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説明員(長屋千棟君) 大體そういう
考えで一應決めました。それでこの前から
丹羽さんの御
意見では、七日では非常に短いんじやないか、今の通信その他が非常に不便であるから、もつと長くすべきではないかという御
意見がございましたが、
現行法におきます
海難審判は、理事官が
審判の開始を申立てました場合に、
審判所におきましては、何等そこに制限をしておりません。直ぐ
審判所の都合で開廷の期日を決めまして、いつ何日開廷するかという呼出しをさせておりましたが、
海難審判法におきましては、その
海難の
原因を
研究するというのが
目的でございますので、その
責任者たる
受審人が
審判に出て參りませんと、
事實その
原因の探究ということは非常に困難でございます。それで飽くまで事前にも手を盡しまして、十分本人が出て來られるようにいたすように、命令を以て理事官が
審判の開始を申立てた場合には、
審判所は申立てましてから十四日以上を經過しなければ開廷することはできないという工合に、命令で決めるつもりでおります、それで飽くまで本人の都合を聞きまして、必ず出廷できるように
措置する
考えでおります。それから
受審人は或る
海難を惹起した
責任者と目される者でございますから、その
海難審判法の精神に從いまして、飽くまで
審判廷に出廷いたしまして、そこで
原因を明らかにする、自分はこういう工合にや
つたためにこうな
つたんだということを明らかにする。
海難審判に協力をする義務があるものだと思います。それが正當の理由があ
つて出廷できない場合には、飽くまで出廷できるように、本人の都合を以て開廷の期日を決めてやる、それで、本人で善意を以て出廷する豫定でおりました場合に、不可抗力その他の止むを得ない正當な理由がありまして出られないときには、開廷を延期して、飽くまで本人が出られるようにしてやる、それでなければ
原因の探究は非常に困難である、飽くまで本人で出廷した上で
審判するということを建前にいたしておりますから、本人が出て來ない場合は、何か惡意があ
つて、逃げて出ないとか、その
原因の探究に協力しないという場合に限るのでございまして、それに對しまして、缺席をしたから特に本人が抗告できるように、第二審の請求ができるように或る特典を與えてやるということは
考えておりません。特典を與うべきじやないと解釋いたします。特典を與えないようにいたしてあります。從
つて七日が長いか短いかということは、本人が
審判に
出席した場合に、長いか短いかということを考慮すればいいんだと思
つております。若し本人が出ますれば、これは證據の取調べから言渡しまでに亙
つて、それが
審判でございまして、
審判がいよいよ言渡されたときに、本人が出廷いたしておりますれば、これは非常に自分の
責任を問われておるけれども、こういう點が不服である、採決の仕方が惡いということを自分で判断する、或いは他人に相談をいたしまして、その場で口頭ででも第二審の請求はできるわけでございます。又それをいろいろ
考えておるのにも、そんなに長い日々を要しないと私は思うのでございます。それで、從來通りにやはり七日あれば十分第二審の請求をする餘裕がある、こう
考えておるのでございまして、これが遠方におります者に、こういう裁決をしたぞということを通知いたしまして、その通知を受取
つてから、又抗告の手續を書類か何かでや
つておりますれば、それは今の通信状況におきましては、二十日か或いは三十日を要するかと思いますけれども、本人が出廷してお
つて、一應口頭を以て、どうも不服であるから抗告をするという
意思表示をいたしますれば、あとは書類を後日に出せばいいわけでございますから、七日を以て十分だ、こういう工合に
考えておる次第でございます。