況でございます。その他陸羽東線、或いは横手、
黒澤尻を結びます横黒線、
花輪線等にも
相當の
被害を受けておるのでございますが、この
略圖にも
ちよつとありますように、或いは
目下調査中、或いは九月末というような
状況で、大
部分これらの
主要幹線を除きました
區間につきましては、今日ではまだいつ頃から
列車が動く、いつ頃
復舊するということをはつきる申上げられない甚だ遺憾な
状態にあるわけでございます。
それで
目下復舊事業といたしましては、
東京鐵道局につきましては
線路工手を主體といたしまする
關係從事員五千人、
竝びにこれに人夫を五千人動員いたしまして
復舊に努力いたしておるわけであります。その他
名古屋、
新潟、
仙臺等につきましても同樣で、大
體一應復舊になるまでには、この表にございますように約二十
萬人以上の
總延人員を必要とするのじやないかと考えておるわけであります。從いまして、これにつきましていろいろな
加配米の
問題等につきましても
一つ強力なる御後援をお願いいたしたい、こう考えておる次第でございます。
尚次に
復舊に要する
資材等の表もございますが、これも先程お斷りいたしましたように極めてラフな見積りでございますので、今後
相當の増減があるものと
一つ御了承を願いたいと存ずる次第でございます。この内大體一番困るのがセメント、それから
油類、主としてガソリン、
機械油等でございますが、これが一番困るわけでございまして、これらにつきましては
聯合軍の方にも
十分連絡を取りまして、力強い協力を得ておるわけでございます。
それから次に
費用が擧げてございますが、大體全體の
費用といたしまして、
目下のところ二億五百
餘萬圓、こう
なつております。併しながら以上私が申上げましたのは
線路に
關係する
部分でございまして、この
外通信線、或いは
電力線等にも
相當の
被害を受けておるわけで、これに對してもこの表以外に
相當の
資材、資金が必要なわけで、更に車輛につきましも或る
程度の
機關車なり或いは
貨車等が水浸しに
なつたという
状況でございますので、これらに對しても、
相當の
費用が必要ではないか。それから尚
調査未了のために計上できない
部分も
相當あると考えられますので、これらを全部入れますと、恐らく二億五百
餘萬圓というのが或いは五億近くに相成るのではないか、こう考えておるわけでございます。
それで結局この度の
水害は異常な雨によることは勿論でありまして、
鐵道自體の
構造物がこの雨のために毀れたというのは非常に稀でございまして、大體
河川の
改修、
河川工事が十分でなか
つたために
相當堤防が決潰したというような
關係で、
鐵道の
構造物がそれに
伴つて被害を受けたというのが大
部分でございますので、
是非共今後は
河川の
改修等について十分なる施策を講じて頂かなければならんと考えておるわけでございます。勿論私共といたしましても年々
相當巨額な
費用を投じまして、
災害の豫防、事前の防禦に關しましていろいろのことをいたしておりますが、何しろこういう時期でございますので、十分に
參らん、それでこういう大きな
被害が起
つた點もございますので、その點につきましては非常に遺憾に存じておる次第でございます。
それから最後に、今年の七月、八月
東北附近に起りました
災害につきましても極く
簡單な表を附けて置きましたが、大體
新潟、
仙臺兩鐵道局二百七十六件、これに要した
費用が一億三千八百
萬圓、
竝びにそれの資材という表を御參考までにつけて置いたわけでございます。
以上甚だ
簡單でございまするが、私の御
説明といたします。