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政府委員(田中源三郎君) 第一の車の
處置問題につきましては、列席いたしておりまする志鎌
説明員よりお答えいたします。
第二の省營自動車、これは乘合とトラツクと合せました
一般の意味と御
解釋下さいましてよろしうございます。今後におきまする根本
方針、それが國有
鐵道の施策と竝行して行くべきではないか、それの
具體的施策をこの際に發表すべきではないか、こういう小野委員の御質疑は誠に御尤もの點でありまして、當然そうあらなければならんのであります。我が
日本の國の
鐵道の
状態から見ますというと、先ず第一に國有
鐵道は一萬哩に
なつたときに非常に喜んで、各社が一萬哩の競爭をいたした時代がございます。それが今日は三萬二千キロ即ち約二萬哩の
鐵道の哩數にな
つておりますが、過般の實相報告にある通りの實體に今日到達して、本年におきましても百數十億の赤字を出すというような
状態にな
つております。ところが、國有の省營自動車全般が、民間の方が先に發達して、そうして
政府のや
つておることが遲れております。これはちぐはぐであります。私共が民間にあ
つて私鐵の經營をしておりましたときでも、現在行われておる省營の
鐵道とか省營の自動車營業よりも、民間の
方面において先に發達しておる、その後において省がやり出した、こういうことにな
つております。從
つて全國主要の、良いところの
路線というものは殆ど民間が掌握しておる、こういう實體であります。それがいろいろ山間部におきまするとか、或いはその殘された部分において、
鐵道の建設と竝行して、これが民間の要請によ
つてこの省營バスなり省營トラツクが漸次その後や
つて參りまして、そうして相當キロ數に達して行
つておりますが、企業形態から申しますというと、企業採算、獨立採算のあるような面は、さつき申したように民間が先にや
つておりますから、取
つてしま
つて、そうして省は殆ど企業採算の合はん所、或いは省營の
鐵道と
鐵道とを繋ぐとか、或いは、既定の豫定
路線が建設されないために、それの補いとして省營をや
つておるというようなことにな
つておりまして、
日本の省營というものの、トラツクであるとかバスというものが、
鐵道の補助機關としてのあり方として根本的な案が立てられて今日まで來たとは私は思えないのであります。私が就任いたしましてからも、第一に感じたことは、この省の先ず根本
方針を建て直さなければいかん、そうしてこれが
鐵道とどういうようなふうに兼ね合わして行くかというようなことを考えたわけでありまして、今までの經過は、私共が民間に在つたときと就任後において見ましたときと同じような
状態であるように思われます。
で、今後におきましては、先ず第一に、私共は省がやりますところの
方針といたしまして、これはいずれ皆樣から御意見も出ることであろうと思いまするが、省自體におきましても、又この自動車におきましても、一面においては監督權を握
つておる、一面においては
自分が營業しておる、監督權を握つた省が營業をし、そうして同時に民間企業を監督しておるというような、誠に不合理なやり方にな
つておると思う。これは
日本の行政機構の上において考えなければならん。そこで
鐵道そのものを、獨立採算制を採る根本としては、第一に先ず監督權と企業を別個に考えて行く必要があるんじやなかろうかと思われるのだから、この
日本の
鐵道全體を先づこの企業體と見て、そうしてそこに國家性を持つ企業體として、合理的經營を考えて行く。これは
運輸省内部の
一つの企業體である。それから行政面は、これは法制局の
關係もありまするが、將來或いは監督と分離しなければならん。私鐵の監督は監理部におきまして、大體陸運監理部において、私鐵の
鐵道、軌道、バス、全部監督しております。その監理部が一面において省營トラツクをや
つておる、これが間違
つておると私は思う。そこで
鐵道の方はよろしいが、監理部からバスと企業の面を、監督と業體とを分離する。そうして先ず二つに分けて、それから第一に各各
鐵道は、
鐵道において、各事業の經營において合理性を持たして行くところの施策を伴いますると共に、獨立採算制の企業形態においてこれに國家性を與えて行く。で、この
鐵道と
鐵道とが、現今の製鐵事業から睨み合せましたならば、どうしても豫定の
鐵道の建設はできません。むしろこの
鐵道の合理的經營の面から申しまするならば、
修理及び電化ということが私は必要であろうと思う。併しながら最も緊要なる
路線は、いかなる
状態にあろうとも、産業開發の上において、或る程度の一定
路線は建設いたさなければなりませんが、先ず以で現在の國鐵は、國内的に企業的にこれを充實せしめるところの改革を行わなければならん。これには電化のごときは合理經營の面において最も重要な問題であります。それを睨み合せて豫定
路線の建設ができないもの、又重要なるところの
路線というものは、これを省營バスにおいて——必要なる點はバスにおいて、これを補うて行く。併しバスも、これは石油のごときは今後殆ど重油にしても國外から仰がなければならん。そこで非常にこの經營面におきまするところの根本が、國外資材においてやらなければならんということに基因して參りまするから、これはやはり國内におけるところの科學的の研究によ
つて、能う限り國内の生産資材を以てこれを行な
つて行く
方針を一面採りつつ、今申した通りに、
鐵道の延長というものは、これによ
つて或る程度繋ぎ合わせて行くということが必要であろうと思います。
併し、この自動車經營をいたす上におきましては、先ず以て道路の改修が根本であります。ドイツにおきましても、アメリカにおきましても、皆道路というものによ
つてバスが發達して參
つております。現今
日本の道路政策をみまするならば、戰時中非常に荒れております。それに加えて山の濫伐によりまして、河川及び道路は更に改修及び補強の工事をや
つて行かなければなりません。併せて橋梁等に關しては、今後において大きなトラツクを運轉せしめまするならば、
日本の橋梁は全體において約七トンか八トン、強くて十二、三トンまでしか私はキヤパシテイがないと思う。從
つて、この橋梁に對するところの補修改善を行な
つて行かなければならん。これらの道路政策には國家が相當の
費用を投げ出さなければなりませんが、これは國土計畫と相伴うて來る問題と思いまするので、この道路行政と睨み合わせつつ又專用道路を持ちまして、そうしてこの國有バスというものが
鐵道の延長を圖
つて行く、アメリカにおきましても百マイル未滿の
鐵道が私設
鐵道でありますならば、殆どバスの發達によ
つて、企業が成り立
つているので、そうでなければ成り立つまいと思います。
日本におきましても自然競走に委せますならば、一都市におきまする
鐵道會社、小さな都市と小さな都市を繋ぐくらいの私設
鐵道でありますならば、百マイル未滿の軌道なり
鐵道は、道路を
修理しまして、バスなりトラツクが發達しますと、大抵の會社は經營難に陷ります。私鐵は現在殆ど
自分の並行線を持
つております。
自分で皆乘合バスを持
つておるというような
状況であります。私は今申しました通りに、
日本としてはでき得る限り、今後においては
鐵道の建設線が製鐵に制約されて行く以上は、このバスによ
つて補
つて行きたい。而もこの賃金におきましても合理的な賃金を採
つて行きたい。民間同等の賃金でや
つて行くのは妥當でありまして、特に省營だけは安い賃金でや
つて行かなければならん
理由はないと思います。
又トラツクにおきましても、民間の發達いたしておりますところのトラツク、バスはでき得る限り、民間のものが眞面目に合理的な經營をして行く。最近この民間のトラツク
業者も多くは戰時中に徴用になり、そうして
日本民間トラツクの半分の數量は自家用トラツクが今日持
つておる。これができたのは戰時中取上げたものが各會社に配属されておりまして、現在においては半ば以上占めておる
現状ではあるまいかと思われます。一面いろいろ燃料及び資材の制約によ
つて民間のトラツク
業者が段々と企業的に經營困難にな
つて行く。從
つて又そこに惡徳の
業者はいろいろな賃金外のものを要求するという點からいたしまして、今日民間トラツクに對する非難の聲はその點から發して來ておるのであります。これは一面無理もない點もあらうかと思います。このような營業自體に對しては極度に監督を嚴重にいたしまして、公正な營業を、正當な賃金で親切に營業をやるように監督面においていたしますと共に、若し不當なる經營をする者があれば、これは營業權を停止せしめて、確たる特定の者にやらせますか、或いはそこに省が持
つて行
つてやる、今後におきまする行き方は、大體民間企業というものを、合理的に且つ親切に正しく營業せしめることを
一つの
方針にして行きたい。併しながらそういうことをいたさない場合においては、嚴重なる監督の上において、これを取消して、そうして省が改めてやる、そうして既設の省のや
つておりますところのものはできるだけこれを完全に營業をいたすようにいたして行きますると共に、必要なる所に對しましては、一定の計畫の下に、その計畫範囲内の新線を營業して行きたい。それを營業いたします場合には、民間
業者との間における摩擦を極度に避けて行く、民間
業者との間の協定の上にや
つて行きたいと考えておるようなわけであります。
現今各
方面の
請願及び
陳情等は毎日數件を越えておるようなわけでありまして、これを民間の要望に應えておりまするならば、莫大なる經費を要するのみならず、到底資材は今日
政府において我々の要求を受入れてくれるところでないことは明らかであります。從
つて誠に民間の要望に對しては相濟まんことでございまするが、敍上のような
方針を以て今後
日本經濟の進展と共に併行して、漸次上昇の方途をと
つて行きたい、かように考えておるようなわけであります。右御了承を願いたいと思います。